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REPORT

2021.04.09

TVアニメ『アイドリッシュセブン Second BEAT!』の名シーンが蘇る!東京フィルハーモニー交響楽団が奏でた“アイドリッシュセブン オーケストラ -Second SYMPHONY-”横浜公演の模様をレポート!

TVアニメ『アイドリッシュセブン Second BEAT!』の名シーンが蘇る!東京フィルハーモニー交響楽団が奏でた“アイドリッシュセブン オーケストラ -Second SYMPHONY-”横浜公演の模様をレポート!

全15話を通して描かれた登場人物たちの豊かな感情や物語でファンを心から楽しませたTVアニメ『アイドリッシュセブン Second BEAT!』。2ndシーズンとなった本作は、TRIGGERと競い合った「ブラック・オア・ホワイト」でIDOLiSH7は見事に勝利し、人気と知名度があがっていくなかで、多くの苦悩に向き合い乗り越えながら絆を深めていくという感動的な物語だった。そんな彼らの物語を彩ってきたサウンドに、オーケストラの演奏で新たな息吹が注がれるのが“アイドリッシュセブン オーケストラ”だ。2020年に開催された1期公演を経て約1年半ぶりの開催となる今回は“-Second SYMPHONY-”と題し、『Second BEAT!』の名シーンを各地のオーケストラサウンドが紡ぎ振り返る内容に。ここでは東京フィルハーモニー交響楽団を迎え4月8日にパシフィコ横浜 国立大ホールで開催された横浜公演をレポートする。

※公演内容やセットリストがございます。

ピアノの旋律とストリングスで紡がれた美しいSEが流れる開演までの時間さえも「アイドリッシュセブン」の世界と会場とを繋ぐ。指揮者の登場に大きな拍手に包まれると、物語の幕開けを知らせる「BEYOND THE SHiNE」が響き出し、荘厳で壮大なフルオーケストラの躍動する音によってドキドキとした鼓動を呼び起こしながら“アイドリッシュセブン オーケストラ -Second SYMPHONY-”は華やかにスタートした。TVアニメ『アイドリッシュセブン Second BEAT!』でIDOLiSH7、TRIGGERとともに物語を牽引したRe:valeの「SILVER SKY」が重厚なビートで存在感を示すと、加藤達也氏が作曲及び今回のオーケストラ編曲を担当した劇伴音楽がメンバーそれぞれに起こった出来事を辿っていくように映像とともに鳴り響く。朝の目覚めのような爽快で優しい音で紡がれる「Colorful Days」が響くと、彼らの毎日を色彩感豊かに彩っていた楽曲に心が躍る。ゼロのマネージャーであり彼のライブの演出も手がけたHaw9こと九条鷹匡と小鳥遊紡との出会いのシーンとともにオーケストラが紡いだ「私の偶像」はHaw9が舞台を演出しているかのようにドラマチックで、“ステージ”という華やかな世界が照明とオーケストラサウンドによって見事に演出されていた。そう、今回もステージに大きなスクリーンが設置されており、『Second BEAT!』での様々なシーンをバックに“-Second SYMPHONY-”を楽しむことができるのだ。

劇伴が魅せるのは楽しい時間だけではなく、辛い選択を迫られたときの楽曲も。サックスの音とコーラスによるデュオがメインの「grow apart」、弦楽器の繊細な音色と管楽器の深みが心の機微を感じさせた「それぞれの夢」と、蘇るあの日の記憶。時にギターが、時には声が、彼らの毎日を彩っていたのだと改めて感じる。それはとても深みのある、人間の物語の音だった。

体調を崩した七瀬陸に代わり、和泉一織をセンターにしてIDOLiSH7が歌った「Perfection Gimmick」は一織のカラーである青がステージを照らし、リズミカルに響く管楽器と弦楽器の音とともに会場を熱くした。ピアノがつま弾く静かな音で始まる「想いの形」では、少しずつ露わになっていくIDOLiSH7の心の軋みを柔らかな音で感じさせた。ここで会場の雰囲気はガラリと一変。ジャジーなグルーヴで「dust box shoooot…!!」が鳴り出すと、アニメ第5話「突然の訪問者」で描かれたIDOLiSH7の寮で起こったドタバタ騒ぎを鮮明に思い起こさせてくれた。

続く「大切なものって」でコンサートは再び美しい旋律を奏でる。弦楽器と管楽器のハーモニーの美しさに耳を奪われるなか、スクリーンの物語はIDOLiSH7、TRIGGER、Re:valeの3グループでゼロアリーナのこけら落としを頑張っていこうという強い決意、逢坂壮五の苦悩の幕開けへと繋がっていく。そこに続くのは、和泉三月を苦しめ、六弥ナギをも苦悩させたファンからの非難の声にも感じる「自分の役割」。重々しい音を迫るように響かせるストリングスとピアノの生む旋律の中で不穏さを雄弁に語る管楽器の音。それは観客の心にも深く影を落としていく――物語を辿っていくだけでも胸の苦しくなる時間が蘇り、三月の涙に、ナギの苦しい胸中を想って、胸を痛め寄り添ってきたファンの心を揺さぶる。そんな苦しい時間を経た彼らが前を向くための力を手にしていくように、背中を支えるかのごとく大いなる力を感じさせた雄大な「The sky goes on forever」を経て、一織のIDOLiSH7への、何よりも陸への想いを感じさせるヴァイオリンとピアノの旋律のユニゾンが美しい「キミと叶えたい…」で照明が青から赤へと徐々に変化していく。そしてステージに響くのは、再び陸がセンターに立った「RESTART POiNTER」。歌うメンバーに合わせて照明の色も鮮やかに切り替わる。一織と陸なら青と赤、環と壮五は水色と紫、ナギと大和と三月は黄色と緑とオレンジと、ライブ感が高まる。ホーンの音が躍動し、ワクワクと鼓動が騒ぎ出す楽曲は観客の熱をヒートアップさせていった。

盛り上がりの前半から休憩を挟み、後半はRe:valeの百の苦悩の時間が幕を開けたのを告げるように「Dis one.」を不協和音で濁らせたような「What color is it?」からスタート。そもそもゼロの曲である「Dis one.」を、デビュー5周年を迎えたRe:valeがカバーすることを発端に始まった中傷行為。それがシリアスで緊張感ある弦楽器のシンフォニーとバンドの音とで轟かせた「Get Back My Song」へと繋がる。そしてここで、TRIGGERがブレることのない信念を感じさせた12話へと気持ちが飛ぶ。ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスが九条天、八乙女楽、十龍之介のメロディを紡いで、あのアカペラを再現したうえで、シンプルさと壮大さとを見事にミクスチャーしてフルオーケストラで蘇る珠玉チューン「Last Dimension」は感動を呼ぶ。

どんな困難にも負けないとばかりの強い想いが動き出す「Enjoy Night!」はこの楽曲がもつ躍動感を管楽器の跳ねる音を中心にコーラスも加えて音で堪能させた――が、ここで再び擦れ違うメンバーの心。妹を探す四葉環と彼女に出会ったことを言えずにいた壮五の行き違う心を、ストリングスの低音とティンパニの轟く音で紡ぐ「Lost Heart」で聴かせると、今度は陸と天、環と妹の九条理を引き裂く養父・鷹匡の冷徹な姿を彷彿とさせるコーラスワークを響かせた「氷の微笑」と、不穏さを滲ませる曲が続く。だがしかし、どんな困難が待ち受けていようとも7人の絆は強く、それを感じさせるハートフルな音で紡がれた「wanna BELiEVE」や、力強く生命力溢れるポジティブな音で聴かせた「どんな今日も、超えられる」でアイドルたちの芯の強さと未来を信じるパワーを感じさせ、「SILVER SKY」をマッシュアップした壮大な「Remember Me」では力を取り戻すRe:valeを感じさせ、大きな拍手が湧いた。

続くシャッフルユニットメドレーでは、Re:valeのライブの前座でIDOLiSH7とTRIGGERが歌った「フレフレ!青春賛歌」「LOVE&GAME」「男子タルモノ!~MATSURI~」、そして彼らがRe:valeを元気づけようとカバーした「激情」で、こけら落とし公演Day3の熱を躍動感とライブ感たっぷりに体験させた。

そしてRe:valeの公演の目玉であるゼロ楽曲のカバー「Dis one.」のアグレッシブなビートをオーケストラの全楽器が奏で、圧倒的なパワーを感じさせる。琴線に触れるメロディアスでドラマチックなRe:valeサウンドmeetsクラシックミュージックで彼らの伝説となり得るパフォーマンスは圧巻だった。そこからクラップの音に包まれて華やかに鳴り響いた「Take a chance」は、大団円を思わせるハッピーチューンで踊るような指揮に合せて躍る音に心も華やぐ。ラストはIDOLiSH7が歌うアニメOP主題歌「DiSCOVER THE FUTURE」。OP映像に合せて響く荘厳で軽快なオーケストラサウンドにコーラスが快活な声を重ね、オーディエンスを笑顔にしていく。会場を響くクラップ、そしてスクリーンに映し出されるこぼれるような笑顔のIDOLiSH7のメンバーたち。物語とともに鳴り続けた曲の最後には割れんばかりの拍手が起こり、本編は幕を閉じた。

音楽が物語と密接に繋がっている「アイドリッシュセブン」だからこそ、どの曲にもあのときの彼らや降りかかったいくつもの出来事が呼び覚まされる。そこにはどんな想いがあったのか。どんな想いで視聴者が寄り添ったのか――。1曲1曲が、彼らとファンとを結んでいく大切な楽曲なのだと改めて感じたオーケストラコンサートだった。

なお、今回の“-Second SYMPHONY-”は4月17日に仙台サンプラザホールでの公演を控えており、チケットは好評販売中。ぜひこの機会に“アイドリッシュセブン×オーケストラ”の珠玉のシンフォニーを楽しんでほしい。

PHOTOGRAPHY BY 山本哲也
TEXT BY えびさわなち

アイドリッシュセブン オーケストラ -Second SYMPHONY-
2021年4月8日(木)パシフィコ横浜 国立大ホール

<セットリスト>
M01. BEYOND THE SHiNE
M02. SILVER SKY
M03. Colorful Days
M04. 私の偶像
M05. grow apart/それぞれの夢
M06. Perfection Gimmick
M07. 想いの形/dust box shoooot…!!
M08. 大切なものって
M09. 自分の役割/The sky goes on forever
M10. キミと叶えたい…
M11. RESTART POiNTER
M12. What color is it?
M13. Get Back My Song
M14. Last Dimension
M15. Enjoy Night!
M16. Lost Heart
M17. 氷の微笑/wanna BELiEVE
M18. どんな今日も、超えられる
M19. Remember Me
M20. シャッフルユニットメドレー(フレフレ!青春賛歌/LOVE&GAME/男子タルモノ!~MATSURI~/激情)
M21. Dis one.
M22. Take a chance
M23. DiSCOVER THE FUTURE


●ライブ情報
アイドリッシュセブン オーケストラ -Second SYMPHONY-

大阪公演
会場:フェニーチェ堺
2021年3月6日(土)19:00開演
2021年3月7日(日)15:00開演

横浜公演
会場:パシフィコ横浜 国立大ホール
2021年4月8日(木)19:00開演
2021年4月9日(金)19:00開演

仙台公演
会場:仙台サンプラザホール
2021年4月17日(土)18:00開演
チケット発売中!ご購入は下記URLから
https://eplus.jp/idolish7-orchestra2/

©BNOI/アイナナ製作委員会

関連リンク

アイドリッシュセブン オーケストラ 公式サイト
https://www.idolish7-orchestra.com/

『アイドリッシュセブン』公式サイト
https://idolish7.com/

アニメ『アイドリッシュセブン』公式サイト
https://idolish7.com/aninana/

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