西沢幸奏×WEST GROUND「LOVE MEN HOLIC」スペシャル対談

2015年にTVアニメ『艦隊これくしょん -艦これ-』のEDテーマ「吹雪」で鮮烈なデビューを飾って以来、パワフルで迫力のある歌声と自らギターも手にする熱いパフォーマンスで、気鋭の若手シンガーとして注目を集めてきた西沢幸奏。昨年の1stアルバム『Break Your Fate』以来となる待望のニュー・シングル「LOVE MEN HOLIC」は、現在放送中のTVアニメ『ラーメン大好き小泉さん』のEDテーマにして、これまでの彼女のイメージを一新する痛快なパーティー・ロック・チューンに仕上がっている。

そんな意欲作の作曲・編曲を手がけたのは、西沢とはデビュー曲「吹雪」の編曲を担当して以降、多数の楽曲で制作を共にしているコンポーザーのWEST GROUND。リスレゾでは今回、西沢と彼女の活動を側で見守ってきたWEST GROUNDの初対談をセッティング。西沢のこれまでの活動と「LOVE MEN HOLIC」における変化の理由について、詳しく話を聞いた。

Interview & Text by 北野 創
at VICTOR STUDIO

西沢幸奏「LOVE MEN HOLIC」のレビューはこちら

非常に声が張れて、声量が人よりもすごく大きくてビックリしましたね

──おふたりは西沢さんのデビュー・シングル「吹雪」からの付き合いになりますが、それぞれの第一印象はどんなものでしたか?

WEST GROUND 僕が最初に出会った当時の彼女は17歳だったんですけど、その年齢にしては非常に声が張れて、声量が人よりもすごく大きくてビックリしましたね。それは歌う人にとって欲しくても手に入らないものだったりするので、ライブで歌うと映えるだろうなと思いました。

西沢幸奏 それはうれしいですね!

WEST GROUND 声量が大きいと楽曲のトラック数が多くても声が抜けて聴こえるので、管楽器とかも使いやすいし。だから「吹雪」もトラック数がめちゃくちゃ多くなってしまったんですよ。

西沢 私の声ありきでそういうアレンジになったんですね。

WEST GROUND そうそう。あの曲はヒゲドライバーくんが書いてくれたんですけど、元々はもっとキャラソンっぽい感じだったんですよ。で、僕が書いたOPテーマ(AKINO from bless4「海色」)はかなりバンドサウンドだったので、エンディングのほうももっと豪華な感じにしようという話になり、バンド要素や管楽器を加えてどんどん厚くしていったんです。でも西沢さんの声がちゃんと前にあるので、音がガチャガチャしててもまとまってくれるというか。そんな第一印象でしたね。

1stシングル「吹雪」(2015.02.18)
©2014 「艦これ」連合艦隊司令部

西沢 わー、うれしい!でも私のWEST GROUNDさんの第一印象は、正直、ちょっと怖かったんですよ(笑)。

一同 ハハハハハ(爆笑)

WEST GROUND いやいや、そんなことないでしょ(笑)。

西沢 なんか圧がすごくて(笑)。私もまだ17歳であまり大人の方と接したことがなかったし、WEST GROUNDさんはお会いしたらすごくプロフェッショナルな方で、何に対してもまっすぐで、情熱的な姿勢からオーラが溢れ出てて。あまり多くを語らない印象でしたし、お会いしたときもひと言ふた言しか話してくれなかったので……。

WEST GROUND それ、なんかおかしく伝わっちゃうから(笑)。そこは「陽気で優しい人」って言っておかないとダメでしょ?

西沢 ダメですか?(笑)。今でこそこうして楽しくおしゃべりできますけど、当時はWEST GROUNDさんも私との距離感を詰め過ぎないようにすごく考えてくださってたんだと思ってて。だからあまり自分からは話しかけられない感じでしたね。

WEST GROUND 僕も普段の生活で17歳の子と話すようなことはないじゃないですか。それに歌い手さんの楽曲は7割が声の力だと思ってるので、あまりこちらからどうこう言うよりも、特性に曲を合わせていくほうがいいのかなと考えてて。特に最近は、曲の良さというよりも声の魅力で売れてる人が多い印象があって、昔はトラックを厚めにして全体で聴かすみたいなテイストが多かったと思うんですけど、最近は音数を減らしてるものが増えてると思うんですよね。最近のEDMとかもそうじゃないですか。

──たしかにトロピカル・ハウスやそれ以降のトレンドはそんな感じですね。

WEST GROUND なので、適度な距離感を保ってやってたつもりなんですけど、彼女には離れすぎてるように思われてたようです(笑)。

西沢 すみません(笑)。でも、だんだんレコーディングスタジオなどでご一緒するうちに、そういうことをちゃんと考えてくださってることがわかってきて、それからはすごく安心しました。

ほかの作家さんにはない音の迫力があると感じていて

──まあ最初はそういった多少の緊張感もありつつ(笑)、おふたりはこれまでにたくさんの楽曲を一緒に作ってこられたわけですが、西沢さんから見たWEST GROUNDさんの楽曲の魅力はどういうところにあると思いますか?

西沢 まず音の迫力がすごいですね。ライブでWEST GROUNDさんの曲が流れ始めたら音圧ですぐわかるぐらい、ほかの作家さんにはない音の迫力があると感じていて。そういう曲をいただくたびに私も負けちゃいけないと思って、どんどん声を低く張るようになったので、楽曲に育てていただいた感覚はあります。

──WEST GROUNDさんは先ほど、西沢さんの声の力が音作りにも反映されてるとおっしゃってましたけど、それを感じるからこそ音圧も強いものにしてるのでしょうか?

WEST GROUND まず、僕が彼女に初めて書き下ろした曲は「Brand-new World」(TVアニメ『学戦都市アスタリスク』1期OPテーマ)なんですけど、それはタイアップ作品的にデジタルな感じだったので、デジロック的なものを書いたほうがいいと思ったんですね。それでこれはほかの楽曲でもそうなんですけど、僕が信じて使ってるシンセやソフトというのは音が結構強いんですよ。それにギターもめちゃくちゃ重ねて使ってて、この曲でも10本以上は重ねてるんです。

2rdシングル「Brand-new World」(2015.11.11)

──そんなに重ねてるんですか!?

西沢 ギタリストの方、いつも頭を抱えてますよ(笑)。

WEST GROUND 多分ミックス・エンジニアも頭抱えてます(笑)。そもそもギターのバッキングはLRの一本ずつでダブルが普通だと思うんですけど、僕の場合はパワーコードの部分とテンションの部分は分けてギターを録るんですよ。通常だと4弦押さえてガーッてかき鳴らしたりしますけど、僕の場合は例えばパワーコードの2弦だけ押さえたものを別チャンネルで録って、その上にテンション部分を2本重ねてワンコードを鳴らすんですね。

──なぜそのような録り方をされるのですか?

WEST GROUND そうすることによってテンション感をフェーダーで調整できるんですよ。普通だとそのときの弾き方によって下は聴こえるけど上が聴こえなかったりとかしますけど、分けておくとテンション的に聴かせたいところがあれば、そこの音量を上げればいいだけなので。だからサビでエモさがほしくなったらそこを上げたり。

西沢 なるほどー。

WEST GROUND なので、おのずとギターの本数が増えていくんです。僕はこれまで音を面で聴かせる感覚でやってきたので、空いてる空間があるのが嫌なんですよね。どこか空いてる場所があったらそこにアルペジオのギターを重ねて、サイドにカッティングのギターを入れたりとかして、とりあえず埋めてしまうという(笑)。

──それは音圧もすごくなりますよね(笑)。

西沢 だから、たまにライブでチャンネル別で音を出したりすると「えっ?こんな音あったっけ?」みたいな音が出てくるんですよ(笑)。でもギターの和音を一音一音で捉えているっていうのはすごく面白いですね。

WEST GROUND たぶん僕が元々クラシックをやってたからかもしれないですね。僕は単音楽器のトランペットをやってたんです。トランペットは例えば4人いたら、4人がそれぞれ単音を吹いてみんなで和声を出す感じなので。

──なるほど。それはわかりやすいです。

WEST GROUND だから僕、実はギター弾けないんですよ。基本はMIDIで打ち込んでるので、たまにギタリストに「これかなり難しいですよ」って言われるんですけど、そのままやってもらいますね(笑)。ものによっては一音一音を単音で分けて録って、それを繋いだりしますからね。

西沢 なんかそういう曲たくさんありますよね。「Break your fate」のリフも本当はタッピングで弾くようなフレーズなんですけど、難し過ぎますから。あれも単音で?

1stアルバム『Break your fate』(2017.03.15)
M-1「Break your fate」収録
レビューはこちら

WEST GROUND あれはギタリストの人が超頑張って練習してくれて、自分でライブで弾けるようにしてたね。「それ単音で録っていいよ」って言ったんだけど、「いや、やらしてください!」みたいな感じで。

西沢 かっこいい!うれしいですね!

この記事を書いた人