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2017.11.08

春奈るな「KIRAMEKI☆ライフライン」レビュー

春奈るな「KIRAMEKI☆ライフライン」レビュー

11枚目のシングルは、自身が主人公として声優に初挑戦しているTVアニメ『URAHARA』のED主題歌。カラフルなポップサウンドがダイナミックに展開する表題曲をはじめ、夢へ進む姿を爽やかに描く「Baby, maybe」、シリアスなイメージをひめた「Flutter」を収録。

10月より放送がスタートしたTVアニメ『URAHARA』。原宿でファッションやスイーツなど自分たちのグッズを扱うお店を開いている女子高生3人が、地球の文化を略奪するために侵略してきた宇宙人と戦う姿を描く、ポップでオシャレなSFドラマ。アート・アニメーション出身の久保亜美香が監督とアートディレクションを担当し、全カットの色彩、レイアウトを手がけていることも話題になっている。

主人公のひとり・須藤りと役として声優に初挑戦する春奈るながEDテーマを担当(OPテーマは同じく主人公の白子まり役を務める上坂すみれの「アンチテーゼ・エスケイプ」。作詞・作曲はORESAMAが手がけている)。11枚目のシングル「KIRAMEKI☆ライフライン」には、EDテーマとなる表題曲のほか、「Baby, maybe」「Flutter」を収録している。

「KIRAMEKI☆ライフライン」

作品のイメージを投影したカラフルなサウンドが展開される今作の作曲と編曲は、春奈るなの楽曲では「Overfly」「Startear」などを手がけているSakuが担当。そして、レコーディングには、春奈るなのライブでも活躍している田辺貴広(Dr)、okamu.(Ba)、Saku(Gt)に加え、5月にカルメラとのスプリット盤『HORNS RIOT』をリリースしたジャズバンド「TRI4TH(トライフォース)」から、ホーン・セクションの織田祐亮(Tp)と藤田淳之介(Sax)が参加している。「踊れるジャズ」を掲げ、その圧倒的なライブパフォーマンスの定評があるTRI4TH(なおTRI4THは2018年1月から放送されるTVアニメ『博多豚骨ラーメンズ』のEDテーマを担当する)のふたりだけに、ここでも迫力満点の演奏を聴かせてくれる。

春奈るな・ミーツ・渋谷系とでも言うべきか、めくるめく展開と洒脱なアレンジが魅力的なこの曲は、楽曲を支える力強さも大きなポイントだろう。土台となるバンドサウンドは、既成の価値観と抗いながらあらたなサウンドを提示してきたロックによるもの。そこに反骨精神旺盛なTRI4THのメンバーたちの勢いのある演奏が加わる。クリエイティブをテーマとし、少女たちがそのために戦うストーリーが繰り広げられる『URAHARA』と、楽曲の音楽性がこんなところで共鳴しているのではないだろうか。つまり〈KAWAII♡〉でコーティングされたこの曲の裏テーマは「カッコイイ」なのである。

ポップとロックとジャズの要素が三つ巴に入り交わるサウンドは個性的な3人の主人公を映し出しているようで、またダイナミックな演奏も2番目からはスカのリズムを取り入れたりと目まぐるしく変化を続け、劇中の賑やかな雰囲気をそのままに伝える。ハイレゾでは躍動感がさらに引き立つ仕上がりとなっており、演奏者のテンションが感じられるパワフルなサウンド、楽曲のノリの良さが存分に楽しめる。SNSをイメージした言葉やガーリーなセンスをふんだんに取り入れた歌詞は明るくポップなもので、まさに春奈るなの面目躍如といったところ。様々な表情の変化を見せてくれてるボーカルは元気一杯。サビの「~かしら?」「~だわ」の歌声やラストのコーラスも実にキュートだ。

「Baby, maybe」

TOKYO MXやMUSIC ON! TVにて放送中のアニメ情報番組「LisAni!NAVI」のテーマソングとなっているこの曲は、茅原実里やTRUEに楽曲を提供し、またアレンジャーとしても活躍中の山下洋介が作曲・編曲を手がけており、夢の世界へと翼を広げ、その彼方まで飛び立っていく様子を爽やかに描いている。同じく作詞の唐沢美帆とのコンビで手がけたevery♥ing!「ハンドスター☆彡」に通じる、どこか懐かしさを感じさせるスタンダードなメロディーラインと、キラキラとしたポップなサウンドがハイレゾではさらに心地よい。

鮮やかなイメージが思い浮かぶ歌詞はまた、シンガーとしての夢をかなえ、その先へとさらに進んで行く春奈るなの姿にも重なる。澄んだボーカルは聴いている者を自身の夢へと誘うような雰囲気も感じられ、〈なりたい私へ Navigate〉というフレーズは彼女を“夢先案内人”と例えたくなるくらい。明るく前向きな歌声がそっと優しく背中を押してくれる一曲。

「Flutter」

最近の楽曲では内田真礼「c.o.s.m.o.s」(編曲はクラムボンのミト)や、井口裕香「キミとボク」(11月15日リリースのミニアルバム『Love』収録)などを手がている渡辺 翔が作詞・作曲を、そして、μ’sの「Wonderful Rush」「ススメ→トゥモロウ」「No brand girls」などで知られる河田貴央がアレンジを担当した疾走感のあるロックナンバー。

現実とズレながらもなお理想の自分を画面上で演じ続ける〈私〉の葛藤を映し出した歌詞は、見映えを優先した過剰な演出や発言が問題になっている昨今のSNS事情にも繋がるもの。承認欲求を満たすため、熱に浮かされたように投稿を繰り返し、やがて見失う本当の自分。その焦燥感と疲弊感を陰りを帯びた歌声で表している。普遍的なテーマの中に同時代性の感覚を自然に織り込んだ、春奈るならしい楽曲となっている。

春奈るな
KIRAMEKI☆ライフライン

Sony Music Labels Inc.
2017.11.08

FLAC 96kHz/24bit

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e-onkyo music
mora

 収録曲

 1.KIRAMEKI☆ライフライン ~TVアニメ「URAHARA」エンディングテーマ~
   作詞:春奈るな・Saku 作曲・編曲:Saku

 2.Baby, maybe ~TOKYO MX / MUSIC ON! TV「LisAni!NAVI」テーマソング~
   作詞:唐沢美帆 作曲・編曲:山下洋介

 3.Flutter
   作詞・作曲:渡辺 翔 編曲:河田貴央

 4.KIRAMEKI☆ライフライン (Instrumental)

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