REPORT
2025.05.09
事前に告知されていた本公演の情報のうち、特に注目を集めていたトピックと言えば、CRYCHICの出演だろう。まだアニメを観ていない人のために説明すると、CRYCHICは、MyGO!!!!!の燈、そよ、立希、そしてAve Mujicaのオブリビオニスこと祥子、モーティスこと睦が中学時代に結成していたバンド。彼女たちの出会いと別れこそが、TVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』およびTVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』で描かれた2バンドの物語の源流であり、“わかれ道”の起点となっていた。だからこそCRYCHICが本公演に登場することは、出演バンドが1組増える以上の大きな意味を持つ。
CRYCHICとして初めて観客の前に立ったDAY1公演では、メンバー全員が中学生時代の制服を着てステージに登場。彼女たちの結成のきっかけにもなった、燈と祥子の出会いを飾った歌「人間になりたいうた」では、拙いながらもマイクを両手で握りしめて懸命に歌う燈や、ややぶっきらぼうな表情でドラムを叩く立希など、結成当時の彼女たちの様子や関係性を再現したようなパフォーマンスを披露。続く「春日影」では、最初はやや自信なさげだった燈が、徐々にメンバーの奏でる音に身を委ねることで覚醒していき、最後は心を解放するように高らかと歌い上げることで、ライブの中でバンドとして結束していく様子を見事に表現していた。その後の幕間映像でTVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』#3のCRYCHICが初ライブを行った直後のシーンが映されたことからもわかる通り、この日のCRYCHICのライブは、まだバンドが空中分解する前の“過去のCRYCHIC”がステージ上で再現されていたのだ。
それに対してDAY2公演のCRYCHICは、メンバー各自が別々の道を歩み、その先でMyGO!!!!!とAve Mujicaという2バンドが誕生した後に実現した束の間の再合流、TVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』#7で描かれたCRYCHICのライブシーンを踏襲したものとなっていた。スクリーンにアニメの同シーンの映像が流されたのに続き、ステージに登場したのは、真っ白な衣装を着たCRYCHICの5人。YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」に出演した際と同じ格好だ。彼女たちが1曲目に演奏したのは「人間になりたいうたⅡ」。燈が祥子のことを思って書き直した歌詞だけでなく、燈の歌声と凛々しい佇まいもまた、DAY1公演での「人間になりたいうた」とはまったく異なる。MyGO!!!!!の結成を経て、迷いながらも前に進んできた燈の姿が、そこにある。そして「春日影」。これもDAY1公演とは違って、歌声は最初から豊かな感情に満ち溢れており、いつも表情の変化が希薄な睦を除き、他のメンバーも優しい笑顔を浮かべて演奏する。Dメロでメンバーたちの方を向いて1つ1つの言葉を大切に届け、“あぁ なんて美しいんだろう”と力強く歌い上げる燈。そしてラスサビ、会場にハクウンボクの花びらが降り注ぎ、温かな春の景色が感動を誘う。過去のわだかまりを解消して、次へと進むためのステージ。これはきっとCRYCHICの卒業式なのだろう。5人は優しい光に抱きしめられながらステージを終えた。
SHARE