苗木 誠( CV.緒方恵美), 苗木こまる( CV.内田 彩) 「『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』主題歌 progressive -漸進-」レビュー

2017.04.12

2015年にシングルとしてリリースされた、『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』のエンディングテーマがブラッシュアップされ、ハイレゾ版として登場!狛枝凪斗(CV.緒方恵美)のキャラソンも収録。

“超高校級”の才能を持つ高校生たちが、学級裁判で相手の矛盾を論破し、殺人事件の犯人を暴いていく、“ハイスピード推理アクション”ゲーム『ダンガンロンパ』。学園という閉鎖された空間で繰り広げられる推理アドベンチャーに、アクションの要素を加えたこのゲームは、スパイク・チュンソフトの人気シリーズとなっており、現在まで以下のタイトルがリリースされている。

2010年11月25日『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』(PlayStation®Portable)
2012年  7月26日『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園』(PlayStation®Portable)
2013年10月10日『ダンガンロンパ1・2 Reload』(PlayStation®Vita)
2014年  9月25日『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』(PlayStation®Vita)
2017年  1月12日『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』(PlayStation®Vita、PlayStation®4)

TVアニメ化された第1作『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』。その続編となる『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園』。この2作を併せてPlayStation®Vitaに移植した『ダンガンロンパ1・2 Reload』。前2作から舞台やキャラクターを一新したシリーズ最新作『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』。そして、これらのほかにシリーズの外伝となる作品『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』がリリースされている。

 

第1作と第2作の間に起こったストーリーを描く『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』は、舞台を希望ヶ峰学園から海に浮かぶ巨大な埋立地、“塔和シティー”に移してゲームを展開している。今作では、“拡声器型ハッキング銃”で敵を攻撃してゲームを進める、アクションアドベンチャー方式を採用。ゲーム内のイベントシーンのアニメは、TVアニメ『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 The Animation』を手がけた監督・岸 誠二と制作チーム・ラルケが担当している。

この『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』のエンディングテーマが「progressive -漸進-」。この曲は当初よりファンからの人気が非常に高く、ゲーム発売から4カ月後の2015年1月28日にシングルとしてリリースされた。そしてその2年後、2017年4月12日にこのシングルのハイレゾ版が配信開始された。

2017年5月18日にはPlayStation 4版の『ダンガンロンパ1・2 Reload』が、6月28日にはPC版、同月29日にはPlayStation 4版の『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』が発売されることになり、またあらたな広がりをみせる『ダンガンロンパ』シリーズ。その皮切りとなるような今回のハイレゾ配信となった。

「progressive -漸進-」

歌は、第1作目『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』の主人公・苗木 誠(CV.緒方恵美)と、『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』の主人公・苗木こまる(CV.内田 彩)の兄妹が担当している。苗木 誠は、“超高校級の幸運”の持ち主とはいうものの、ほかの登場人物のようなずば抜けた才能は持ってはおらず、妹の苗木こまると同じくごく平凡な高校生。そして、言い方を変えれば、特殊な才能を持ったキャラクターばかりのこのシリーズの中で苗木兄妹は、“普通”という異色な存在である。そんなふたりの共通点は、逆境にくじけそうになりながらも、それを乗り越え、前へと進もうとするところ。温和な人柄でちょっと頼りなくも見える彼らだが、その意志の強さが物語の流れを大きく転じさせ、ついにはほか人物の命運さえも左右することとなる。

彼らによるエンディングテーマ「progressive -漸進-」は、打ちひしがれそうな絶望的な状況の中でも希望を失わずに進む、ふたりの決意を表明しており、“誰も切り捨てない 何も捨てはしない”の言葉が力強く響く。激しいロックのサウンドもまた、運命に怯まず立ち向かう彼らの勇気を讃えているかのようだ。

さてこのシングルのハイレゾ版は、CDの音源をそのままハイレゾへとマスタリングしたものではなく、ミックスの段階まで遡り、ハイレゾ音源として再構築したもの。シングルのサウンド・プロデューサー・佐藤純之介によるブラッシュアップが施された、最新版のサウンドとなっている。佐藤純之介は、2017年2月にリリースされた緒方恵美のアルバム『real/dummy』のサウンド・プロデュースも務めており、このハイレゾ版を初めて公開したトークイベントにて、「「progressive -漸進-」のハイレゾ版は、『real/dummy』の延長線上のサウンドになるように作り直した」と語っている。

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ハイレゾ版はヴォーカルや楽器の定位も明瞭で、スピーカーよりも上の方でギターの音色が揺らめいでいるような、左右や前後だけには留まらない、空間のさらなる立体感が伝わってくる。またCDよりも空間が広がったことで、それぞれの音がぶつからない、いわば「余裕のある音の鳴り」を生み出している。それは音が本来持っているエネルギーを最大限に引き出すことにより、サウンド全体をダイナミックなものへと変化させる。たしかに今回のハイレゾ版は、クリアな解像感と立体感、そしてエネルギッシュな音の鳴りを実現した『real/dummy High Edition』の方向性に沿ったサウンドへと進化を遂げている。

苗木 誠の豊かな低域からあふれる声の力強さと、苗木こまるのしなやかに伸びる澄んだ声の質感。ハイレゾではその特徴もさらに鮮やかに浮かび上がらせる。対照的なふたりの声を、ときにはパートごとに入れ替えながら、ツイン・ヴォーカルとして自然にまとめ上げる、ミックスの匙加減も絶妙だ。コーラスもキャラクターの個性を活かしたもので、兄に寄り添うような苗木こまると、その妹を支えるように呼びかける苗木 誠と、ふたりの声のニュアンスを聴き比べるのも面白い。

「poison -劇薬-」

『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園』の中でもひときわ目をひく登場人物、狛枝凪斗(CV.緒方恵美)によるキャラソン。作曲と編曲は「progressive -漸進-」と同じく中土智博。緒方恵美のアルバム『real/dummy』では、ダミーヘッドマイクを使用したリード曲「white closet」と、エンディング・ナンバー「D.Closet」を手がけており、このシングルでの歌のハマり具合がアルバム参加へのきっかけになったようにも思えてしまう。

いつもマイペースでつかみどころがなく、でも面倒見がよくて、そして、かなりエキセントリックなキャラである狛枝凪斗。苗木 誠と同様に、“超高校級の幸運”という才能を持ちながらも、希望を信じ、愛しすぎるがゆえに、あえて絶望へと足を踏み入れようとする、哀しい宿命を背負っている。TVアニメ『ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園-』《絶望編》のエンディングテーマ「絶対希望バースデー」でも、希望への想いを高らかに歌い上げた狛枝凪斗だが、こちらの「poison -劇薬-」では、希望が輝くのならば、この“心臓(いのち)”さえも捧げると熱っぽく囁く。さる哲学者は「死に至る病は絶望である」と記したが、一線を越えた「希望」も彼にとってはまたそうなのだろうか。ここでは狂おしいほどにまで希望を渇望する心の内を告白している。

そんな彼のネガティヴ・モードが全開ながらも、煌びやかな音を散りばめたサウンドは爽やかで、サビでは開放感さえも伝わってくる。退廃的でありつつも清々しいというある種の矛盾を孕んだこの曲は、常に不運と幸運の間を綱渡りし、己の中に優しくも凶暴な獣を飼っている彼の二面性を、そのままに映し出しているようだ。

その「poison -劇薬-」のいちばんの聴きどころは、やはり狛枝凪斗の声。イントロでは左右に4つずつ、計8つの声があふれる狛枝だらけの状態となっており、ハイレゾではそれぞれをしっかりと聴き分けることができる。また2番が終わったあとの部分では、ヴォーカルの太さがぐっと増している。すぐ近くにいるようなリアルさで、また声の低さを魅力的に捉えており、独特の語り口も相まって狛枝凪斗のキャラがさらに際立つ仕上がりとなっている。

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苗木 誠( CV.緒方恵美), 苗木こまる( CV.内田 彩)
「絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode」主題歌 progressive -漸進-

Lantis
2017.04.12

FLAC・WAV 96kHz/24bit、WAV 96kHz/32bit

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 収録曲

 1.progressive -漸進-
   作詞:em:óu 作曲・編曲:中土智博 歌:苗木 誠(CV.緒方恵美)、苗木こまる(CV.内田 彩)

 2.poison -劇薬-
   作詞:em:óu 作曲・編曲:中土智博  歌:狛枝凪斗(CV.緒方恵美)

 3.progressive -漸進-(Off vocal)

 4.poison -劇薬-(Off vocal)

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