REPORT
2026.08.18
7月11日、幕張メッセにて“Animelo Summer Live 2026 -Messenger-”(以下、アニサマ2026)のDAY2が開催。毎年夏の恒例となったアニソンフェスの2日目は、直近放送の人気アニメの楽曲も多数披露されるなど、出演した各アーティストが骨太のパフォーマンスを展開。そして最後は“アニソン界のエース”が堂々と締め括り、その姿と歌声が観客の心を震わせてくれた。
TEXT BY 須永兼次
まずは本編前に、オープニングアクトとしてバーチャルライバーの透がパフォーマンス。挨拶もそこそこに彼女が歌い始めたのは、supercell「君の知らない物語」のカバー。原曲をリスペクトするような歌い回しも交えつつ、魅力的な透明感ある歌声で観客の心を徐々に引き込んでいく。さらに歌うにつれて感情はどんどん膨れ上がり、とりわけ切ないDメロでの歌声は実に印象的なものに。アッパーチューンを見事に“聴かせる”形で届け、ライブ本編前の会場を盛り上げてくれた。
そして、この日もラインナップを紹介するOP映像が上映されると、場内に流れ始めたのはTVアニメ『幼女戦記』ターニャ・デグレチャフ(CV.悠木 碧)の観客への“演説”ボイス。その最後に曲名が告げられた「JINGO JUNGLE」が、DAY2の幕開けを飾るナンバーだ。そしてステージにはこの曲を歌うMYTH & ROIDに加え佐々木李子も登場し、スペシャルコラボに。冒頭からKIHOW(Vo.)がすごみある歌声を響かせれば、佐々木がどこか哀しみもたたえた歌声を響かせ、1曲を多面的に聴かせていく。また、Tom-H@ck(Gt.)も跳ねたり拳を振り上げるなどして観客を煽り、3人がそれぞれの全力を通じて会場全体をアニサマの、そしてこの曲の世界に引きずり込んでくれた。
そして佐々木がステージを降り、MYTH & ROIDとしての出番は「NOX LUX」からスタート。この曲でもダークなサウンドにすごみを上乗せした歌声で観客を引き込んでいくと、2コーラス目の序盤にはその観客からクラップが。それを受けてKIHOWが言葉で「ありがとう」と感謝をおくると、その感謝を歌声でも届けていくかのような迫力あるボーカルワークを展開。かと思えば落ちサビにはあどけなささえも覗く多彩な表現を通じて、聴く者の心を完全にホールドする。さらに続く「Ender Ember」ではよりイノセントさのある歌声からスタートしつつも、歌声にはやはり徐々にすごみが。ヘビーなサウンドをもつ楽曲を通じて、さらに自分たちの世界にオーディエンスを飲み込んでいった。
こうして3曲歌ってからのMCでは「8年ぶりにアニサマを燃やしに帰ってきました(KIHOW)」と宣言すると、ラストナンバー「Why? RED induction」へ。さらにハードかつヘビーなナンバーが始まり、サビではメインスクリーンに映し出されたステージ映像の周辺部分が、その言葉通り炎に包まれる。また、そうして“燃え盛って”いたのはKIHOWの内心もだったようで、1サビではマイクスタンドを蹴り倒したりしながら荒々しい感情のうねりを歌声以外でもみせていく。さらに2サビ後に一度倒れ込むと、Dメロを歌いながら徐々に起き上がって大サビへ……という、一瞬も目を離せない圧巻の表現で視線を奪い、久々のアニサマに鮮烈すぎる印象を残していった。
その空気を一気にポップなものに変えたのが、アニサマ初出場となるイケメン役者育成ゲーム『A3!』からの選抜メンバーたち。まずは物語の舞台となる劇団・MANKAIカンパニーの4つの演劇ユニットのリーダー4人・酒井広大(佐久間咲也役)、江口拓也(皇 天馬役)、沢城千春(摂津万里役)、田丸篤志(月岡 紬役)によるゲーム主題歌「MANKAI☆開花宣言」が“開演”を告げる。途中、江口が振付にとらわれず自身が位置取る上手側の観客とコミュニケーションを取ったり、間奏では沢城の先導により場内全体でのクラップが行われるなど、パフォーマンスと同時に心を巻き込んでいったことも作用して大サビ最後には大きな“MANKAI!”のコールが響き渡っていく。
曲明けには土岐隼一(瑠璃川 幸役)と山谷祥生(向坂 椋役)がトロッコに乗って登場し、「Amazing happy days」を歌唱。この季節にピッタリの楽曲での、爽やかで甘い歌声と煌めくパフォーマンスで観客を釘付けにすれば、赤澤 燈(三好一成役)と廣瀬大介(斑鳩三角役)による「渾沌オーライ!」へと続いてメドレーを形成。サビでは左右対称のダンスを跳ね方やその高さに至るまでピッタリ揃えて魅せ、夏組4人によるメドレーを締め括った。
そしてメインステージに8人が勢揃いすると、最後は夏組の「夏って☆パリパリ!」を、リーダーズも参加するこの日だけの特別な形での披露へ。夏ド真ん中のパーティーチューンで、楽曲冒頭から場内は凄まじい盛り上がりぶり。1サビ後には、披露前に予告とレクチャーの行われた“夏ってA・NI・SA・MA!”のアレンジコールも交えたコーレスも行われていき、楽しくてアツくてしょうがない!という空気のなか、この日のA3!は“終演”を迎えたのだった。
続いて登場した小倉 唯は、まずは初披露となる最新ナンバー「Q.E.D.」で出番をスタート。持ち前の愛らしい歌声で聴かせ、整理されたダンスパフォーマンスでみせていく。特に、力を込めすぎず流れるようでありながら、メリハリもついたダンスの精度の高さは舌を巻くもので、しかも初披露の新曲でそれをみせているというからさらに驚きだ。加えて、ラップ部分を筆頭に盛り込まれた、今の彼女ならではの大人さもある小悪魔感もたまらなく魅力的だったように思う。
歌い終わって、小倉は360°ぐるりと自分を囲んだピンクの光の海に嬉しそうな表情を覗かせると、MC明けに歌唱したのはアニメ放送10周年を迎えるTVアニメ『ViVid Strike!』のOPテーマ「Future Strike」。客席のペンライトの色が一気に赤に染まり返ると、頭サビを歌ってから小倉も跳ねて拳を振り上げながら客席へとマイクを向け、オーディエンスを巻き込むことも意識したステージングを展開。それを、シンセストリングスが映えるシリアスなナンバーにマッチする、華麗なパフォーマンスと共にみせて場内のボルテージを上げると、最後に披露したのは「Baby Sweet Berry Love」。今度は歌声にとびきり甘さを乗せて、まったく違うアングルからオーディエンスのボルテージを爆上げしてしまう。サービス映像へのカメラアピールも含めて、愛らしさMAXのステージで会場全体の誰もがとりこにされたところで、小倉はソロの出番を終えた。
そこに「Palette Days」と共に、爽やかな空気を吹き込ませるように登場したのが、ソロ初アニサマのステージを踏む佐々木李子。晴れやかなスローバラードを伸びやかに歌い、場内を多幸感で満たしていく。サビの最高音など音域の非常に高い部分もあるものの苦しそうに張り上げることはなく、最後は腕振りを通じて優しい一体感をもたらし、そのまま「Windshifter」へ。今度は爽快感の強い楽曲に乗せて、イントロ中「まだまだ盛り上がっていこう!」と呼びかけたりしつつ、アッパーチューンならではの盛り上がりと共に気持ち良さそうに歌声を響かせていった。
こうしてまずメドレー形式で2曲歌った佐々木は、長年抱いてきたアニサマへの憧れを熱っぽく語り、「アニメやアニソンを愛してくださっている皆さんと一緒に、この日だけの時間をみんなで楽しめていることが本当に嬉しい」と喜びを言葉にする。そんな言葉に続いて、もう1曲歌唱を宣言したのは、「Majestic Catastrophe」。ゴシックかつダークなロックナンバーで会場を赤に染めると、ときおり希望へと辿り着くまでに生まれる哀しみも滲ませながらパワフルかつ圧のある歌声を繰り出していき、3曲それぞれ異なる魅力を発揮した充実のアクトを締め括った。
その空気を、キュートなポップソング「We Can Do!!」でガラリと変えてみせたのが石原夏織。たまらなく瑞々しい歌声と楽曲にマッチするキュートさを盛り込んだダンス、そして表情も含めたトータルパフォーマンスで大観衆を早速魅了する。2サビ明けにはクラップで一体感も生み出すと、もう1曲のキュートなナンバー「星眼鏡」ではダンサーとのフォーメーションを駆使して、曲中自然と360°を向けるこの会場ならではのパフォーマンスを展開。2サビ明けにもダンサーと息の合ったダンスを繰り広げて、ファニーさもチラリと滲ませつつ魅せていく。また透明感ある歌声には確固たる軸のようなものが存在し、それが作用して1つ1つの歌唱表現が的確な形で届いていくのも、改めて見逃してはならないポイントだったように思う。
曲明けには3年ぶりの出場となったアニサマのステージに立てる喜びと感謝を言葉にすると、「私の想いを込めて歌います」の言葉に続けて、ソロの出番ラスト曲として「Gift」をスタート。ちょっぴり切ないミドルナンバーと彼女の歌声のもつ瑞々しさが結びつくと、そのノビの良さも相まって、自然とキュンとさせてくれる1曲になっていく。さらにはこの曲にマッチした麗しくしとやかな身振りも相まって、どんどん胸にぐっとくる楽曲に。そうして最後はしっかり聴かせる1曲を作り上げて、石原はソロのステージを終えたのだった。
SHARE