変わらぬ良さと新たに得た力強さが溢れ出る、飛躍の予感。“伊藤美来 Live Tour 2021 Rhythmic BEAM YOU”横浜公演レポート

3月21日、パシフィコ横浜国立大ホールにて“伊藤美来 Live Tour 2021 Rhythmic BEAM YOU”のファイナルである横浜公演が開催。自身初となるツアーでは、最新アルバム『Rhythmic Flavor』の楽曲を中心に、4月発売の新曲も含め全17曲を披露。これまで感じさせたピュアさやキュートさといった良さに加え力強さを随所に感じるステージングで、さらなる飛躍を強く予感させるライブとなった。

●かわいさも優しさも儚さも、歌声とパフォーマンスの総合力で魅せるステージ

伊藤にとって、関東では久々となった有観客ライブ。最新アルバム『Rhythmic Flavor』のになぞらえてか、彼女がジャケットでくわえていたマスカットを想像させる球体のようなセットが壁に貼り付いている。ステージには2階部分もあり、そこに上るための階段のようになっているボックスは、1つ1つが異なるパステルカラーで色づいていた。また、上手と下手に分かれた2階ステージの間には、少し小高くなった青色の段が。

開演時間を迎えたところで、まずは会場を拍手が包んで、暗転中にステージ中央に伊藤が立ち、後ろからのまばゆい光に照らされてシルエットになったまま、アカペラで歌い出したのは「ワタシイロ」の冒頭部分。自然にキュートさが滲む佇まいや歌声のイノセントさは相変わらずなうえに、ポイントごとの想いの乗せ方がより巧みになった印象を、1曲目にして随所から受ける。歌唱中、セットの球体が色とりどりに照らされていくという演出は、視覚的にこの曲のコンセプトを体現したものだった。2サビ明けの間奏には「みんな会いたかったよー!」との言葉も届けると、落ちサビの“明日はどんな色になる”のフレーズでステージがぱっと虹色のグラデーションになって、虹色のサーチライトが観客の方にぐわっと向く演出が胸を熱くする。1曲目から、仕上がりは完璧だった。

歌唱後には、イントロ中にダンサー4人が登場して「all yours」へ。サビでは曲に合わせて会場中にクラップが響き渡り、間奏でもクラップを煽って会場に一体感をもたらすと、歌声ではファルセットも用いて地声とはまた違う2種類のキュートさを歌声でもお届け。落ちサビでは最後ににっと笑って、視覚的にもキュートな魅力を振りまくと、ミラーボールを活かした照明演出も映えるダンサブルなナンバー「one’s heart」へ。2サビ明けの間奏でのダンサーとV字フォーメーションを組んだダンスなど、質の高いパフォーマンスを見せる伊藤。それでいてこの3曲ですでに歌声の水準が上がり、安定感のはっきりと感じられるものとなっていたのも、序盤の印象的なポイントだった。

この日最初のMCパートでは、「本当に来てくれてありがとう!」と客席全体を一巡するように丁寧に視線を合わせながら手を振り、「楽曲に浸って音楽を楽しんでもらいながら、夢のような世界を楽しんでいってください!」と意気込みを語ると、切ないナンバー「hello new pink」へ。特にサビでは高音でのファルセットの匙加減でぐっと楽曲のヒロインに感情移入させながらも、ラストの“I love you”の歌声だけは急に丸く温かくなることで、引き立っていじらしさが立つ。Dメロ中盤の声の抜き方で虚脱感を表したり、曲の序盤でのぽつりぽつりと歌いながらとぼとぼ歩くようなステージングも含めて、キュートさの中にきゅっと胸を締め付けるような要素を織り込んで、1曲の物語を表現する。

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