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2025.06.09

She is Legendとトゲナシトゲアリ、歌で想いを爆発させる2組が魂をぶつけ合った“She is Legend×トゲナシトゲアリ 「SOUL & CRY」”の様子を振り返る

She is Legendとトゲナシトゲアリ、歌で想いを爆発させる2組が魂をぶつけ合った“She is Legend×トゲナシトゲアリ 「SOUL & CRY」”の様子を振り返る

対バンライブ“She is Legend×トゲナシトゲアリ 「SOUL & CRY」”が5月15日、東京ガーデンシアターにて開催された。

ドラマチックRPG「ヘブンバーンズレッド」が生んだラウドロックユニット・She is Legend(以下:シーレジェ)。そして、オリジナルTVアニメ『ガールズバンドクライ』より誕生したリアルバンド・トゲナシトゲアリ(以下:トゲトゲ)。かつて“Animelo Summer Live 2024 -Stargazer-”で同じ舞台に立った両アーティストだが、こうして実際に相まみえるのは今回が初めて。お互いに歌で想いを爆発させるアーティストとして、魂をぶつけ合う特別な一夜が繰り広げられた。

TEXT BY 一条皓太
PHOTOGRAPHY BY 小沼 高、冨田 味我

She is Legendが小指と歌で示したリスペクト、「Perfect Goodbye」は“祈り”の時間に

先攻のシーレジェにとって本公演はユニット結成以来初となる対バン企画。気合い十分な様子は冒頭、紗幕越しに逆光で映った2人のシルエットを見ただけで確信できた。まずは「春眠旅団」でそれぞれが歌い出すと、Bメロの“そこまで連れていこうか どうさ?”で声が重なり、唯一無二のハーモニーに。その後は“はっとするような桜吹雪が”との歌詞をなぞるべく、桜吹雪を模した演出物が上空からはらはらと舞い落ち、最後は散り際を思わせる可憐なキーボードで曲を締めくくる。次曲「Thank you for playing~あなたに出会えてよかった~」以降も、しばらくは4つ打ちのノリやすいナンバーが続く。「Thank you for playing~あなたに出会えてよかった~」ではBメロで猫手のポーズをしてみたり、2人で高音と低音パートを次々に入れ替えてみたり。かと思えば、続く「Come on baby!」では曲調とリズムパターンの変化を多用して楽曲難易度の面でもレベルの高さを打ち出してくる。しかもドラムの音に重厚さがあるツーバススタイル(バスドラムが2つあるドラムセット)で、ステージではドラム後方すれすれの位置から6本もの火柱を出す演出まであったのだから、気合いの入り方が桁違いだ。

途中のMCではトゲトゲの象徴といえる“小指”を立てるポーズを取り対バン相手にリスペクトを示すと、「闇夜のKomachi Vampire」では鈴木このみとXAIがラップを披露しポエトリーな側面を見せつけたかと思えば「起死廻生」では歌い出しからスクリームを挿入し、緩急をつけた歌声で心に“直”で揺さぶりをかける。鈴木このみはスクリームの際にマイクを両手で巻き込む形で握り、かつ脇を締めて体を前屈みにするのだが、その動きもステージ映えが見事だった。

7曲目「Goodbye Innocence」は青春映画のような印象を受ける名曲。サビでは2拍とにマイクパスを披露してこの日のハイライトを彩りつつ、ふと後方を見るとサポートバンドの西川ノブユキ(g)とよこやまこうだい(b)が鈴木このみとXAIの2人と同じか、むしろそれ以上にお互いに向き合って魂を呼応させている様が目に入り、最高の感情が胸に押し寄せてきた。

ここでユニットとして「次の動きを発表できそう」というMCから、XAIが「それでは、あとは鈴木さん、よろしく」とステージを一度去ると、残された鈴木このみがすでに瞳を潤ませ、唇を弱く噛み締めているではないか。あまりの神妙な面持ちと、マイク越しに伝わる微かな衣擦れの音が会場全体に浸透しレジェンダー(She is Legendのファンネーム)も“何かある”ことを理解した様子。そして「自分でも歌うのが怖いくらい、自分の心の扉を開けてくれる楽曲です」という紹介から、今年3月にリリースしたばかりの新曲「Perfect Goodbye」を歌うことが明かされた。

1コーラス目はピアノの音色に乗せての歌唱。鈴木このみというボーカリストは本当に特別で、聴き手との間にある距離感を歌で縮め、まるで本人が目の前にいるかのような感覚にさせてくれる。この曲でもそうした感覚に浸っていると、2コーラス目からはのびやかなフェイクも織り交ぜて、“よく洗われたシーツ”から巡る情景描写にぼーっと魂を抜かれる。楽曲の持つ意味などはあえて読者自身で触れてみてほしいが、あのフェイク歌唱などはもはや“祈り”に近い時間だった。

XAIが再び登場しラストスパートは「ありふれたBattle Song~いつも戦闘は面倒だ~」と「Long Long Spell」。女性シンガーながら、どちらも“雄叫び”に近い太くパワフルなシンガロングを客席と共有し、約1時間のステージを終えた。

次のページ:トゲナシトゲアリが圧倒的機動力の楽曲を畳み掛ける「50分ちょいで14曲、行くよ」

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