背筋伸ばして3年ぶりのランウェイ。「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE TOUR UNI-ON@IR!!!!」仙台公演「Angel STATION」レポート

「アイドルマスター ミリオンライブ!」ライブツアー「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE TOUR UNI-ON@IR!!!!」の始まりを告げる仙台公演「Angel STATION」初日が2019年4月27日、宮城県ゼビオアリーナ仙台にて開催された。

今回のツアーには、「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」ゲーム内の属性別アイドルが参加する。仙台公演にはANGEL属性より伊吹翼役のMachico、大神環役の稲川英里、北上麗花役の平山笑美、木下ひなた役の田村奈央、桜守歌織役の香里有佐、篠宮可憐役の近藤唯、島原エレナ役の角元明日香、豊川風花役の末柄里恵、野々原茜役の小笠原早紀、箱崎星梨花役の麻倉もも、馬場このみ役の高橋未奈美、宮尾美也役の桐谷蝶々、望月杏奈役の夏川椎菜が出演した。

「ミリオンライブ!」がゼビオアリーナでライブを行なうのは、2016年2月7日の“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!”仙台公演以来となる。Machico、麻倉、近藤、夏川は前回に続く参戦で、夏川は同公演で伊藤美来と共にリーダーを務めていた。

ライブのオープニング映像では、今回の出演者によって構成される4 Luxury、Cleasky、ピコピコプラネッツ、りるきゃん ~3 little candy~の4つのユニットが大きくフィーチャーされていた。

ライブの開幕を飾ったのは、Angel属性曲である「Angelic Parade♪」。ステージに登場した13人が、オープニング映像に登場した4つのユニットの衣装をまとっていることに驚きの声が上がった。「ミリオンライブ!」はナンバリングライブでは出演者全員の共通衣装を用意することが多かっただけに、個々のユニットにフォーカスしたアプローチは新鮮だ。

もうひとつのちょっとしたサプライズは、各ユニットのステージ間をつなぐショート映像に、765プロ劇場事務員・青羽美咲が顔出し(伝統のシルエットイラストではなく)で登場したことだ。今回のライブは、彼女が司会を務める音楽番組「UNI-ON@IR!!!!」の一部という趣向で行なわれた。

最初に登場したユニットはピコピコプラネッツ。ミリオン星からやってきた、歌とダンスが大好きな宇宙人ユニットだ。メンバーは木下ひなた役の田村奈央、箱崎星梨花役の麻倉もも、大神環役の稲川英里、望月杏奈役の夏川椎菜の4人。衣装はゲーム中のピコピコプラネッツと同じデザインで、頭から星つき触覚を2本伸ばしたコズミックな衣装は一際目立っていた。

元からインパクトがある強烈な衣装だが、驚いたのはステージが暗転すると4人の衣装が発光したことだ。暗闇の中で光の輪郭が踊るのはなんとも不思議な光景だ。アイマスの最初期からゲーム内に存在した光る衣装に現実が追いついた感じだろうか。麻倉によれば、ピコピコプラネッツ以外のステージで発光演出が行なわれる際には、ステージ裏で彼女たちの衣装も連動してピカピカ光るそうだ。

「ピコピコIIKO!インベーダー」はまさにキュートな宇宙人をモチーフにした楽曲で、麻倉の「幼年期のみんな~!」の呼びかけはインパクト抜群だ。これはもちろん古典SFの傑作「幼年期の終り」のパロディなのだが、それを絶対知らないであろう中学一年生の星梨花に叫ばせるのがいい。曲後のMCでも稲川が「おやぶんたちのことを侵略しちゃうぞ~!」、夏川が「今日は(前回来仙した3rdライブのときの)リーダーではなく宇宙人として来ました」とスペーステイストを入れていた。

ここで、ステージでは稲川演じる大神環中心に観客への体操指導コーナーが始まった。ダンベルを上げる動きがあったり、コミカルで元気な振付が指導されたのだが、どの曲のためのダンスなのかがなかなかわからない。ピコピコプラネッツの持ち歌といえばカップリングの「Get lol!Get lol! SONG」だが、ダンベルを持ち上げる動きがこの曲にハマるとはあまり思えないのである。

果たしてその振付は、続くカバー曲、高槻やよいの持ち歌である「スマイル体操」(ピコピコver.)のためのものだった。オールドファンにはたまらない選曲(2010年の楽曲だ)に、会場からは納得と歓喜の声が上がった。ステージにはダンサーだけでなく、茜ちゃん着ぐるみ(!)までが乱入し、ハッピーで楽しいパフォーマンスを展開した。田村や稲川がひなたや環として歌うときの舌ったらずな歌唱が、楽曲にぴったりとあっていた。

「Get lol!Get lol! SONG」は「かえるのうた」を思わせるような輪唱を要素として取りこんだ楽曲。かわいらしいダンスを交えながらの歌唱は童謡っぽさもあり、かわいらしいうたのおねえさんたちのパフォーマンスのようだ。スクリーンでは4人のアイドルをカエル化した生き物がユーモラスに踊っていた。輪唱のような掛け合いが、後半になるにつれだんだんとテクニカルでリズミカルになっていく様も楽しかった。

続く番組出演ユニットはCleasky。島原エレナ役の角元明日香、宮尾美也役の桐谷蝶々によるデュオユニットだ。演出の妙を感じたのがスクリーンの使い方で、本物の学校の机と椅子を小道具として置いた奥に教室内の映像を投影することで、ステージ上に学校の教室が出現したように錯覚させた。

セーラー服をモチーフにした衣装のふたりはステージの左右の高台に別れて歌っていたが、間奏でお互いを見つけたように大きく手を振ると、ステージ中央に駆け寄って再会。お互いに手を差し伸べながらくるりと回ったりのゲームでおなじめの振付の数々をステージ上で再現してみせた。桐谷によれば、今回は教室を舞台にして、ダンスよりもお芝居の表現を見せようとしたとのことだった。

ここまでの流れを見て、次は懐かしの765プロの楽曲をカバーする流れなのは予想していた。だが、天海春香の「笑って!」が来たのにはぽかんとしてしまった。この曲は春香にとって特別な楽曲で、大切な節目に数えるほどしか歌っていないイメージだったからだ。だが角元の透き通るような歌声や、桐谷が水色の傘を差し、雨の日の中にも楽しさを見つけるような姿を見ていると、Cleaskyならではの解釈を加えた表現としてきちんと落としこまれているように感じた。週末の仙台はあいにくの冷たい雨模様だったが、その天候がステージ上の情景にぴったりとハマっていた。

Cleaskyの締めはもちろん「想い出はクリアスカイ」。広大なステージで青空の映像とダンサーたちを背負って歌うと、より疾走感と広がりがある表現に感じられる。この曲でのふたりはエレナと美也の素に近い表現で、観客に近いサイドステージまですっとんでいく角元の姿は「会いたいんだ!」という気持ちを全身から放っているようだった。

篠宮可憐役の近藤 唯、野々原 茜役の小笠原早紀、伊吹 翼役のMachicoのユニット・りるきゃん ~3 little candy~(以下、りるきゃん)は、「UNI-ON@IR!!!! ガールズコレクション」と題してファッションショーのウォーキング風にステージに登場。りるきゃんの衣装もまた、ゲーム内のイラストをかなり忠実に再現している。面白かったのはMachicoで、襟や袖口、帽子に使われているファーっぽい素材の色に、髪色のカラーリングを揃えることで、すごく自然に衣装と本人がなじんで見えた。単にイラストと一緒の髪色にするのではなく、三次元の着こなしとしてのナチュラルさを追求しているようで見事だった。

それぞれのメンバーがウォーキングをしながらステージのセンターに到着して決めポーズを取ると、その姿をカメラで連射したかのような連続ショットがスクリーンに写し出される。小笠原の写真には茜がお調子に乗った感じのかわいさが良く出ていたし、Machico=翼がカメラのフレームに収まる瞬間の絵になる感じはさすがのひと言。そしてトリを務めた近藤演じる可憐は、モデルとしても活躍しているアイドルだ。そんな可憐を生身で演じてウォーキングを見せることにはプレッシャーもあったと思うが、近藤はピンと背筋を伸ばして堂々と可憐を演じきって見せた。すっとターンするときに帽子をおさえるような仕草など、端々に研究のあとを感じる。撮影のタイミングでモデルっぽくキメる姿からも、可憐に入りこんでいることがよく伝わってきた。

「ハルマチ女子」の歌唱では、ソロを歌い継ぐパートでの小笠原のちょっと線が細い、高めの声での歌唱が耳に残った。次に来るMachicoの歌声がとてつもない声量と存在感だからこそ、普段とちょっと違う雰囲気の小笠原の歌唱が印象に残る。ユニットとしてのバランスの妙だろうか。自身が青森出身である小笠原は、「ミリオンライブ!」で東北・仙台に来れたことをとても喜んでいる様子だった。

りるきゃんの765プロカバーソングは「Do-Dai」。ポップでナウい女の子たちが繰り広げるコミカルな恋バナの世界は、なるほどりるきゃんにぴったりだ。Machicoが表現する翼はまさに楽曲のイメージそのままだし、可憐(近藤)がせいいっぱいテンションを弾けさせて歌っている姿はとてもキュートだった。

「彼氏になってよ。」は近藤がセンターポジション。三者三様のガーリーな表現のなかで、小笠原や近藤が歌声からそれぞれの感情を溢れさせるような表現が素晴らしい。多少ギアを抑えめにも見えたMachicoは、「えっと、あのね!」の鮮烈なひと言ですべて持っていった。ラスト近く、近藤がソロで歌う「君の事が好きです」のフレーズは、きれいに伸びる音の美しさと、溢れる情感の両立が絶品だった。

桜守歌織役の香里有佐、豊川風花役の末柄里恵、北上麗花役の平山笑美、馬場このみ役の高橋未奈美によるユニット・4 Luxuryは、カップリングの「RED ZONE」からスタート。深紅に燃える会場で、Vo特化のボーカルモンスター4人を揃えた超攻撃的ボーカルユニットの本領を見せつけた。間奏でこれぞラグジュアリー、という感じにアダルトな仕草でリズムを取りながら階段を降りる4人の中で、誰よりもその仕草が似合っていたのがいちばん新人の香里だったのには恐れ入った。彼女が放つ「火をつけて」のフレーズには、会場全体を引きこむような魔力があった。

末柄が「ここからは大人の時間です!」、高橋が「大人の底力みんなに見せつけたいと思います」と宣言すると、カバーソングは「9:02pm」。三浦あずさ、そしてたかはし智秋の大人の魅力と圧倒的な歌唱力を前提とした最初期楽曲であり、なるほど4 Luxuryにはふさわしい選曲だ。

しかし楽曲のテンポがスローで、間奏ではゴージャスな楽器の音を聴かせることにたっぷり時間を取ったこの曲は、かなりワード数が少ない楽曲でもある。それを4人で歌い分けるのだから、個人のカラーを出せるポイントは決して多くはない。

限られたフレーズの中にケレン味を出して強い印象を残す高橋や、限界ギリギリまで歌声に膨らみを出してくる平山など、それぞれの技と色が見えた。香里は最初、大人の歌を満開の笑顔で歌う解釈が印象に残った。だが末柄が強めのパワーボイスをドンとぶつけると、香里も一歩も引かない力強い歌声で歌い継ぐ。4人の個性がぶつかり合い、相乗効果を生む新しい表現だった。

こう来れば、次は「花ざかりWeekend」だな、と会場の誰もが思ったはず。だがここでこつん、と小さいモーションで放つカウンターパンチのようなサプライズを入れてきた。765プロ事務員・音無小鳥の持ち歌であり、「花ざかりWeekend」と近い時代感の楽曲「ID:[OL]」を続けてカバーしたのである。それも、ラップパートを歌織、風花、麗花、このみの掛け合いにアップデートしたスペシャルバージョンだ。昭和末期から平成初期のテイストが強い楽曲を、平成が終末を迎える週末に持ってくる心憎い演出。ラストはラグジュアリーな4人による「かんぱーい!」の唱和だった。

4 Luxuryのラストはもちろん「花ざかりWeekend」。しかし「ID:[OL]」を挟んだことで、セットリストに明確な流れが生まれた。ダンサーたちも、色とりどりのバブル感あふれる飾りを身にまとってステージを彩った。楽しさ、一体感を重視したパーティーナンバーであるにも関わらず、そこから個々の歌声の極上の個性が突き抜けてくる(特に平山!)感じは4 Luxuryオリジナルの表現だった。

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