2026年5月16日、東京・Toyosu PITにて開催されたKOTOKOの全国ツアー“KOTOKO LIVE TOUR 喜怒哀楽 ~Fun Spring~”東京公演。KOTOKOの代名詞の1つである電波ソングを中心に終始楽しく、かつ相変わらずタフな構成となったDAY1だったが、総集編であるDAY2はこれまでの感情を総合したベスト盤的構成である一方で、今回のツアーのコンセプトである喜怒哀楽が行き来する、やはりこれまでにはないステージとなった。キャリア20年以上を重ねるなかでチャレンジを続けるシーン随一の歌姫が、この日見せた新たな景色とはなんだったのか。DAY1のレポートと合わせて衝撃的な1日の模様を振り返っていこう。
★DAY1のレポートはこちら
https://www.lisani.jp/0000311806/?show_more=1
2025年7月よりスタートしたKOTOKOの全国ツアー“KOTOKO LIVE TOUR 喜怒哀楽”。数多のディスコグラフィを喜怒哀楽の感情に分けて四季と重ね合わせて、“Joyful Summer”“Anger Autumn”“Sad Winter”“Fun Spring”という4つのブロックで構成し、1年かけてサーキットするという新機軸のツアーとなった。今年4月からはその最終ブロックとなる“Fun Spring”が開催、電波ソングなど”楽しい”ナンバーを詰め合わせて届けてきた。そのクライマックスとなる名古屋、東京、大阪は“Fun Spring”に加えて、スペシャルステージとして“喜怒哀楽”ツアーの総集編的なセットの2本だてで届ける内容になっており、特にこの日の東京公演ではToyosu PITを会場に、1日でその2本をパフォーマンスするという、他公演よりもタフなタイムスケジュールとなっていた。
東京のDAY1はおよそ2時間弱のセット。そこからDAY1とDAY2のインターバルがおよそ90分という、通常の昼夜公演のインターバルとしてもそこそこ短いタイム感。DAY1の公演も実にタフなセットを22曲パフォーマンスした後にDAY2が間もなく始まるということで、総集編とはどんなセットになるのか。満員の観客が詰めかけていたフロアは、まだDAY1の熱が冷めやらぬといった様相を呈していた。
定刻どおり開演を迎えると、鐘の音や雷鳴、ガラスが割れる音などのSEが次々とサンプリングされていく。そんな、どこか不穏にも感じられる空気のなか八木一美(ds)、大島信彦(g)、わっち(b)、そしてKOTOKOがステージに登場。そして次の瞬間、KOTOKOによる「Joy!! Happy Birthday!!」の歌声によってその空気がガラッと変わる。“喜怒哀楽”ツアーの総集編、その冒頭を飾るのは「Thank you Birthday!!」。ツアー最初のブロック“Joyful Summer”でも聴かれた、まさに喜びに満ちたロックナンバーだ。エネルギッシュなバンドサウンドのなか、笑顔いっぱいのKOTOKOがパワフルかつキラキラした歌唱を響かせる。会場の空気を変え、一気に引き込むその歌声は、この日二度目のステージでもやはり健在だ。テンションの高いロックサウンドで駆け抜けたかと思えば、そのエンディングの余韻のなかでキラキラとしたSEがフロアを包み込む。それが何の曲か気づいている観客は大きな歓声をあげた。そしてKOTOKOが「being」の最初のフレーズを歌えば、その歓声は更なる音量となって響きわたった。実に感動的な、かつ“Joyful”な光景のなか、KOTOKOは実に伸びやかな歌声を響かせる。特にサビの最後のロングトーンは、先ほどまでアグレッシブなステージを終えたものとは思えないほど。その歌声にうっとりしながら曲がエンディングを迎えると、バンドは一瞬のブレイクの後、再びアグレッシブなサウンドを聴かせる。「みんなと会えて幸せです!」とKOTOKOが挨拶しながら披露したのは、またしても名曲「bumpy-Jumpy!」だ。これもまた夏の曲……という感慨に浸る間もなく、もはやライブのクライマックスかと思うような盛り上がりだ。最後はお馴染みの“We are feeling bumpy-Jumpy!”のシンガロングからKOTOKOも「もっとちょうだい!」と煽る、とてつもないテンションのなかでエンディングを迎えた。奇しくも「Thank you Birthday!!」と「bumpy-Jumpy!」はいずれも盟友・中沢伴行との楽曲だが、彼とKOTOKOのタッグらしいロッキンで輝かしい喜びに満ちたライブの幕開けとなった。
最初のMCでは元気に挨拶した後、DAY2が「(昨年7月からスタートした“喜怒哀楽”ツアーの)ぎゅっっといいとこどりで、絞って絞って絞って濃いい汁が出た、そんな濃縮タイプの公演になっています!」と説明。そして「今日初の人もそうでない人も思いっきり楽しんで帰ってください!」と声をあげると、バンドは一気に不穏でヘビーな音を鳴らす。次のブロック、昨年秋に行われた“Anger Autumn”の幕開けだ。先ほどとは打って変わって血のように真っ赤に染まったステージ上で、重低音のなか披露されたのは「リアル鬼ごっこ」。ここでのKOTOKOの歌声は怒りに任せた感情を聴かせる、まるで何か憑依したかのような恐ろしさすら感じさせる。そこから間を置かずに披露されたのは「Suppuration-core-」。先ほどまでのステージ真ん中で存在感を見せていたKOTOKOがわっちと共にステージ両サイドへと躍り出る。ここでも大島のギターは変わらずヘビーである一方で、八木のドラムを中心としたビートは切れ味抜群。こちらも怒りを想起させる危ういアグレッションが聴かれた。そして「Collective」では「お前らいくぞー!」とドスの効いたKOTOKOのシャウトも聴かれるなど“怒”のメーターはさらに振り切れ、八木のキックも含めて強烈な重爆音を響かせる。そんなヘビーな“Anger Autumn”に圧倒されていると、そこからブロックは続く“Sad Winter”へ。物悲しいイントロをたっぷり聴かせるバージョン「agony」では、先ほどまでのヘビネスが徐々にメロディアスに転じていくグラデーションのような美しさを見せる。そしてKOTOKOのボーカルもまたアグレッシブさも覗かせつつ全体的にはエモーションを強く感じさせるもので、凛とした美しさがある。そこからグッとテンポを落とした「冬の雫」では“哀”の歌唱に磨きがかかる。特にエンディングで聴かせたファルセットを含む歌声は絶品で、冬を感じさせる情感溢れるパフォーマンスは総集編でも聴かせるべき楽曲だと確信させる。そしてこのブロック最後に披露されたのは「ささくれ」。タンバリンを手にしたKOTOKOによる、ロッキンだが切ない歌唱が冴え渡る。サウンドのアプローチも様々ながら、一方でKOTOKOの歌唱の豊かさと奥深さを存分に堪能できるブロックとなった。
“喜怒哀”とここまで続いたあとは現在のツアーのテーマでもある“楽”へ。まず「森のくまさん」をモチーフにしたSEが流れ、クラシック「恋愛CHU!」で電波ソングのご挨拶。ここで観客もピンクのペンライトを一気に点灯して、電波かつ楽しい“Fun Spring”を演出する。そして続くMCでは「新曲もやっちゃおうかな?みんなついてこれるかな~?」と言って「電波的妄想少女Q」がスタート。これまで数々の電波ソングを歌ってきたKOTOKOだが、それらを煮詰めてガチャガチャとしたブレイクコアにしたような爆発的電波ソングだ。これまで見聴きしてきた電波らしくもあり、しかし今のサウンドであることを強く印象づける、KOTOKOによる新たな時代の電波アンセムとなっている。「ついてこれた?次はもっとついてこられるのが大変な曲やっちゃいます」と宣言。またしても今年発表されたばかりの「恋姫†集合☆いっせーのっせ!」をドロップ。更にBPMも跳ね上がるハイパーな電波ソングで、なかでも速射砲のようなKOTOKOの早口ボーカルが終始聴かれるという、どうやって歌っているのかわからないくらい爆速ナンバーとなった。改めて令和の時代に、しかもKOTOKOのボーカルで新たな電波ソングが聴ける、良い時代になったものだ。電波な“Fun Spring”のブロック最後は、「みらくる☆みるきーうぇい」で、電波的なサウンドでありつつも爽やかなテイストで、ここまで色濃い電波ソングを味わった後にKOTOKOの清涼感たっぷりなボーカルを聴くことができる、このブロックをすっきりとしたエンディングとなった。
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