先輩たちの名曲カバー&ソロデビュー曲「桜舞い散る夜に」初披露! “近藤玲奈 1st LIVE~Listen~”レポート

今春に日本コロムビアからソロデビューする声優の近藤玲奈が、アーティストとして初のワンマンライブ“近藤玲奈 1st LIVE~Listen~”を、1月30日に東京・日本教育会館一ツ橋ホールで開催した。「アイドルマスター シャイニーカラーズ」の風野灯織や「八月のシンデレラナイン」の東雲 龍など、キャラクターとしてステージに立つ経験の多い彼女だが、アーティストとして単独公演を行うのはこれが初めて。ちょうど1月28日に22歳の誕生日を迎え、新たな気持ちとともに踏みしめたソロ活動の第一歩、その昼夜2公演のうち、昼公演のレポートをお届けする。

 

今回のライブは昼公演を“Pop Side”、夜公演を“Rock Side”と題し、それぞれのテーマに基づいたセットリストで構成。なおかつ、まだデビュー前で自身の持ち曲が少ないということもあり、所属レーベルである日本コロムビアの声優アーティストの楽曲カバーを中心に披露する、貴重な機会となった。なお、ライブ開始前には、日本コロムビアの井上哲也ディレクターが登壇。カバー曲は井上氏が制作・音源管理している楽曲のなかからセレクトした旨が説明された。

そして井上氏の呼び込みにより、まずは近藤の公式バックバンドであるリアジュボーンの3人――柴田 尚(Dr)、西川 響(Ba)、浅井 真(Gt)がステージに現れ、それぞれのポジションにつく。リアジュボーンと言えば竹達彩奈と悠木 碧によるユニット・petit miladyのバックバンドとして有名だが、内田 彩の楽曲「グロー」(2019年)で演奏を担当、本来なら2020年6月に開催されるはずだった日本コロムビア創立110周年イベント“コロちゃんフェス”でバックを務める予定だったこともあり、実は日本コロムビアとも関わりが深い。

客席の照明が落ち、リアジュボーンによるオーバーチュア的な演奏に導かれて近藤がステージ中央にスタンバイすると、いよいよライブがスタート。幕開けを飾ったのは、なんと.lady.(ドットレディ)のデビューシングル「Open Tuning」(2014年)のカバー! 文化放送のラジオ番組「A&G NEXT GENERATION Lady Go!!」で各曜日のパーソナリティを務めた5人の声優(上坂すみれ、小松未可子、大久保瑠美、高森奈津美、三上枝織)が歌ったこのナンバー。同番組のオープニングを飾っていただけに“はじまりの歌”として申し分ないし、しかも小松未可子と近藤は事務所(ヒラタオフィス)の先輩・後輩同士として知られる。その意味では色んな文脈が合致した、絶妙な選曲と言えるだろう。

白のトップス、デニム地のショートパンツに丈が長いシースルーのスカートを合わせた、爽やかなコーディネートに身を包んだ近藤は、かつて先輩が歌っていた楽曲を溌溂とした歌声で元気いっぱいに歌唱。右に左に指をさすかわいらしい振付もそのまま再現しており、客席もピンクのペンライトを振って彼女のパフォーマンスに応える。笑顔いっぱいで歌い終えた近藤は、大きな声で「みなさんこんにちはー!」と挨拶。この日はみかこし先輩からプレゼントされたピンクのマニキュアを塗ってきたこと、そして先輩から「思いっきり頑張ってきてね!」と励ましの言葉をもらったことを明かす。

近藤は「昼公演は“Pop Side”ということで、ポップでかわいらしい楽曲を中心に歌っていきたいと思います!」と宣言すると、次のブロックでは4曲を連続で披露。まずは内田 彩「アップルミント」(2014年)をリアジュボーンのエネルギッシュ極まりない演奏に乗せて「ハイ!ハイ!」と煽りながら届けると、続く内田 彩「Sweet Rain」(2014年)のカバーでは、歌詞で描かれるセンチメンタルな心情を、明るくもしっとり成分を増したボーカルで表現する。そこからさらに切なく甘酸っぱい景色を描いてみせたのが、内田 彩「最後の花火」(2015年)のカバー。オレンジ色の照明演出がまるで打ち上げ花火のように会場を照らすなか、ハンドマイクを両手で持ちながら丁寧に歌い込む彼女の姿は、歌声のみならずその佇まいまでもがどこか切なげに。この楽曲の主人公の秘めた想いを、役者ならではのスタイルでパフォーマンスに落とし込んでいたように思う。

そこから一転、ストリングス音源などを交えて透明感のある世界を広げた山崎エリイ「Last Promise」(2019年)のカバーでは、ステージの下手・上手に移動してオーディエンスとの交歓を楽しみながら、清涼感に溢れた歌声を響かせる。そしてMCを挿み、今度は悠木 碧の楽曲を2曲続けて歌唱。声質に甘さが加わった「永遠ラビリンス」(2017年)では、原曲でとりわけ特徴的な語尾のキュートなアクセントも踏襲した歌い方で、オリジナル版をリスペクトする(歌い終わったあとに見せた猫ポーズも、原曲のMVに倣ったものだろう)。もう一方のバラード曲「帰る場所があるということ」(2018年)では、ファルセットを交えた包容力を感じさせるアプローチで、表現の振り幅の広さをアピール。観客もその慈愛に満ちた歌声に聴き入っていた。

続いて会場を一気にポップでかわいらしい世界に塗り替えたのが、村川梨衣「Baby, My First Kiss」(2016年)のカバー。ブルーとピンクのネオンライトのような照明が“恋の始まり”のキラキラ感を演出するなか、近藤は歌詞の内容に合わせたポップな振付を披露しながら、胸躍るような歌声を響き渡らせる。振り返ると今回のカバー楽曲はバラエティに富んだ選曲で、曲調も幅広いが、それを見事に歌いこなした近藤は、どんなタイプの楽曲にも馴染む表現力と安定感を併せ持つボーカリストという印象を受けた。

新型コロナウイルスの感染予防対策により声出しを控え、ペンライトや拍手で応える観客に向けて、「皆さんからの心の声、たくさん聴こえています!」と感謝の気持ちを伝えた近藤は、ここでデビューシングル「桜舞い散る夜に」の発売日が4月14日に決まったことを発表。会場は歓喜の渦に包まれる。そしていよいよ、彼女のソロアーティストとしてのオリジナル楽曲が初披露されることに。「今すごくワクワクとドキドキでいっぱいの状態になっております」と、やや緊張気味に今の心境を語りつつ、彼女が次に歌ったのは、デビューシングルのカップリング曲となる「Listen~真夜中の虹」。今回のライブのタイトルにもなっているナンバーだ。

この楽曲のときはペンライトの色を「濃い青色」にしてほしいという近藤のお願いに応じ、会場一面が青いライトに満たされるなか、シンセの壮大なイントロに導かれて始まったのは、大海原のようなスケール感を感じさせるバラードナンバー。ゆったりとうねるA・Bメロから、サビで一気に高まりを生むドラマチックな構成で、歌詞からは新しい世界に踏み出そうとしている彼女の心境とシンクロするであろう部分も感じられる。後半になるにつれてサウンドの音数が増していくなか、近藤は最後に圧巻の声量で力強く絶唱し、エモーショナルかつパワフルな一面を見せつけた。

続くMCで、アーティストデビューについて、話をもらった当初は「(アーティスト活動することを)思い描いていたことはあったんですけど、ここまで早く実現してしまうとは」と感じ、驚きの気持ちのほうが大きかったという彼女。だが、だんだん喜びと実感が沸き、「〈私はこういう感じです!〉って決めるよりは、色んなことに挑戦していきたい精神もありますし、自分にあまり答えを見出したくないところもあるので、様々な色に変わっていけるようなアーティストになれたら」と考えるようになったという。

そんな活動の第一歩となったこの日、彼女がライブの締め括りに歌ったのは、デビューシングルの表題曲「桜舞い散る夜に」。2021年春より放送されるTVアニメ『バトルアスリーテス大運動会 ReSTART!』のEDテーマとなる本楽曲は、華麗なイントロから切なく色づくメロディへの流れが美しいミディアムナンバー。今は離れた場所にいる人との通じ合う心を描いた歌詞は、色んな人が自分事として捉えられる普遍的なテーマを描いているのと同時に、コロナ禍の現状と照らし合わせて聴いてもグッとくる内容だ。会えない時間が長いほど募っていく想い、その儚さと強さを、近藤は優しくも晴れやかな歌声で伝え、にこやかな表情で1stライブを終えた。

日本コロムビアの先輩アーティストたちの楽曲を通じ、ボーカリストとしての確かな力量と、声優・役者としての豊かな表現力を示してみせた近藤玲奈。彼女がこの先、ソロアーティストとしてどんな色に染まっていくのか。桜舞い散る夜が訪れるのを今から楽しみに待ちたい。

PHOTOGRAPHY BY 塚越 淳一
TEXT BY 北野 創(リスアニ!)

“近藤玲奈 1st LIVE~Listen~”Pop Side
2021.01.30 @ 日本教育会館一ツ橋ホール

<セットリスト>
01. Open Tuning(.lady.)
02. アップルミント(内田 彩)
03. Sweet Rain(内田 彩)
04. 最後の花火(内田 彩)
05. Last Promise(山崎エリイ)
06. 永遠ラビリンス(悠木 碧)
07. 帰る場所があるということ(悠木 碧)
08. Baby, My First Kiss(村川梨衣)
09. Listen~真夜中の虹
10. 桜舞い散る夜に


●リリース情報
近藤玲奈デビューシングル
TVアニメ『バトルアスリーテス大運動会 ReSTART!』EDテーマ
「桜舞い散る夜に」
4月14日(水)発売

【初回限定盤(CD+DVD)】

価格:¥1,900+税
品番:COZC-1730~1

【通常盤(CD)】

価格:¥1,300+税
品番:COCC-17861

<CD>
1.桜舞い散る夜に
作詞・作曲:浅井 真 編曲:佐藤清喜
2.Listen~真夜中の虹
作詞:大西洋平 作曲・編曲:羽岡佳
3.桜舞い散る夜に(Instrumental)
4.Listen~真夜中の虹(Instrumental)

<DVD>
桜舞い散る夜に Music Video/Music Videoメイキング映像

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