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2021.07.23

爆音で彩られたI’ve20年史! 伝説のバンド・Outerの、ヤンチャでパンクで電波な一夜限りの復活祭を徹底レポート!

爆音で彩られたI’ve20年史! 伝説のバンド・Outerの、ヤンチャでパンクで電波な一夜限りの復活祭を徹底レポート!

およそ20年の間、北海道を拠点にゲーム/アニメで数々の楽曲を生み出してきた音楽集団・I’ve。そのI’veが産声をあげた1999年頃、中心人物である高瀬一矢を中心に結成されたバンドがOuterである。のちにI’veの歌姫としてゲーム/アニメシーンで絶大な人気を誇ることとなるKOTOKOをボーカルに、I’veのデジタルミュージックと高瀬のルーツであるパンク/ハードコアサウンドが融合した楽曲は、I’ve王道のサウンドや電波ソングとはまた別のベクトルでカルト的な支持を獲得していた。

そんなOuterが2012年の遊結(=活動休止)以来9年ぶりに復活し、今年の6月にメジャーデビュー作となるアルバム『Rebellious Easter』をリリースしたことは、コアなI’veフリークを中心に衝撃的なニュースとして迎えられた。そして7月に入り、オリジナルメンバーを中心に行われた一夜限りの復活ライブが、この日行われた「Outer one-night stand GIG “Rebellious Easter”」なのである。これまでI’veのイベントやKOTOKOのワンマンなどで“乱入”的なステージを披露してきたOuterが、たった一度のフルセットのライブを行う――これもまた令和の時代に“ありえない”事件として多くのファンを驚かせた。そしてその狂乱のステージは、それ以上の衝撃をもって我々の眼前に展開されたのだった。

一夜限りのOuter復活を前に独特の緊張感が豊洲PITを包むなか、会場が暗転してまず耳に飛び込んできたのは耳を擘くようなノイズとビート、それらが一体となった轟音だ。そこから一瞬のブレイクのあと、硬質なビートのなかでギターを持った高瀬が「我々は、Outerーーーーだ!」と高らかに宣言し、「Synthetic Organism」とともにおよそ9年ぶりとなるOuterの復活祭が幕を開けた。ステージ上のメンバーには高瀬をはじめ、キーボードに中沢伴行、ギターに尾崎武士、そしてボーカルにKOTOKOとOuterのオリジナルメンバーが立つ。残念ながら体調不良で欠席となった板垣直基の代わりに田口智則がベースを、ドラムには八木一美と、KOTOKOのライブでもお馴染みのメンバーが脇を固める。全体的には圧倒されるほどの爆音でありながら八木が叩く硬いビートを中心にカチッと音がまとまっているあたり、さすがは20年選手といったところ。

しかしKOTOKOの吐き捨てるようなボーカル(およびFワード混じりのスレスレなリリック)をはじめとした、ステージを覆う衝動的なアティテュードは実にパンクで、紛れもなくOuterである。

不穏なアルペジオから始まるソニック・ユースのカバーだが、高瀬らしいビートのなかで尾崎の絶品カッティングが聴かれる「Dirty Boots」、オルタナテイストの「BARE BAND」とその攻勢は続く。そして続けざまにアッパーなビートと中沢のシンセリフが鳴った瞬間、観客は待っていましたとばかりに拳を突き上げる。そしてKOTOKOが「おまいら! キュンキュンしてんじゃねーぞ!」と過去のライブでも聴かれた伝説のパンチラインを絶叫。その圧巻の光景のなかで始まった「L.A.M -laze and meditation-」で、この日最初のピークが早くも訪れた。披露されたのは過去の名曲たちばかりという、これもまたOuterらしいと思わせるヤンチャでアグレッシブな前半戦となった。

「今日は、我々の復活祭によく来たな!」というKOTOKOのMCのあとは、ステージにKOTOKOと高瀬、田口、八木、そしてこちらもKOTOKOバンドのギターでお馴染みの大島信彦が加わり、彼が弾くイントロからダークな「omen」で、『Rebellious Easter』のセットが重々しく幕を開けた。序盤のヤンチャな爆音感から転じてズーンとしたヘビネスのなかで、KOTOKOの伸びやかなボーカルが聴かれる1曲のあとは、高瀬のリフが冴えわたる「Rebellious Easter」へと続く。こちらはCDで聴かれたものより生ドラムのビートをはじめとした肉感のあるサウンドが印象的なパフォーマンス。そんなマッチョな印象は直後の「EaRtHwOrM」でもさらに活き、生のOuterならではの魅力を存分に感じた。

そして、アルバムには未収録(NBCユニバーサルのオンラインショップ「あにばーさる」限定特典)の「Face of Fact -The Red Angel mix-」でもまたかっこいいアレンジを聴かせる。途中、高瀬のギターの弦が切れるというロックなハプニング(?)のあとは、中沢がステージに戻って「CRブラックラグーン3」のテーマ曲「Elimination」へ。ファストなロックサウンドと打ち込みが融合された実にOuterらしい1曲のあとは、TVアニメ『BLACK LAGOON』から「Red fraction-Transcendence mix-」と続く。MELLによるI’veサウンド、ひいては2000年代アニソンの絶対的なアンセムであるこの曲のOuterバージョンは、KOTOKOのボーカルもMELLに引けを取らないほどのアグレッションを聴かせ、ブレイクやダウンビートを駆使した中沢によるアレンジもフロアを熱くさせる。

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