ロックバンド・FLOWが主催するアニソンロックフェス“FLOW THE FESTIVAL”が2年目となる2025年もぴあアリーナMMにて開催された。熱いロック魂が宿るロックバンドたちの競演で魅せたDAY1は、歓声が止むことのない、ひたすらにクライマックスの空気に満ちたフェスとなった。
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TEXT BY えびさわなち
PHOTOGRAPHY BY SUGI、佐藤広理、郡元菜摘
2017年、ロックバンドとしては初の「アニメタイアップ楽曲だけ」のセットリストを組んだライブ“アニメ縛り”を開催して音楽シーンを驚愕させたFLOW。その後は“アニメ縛り”のセットリストを持って全国でツアーをし、南米でツアーをし、さらに2024年からは1年をかけた〈FLOW WORLD TOUR “ANIME SHIBARI 2024-2025”」で北米、欧州、南米、アジア各国を含む世界を巡った。そんな世界にアニソンを響かせるFLOWが、2024年に開催したアニソンロックフェス“FLOW THE FESTIVAL(以下FTF)”はJAM ProjectやCreepy Nuts、SPYAIRなど人気を博すアニメ主題歌を歌うアーティストが集結し、大会場を沸かせた。世界を探しても唯一無二であるそのフェスが2025年、第2回の開催を迎えた。2025年はFLOWと非常に深い縁を結ぶアニメ『交響詩篇エウレカセブン』のアニメ放送20周年でもある。そんな『交響詩篇エウレカセブン』をフィーチャーした“FLOW THE FESTIVAL 2025”は、『交響詩篇エウレカセブン』の主人公・レントンの声と共に幕を開けた!
DAY1のwelcome actは高梨康治&刃-yaiba-。世界中で劇伴を奏でる日本のヘビーロックバンドだ。そんな彼らのステージはアニメ『FAIRY TAIL』のテーマソングである「ドラゴンフォース」でスタートした。真っ黒な鍵盤のショルキーを手にした高梨が、バンドと共にナツたちを鼓舞し続けてきた荘厳な一曲を掻き鳴らし、フロアの観客は歓声をあげる。全6曲でフロアを熱くする高梨とバンドメンバーたち。続く「FAIRY TAILメインテーマ2014」は10年以上の長き時間を物語と共に歩んできた曲。魔法と魔導士ギルドが躍動する世界を、跳ねるフィドルの音色と重厚なビートで示すフォークロワ調な楽曲が、ファンタジックな物語を彷彿とさせた。三味線と和太鼓が加わった“完全版・刃-yaiba-”で響かせたのはアニメ『NARUTO-ナルト-』の劇伴の数々。その生演奏にオーディエンスは熱狂を見せる。『NARUTO-ナルト-』の物語を躍動させ続けてきた「動天」だ。ナルトたちが里を、野山を疾走する姿が浮かぶような疾風の和ロックに、フロアから掛け声が沸く。高梨が世界中でやってきたと言う「だってばよ!」コールで会場を一体にすると「NARUTOメインテーマ‘16」が響く。尺八の音色と「ハッ!」の声、ラウドに躍動する和太鼓でオーディエンスを盛り上げると、ラストは数々のバトルを彩ってきた「形勢逆転」。フェス本編開始前ながら轟くインストロメンタルが“FLOW THE FESTIVAL 2025”に火をつけたのだった。
「“FLOW THE FESTIVAL 2025”?……ニルヴァーシュが示している座標はここか」とアニメ『交響詩篇エウレカセブン』の主人公・レントンの声が響く会場。ニルヴァーシュに導かれ、FLOWの音楽フェスへと辿り着いた彼は自身の声が会場に響いていることに気づく。20年の時を経て、あの頃の大切な思いと共に会場を盛り上げるレントンの声がフェスの開幕を告げたのだった。
最初の登場は3ピースロックバンド・DOES。オールドスクールなロックンロールのSEに「Hey!」とコールが沸き、ステージに登場した3人。「道楽しようぜ!」。氏原ワタルが声をあげると、映画『銀魂 THE FINAL』挿入歌「道楽心情」が響き出す。ドラムの森田ケーサクが叩き出すダンサブルなビートに赤いライトの光に染まったフロアではオーディエンスも歌詞の通りの“バカ騒ぎ”で踊り出す。続いたのは映画『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』のEDテーマで哀愁滲むロックンロール「僕たちの季節」。さらにアニメ『銀魂゜』OPテーマ「KNOW KNOW KNOW」のアグレッシブなロックンビートと立て続けに放ってフロアを圧倒すると、オーディエンスも大きく腕を振り、ステージへと熱を返す。あまりの熱気にベースの赤塚ヤスシがずっこけるハプニングも。映画『銀魂THE FINAL』の挿入歌「ブレイクダウン」では「わっしょい!」と声があがったDOESのステージ。「サムライの曲(=アニメ『銀魂』関連曲)ばっかりやってるなあ」という氏原が、「忍者の曲と、宇宙の曲、やってもいいですか?」と言うと、TVアニメ『NARUTO-ナルト-疾風伝』のOPテーマ「紅蓮」が響く。「オイ! オイ!」と声が重なる疾風のロックンロールにペンライトの赤い光でフロアが染まり、TVアニメ『宇宙兄弟』のOPテーマ「夢見る世界」では一転、フロアが青く染まった。「みんなのロックを見せてくれ!」と叫んだ氏原が「修羅」のイントロを響かせると、ライブは再びサムライの曲へ。オーディエンスの「オイ! オイ!」のコールで観客の修羅を騒がせたあとには「バクチ・ダンサー」で畳みかけるステージ。ラウドなダンスビートに会場を揺らす観客の歌声も重なり、熱気は上昇の一途だ。ラストはTVアニメ『銀魂』のOPテーマでDOESの代名詞的楽曲「曇天」。ラウドに轟く魂のロックンロールがフェスの始まりを彩った。
DOESから熱気のバトンを受け取ったのは「from ARGONAVIS」プロジェクトのArgonavis。前年はArgonavisのボーカル・七星 蓮役の伊藤昌弘とGYROAXIAの旭 那由多役・小笠原 仁らが合体ユニット「from ARGONAVIS」でwelcome actを務めたが、今年はメインステージで、TVアニメ『アルゴナビス from BanG Dream!』のOP「星がはじまる」の煌めくロックンロールとアニメのOP映像でライブをスタート。ギターの五稜結人役の日向大輔にベース・的場航海役の前田誠二、キーボ-ド・桔梗凛生役の森嶋秀太にドラム・白石万浬役の橋本祥平で奏でる軽快なロックに会場が沸く。TAKEの提供曲でTVアニメ『カードファイト!!ヴァンガードoverDress』のED曲「Y」で伸びやかな歌を聴かせると、ここで小笠原が登場。TVアニメ『アルゴナビス from BanG Dream!』で蓮と那由多が一緒に歌った瞬間を蘇らせる「STARTING OVER」、そしてTAKE作曲のTVアニメ『カードファイト!! ヴァンガード will+Dress』のOPテーマ「BLACK&WHITE」で蓮と那由多の歌のコントラストを放つと、フロアでは赤と青の光が大きく揺れた。小笠原に続いてFLOWのKEIGOとKOHSHIが登場し、Argonavisと共に歌い上げたのはFLOWの「流星」。星を歌うArgonavisに同じくFLOWが歌う星の歌を共に聴かせると、会場の熱気も高まる。ラストはデビュー曲「ゴールライン」。「Yeah Yeah~♪Wow Wow~♪」と会場を歌声で一つにしたArgonavisは、自分たちの音楽の存在感を“FLOW THE FESTIVAL”に刻みつけた。
3番目にメインステージに登場したReoNa。アコースティックギターを手にし、つま弾くのは「ピルグリム」。TVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』に登場する劇中アーティスト「神崎エルザ」として歌唱を担当する彼女が、神崎エルザ starring ReoNaとして歌った曲だ。広がりのあるドラマティックなストリングスと共に伸びやかながら繊細に響く歌声が印象的な一曲。美しいピアノの旋律にも彩られたポジティブなナンバーで彼女のステージは幕を開けた。「ハロー、アンハッピー。ReoNaです」とReoNaが笑顔を見せる。妖しいチェンバロの音色が響き、リズムを刻むその音が誘ったのはTVアニメ『シャドーハウス』のEDテーマ「ないない」。森の奥にいるような、没入感ある一曲のあとにはTVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』のOPテーマ「ANIMA」が響いた。アニメ映像が流れる中、クラップが沸き、フロアではひと際明るいオレンジの輝きも揺れ、大いなる盛り上がりを見せる。続けてステージにFLOWのTAKEが呼び込まれ「次のお歌は楽しんだもん勝ち」とアニメTV『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインII』のOPテーマ「GG」を響かせる。ReoNa、TAKE、そしてバンドのツインギター合わせて4本で轟かせる層の厚いロックサウンドがラウドに空間を席捲した。熱風のリフがフロアに放たれ、ライブは「Debris」へ。ゲーム『SYNDUALITY Echo of Ada』のテーマソングを渾身の歌声で紡ぎあげたReoNa。ラストはピアノの旋律と柔らかなボーカルで丁寧に歌声を織り綴るように歌う「unknown」でそのステージを終えたのだった。
「“FLOW THE FESTIVAL”、かかって来いよ!」と叫ぶ山口 隆の、サンボマスターのライブは『劇場版BLEACH The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸』の主題歌「光のロック」で幕を開ける。伸びやかな歌に続いたのはTVアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のOPテーマ「はじまっていく たかまっていく」。ベースの近藤洋一とドラムの木内泰史が紡ぎ出すダンサブルなビートで踊るオーディエンスも“たかまっていく”。続いてTVアニメ『BLEACH』のEDテーマ「君を守って 君を愛して」。オーディエンスが一緒に歌うメロディアスなロックンロールを歌うと、「おめえのことを優勝させに来た」と言う山口。「全員優勝」コールが席捲する会場に「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」が鳴り出し、フロアは一つになる。「俺たちはいいライブなんてしに来てないんだ。何しに来たかって? 決まってんだろ。おめえに未来があるって言いに来たんだ。生まれてきてくれて、ありがとう!」とライブは「Future is Yours」へ。歓声とクラップが迎えた映画『しん次元! クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜』の主題歌を軽やかに歌い上げる山口に、観客は大きく腕を上げて応えた。「できっこないを やらなくちゃ」では再び“全員優勝”の挙手の中で、最強のロックンロールを奏でて会場を一体にし、最後は「青春狂騒曲」へ。TVアニメ『NARUTO-ナルト-』の5代目OPテーマでスクリーンに映し出される幼さ残るナルトたちの映像と共にアニメが放送されていた2003年へと思いを馳せながら歌声を重ねるオーディエンス。これぞロックフェスという熱気がフェスを彩った。
「どうも、スキマスイッチです!」と大橋卓弥が軽やかに声をあげ、ドラムの音が響いて「ユリーカ」からステージは始まった。常田真太郎のピアノが歌うように音を紡ぐ爽やかなナンバーはTVアニメ『宇宙兄弟』のOPテーマだ。フロアから歌声が沸き、体を揺らして音楽を堪能する観客たちは常田が静かに音を鳴らした瞬間、「おお!」と声をあげた。それは映画『ドラえもん のび太の恐竜2006』主題歌「ボクノート」。その瞬間まで、フロアは赤いペンライトの光が揺れていたが、それらは青一色に変わる。ドラえもんを思わせる青の光の中で歌いあげられる優しいメロディに、青い光は風がそよぐように揺れていた。続けて常田がピアノをつま弾くと今度は「おお…」とどよめきの声が。響きだしたのは「奏(かなで)」だ。2006年の誕生以降、何度となく主題歌にCMソング、テーマソングにカバーにと起用された名曲。TVアニメ『一週間フレンズ。』やTVアニメ『からかい上手の高木さん2』でもカバーされたナンバーを、一瞬も逃すまいと観客は聴き入っていた。そんな景色を見渡すスキマスイッチの2人は、ペンライトの色が一斉に変わることに驚きを隠せないでいた。ドラムがリズムを刻み、そこにギターが乗ると「おお!」と今度は歓声が沸く。TVアニメ『ハイキュー!!』のOPテーマの躍動感ある爽快なロックナンバー「Ah Yeah!!」にフロアはオレンジと赤に染まり、オーディエンスの影が跳ね、情感たっぷりに駆けるピアノの旋律から始まる「全力少年」では大合唱が生まれた。最後はTVアニメ『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』のOPテーマ「ゴールデンタイムラバー」。アニメ映像が楽曲をより熱く感じさせた。FLOWの同期アーティストはこうしてフェスを盛り上げたのだった。
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