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INTERVIEW

2017.12.06

TVアニメ『宝石の国』EDテーマ「煌めく浜辺」大原ゆい子インタビュー

この秋、大きな話題を集めているTVアニメ『宝石の国』。挑戦的なグラフィック技術による宝石の煌めき、ダイナミックなカメラワークで捉えた躍動的な映像。キャラクターの繊細な心理描写や、ミステリアスな世界観に背景に展開するストーリーが実に魅力的な作品だ。

いっときも目が離せない、そして心を揺り動かす本編のあとに続くのは、静かな映像とゆったりとしたリズムで彩るエンディング・パート。ここで流れているEDテーマが大原ゆい子の「煌めく浜辺」だ。EDテーマを彼女が担当すること、そして、この曲の作詞・作曲・編曲がムーンライダーズの鈴木慶一であることは、放送時にクレジットが現れるまで秘密にされており、驚いた方も多いことだろう。『宝石の国』「鈴木慶一」というふたつの未知の世界に出会い、それをひとつの歌に重ね合わせた大原ゆい子に詳しく話を聞いた。

なおリスレゾでは『宝石の国』のOPテーマを担当しているYURiKAのインタビューも掲載している。こちらも併せてご覧いただきたい。

●TVアニメ『宝石の国』OPテーマ「鏡面の波」YURiKAインタビューはこちら

Interview & Text by 高橋 敦
at 東宝

大原ゆい子「煌めく浜辺」のレビューはこちら

アニメのセリフのテンポ感に「そうそうこの感じ!」って思った

───まず『宝石の国』という作品についてどのような印象をもたれましたか?

大原ゆい子 この作品がCGアニメで表現されたらどういうものになるんだろう?と、原作を読みながらずっと期待を膨らませていました。アニメでは特に風が駆け抜けて草がなびくシーンが非常に鮮やかで、その美しさに目を奪われました。

───OPテーマを担当されているYURiKAさんにお話をお伺いしたときも、同じくその風や草の描写が話題に挙がりました。

大原 とても印象的ですよね。また上空から見下ろしていた視点が一気に急降下するような、ダイナミックな動きですとか。大画面で観るとすごく映える映像だなと感じました。

───原作のもつスケール感や奥行きを見事に再現していますよね。

大原 あとセリフ、会話の間の取り方みたいなのも、私が原作を読みながら感じていたものとしっくりくるんです。コミカルな場面でのツッコミのタイミングとか、「そうそうこの感じ!私の中でもこのテンポだった!」って。原作では主人公のフォスと王(ウェントリコスス)が海の底を歩きながら語り合うシーンが大好きなのですが、あの雰囲気がそのまま映像になっていて、思わず見入ってしまいました。

───登場する宝石の中で、お好なキャラクターはいらっしゃいますか?

大原 シンシャです。原作の頃からもそうですし、アニメになっても変わらなくて。不器用なところも含めて、その存在自体がすごく好きなんです。いつもシンシャを気にかけているフォスも好きですけど、やっぱりシンシャですね。

───ちなみに実際にお好きな宝石ってありますか?

大原 元々石が好きで、子供の頃は雲母などを探して集めていました。その中では蛍石が大好きで、石屋さんとかで買っていたんですけれど、『宝石の国』を観たときに「蛍石の色ってフォスと似ているな」って思って。ちょっと親近感がわきました(笑)。

ひと言ずつ、宝石を置いていくように歌う

───その『宝石の国』のEDテーマ「煌めく浜辺」ですが、作詞・作曲・編曲をムーンライダーズの鈴木慶一さんが手がけていますね。

大原 実は今まで鈴木慶一さんの曲に触れる機会がなかったんです。曲を提供していただけることになってこれまでの作品を聴かせていただいたのですが、その独特な音楽性や豊かな音世界にとても驚きました。自分にはなかった音楽性だったので、鈴木慶一さんが作られた曲を私が歌ったらどんなふうになるのか、そのときはあまりうまく想像できませんでした。

───そんな驚きのなか、「煌めく浜辺」の詞と曲が届いたわけですね。

大原 先に詞を読ませていただいたのですが、私の中にあった『宝石の国』のイメージにすっと重なりました。物語や言葉を直接に絡めているわけではないのに、でも『宝石の国』の詞だと感じられる、すごい詞だなって。

───では大原さんにとって、感覚を共有できて歌いやすい曲だったのでは?

大原 それがかなり考え込むことになりました。詞とメロディをどのように合わせればいいのか? そのためには自分はどう歌うべきなのか、その答えをなかなか見つけられなくて。

───詞と曲、どちらも独特な感覚がありますよね。そのふたつを組み合わせてひとつの歌にしていく難しさがあったと?

大原 そうですね。でも曲を仕上げていくプリプロの段階から鈴木慶一さんが立ち会ってくれたので、ディレクションやアドバイスをいただけて、この曲への向き合い方を見つけることができました。

───どんな歌い方になったのでしょうか?

大原 ひと言ずつ宝石を置いていくように歌う、みたいなイメージですね。歌に感情を注ぎ込むのではなくもっと力を抜いて、歌の世界に声をあてはめていくような。ちょっと不思議な感覚です。このような歌い方は初めてだったので、なかなか難しかったのですが、この曲のもつ独特な雰囲気をうまく表現できたと思います。

───これまでになかった歌の表現になったのですね。

大原 「煌めく浜辺」のメロディーやサウンド、詞やその表現方法など、どれもがすごく新鮮でした。そういった点でも今回は貴重な経験をさせてもらいました。シンガーソングライターとして影響を受けましたし、自分の音楽の幅も広がったと思います。素晴らしい曲と出会うことができて、大変うれしかったです。

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