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2019.05.05

背筋伸ばして3年ぶりのランウェイ。「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE TOUR UNI-ON@IR!!!!」仙台公演「Angel STATION」レポート

背筋伸ばして3年ぶりのランウェイ。「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE TOUR UNI-ON@IR!!!!」仙台公演「Angel STATION」レポート

後半は予想できない、驚きに満ちたセットリスト

ライブ前半がユニットごとに定まった形式で進行する構成だったのに対して、後半は次に何が登場するかわからない、本当の意味でなんでもありの構成となった。

トップバッターは香里、田村、末柄による「サンリズム・オーケストラ」だ。香里と末柄という4 Luxuryコンビの間のセンターポジションに、田村の素朴で元気な歌声が入るとこんなにも色が変わるのか! と感じたのはユニット主体の前半の構成があればこそだろう。各ユニットの衣装をまとったまま歌うために、混合ユニット感がある。

小笠原はソロで「プリティ~~~ッ→ニャンニャンッ!」を披露。猫耳をつけた小笠原がダンサーたちを従えてキュートに歌い踊る。間奏からは茜ちゃん着ぐるみも登場してのエンターテイメントショーを繰り広げた。面白かったのは茜ちゃん着ぐるみのダンスがキレッキレだったことで、動きまくる茜ちゃんと小笠原の動きのシンクロが楽しめた。

近藤の「教えて last note…」は動きに迷いがない感じで、見ていてとても気持ちがいい。可憐としての感情がこもった力強い歌声。ラストのドン!というSEに合わせた決めポーズも鮮烈だった。近藤はこの曲の“本当は怖い、でも言ってられない”という歌詞や、可憐が変わりたいという気持ちへの共感を示すと、「5thの悔しさをひとつ乗り越えられた」「私、変われました!」と力強く宣言していた。個人的には、彼女は最初の頃のステージで、小鹿のようにふるえながら懸命にパフォーマンスしていたイメージが強い。そんな彼女が日本武道館よりも、さいたまスーパーアリーナよりも自分のパフォーマンスに胸が張れたのが3年ぶりの仙台公演だったのは、作意抜きの本当に心の底から実感なのだろうと感じた。

桐谷は「初恋バタフライ」を披露。ラテンの風が吹く楽曲をセーラー服モチーフの衣装で歌うギャップが面白い。元々バレエ的な動きの美しさには定評があった彼女だが、動きのスケールや存在感がより大きくなったように感じる。近藤のステージでも感じたことだが、SSAや日本武道館を幾度も経験したアーティストのパフォーマンスをこのサイズの箱で体感できるのは特別な経験だ。力強い表情で歌うなか、「誰より好きです」のフレーズに合わせて華が咲くような笑顔の気配が覗く。表情の表現力と自信が、ステージの印象までも変えるようだった。「3年ぶりの披露だったので、名古屋(“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!”名古屋公演)のときの気持ちを思い出しました。あのときは緊張していたけど、今日は気合をいれて歌って踊れたと思います」(桐谷)。

香里は「ハミングバード」を披露。香里は2017年9月の“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! EXTRA LIVE MEG@TON VOICE!”がアイマス初ステージ。3年前にミリオンが仙台を訪れたときにはまだアイマスに参加していなかったわけだが、それが信じられないほど今の彼女はこのステージの風景になじんでいる。ボーカル面でミリオンを代表する実力者のひとりであることは疑いなく、新人の冠はもう必要ないだろう。

印象的なイントロの間、青や紫、寒色系の照明がステージを照らす。香里が歌い出すと照明は真っ白な光の世界に変わる。そのなかで歌う彼女の姿は光輝いていて、正面から響く歌声の存在感はステージから風が吹いてくるように錯覚するほど。“緊張の中でも常に笑顔で歌える”すごさから“笑顔に込められた想いと表現”の領域へ。ラストの「歌うの」のフレーズで何かつかみとる動きからは、歌いきった彼女の心の充実が伝わってくるようだった。「2年前に歌わせてもらった頃は歌詞と自分があまりにリンクしたので感情にまかせて歌っていたんですが、今回は楽曲の物語と言葉をお伝えしたいと思って、練習して歌いました」(香里)。

ここからはかなりロングなラストブロックへ。「なんでもあり」のセットリストを実感したのが、 麻倉、小笠原、稲川による「Sweet Sweet Soul」だった。この曲は日本武道館で行なわれた“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!”に向けて結成された星座ユニットのひとつ「アリエス」の楽曲だが、この日他の星座ユニットの曲は歌われていない。「Sweet Sweet Soul」は最高にキュートでハッピーなラップナンバーであり、個人的な印象ではあの日の武道館をいちばん楽しく幸せな気持ちにした曲でもある。

驚いたのが後半のラップパートで、仙台バージョンの完全新作ラップを披露したことだ。麻倉がパパにラップなんて危ないって言われたけどとっても楽しいって知っちゃいました(意訳)とやったり、稲川が(麻倉のラップにあった)“武者震い”の単語に掛けて「伊達政宗がナンバーワン!」と叫んだり。技ありだったのが小笠原で、ラップ中に麻倉たちが「あかねちゃんのあ!」と(「AIKANE?」のコールの一節)合いの手を入れると「それは別の曲のね?」と返しているうちにサビが来てしまう……という掛け合いを見せていた。高速すぎてライブでは細かくは聞き取れなかったので、映像化を楽しみにしたい。会場を驚かせ、笑わせ、ハッピーにするという意味で、武道館の最高をさらに更新するパフォーマンスだった。ラップ以外では、わるそでかわいい不良顔と満面の笑顔の間をめまぐるしく往復する稲川の表情の見せ方が印象的だった。

高橋は「水中キャンディ」を披露。この曲は深海に潜ってたゆたうようなイメージがあったのだが、馬場このみのピンク色を基調にした4 Luxury衣装と客席のピンクのライトが合わさって、色調と雰囲気がかなり変わって見えた。

ことボーカルに関しては初ステージから圧倒的な技術を持っていた高橋だが、今回のライブではステージ演出と連携しての見せ方が進化したように感じた。「水中キャンディ」には「虹の橋コラボレーション」という歌詞があるのだが、ここに合わせてステージ天井の照明が下手から順番に虹色に点灯。素晴らしかったのは、ここで高橋がすっと上を見ることで、観客の視線を自然に照明に誘導したことだ。ステージ外、特に天井方面の演出は見逃されてしまうことも多いが、こういう細やかな演出、細やかなアクションひとつで見え方がぐっと変わるのは素晴らしいと思う。サビの華やかな存在感、「ふりかえらなーい」の決然として潔い音楽的な響き。素晴らしい作品のようなパフォーマンスだった。

稲川は「BOUNCING♪ SMILE!」を披露。この曲も前回のツアー「BELIEVE MY DRE@M!!」名古屋公演で披露した曲だったことから、前回のツアーからの成長がひとつのテーマなのかな、と思ったのだが、この曲は稲川自身のたっての希望で予定を変更して歌われたとのことだ。

「BOUNCING♪ SMILE!」と「Sweet Sweet Soul」に通じるものを感じたのが、きりっとしたり、働く大人の世界の理不尽さにちょっと怒ってみせたりするときのハードめの表情がバチッと決まっているからこそ、そのあとの満面の笑みがより際立つという表情の緩急だった。親分と一緒に!の掛け声からのラララの大合唱はたまらないほどハッピー。そしてとにかく絶品だったのが、ラストの「ありがと、くふふっ」のひと言。「くふふ」というフレーズは二次元的な笑いの文法だが、ラストで発した笑いは本当に心から楽しさがこぼれおちたような、かなり抑えたトーンで、環がそこに息づいている感じがした。

麻倉は「夢色トレイン」を披露。この曲で印象に残ったのは彼女の不変性だ。最近、個人としてアーティスト活動をしているときの彼女はぐっと大人になった、きれいな女性のイメージが強かったのだが、ツインテールを高く結わえて今この曲を歌う姿は3rdツアーのとき、そして初めてこの曲を歌ったときと同じように12歳の星梨花とイメージがぴったり重なる。素のかわいさだけでは片付けられない、役者としての表現を感じた。小さなウィンクや、カメラを見つめながらの歌いあげの目力も印象に残った。歌い終えた麻倉は「この曲は気分があがるんで楽しかったです!」とにっこりだった。

続いて高橋、近藤、桐谷が「G♡F」を披露、秋月律子と可憐のデュオ曲をトリオで歌ってみせた。広いステージの3ヵ所に別れて歌う三人の表情を、スクリーン内の三面鏡が同時にきっちり見せていく。高橋が「でも…そんなとこも好きなんだけどネ」で最高にキュートな表情を見せる姿は馬場このみそのものだったし、その後一瞬、やったりました、みたいな空気を出していたのはいかにも高橋未奈美らしかった。

トリオ歌唱が効いていたのが「1.2.3」のカウントアップをするくだりで、3人でカウントを回すことでよりリズミカルな感じになっていたし、桐谷の元気な「効いたかな?」もとてもキュートだった。「love me」「follow me」「just me」のフレーズを3人で割ったりするのも、元がデュオ曲とは思えないぐらい自然にハマっていた。ソロを歌い継いでいくパートでは、近藤のエモーショナルな歌声の強度にも驚かされた。

ブロックを締めくくったのは、Machico、平山、角元、夏川による「ジャングル☆パーティー」。平山のうんばば、Machicoのうんばば、夏川のうほほ。あまりキャラクターのイメージにないからこそ新鮮で楽しい。原曲デュオのひとりである稲川を敢えて外した構成に、本人も「うんばばしたかったぞ~」と悔しがっていた。ダンサー演出にもすごく力が入っていて、豹をはじめとした野生のアニマルに扮したダンサーズの全力ダンスがステージを大いに盛り上げていた。

MCではそれぞれにライブで歌った曲を振り返って、本編ラストは「DIAMOND DAYS」を全員で。37人+2人のイメージが濃い全員曲をほとんど歌わずに一本のライブを作り上げたのはお見事。個人的に「DIAMOND DAYS」は箱の一体感が肝だと思うので、ゼビオアリーナがひとつになっての「いぇーい!」はかなり気持ちよかった。

アンコール待ちの間には、「Dreaming!」のインストに乗せて今日の(今日の、である)ライブの名シーンをダイジェストでつないだ映像が上映された。当日の映像をリアルタイムで編集してスクリーンに映し、それをライブビューイングにも配信する試みはかなり未来感があった。

アンコールでは、全員が3色リボンのたすきが印象的なヌーベル・トリコロール衣装に着替えて登場。歌うのはもちろん「ミリシタ」1周年記念曲であり、みっつの光が共に頂を目指す曲「UNION!!」だ。間奏、プロデューサーがこのライブを楽しんでくれたかを問いかけたMachicoは、「これが私たちのぴゅあぴゅあです!」と叫んだ。そういえば、ぴゅあぴゅあこと「Angelic Parade♪」の13人ライブが「ミリシタ」に実装されたのは、この週末からちょうど1年前のことだった。

ラストの挨拶では、今日のライブの充実と、これから始まるプリンセス、そしてフェアリーの公演へと繋いでいく意識が感じられた。個人的にいちばん驚いたのは、挨拶のトリを務めた田村だった。直前の桐谷が涙をこらえながら話していたのに対して、「美也さん、明日もがんばろうねぇ。プロデューサーさん、牛タンっておいしいんだねぇ」と、ひなたを演じながらフォローするしっかりした姿に驚かされた。

ラストナンバーは、「ミリシタ」はじまりの楽曲「BRAND NEW TEATER!」。あらたな劇場の幕明けの曲で、新しいツアーの旅路がスタートした。

Text By 中里キリ

THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE TOUR UNI-ON@IR!!!!
【仙台 DAY-1】Angel STATION
2019年4月27日(土)@ゼビオアリーナ仙台

M1.Angelic Parade♪/エンジェルスターズ
M2.ピコピコIIKO! インベーダー/ピコピコプラネッツ(田村奈央、麻倉もも、稲川英里、夏川椎菜)
M3.スマイル体操(ピコピコ体操バージョン)/ピコピコプラネッツ(田村奈央、麻倉もも、稲川英里、夏川椎菜)
M4.Get lol! Get lol! SONG/ピコピコプラネッツ(田村奈央、麻倉もも、稲川英里、夏川椎菜)
M5.虹色letters/Cleasky(角元明日香、桐谷蝶々)
M6.笑って!/Cleasky(角元明日香、桐谷蝶々)
M7.想い出はクリアスカイ/Cleasky(角元明日香、桐谷蝶々)
M8.ハルマチ女子/りるきゃん ~3 little candy~(近藤唯、小笠原早紀、Machico)
M9.Do-Dai/りるきゃん ~3 little candy~(近藤唯、小笠原早紀、Machico)
M10.彼氏になってよ。/りるきゃん ~3 little candy~(近藤唯、小笠原早紀、Machico)
M11.RED ZONE/4 Luxury(香里有佐、末柄里恵、平山笑美、高橋未奈美)
M12.9:02pm/4 Luxury(香里有佐、末柄里恵、平山笑美、高橋未奈美)
M13.ID:[OL](セレブレイション!バージョン)/4 Luxury(香里有佐、末柄里恵、平山笑美、高橋未奈美)
M14.花ざかりWeekend✿/4 Luxury(香里有佐、末柄里恵、平山笑美、高橋未奈美)
M15.サンリズム・オーケストラ♪/香里有佐、田村奈央、末柄里恵
M16.プリティ~~~ッ→ニャンニャンッ!/小笠原早紀
M17.教えてlast note…/近藤唯
M18.初恋バタフライ/桐谷蝶々
M19.ハミングバード/香里有佐
M20.Sweet Sweet Soul/麻倉もも、小笠原早紀、稲川英里
M21.水中キャンディ/高橋未奈美
M22.BOUNCING♪ SMILE!/稲川英里
M23.夢色トレイン/麻倉もも
M24.G♡F/高橋未奈美、近藤唯、桐谷蝶々
M25.ジャングル☆パーティー/Machico、平山笑美、角元明日香、夏川椎菜
M26.DIAMOND DAYS/エンジェルスターズ
EN1.UNION!!/エンジェルスターズ
EN2.Brand New Theater!/エンジェルスターズ

<DAY1メンバー>
Machico(伊吹翼役)、稲川英里(大神環役)、平山笑美(北上麗花役) 、田村奈央(木下ひなた役)、香里有佐(桜守歌織役)、近藤唯(篠宮可憐役)、角元明日香(島原エレナ役)、末柄里恵(豊川風花役)、小笠原早紀(野々原茜役)、麻倉もも(箱崎星梨花役)、高橋未奈美(馬場このみ役)、桐谷蝶々(宮尾美也役) 、夏川椎菜(望月杏奈役)

(C)窪岡俊之 (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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