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REPORT

2025.07.18

“迷い星のうた”から“目印のうた”へ――MyGO!!!!!、3年の進化を刻んだライブツアー“ZEPP TOUR 2025「心のはしを辿って」”東京公演レポート

“迷い星のうた”から“目印のうた”へ――MyGO!!!!!、3年の進化を刻んだライブツアー“ZEPP TOUR 2025「心のはしを辿って」”東京公演レポート

お互いの肩を寄せ合うように、必死で音を奏でていた5人の迷子たちは、今やとてもたくましく、そして頼もしいバンドに成長した。7月1日、MyGO!!!!!にとって2度目のライブツアー“MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2025「心のはしを辿って」”の初日、Zepp DiverCity (TOKYO)での東京公演を観終えた後、素直に出てきた感想がそれだった。

デビュー公演の“1st LIVE「僕たちはここで叫ぶ」”からここまでの約3年間、彼女たちは濃密な時間を過ごしてきた。TVアニメの人気に伴いライブの規模はどんどん拡大し、アリーナ会場でのワンマンも経験。その他にもロックフェス出演や海外公演など数々のバンドドリームを叶え、バンドシーン全体を見渡したうえでも、勢いのある存在と言っていいだろう。

そんな彼女たちが改めてライブハウスという場所に立ち返り、4都市のZepp会場を巡る今回のツアー。迷子でも構わず前に進んできた5人が、わかれ道のその先で見つけた景色をレポートする。

TEXT BY 北野 創
PHOTOGRAPHY BY ハタサトシ

久々のカバー曲披露も!変わりゆくものと変わらない想い

この日のライブは無骨に幕を開けた。燈(Vo./CV:羊宮妃那)、愛音(Gt./CV:立石凛)、楽奈(Gt./CV:青木陽菜)、そよ(Ba./CV:小日向美香)、立希(Dr./CV:林鼓子)のメンバー5人がスッとステージに現れて、それぞれの定位置に着くと、会場BGMとして流れていたMyGO!!!!!楽曲のインスト音源がプツッと途切れ、各々が一斉に楽器を鳴らして、そのまま1曲目「端程山」に突入する。ひたむきな感情を投影した楽曲が多く、かつて(アニメの劇中で)「ボーカル必死過ぎ」と揶揄されたこともある燈だが、この曲ではステージをしっかりと踏みしめながら、優しく大らかな歌を真っ直ぐに届ける。2番でメンバー5人がお互いの方を向き合って笑顔で音を交わす場面もあり、バンドで演奏することの歓びがこちら側にも伝わってくる。フロア全体を包み込んでひとつのパノラマを作り上げるような、ふところの深さを感じさせる立ち上がりとなった。

そこからシームレスにパンクロックの熱を宿した必殺曲「歌いましょう鳴らしましょう」へと移行し、竿隊がキメでピョンと飛び跳ねるアクションや、愛音と楽奈がステージ中央で背中合わせになって演奏する演出なども込みでフロアを爆発的に盛り上げると、愛音と立希がいつも通りいがみ合うMCを挿み、ライブの定番曲「影色舞」へ。冒頭でそよと愛音の演奏にフォーカスを当てた前奏パートを設け、いつもとは少し違った見せ方でオーディエンスを踊らせる。かと思えば「輪符雨」ではシリアスに切り返し、普段は後方で演奏しているそよがステージ前まで出てきて、燈・愛音・楽奈・そよの4人が横並びになる場面も。立希の全体を力強くリードするドラムが素晴らしい「砂寸奏」でも、メンバーが向き合って歌い演奏する瞬間が多く、音にも気持ちがグッと入っている印象。ラスサビでは燈が観客に向けて叫ぶように呼びかけ、エモーショナルなフェイクも聴かせていた。

続いてのMCで、1st LIVEからちょうど3年が経つことに触れたメンバーたちは、当時は自分たちのオリジナル曲が1曲しかなかったものの、今では全曲オリジナル曲でライブができるようになったことを感慨深げに語りつつ、「久しぶりにあの頃の曲、聴きたくないですか?」(愛音)と期待を煽る。「あの時と変わったこともあるけど、変わらない想いもあるから」と燈が語ると、ここからは久々にカバー曲を2曲連続で披露。まずは「猛独が襲う」を4つ打ちの軽快なリズムと共に届ける。あの頃よりも明らかに太くたくましくなった歌声とバンドアンサンブル、あの頃と変わらず胸に深く刺さる言葉。懐かしくも新鮮な猛独が心に襲いかかる。そして青春パンクやメロコアをバックボーンに持つMyGO!!!!!のルーツと言える楽曲のひとつ、「swim」。ステージを自由に動き回りながら演奏する愛音や、楽奈のギターソロ時に背中を合わせる燈の姿を見ていると、バンドの青春を感じてしまう。そこから間髪入れず2ビートのパンクロック「壱雫空」に繋ぐ流れも完璧で、フロアは大きな声を上げて熱狂。最後の会場が一体となって“na na na”と歌う熱気のすごさに、この楽曲がアンセムに育っていることを感じずにはいられなかった。

次ページ:ハードコアな新曲「往欄印」がかたどるバンドの現在地

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