INTERVIEW
2021.12.23
「青春」×「アカペラ」純度100%の最強ボイスエンタテインメント「アオペラ -aoppella!?-」。アカペラに魅了された2つの学校の高校生11名がアカペラコンテスト「アオペラ」で高みを目指すという音楽原作プロジェクトで、今年3月からスタートした。
オフィシャルYouTubeでは、オリジナル曲のみならず、J-POPカバーやボイスドラマを展開している。プロジェクト初となるカバーメドレーMVでは、私立奏ヶ坂中学高等学校アカペラ部「FYA’M’」がKing Gnuの「白日」、都立音和高校アカペラ部「リルハピ」がOfficial髭男dismの「Pretender」を歌唱し、現在455万回再生を記録。
アニメ/音楽ファンの間にアオペラ旋風が巻き起こっているなか、2022年2月10日(木)には3rdCDがリリースされる。本作には、「リルハピ」、「FYA’M’」が年末に発表したウィンターソングをボイスドラマとともにパッケージ。 「FYA’M’」の「Let it snow, Let it snow, Let it snow」は、冬の季節に聴きたい大人びたムードのバラードだ。
今回は、「FYA’M’」のリードボーカル担当・是沢舞斗を演じる小野友樹に、アオペラに参加するまでの経緯、これまで明かされていなかったプロデューサーとの関係性やアカペラに対する想いなどを教えてもらった。
●「アオペラ -aoppella!?-」木村良平(鈴宮 壱役)インタビューはこちら
――「アオペラ」には、小野さんや木村(良平)さんが以前参加していたアカペラコンテンツ「ぺらぶ!a cappella love!?」(2011年)のスタッフが携わっているとのこと。今回「アオペラ」のお話をいただいたときはどのような心境だったのでしょうか。
小野友樹 まず関係性からお話しすると、「ぺらぶ!」及び「アオペラ」のプロデューサーである(横山)憲二郎さんは僕の大学の先輩なんです。大学時代に知り合ったわけではなくて、この業界に入ってから知り合っているんですが。ドラマCD「新説・源氏物語-藤壺の章-」(2010年)という作品の現場でご一緒したのが最初だったと思います。そのときに見初めてくれたようで、一緒にカラオケに行くようになり、仲良くなったんですよ。色々と話を聞いたら、プロデューサー自身も音楽活動をしていて、大学時代は僕も知ってるアカペラサークル部に所属されていたと。当時の音源も聴かせてもらったんですけど、本当に上手いんですよ!そのときから、「アカペラって本当に歌が上手い人にしかできないんだろうな」と思っていましたね……伴奏もないですし、音感がないと無理だし。歌力の究極系だなと。
――横山プロデューサーと知り合ったことで、アカペラの魅力と難しさを知ったんですね。
小野 そうですね。当時、憲二郎さんの自宅で歌を録音したこともあるんですよ。一緒に曲を作ったこともあって。そこからすべてが始まりました。「ぺらぶ!」のときはメインキャストでやっている皆さんにキャリア的に追いついていない時期だったので、サブキャラという立ち位置で阿部健太くんという役を演じさせていただいていたんですが、ついに「アオペラ」ではメインキャストとして、ライバル校の一員となって歌う役をいただけて本当に嬉しかったですね。感慨深いものがありました。
――小野さんが演じている是沢舞斗に対してはどのような印象がありましたか?器用貧乏キャラにシンパシーを感じるということをおっしゃっていましたが……。
小野 そうなんです。「器用貧乏」って中学生時代から意識していた言葉で。何がきっかけだったんだろう?多分誰かに「器用貧乏だよね」って言われたんだろうな。周りからは「何をやっても結構上手くできるよね」って印象を持たれがちだったんです。でも僕からすると、どの時代にも1人や2人、僕の上にすごい人がいて。
――小野さんと言えばサッカーでご活躍されていたことも有名ですが、例えばサッカーでも?
小野 まさに!全国大会にも出るしそこそこではあるけど、僕は控えの選手で、僕の正ポジションには同じユウキという名前のめちゃくちゃ上手い人がいたんですよ。彼はストレートで鹿島アントラーズに入ったんです。さらに遡ると小学生のときもそうでしたね。小3で英検3級を取っていて、習い事は5、6個していました。ある程度それぞれできていたんです。でもうちの小学校にハセガワくんという県で表彰されるレベルの“できる”子がいて。だから僕くらいだといわゆる神童の下という感じで、神童の上が近くにいるっていう。彼は有名大学の医学部に進学していましたね。ハイパーヨーヨーもプロライセンスを取得していますが、そのさらに上にプロライセンスをもらった人だけが受けられる審査を通っている人も知っていたので、何をやっても……上には上がいると感じてきた人生でした(苦笑)。
――十分すごいですが、小野さんの場合は進学校に通われていたので、なおさらそう感じることが多かったのかもしれませんね。
小野 そうかもしれません。勉強にしても当然僕は頑張ってたんですけど、僕の親友は静岡県で1位を取れるやつだったんですよ。ちなみに今、先生になってます。周りに常にすごいやつがいるんです。だからこそ舞斗の器用貧乏って「思い当たる節があるなぁ」と。苦労性なところも似てますね、貧乏くじを引きがちというか。人生ずっとそんな感じ(笑)。もちろんここに(声優として)いられているということは、本当に恵まれた出会いや巡り合わせがあった証拠なんですけど、その前提を抜きにした背景の人生観的には貧乏くじを引くことが多かったです。それがゆえに、応援してくれる方や信頼してくれる仲間が増えていったところはありますね。苦労はしておくもんだなと思いました。巡り合わせでしか困難にも出会えないですから。そんな人生の中で、やっと1つ誇れるものができたのが声優としての自分でした。器用貧乏からようやく1つ抜け出せた、自分の大事の力だなと思ってます。
――小野さんにしかできないような役ですね。
小野 そうなんです。「当て書きなのでは?」と思うほどです(笑)。
――アカペラを歌うことに対してはどのように考えられていたのでしょうか。
小野 先ほどの話とかぶるんですけど、やはりアカペラって難しいもので。音階を全部習得している前提の、雲の上の歌力の話という印象がありました。しかもほかの音を聴いても引っ張られないという大前提があって。その2つがないと、そもそも歌う資格がないものなのかなと。元々ピアノをやっていたこともあって、音感に関してはそこそこあるんですけど、引っ張られない、というのが難しくて。だから「果たしてできるのかな」という部分が大きかったですね。いわゆる楽器がない曲なので「え、どこで何?」って、最初は練習のしようがありませんでした(笑)。でも、遠からずみんなと歌う日がくるのかもしれないなと思って、最近はライブで音感を鍛えるように意識しています。ほとんどの場合、イヤモニには自分のパートの音を流しているんですけど、あえて僕は自分のパートにせずにハモりを当てることにしてるんです。そういうことをじわじわとやりながら、なんとかアカペラをできるように頑張っている最中ですね。どうすれば自分のパートを歌えるか、やっとわかってきた気がします。
――リスアニ!では木村良平さん(鈴宮 壱役)にもお話を伺いましたが、ライブに関しては「それはどうでしょう?」というニュアンスでおっしゃっていましたね。
小野 ああ、なるほど。良ちゃんの言ってることはわかりますね。というのも、アカペラって誰か1人でも違ったらアウトなもので、ライブで音源のように再現するのは難しいと思うんです。ただ、もしやるとなったら、と思って僕は一応練習しているような感じですね。
――「アオペラ」ではオリジナル楽曲のみならず、アカペラによるカバー楽曲もYouTubeにアップされています。最初はカバーからの発表でしたが、当時の収録のことは覚えていらっしゃいますか?
小野 もちろん!情景とともに覚えています。今言った通りアカペラって1人間違えるとおかしなことになってしまうので、それを意識するがあまり、最初の収録の頃は戸惑っていた記憶があります。最近横山プロデューサーに相談したんですよ、「俺、歌い方も含めてこれでいいの?」って。アカペラの歌い方って「濁りのない声できれいに」みたいなイメージがあって。あくまで自分の先入観であって、世のアカペラユニットさんの曲を聴いていると意外とそうでもないことに気づくんですけど「主線を歌っている人の楽器であれ」「コーラスのときは主線の歌声の邪魔をしないように」という意識がベースにあったんです。僕はリードボーカルという立ち位置とはいえコーラスに回ることも多いので、「メインの邪魔しないように個性を消した声で歌うべきなのかなぁ」と。
――横山プロデューサーはなんとおっしゃっていたんですか?
小野 「この企画は声優さんたちがキャラクターとしてアカペラに挑戦する、がコンセプトだからイメージ通りのアカペラをしなくて大丈夫だよ」って言ってくれて。それで迷いがなくなって、「舞斗として歌っていいんだ」って。
――それは今回の新曲のレコーディング前の出来事だったんでしょうか?
小野 あとですね。というかレコーディング当日でした(笑)。横山プロデューサーと公園を散歩して、ベンチに座って。
――まさに青春……!歌っていくたびに意識も更新していきそうですね。
小野 ですね。次の曲を歌わせていただくときにはまた違った心持ちで臨めるかなと思っています。
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