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REPORT

2025.04.15

アツく、楽しく、ファンと思いっきり遊び尽くした一夜!「小林愛香 LIVE TOUR 2025“すきくらぶ”」ファイナル神奈川公演レポート

アツく、楽しく、ファンと思いっきり遊び尽くした一夜!「小林愛香 LIVE TOUR 2025“すきくらぶ”」ファイナル神奈川公演レポート

4月11日、歌手・声優の小林愛香が、神奈川・CLUB CITTA’にて「小林愛香 LIVE TOUR 2025 “すきくらぶ”」を開催。メジャーデビュー5周年を飾る本ツアーは、リリースの時系列を意識したかのような流れを感じるセットリストを通じて彼女の“これまで”の足跡をたどるアニバーサリー感を持ちながら、同時に“今”の魅力を存分に味わえるものに。ツアーファイナルにあたる神奈川公演も、ただ過去を懐古するだけでなく存分に今この瞬間を楽しめる、アツいアツいステージだった。

TEXT BY 須永兼次
PHOTOGRAPHY BY 中島たくみ

5周年ならでは!これまでの歩みを振り返るかのような前半戦

開演時間を迎えて場内が青の照明とオープニングSEの音に包まれるなか、まずはバンドメンバーが登場し位置につくと、飛行機がテイクオフするようなSEに続いて最新アルバムのリード曲「Lonely Flight」のイントロが流れ始める。そして小林が登場し「“すきくらぶ”ツアーファイナル、楽しんでいきましょー!」と呼びかけてライブは幕開け。微笑みと共に清涼感のある歌声を伸びやかに響かせていき、同時にBメロでは笑顔で拳を振り上げ盛り上がりを先導するなど、コミュニケーションも楽しみながら観客をライブのムードにいきなり没入させていく。
1曲歌って気持ち良さそうな満面の笑みを見せると、続く「NO LIFE CODE」では冒頭で「いくよっ!」とフロアにマイクを向けてコール部を委ねてスタート。イントロ中もマイクを向けながら、観客と一緒に跳ねてテンションを高めていく彼女の歌声は、この日もとにかくパワフル。サビではそこに開放感を上乗せして、たまらなく魅力的なものとして響き渡っていく。さらに歌詞に合わせて観客を指差したり、観客からのコールを受けて跳ねまくったりと、同時に身振り手振りを通じてコミュニケーションも。その結果、2曲目にしてクライマックスかと見紛うレベルの熱量を巻き起こしていた。

歌唱後には、開演前に会場周辺を見舞った突然の雷雨のなか足を運んだファンに感謝を述べ、「みんなでここをアツい会場にしていきましょう!」と呼びかけていく。メジャーデビュー5周年を迎えたことを改めて述べ祝福の声を浴びると、これまで多く歌ってきたアニメタイアップ曲について「そういう楽曲も、いっぱい皆さんと楽しめたら!」と語り、さっそくアニメ主題歌でもある2ndシングル「Tough Heart」へ。頭サビからの力強い歌声に、すぐさま観客のコールが呼び起こされる。この曲でも観客と視線を交わしながら楽しそうに、それでいてエネルギーに溢れたステージングを繰り広げ、ミドルバラード「空は誰かのものじゃない」へ。青のライティングやペンライトの光に包まれながら、微笑みと共に温かな歌声を、1人1人に届けていくかのように歌唱していく。サビでは歌声に少し力を込めて、壮大さも描写。スケール感と優しさを兼ね備えたボーカルワークもまた、彼女の魅力の1つだ。そうしてラストまで優しく歌い切ると、今度は「AMBITOUS GOAL」で場内は再びヒートアップ。そんなファンとの掛け合いを楽しみながら、小林はまたもパワフルかつ強い爽快感を伴わせた歌声をもって歌詞どおりこの会場をアツくし、最後はサッカーアニメであるタイアップになぞらえた恒例のシュートパフォーマンスで締め括った。

冒頭のMCで語ったとおりにアニメタイアップ曲を続け、さらに「NO LIFE CODE」からの4曲をほぼリリース時系列順に披露する形で、アーティストとしての歩みを振り返るようなステージを繰り広げてきた小林。ここではデビュー年がコロナ禍の始まりにあたってしまったことを振り返り、「こうやって皆さんと声を出して、笑顔で元気にライブをできてすごく嬉しい」と語っていた。

と、ここで最近自身で“歌ってみた動画”をリポストした「〆切り間に合わないのうた」を、「ちょっとやってみよっか!」と歌唱。披露中にはバンドメンバーの紹介を挟み、さらにはこの曲の歌詞を手掛けた佐伯ユウスケをゲストとして呼び込んで2人での歌唱へ。サビでは振付まで交えて、掛け合いながら楽しくみせていく。その後も和気あいあいとしたトークを繰り広げてから、「YARUSHIKANAI feat. 佐伯ユウスケ」をスタート。ミラーボールが輝くなか、小林が肩の力を抜いて甘めに歌えば、佐伯はゆるりとしながらもグルービーに歌唱。2番以降では佐伯がアドリブをふんだんに盛り込みつつ、小林も音源以上に表情豊かなフロウを披露。掛け合いも含めてこのゆるラップを存分に楽しみ、ラストはバッチリポーズまで決めてみせた。
そのまま佐伯はステージに残り、自身が編曲した「MI-RA-I miracle circle」にのせて自由にパフォーマンスを展開。一方小林は歌声にはキュートさを持たせつつ、振付の1つ1つにメリハリをつけてしっかり魅せていく。サビでは2人揃ってのダンスまで披露し、2サビ明けの間奏ではソロフレーズを演奏するバンドメンバーに2人が絡みに行く場面も。その最後には佐伯もキレキレのダンスを披露しフロアを沸かせると、楽曲終盤の恒例“無重力タイム”では歌唱前に観客からの声により決まった、川崎にちなんだ“ニュータンタンメンポーズ”で観客のペンライトがふわふわと上下。とにかく会場中のみんなで遊んで、楽しみ尽くす1曲となった。

佐伯が降壇すると、その雰囲気を「マコトピリオド」がガラリとシリアスに変える。涼やかに歌い出した小林の歌声には徐々に情感が乗せられていき、サビでは哀しみさえもたたえたものに。ピンと張り詰めた空気のなか聴かせ惹き込む、直前の“楽しさ”とはまた違った、アーティストとしての魅力を存分に発揮して観客の心を捉えていくと、続けて「だれも知らないんだ」を優しく温かに歌い始める。ここでも微笑みを浮かべつつも、1サビの前半では胸の内に去来する想いをきゅっと抱きしめるように歌ったかと思えば、後半では楽曲展開に合わせてそれを一気に爆発させてみせる。こうしてドラマチックな楽曲展開に沿った見せ方で見事にファンの心をぐっと引きつけると、楽曲中盤ではまたもクラップを呼び起こし一体感を醸成。ファルセットも効果的に交えて、美しく1曲を表現していった。

ここで、衣装のワンピースがデビューしてから今まで開催してきたライブのTシャツを繋ぎ合わせたものであることを明かし、「みんなと作ってきた思い出を、1つの形にしたかった」とその意図を語る小林。「これからもみんなとの思い出をこのワンピースに詰め込んでいけるように頑張りたい」と意気込むと、「色んな仲間を引き連れてきたな、って思ってて。皆さんも仲間なので、これからも旅を一緒に続けていってくれたらいいなと思っています!」と語り、そんな歌詞を持つアッパーチューン「Please! Please! Please!」からライブは後半戦へ。サビなどでジャンプを先導しつつ、ファンへの指差しや大サビ前でのコールの呼び込みなどを通じて、まだまだ一緒に旅を続ける“仲間”たちのさらなる高まりをもたらせば、その余韻残るなか始まった「Border Rain」では再びブルーの光に包まれながら優しくも芯のある歌声を場内いっぱいに響かせていく。それは染み入るような優しさを持ちながら、しかし確かに聴く者に力をくれる歌声だった。

次のページ:ファンとの大切な“遊び場”で、最後の最後まで完全燃焼!

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