INTERVIEW
2017.02.22
───(笑)。では次からは、北川さんが作曲された曲についていろいろとお話をお伺いしたいと思います。まずは「Marmalade Jam」です。この曲はいろいろと元ネタが個人的に分かりやすくて。北川さんらしいメロディー・ラインがしっかりとありつつ、リズムにストーン・ローゼズの「Fools Gold」、コーラスにローリング・ストーンズ「悪魔を憐れむ歌」からの影響が強く感じられますね。ストーン繋がりと言いますか(笑)。
北川 そうね。まさに、そのまんまです(笑)。
───このドラム、打ち込みなんですね。
北川 そう。デモではブレイクビーツにいろいろ重ねて作っていって、レコーディングの際に生で録ろうかどうしようか考えたときに、元の曲もどっかからサンプリングしたような特殊な作り方なんで、これでいいかなって。でも元ネタのビートに合わせていろいろと作っていたんで、いざレコーディング用に作り直していたら、そっちの調整もまあ大変で。いらん余計な目にあいましたね(笑)。
────サウンドとしては、80年代後半から90年代前半に流行したマンチェスター発のムーヴメント、いわゆる“マッドチェスター”な感じですね。
北川 やはりUKサウンドならマンチェスター的な音楽を何かやりたいと思っていて。それに今までちょっとロッキンな曲で香菜ちゃんが歌っているのって少ないなと思って、今回そういうのがあってもいいんじゃないかと。アルバム制作の後半ぐらいで、ほかの曲とかのバランスや流れとかを考えたときに、このサウンドが思い浮かびましたね。マンチェスターのバンドもいろいろあって、まあストーン・ローゼズも好きな曲がいろいろあるんですけど。
───2ndアルバムになるとグルーヴ感はそのままですが、ハードロック寄りのサウンドになってしまいますけど(笑)。
北川 もうあれはレッド・ツェッペリンですよね(笑)。
───(笑)。でもこのコーラスがまたカッコよくて、ビートとの融合がまた絶妙ですね。
北川 まずビートがあって、そこにちょっと7thのコードを合わせて、ギターとかも「Fools Gold」にどれだけ近づけようかってみたいなことをやっていて。そしたらイントロに「“woo woos”ってコーラス聴こえてくるよね?」って話になって。じゃあ「いれよ、いれよ!」って(笑)。
───ここはすごいツボでした。見事にハマってますよね。
北川 でも「ローゼズで「Fools Gold」やりたいですけど」って言ったら、みんなに「えーっ!?」って。一体どういう感じになるのって?
───たしかに花澤さんが歌う「Fools Gold」って、イメージしづらいですね。
北川 まずチャレンジさせてくださいと伝えて、出来上がったときにみんな「ああ、なるほど!」って感じなりました。たしかに「Fools Gold」って長いし、歌ってなかったり、メロディが無かったりするじゃないですか。なので僕がイメージしている部分がなかなか伝わらなくて。最初からやりたいって言っていたんですけど、みんなあんまり乗り気じゃなくて「ふーん」みたいな感じで(一同笑)。
───たぶん、ローゼズのなかでももっとポップな「She Bangs The Drums」とか「Elephant Stone」のほうがイメージしやすいかもしれないですよね。そちらとは違って、この曲はもっとグルーヴが主体となっていますから。
北川 まあ、そうですよね(笑)。
───次は「雲に歌えば」です。花澤さんにこの曲についてお話をお伺いしたとき、イギリスに行ったこともあって、ロンドンの曇り空を非常にイメージしやすかったとおっしゃってました。この曲は吐息を使ったサンプリングですとか、漂うNEW WAVE感とか、本当に素晴らしいですね。
北川 これも実はワンポイントの元ネタ・リクエストをされていて。これもリズム・スタートで、そのリズムをそのまま使ってやってたんですよ。楽器の構成とかいろいろ変わったので、音の響きとかは違うんですけどね。まあ、そこに辿り着いちゃう人だと「あー、はいはい!」「まんまだね」って(笑)。元ネタの曲にもアーティストの吐息が入っていて、じゃあ香菜ちゃんの声でやってみたいよねって。簡単な打ち込みとそのブレスとに合わせたリズムにしようと。アルバムを作っているなかで、短くてポップで弾けている曲を入れたいなと思って、作ったのがこの曲です。いろんな曲が揃ってきたときに、「Marmalade Jam」とかこの曲や、「brilliant」だったりでバランスを取っていくみたいな。
───ちなみに元ネタはなんですか?
北川 ザ・キュアーですね。
───なるほど!「Close To Me」ですね。言われて納得しました。では次に「brilliant」についてお伺いします。これはどういった着想から?
北川 これもネタがありまして(笑)。
───それが花澤さんのアルバムの楽しいところでもあります(笑)。
北川 今回はわりかしストレートなんですよね。フェアーグラウンド・アトラクションの「Perfect」という曲がありまして(笑)。
───まあ、そうですよね(笑)。でもこれは皆さんお聴きになって「なるほど!」と思うのではないかと。でも「Perfect」よりも、ジャズ的なグルーヴが強いかなあと。
北川 そうかもしれませんね。ドラムがSOIL&”PIMP”SESSIONSのみどりんで。ROUND TABLEでもずっと一緒に叩いてもらっていたこともあって、今回お願いしようとかなと。たしかに彼の味みたいなのが出ているかもしれないですね。
───フェアーグラウンド・アトラクションってもっとフォーキーな感じやカントリー、ケイジャン感がありますけど、「brilliant」はグルーヴ感がきっちりと出ているように感じます。そういったリズム感の違いも表われているのかもしれませんね。では9曲目の「Opportunity」です。この曲はアルバムのタイトル曲ともなっている短い曲です。これは制作が中盤を過ぎた頃に完成したとお聞きしてますが。
北川 そうですね。アルバム・タイトルが決まって、曲順とかを考えていったときにシングル曲「ざらざら」っていうゆったりとしたミディアムの曲につながるように、またアルバムを象徴するようなものがブリッジとしてこの位置にあったらいいかなと思って提案しました。ほかの曲をレコーディングしているときに思いついて、すぐ録って、聴いてもらったら周りのスタッフにも「いいね」って言ってもらえて。それですんなりと収録が決まりました。
───花澤さんからは、このあたりぐらいから、アルバムの全体像みたいなものがなんとなくみんなのなかに共有されてきたとお伺いしました。この曲があることによって切り替えといいますか、アルバム曲とシングル曲がスムーズに、自然な流れで繋がりますよね。
北川 そうなんですよね。アルバム曲がいろいろと集まりつつ、そのなかでシングル曲との組み合わせを考えながら作業を進めなくてはならないので、毎回いろいろと苦労しますけど(笑)。
───たしかにバランスって難しいですよね。でも空気公団の「透明な女の子」もそうですが、アルバムのなかでのシングルのハマり具合の良さといったものもしっかりと感じました。
北川 だから全部が分かりやすくUKサウンドじゃなくてもよくて、アルバムを通して聴いたときに、いろいろなイギリスを感じてもらえるものが並んでいればと思っていました。始めにおっしゃってくれたように、1曲目と最後の曲を取り出すと、すごい飛距離があるけど、通して聴くと流れが繋がっている。トータル・アルバムとしての雰囲気は大事にしたいと考えながら進めましたね。
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