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INTERVIEW

2025.05.02

『「OVERLORD」10th Anniversary ULTIMATE SOUND ALBUM』リリース記念!主題歌の歴史を振り返るOxTとMYTH & ROIDによるスペシャル座談会が実現

『「OVERLORD」10th Anniversary ULTIMATE SOUND ALBUM』リリース記念!主題歌の歴史を振り返るOxTとMYTH & ROIDによるスペシャル座談会が実現

今や世界中でアニソンを響かせるOxTMYTH & ROID。両ユニットが結成初期から主題歌を担当し続けてきたのが世界で熱狂的に愛されるアニメ『オーバーロード』シリーズだ。丸山くがねによるライトノベルを原作とした本シリーズがTVアニメ放送開始から10周年を迎え、関連楽曲を一堂に集めた『「OVERLORD」10th Anniversary ULTIMATE SOUND ALBUM』がリリース。本作についてOxTとMYTH & ROIDが語り尽くす!

INTERVIEW & TEXT BYえびさわなち

アニメ『オーバーロード』と出会い、共に歩んできた10年間

――アニメ『オーバーロード』シリーズが10周年を迎えました。皆さんがこの物語の魅力だと思うのはどんなところですか?

オーイシマサヨシ 1つ大きいのは「俺TUEEE」系の最たる作品で、しかもただ俺強いだけで終わるのではなく、緩急がすごくあるところだと思っているんです。例えばアインズ様と中の人である鈴木 悟との緩急もそうですが、そういう部分があるからこそ「俺TUEEE」が映えていると思う場面がたくさんあって。それともう1つ挙げるとしたら世界観ですね。細かく色んなことが設定されていて奥深い。どれだけ広げてもその先がある地図のような世界の広がりを感じるので、そこもすごく魅力だなと思っています。

KIHOW アニメ『オーバーロード』を観ていて魅力的だなと感じるのは、ダークな世界観ですね。それがすごくかっこ良くて素敵だなと。そして、それと相反するようにアインズの中の鈴木 悟の人格には意外と柔らかい部分や、人間くさいところがあって。物語の中では戦闘やグロテスクさ、残虐性を感じるシーンがあるのですが、その時にアインズの内側のコミカルな感情が出ているところのギャップが楽しいなと思いながらいつも観ています。

Tom-H@ck 僕は作品の中での戦略的な感じに惹かれます。アインズ自体も、アインズに従う仲間たちもすごく頭が良い。あれだけ厚い原作本ではありますが、面白いなと感じながら読めるのはそこが魅力だからかなと思っています。

hotaru ストレートに一番強く感じるのは、鈴木 悟という視点が最初から今も変わらずに在り続けていることです。そういう引いた視点や、自分の意思では動いていないところに戸惑うようなコミカルな要素がこの物語の魅力の1つだと思っていて。その一方で、ゲームの中の現実として起きていることはものすごくシビアなんですよね。国が失われたり、人が命を落としたり。そうしたことが戦略的に、狡猾に行われているその残虐性も多くのファンが期待している部分だし、そうした残虐性の中身はどんどん新鮮なものにもなっている。そこがアップデートされていく感じが面白いといつも思っています。

――10年前に作られたOxTの「Clattanoia」、そしてMYTH & ROIDの「L.L.L.」。アニメ『オーバーロード』の初代OP、EDテーマを飾った曲の思い出を聞かせてください。まずは「Clattanoia」のお話から。

オーイシ 今、思い出したのですが、確か当時、Tom(-H@ck)くんと営業で幕張に、僕の車で一緒に行っていて、帰ってくる車内で「Clattanoia」の打ち合わせをしたんです。「どんな楽曲にしていこうか」と話して、OxTの最初の起爆剤となる楽曲だから気合いを入れて作りたいよねと色々と話しながら帰って。その時のエネルギーを持ったまま、その日の夜にバーッと楽曲を書き切った思い出があります。曲が生まれる瞬間のビッグバンみたいなものは今でも忘れられないです。

Tom-H@ck 懐かしいですね。「Clattanoia」については、今では絶対にできない楽曲だなと思っています。元々オーイシさんが作られてアレンジもある程度されていたのですが、その時のリフを当時の僕はまったく違うものに変えたんですね。今なら絶対にできないことですけど……。

オーイシ あはは(笑)。

Tom-H@ck でもあの時は「関係ねえ」ってそれをやったことが思い出深いです。良いのか悪いのかはわからないですが、斬新に変えたことが記憶にあります。

――今ではそうした「斬新に変える」ことはないのでしょうか?

Tom-H@ck ないですね。それができたのはオーイシさんのスタイルを当時の僕が完全に把握していなかったからだと思うんです。一概に言うのも恐縮ですが、作家やアーティストさんの中にはデモの段階でほぼ完成させてくる人と、デモからまったく変える人に分けられるかなと思っていて。オーイシさんの楽曲はデモの段階から完成度が高く、「変えなくてもいいでしょう」という形で出されるんです。なので今考えると「Clattanoia」はデモそのままでも良かったな、というレベルでした。

オーイシ フォローするわけではないですが、Tomくんがイントロを変えたことによって「『オーバーロード』の世界観はこうだよ」ということが冒頭からよりわかるようなものになったと思うんです。当時の僕が作ったデモはリズムがある感じのリフで、TomくんがOxTとしてアレンジし直したものは結構ラウドロック寄りな、轟く音が押し寄せるようなギターサウンドで聴かせる曲になっていたんです。それが「オーバーロード」のダークさや勢いみたいな部分を表現していたので、結果論ですが、すごく良い、世界中で愛される楽曲になったなと思っています。

――hotaruさんは作詞にあたって覚えていることはありますか?

hotaru サビで「エイエイエ」と言うところはオーイシさんからもらったデモで入っていて、「これはもう使うしかない」と思ったことを覚えています。完成した後もオーイシさんが歌いますし、この響きを生かすしかないなと。

――EDテーマである「L.L.L.」はいかがでしたか?

Tom-H@ck この10年でアニソン業界もかなり変わってきていて、当時は独特な、ある種純粋なるエネルギーが今よりもっとあったんです。ドキっとするような楽曲を89秒サイズに収めて、みんなを驚かせようという作家やアーティストの気概が入っている楽曲が多かった時代で。だから「L.L.L.」に関してもAメロからBメロに入っているウィスパーボイスやサビのハードな感じのミックス具合で、初めて聴いた人がドキッとするような展開を作ろうという意識は強かったと思いますね。

――KIHOW さんがMYTH & ROIDに加入する前の楽曲である「L.L.L.」、歌う際に感じることはありますか?

KIHOW 「L.L.L.」を歌う時にはMYTH & ROIDの原点にある“衝動”のようなものをいつも感じています。とても強くて真っ直ぐで、どこか危うさもあるような……。初めて聴いた時から今に至るまで、聴く人の心を揺さぶる力がとても強い楽曲だと思っています。今は自分の歌声でこの楽曲をライブで届けることで、MYTH & ROIDが変わらずに大切にしてきた“核”の部分を色違いで魅せられていたら嬉しいと思っています。

MYTH & ROID

次のページ:楽曲を通してアニメ『オーバーロード』を表現するための意識

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