INTERVIEW
2025.05.02
――アニメ『オーバーロード』関連楽曲を作る際に意識しているポイントを教えてください。
オーイシ 当時の音楽プロデューサーさんからは「外連味を大事にしてほしい」とよく言われていて。作中に登場する「オーバーロード」というゲームの世界に入って展開していく本作で、わざとらしいまでにそのゲーム世界を表現する音作りを大事にすべきということだと解釈し、そのへんは意識しながら曲を書いています。バロックっぽい音階や、急に4分の3拍子を入れるなどのギミックみたいなものはそんな「外連味」から着想したもの。今でもそうしたダークな雰囲気を作る時にも歌う時にも意識をしています。
Tom-H@ck 一言で言うとやはりファンタジックさですね。今、話に出た「外連味」にも繋がると思うのですが、“作られた世界”であることが伝わる表現や要素は全体的に散りばめているなと思っていますし、それを意識した制作になっています。
――hotaruさんは作詞するにあたっての工夫しているポイントはありますか?
hotaru OPテーマは作品の顔となるイメージをやり続けているので、同じテーマに向き合い続けているような感覚はあって。『オーバーロード』の面白さとして、アインズを取り巻く国や戦争の状況は変わっていきますが、鈴木 悟の状況だけが何も変わらず戸惑い続けているという点があると思うんです。なのでOPテーマに関してはあえて「同じでいい」という気持ちで書いています。これまで作詞した「Clattanoia」「GO CRY GO」「HOLLOW HUNGER」でも、その都度制作サイドから「こういうものを入れてほしい」というオーダーはありますが、6割7割くらいは言葉を変えながら同じテーマでやっていけるので、良いコンテンツだなと思っています。それもあって“幻想”と書いて“ゆめ”と読ませる箇所や“手をのばす”というフレーズはわざと何回も使っています。あとは繰り返し作っているからこそ技術的に落とし込めているものもあるんです。その1つが「Clattanoia」の制作の時に作品サイドからの要望として「英語を使って欲しい」というもので。「Clattanoia」は最初、Aメロやサビでは英語を使っていたのですが、僕の記憶だとBメロは全部日本語で書いて出していたんです。そうしたら「もっと英語を増やしてください」というバックがあって。そのやりとりの中で小難しい単語を使うことや、英単語を使うことによってアインズの威厳や高貴なイメージを表現したいのだと感じたんです。それからは英語や語彙のレベルを上げることは意識しています。
――KIHOWさんはアニメ『オーバーロード』の楽曲を歌う際に意識している特別なことはありますか?
KIHOW 本作は感情の振り幅が大きいのに加え、支配、忠誠など日常的にはなかなか触れられないような感情にも向き合う必要があります。MYTH & ROIDの音楽はTomさんとhotaruさんが作品と自分達の音楽のバランス感をしっかりとってくださっているので、レコーディングをする瞬間にはいただいたディレクションを第一に考えて歌いますが、歌う前の段階として作品の世界観を意識したり、その時メインとなるストーリーやキャラクターの心情を準備運動するような感覚で、自分の思う通りの道で感情がスムーズに通過できるかを確認しています。これは無理にやっていたわけではなく「そういえば普段家でこうしていたな……」と今思い出した感じですけど。あと本作に限らずですが、ストーリーやキャラクターの持つ感情の回路を真似するわけではなく、自分なりにリンクさせて歌うことは大切にしています。
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