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REPORT

2025.07.30

多彩で豊かな表現が、次々と心揺さぶる充実のステージ!岡咲美保“Miho Okasaki 3rd LIVE 2025 ~ハートシェイキング~ supported by animelo”レポート

多彩で豊かな表現が、次々と心揺さぶる充実のステージ!岡咲美保“Miho Okasaki 3rd LIVE 2025 ~ハートシェイキング~ supported by animelo”レポート

2025年7月13日、声優・アーティストの岡咲美保が、KT Zepp Yokohamaにて“Miho Okasaki 3rd LIVE 2025 ~ハートシェイキング~ supported by animelo”を開催した。約1年ぶりのワンマンライブの場で岡咲は、さらに豊かさを増した表現力を存分に発揮。時にみほちゃんず(※岡咲のファンネーム)とともに楽しみ時に場内を圧倒し、様々な形で場内に集った観客の心を揺さぶってみせた。

TEXT BY 須永兼次
PHOTOGRAPHY BY 斉藤 明


のっけからフルスロットル!心を掴み、震わせ続けるステージ

まずは暗転した場内に岡咲美保の楽曲がザッピングするように流れ、デビュー曲「ハピネス」から岡咲の楽曲が交互に響いて音の面からこれまでの歩みを振り返っていく。そこに鼓動のSEが乗って“ハートシェイキング”というタイトルを連想させる空気に染まっていくなか岡咲がステージに入場。客席に背を向けて立ったところでその音が止まり、扇子を掲げるとステージが明転したところでぴょんと跳ねて客席側を向き、「アンビリバボーアンセム」からライブはスタート。冒頭部分でコールを浴びると、イントロ中に「3rdライブ!いきますよー!」とシャウトしスイッチオン。以降もコールを浴びまくりながら、笑顔を振りまきつつ元気いっぱいのステージを展開。1階席・2階席それぞれに視線を配りながら、2-Aメロでは歌詞に合わせて最前へ“接近”したりと、会場中を巻き込みながらハイテンションかつハッピーに心を掴んでボルテージを上げる。

そして「ありがとー!」の言葉に続いて、そのまま畳み掛けたのは「イエロー♡ビート」。事前にSNSでコールシートを配布していたこの曲、イントロ中に「もっと揺らしてくださーい!」とさらに煽ると、フロアからは大きな大きなコールが上がり、物理的に体にビリビリ響くものに。そんなこの曲では岡咲は歌声を甘めに振り、引き続きハイテンションに、なおかつキュートに盛り上げてゆく。サビではイエローのペンライトが左右に揺れて一体感も巻き起こしながら場内をさらに熱くすると、さらに「インフィニット」をシームレスに続けてロケットスタートを決めにくる。今度は疾走感あるナンバーに乗せて、真っ直ぐ空へと突き抜けていく歌声を響かせていく。2コーラス目ではまたも観客とのコミュニケーションを取りながらパフォーマンスすれば、Dメロでは歌声にぐっと力を込めて迫力さえも感じさせると、最後に大サビでは再び突き抜けきって好発進を決めたのだった。

3曲歌ってからのこの日最初のMCで、まずはいきなり凄まじい盛り上がりをみせたみほちゃんずへの感謝を述べると、過去2度のワンマンよりもボリュームが上がっているように感じられた声量やバッチリ揃ったコールに嬉しそうな表情をのぞかせる。

そして「みんな、今楽しい?」の問いかけを前振りにして、「JOY!!」からライブ再開。ダンサブルなナンバーに合わせて軽快にステップを踏みつつ、観客も縦ノリに乗せて「楽しい!」でハートを揺らしていく。Dメロ明けの間奏では、リズムに合わせて「JOY!JOY!」とコール煽りも行っていくと、「続いての曲は、みんな少年・少女の気持ちになって聴いていただきたいと思います!」の言葉に続いて最新ミニアルバム『SHAKING』から新曲「少女のすゝめ」を披露。イントロからクラップを誘導すると、軽快なステップを踏みながら歌唱し、ボーカルワークの機微も含めてしとやかさとかわいげの両面を発揮するステージングを展開。少々サウンドが静かめになる2-Aメロでは、声量を絞りつつ甘めの歌声を乗せてみたり、かと思えば2-Bメロではファルセットも交えて優しさや麗しさも付加したりと、1曲の中で表現を次々に切り替えながら魅了していく。ラストの「センキュー!」も、実に気持ちよさそうに締め括った。

この日2回目のMCでは、ライブバンド“美保のこと支え隊”の紹介を行うと、次の曲に向けて事前に持参を呼びかけていた“ときめくもの”を取り出すよう促して、「ときめきこれくしょん!」がスタート。みほちゃんずが掲げる“ときめくもの”に視線を落としながら、岡咲自身もときめきとハッピーいっぱいな曲を楽しんでいく。サビに頻出する「いっぱい」のフレーズではコールを呼びかけたり、Dメロ部分でもカッコ部分のコールを委ねたりと、まさに“みほちゃんずと一緒に”1曲を作ると、さらに甘々なナンバー「キボウノレシピ」へ。イントロからコールを浴びながら、ダンスを交えてキュートさで魅了し、「ドキドキさせる」というアングルから“ハートシェイキング”させていく。楽曲自体の持ち味である甘さを引き出す、岡咲ならではのラブリーさがぎゅっと詰め込まれたボーカルとパフォーマンスを堪能できる1曲となっていた。

そんなときめき・かわいいブロックを経て、そろそろライブは中盤戦。「次はちょっと、違った私を見せちゃおうかな?」と予告すると、『SHAKING』収録のボカロ楽曲カバー「ブリキノダンス」がスタート。冒頭のセリフひと言でガラリと空気を塗り替えると、ハイテンポなナンバーをキリッとした表情で、トゲや攻撃性を持たせたボーカルを繰り出し心に突き刺してくる。サビラストの歌い上げもわずかにがなりの成分の入った荒々しくざらついたもので、まさに言葉どおりに“違った私”をズバリ提示。その一方で2サビ明けの間奏では笑顔で跳ねながらくるりと回るなど、表現を楽しんでいるさまもにじませていた。そこから、さらにダークなダンスチューン「マボロシマジック」へ。特にサビではさらにボーカルに力をぐっと込め、心を揺さぶってくる。その力強さと、Bメロでのファルセットの不意の美しさが良好なコントラストを生み、2サビ明けの間奏では不敵な笑みを浮かべているようでもある。そういった佇まいも含めて、すごみを色濃く感じさせる1曲となった。そのままスタートした「ミラー」は、歌声に怒気がこもったようながなりを混ぜたり、かと思えばサビには少し悲しさも織り込んだりと、多彩かつ幅の広い表現が詰め込まれたものに。尻下がりになったサビ最後のロングトーンも、心情を絞り出して吐露しているさまの出た効果的な表現。それらによって心を震わされ引き出されたファンのコールも、再び場内を盛り上げていった。そうしてまた違った姿を見せた岡咲は一旦ステージを降り、少々ジャジーでメロウな雰囲気のバンドブリッジへ。

それに続いて流れてきたのは、岡咲美保がDJを務める架空のラジオ番組。そのなかでお悩み相談に答える形でトークを展開すると、再登場した岡咲がそれを導入に、トークの中にタイトルの登場した「絆創膏」をスポットライトに照らされながら歌い始める。冒頭のフレーズ後、胸の前で両手で握ったマイクをさらに大事に握りしめ、目もギュッとつぶって楽曲の世界に没入。切なさとそれを表すための美しさ、加えて感情があらわになる際の地声の強さ――そのいずれもが良好なバランスを保ったボーカルワークでまたも心を捉える。わかりやすく盛り上がる曲以外での、歌声を通じた感情表現の巧みさもまた、岡咲のたまらない魅力だと再認識させてくれた。歌唱後、雨音流れるなか岡咲は傘を手にし、「Rainy Smiley」をスタート。絆創膏を貼った心を癒やす光のように優しく歌い始め、会場の一人ひとりの心にも寄り添って、そこに染み入っていくかのような温かさもみせていく。ウィスパー調に歌った落ちサビ以降でも、下を向いた顔を上げさせてくれるようなメッセージを込めて、最後まで心に寄り添いながらもそのメッセージに説得力を与える芯の強さも伴わせ、微笑みとともに美しく歌い上げていった。続く「ココロトラベル」では、優しさはそのままに、スケール大きく広がりゆく歌声を響かせていく。引き続き客席の一人ひとりへと歌いかけるようにしながら、サビでは優しく拳を振り上げてフロアを先導。一方でDメロでの歌声には力強さを持たせて世界が開けていく感覚を想起させるなど、この曲でも岡咲の歌唱表現のバリエーションの多さを存分に感じることができた。

歌唱後にはまずラジオ番組の演出について「心を別の形でシェイキングしたかった」と語る岡咲。そこから続いた「絆創膏」「Rainy Smily」の2曲について「みんなの日々のやるせない想いを昇華・浄化できていたら」という狙いを明かすと、「ここからはみんなにゆっくり楽しんでほしい」と告げて観客を着席させ、「カナタボシ」を歌唱。その歌声は「ココロトラベル」に引き続き美しく、悲しさを越えた先の希望や晴れやかさをより強く感じるもの。落ちサビでも微笑みとともに温かさもプラスして、リリースから1年以上を経た今ならではの「カナタボシ」を表現してくれたように思う。そして「次の曲は今夜だけのスペシャルアレンジで……」と予告し、椅子に腰掛け歌い始めたのは「夜ふかしダンス」。ボサノヴァチックなアコースティックアレンジに乗せて、岡咲も肩の力を抜いて、ナチュラルな歌声で音にたゆたうように歌唱。客席からペンライトの光が消え、ステージ上もやや暗めのライティングがまさに真夜中のような空気を形作るなか、アレンジにマッチさせつつも情感は豊かな歌声で、この日ならではの表現を味あわせてくれた。

次のページ:揺らした心を繋いで、一緒に踏み出した新たな希望の一歩

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