INTERVIEW
2021.12.16
「青春」×「アカペラ」純度100%の最強ボイスエンタテインメント「アオペラ -aoppella!?-」(以下、アオペラ)。アカペラに魅了された2つの学校の高校生11名がアカペラコンテスト「アオペラ」で高みを目指すという音楽原作プロジェクトが、今年3月からスタート。
オフィシャルYouTubeでは、オリジナル曲のみならず、J-POPカバーやボイスドラマを展開。プロジェクト初となるMVでは、私立奏ヶ坂中学高等学校メンバーがKing Gnuの「白日」、都立音和高校のメンバーがOfficial髭男dismの「Pretender」を歌唱し、現在455万回再生を記録するなど、その注目度の高さは数字からも明らかである。
アニメ/音楽ファンの間にアオペラ旋風が巻き起こるなか、2022年2月10日(木)に3rdCD がリリースされる。本作に収録される都立音和高校のアカペラ部「リルハピ」が歌う「リルリルHappy!」を手がけたのは、アカペラコーラスグループ・RAG FAIRの引地 洋輔、土屋 礼央だ。
心地良いリズムとフィンガースナップに合わせて思わずスキップをしたくなるような、ウィンターソング「リルリルHappy!」。キラキラと輝きを灯すハーモニーは冬の街並みにもよく似合う。今回、都立組のアカペラ部部長兼バンドリーダー・鈴宮 壱役を演じる木村良平に、「アオペラ」に対する想いや、「リルリルHappy!」について話を聞いた。
●「アオペラ -aoppella!?-」小野友樹(是沢舞斗役)インタビューはこちら
――「アオペラ」は木村さんが以前参加していたアカペラコンテンツ「ぺらぶ! a cappella love!?」のプロデューサー・横山憲二郎さんらが立ち上げた新規コンテンツです。「アオペラ」のお話をいただいたときはどのようなお気持ちでしたか?
木村良平 なんというか……止まっていたんですよね、俺のなかで「ぺらぶ!」って。これまで色々なプロジェクトに参加させてもらってきて、ほとんどは「やり終えたな」という感覚があったんですけど、「ぺらぶ!」に関しては「止まっていた」という感覚が強くあったんです……。すごく不思議なことではあるんですけどね。企画としては別モノだけど、10年越しにやっと動くんだという気持ちがありました。
――木村さんの中にも「またやりたい」という想いがあったんでしょうか。
木村 単純に終わった気がしなかったんですよね。「アカペラ歌うんかい!」という気持ちは当時も今もありましたけど(笑)、企画としては「ついにきたか」と。
――10年越しの再会ですもんね。お話を伺っているだけでも胸が熱くなります。
木村 そう思ってくれた人が多かったようで。当時のことを覚えている方が「大好きだったからすごく嬉しいです」と。覚えてくれている方がたくさんいらっしゃったということにも驚きましたね。当時コンテンツ自体は知ってはいたけれど覚えていない人がいてもおかしくないなかで、「懐かしいです!」と言ってくれる方がいるのはすごいことだなと。
――しかも昨今、たくさんのコンテンツがありますもんね。
木村 そうなんですよね。
――横山プロデューサーとはそういった話もされたんでしょうか。
木村 再会するときはしていなかったですね。お話を先にいただいて「あの、あれですか!?」って。なんていうんですかね……最初にお話がきたときに「ようやくやれますよ」気分を受け取って、「待ってましたよ」気分を返して、それは言わなくても伝わるというか。正直、今「アカペラを歌う新規コンテンツをやります。木村さんどうですか?」ってオファーをされたら、受けるか迷うと思います。やっぱりアカペラってめちゃくちゃ難しいものなので。でもその当時のプロデューサーと、当時の息吹を残して、新しくものを作りたいと言わたら「待ってました、やりましょう」と。お話を受けたあと「久しぶりですね」って話をしました。
――「アオペラ」の作品全体に対する印象はいかがでしたか。
木村 そういう意味では、以前よりも先を見据えている感じがしました。キャラクターもドラマも。なんとなく、「こういうメンバーが揃っていて、2つの高校があって」となると、色々な展開を期待しちゃうじゃないですか。未来がより見えるなって感じがしましたね。そこに「長いコンテンツにするぞ」という意気込みを感じます。
――「アオペラ」には「ぺらぶ!」でご一緒されたKENNさんや柿原徹也さん、前野智昭さん、小野友樹さんも名を連ねていますが、共演の方のお名前を見たときはいかがでしたか。
木村 うちのチーム(都立音和高校のアカペラ部「リルハピ」)は知ってるメンバーで、相手チーム(私立奏ヶ坂中学高等学校「FYA’M’」)にも歌が上手な人たちが揃っていて。でもそれくらいのほうが、良い曲も生まれるだろうなと。テクニカルな意味で、達者な人たちのほうが色々なことができるでしょうからね。
――鈴宮 壱についてはどのようなキャラクターとして受け止められました?
木村 不思議なキャラクターですよね。柔らかな、ある種何を考えているかわからないキャラクターとして台本から受け取っていたんですけど、もう少し快活なイメージを持って現場に臨んだんです。そしたら「もっと柔らかく、のんびり」って。それですり合わせていって、今の壱ができました。作品内で一番目立つキャラクターとしては珍しいタイプなんじゃないかなと。意外とこういうやつが周りを動かしていくのかもしれないな、と思いました。
――最初、あののんびりとした口調に驚きました。木村さんのキャリアの中でもここまでゆったりとした性格のキャラクターは珍しいんじゃないかなと。
木村 確かに。だからほかの収録よりも倍時間がかかるんですよ(笑)。ある意味少年マンガの主人公っぽくもあるなと。いわゆるTHE・少年漫画の主人公って周りからは何を考えているかわからないと思われているけど、核心を突いて、周りを引っ張るところがあると思うんです。そういうところが壱にもあるなぁと。
――そんな壱に共感する部分はありますか。
木村 共感する部分かぁ、なんだろうな。共感というか「そういうことなんだろうな」って思うのは「やりたいからやりたい」「好きだから好き」でいいんじゃない?っていうところ。考え方がシンプルですよね。自分に対しても、人に対しても。「君はどうしたいの?」って。
――それでいて、自分の意思はしっかり伝えますもんね。しかもものすごくストレートに。
木村 そうそう。そこに複雑さがない。実際壱のように立ち回れるかと言ったら難しいかもしれないけど、そうだよなと思うところはありますね。
――木村さん自身もストレートに相手に伝えるタイプですか?
木村 そうですね。僕もシンプルな人間なので気持ちはすごくわかります。そのほうがお互い楽だと思うんですけどね。
――嘘がないというか。では、壱を演じられるにあたって心がけていることはあるんでしょうか。
木村 特にないですね。実は、芝居をするときに何かを心がけるって感覚があまりよくわからないんです。色々な人のアプローチの仕方があると思うので、それに何かを言うつもりはないのですが、僕の場合は余計なことは意識しないようにしていて。それこそシンプルなんです(笑)。
――なるほど!(笑)では、歌に関してはどうでしょうか?壱はメインパートを担当されることも多いですが。
木村 多いですね。狙ってるわけじゃないんですけど、歌になると最初に現場に持っていった快活さやハツラツさがあるなという気がしました。普段の会話ではなかなか見えない彼のアカペラへの想いが歌から見える気がして、「見せてやろう」と思って歌っているわけではないんですけど、キャラを意識しながら歌うと自然とそうなったのかな。
――生き生きと、楽しそうに歌われている印象がありますね。
木村 それが伝わってるのなら嬉しいです。
――ご時世柄別録りだと思うんですけど、まるで一緒に歌っているかのような雰囲気もあるというか。
木村 今回、レコーディングは誰かと一緒に録ったことはないんです。でも優秀な制作チームなので一体感がありますよね。プロデューサーを始め、スタッフにもアカペラ経験者がいらっしゃって。制作チームが優秀なこともわかっているので、完成形に向かって歌えるというか。だから「一緒に歌ってるみたい」と思ってもらえているとしたら、それはスタッフのおかげですね。
――皆さんのチームワークがあってこそなんですね。これまでに色々な曲を歌われてきましたが、特に心に残っている曲はありますか?
木村 最初に発表したMVはすごくインパクトがありましたよね(「リルハピ」はOfficial髭男dismの「Pretender」を歌唱)。「天体観測」(BUMP OF CHICKEN)はド世代なので、「FYA’M’」がどう料理するのか興味がありました。完全に他校というか、お互いのチームのことはあまり知らないんです。定期的に公式YouTubeで配信している生配信番組「アオペラ -aoppella!?-放送部」のコーナーで初めて聴くこともあります。
――ライバルでもある「FYA’M’」の曲で、ほかにも印象的だった曲はありますか?
木村 最初のオリジナル曲「Think About U」がすごくかっこよかったなと。あまりにも自分の学校のカラーと違うので、そこが如実に出ていて、インパクトがありましたね。アカペラと一口で言ってもこれだけ違うんだと。
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