藍井エイル『D’AZUR』レビュー

2015.06.24

『ソードアート・オンラインII』OPテーマ「IGNITE」、『アルスラーン戦記』EDテーマ「ラピスラズリ」などを収録した3rdアルバム。

2011年10月、TVアニメ『Fate/Zero』のEDテーマ「MEMORIA」にて、メジャーデビューを果たした藍井エイル。2013年1月には「MEMORIA」「AURORA」「INNOCENCE」らシングル曲を含む1stアルバム『BLAU』を、2014年には「コバルト・スカイ」「シリウス」「虹の音」を収めた2ndアルバム『AUBE』をリリース。トップ・アーティストとしての存在を揺るぎないものとした。

その『AUBE』より約1年半ぶりとなる3rdアルバムが今作の『D’AZUR』。TVアニメ『ソードアート・オンラインII』OPテーマ「IGNITE」、TVアニメ『アルスラーン戦記』EDテーマ「ラピスラズリ」、TVアニメ『アルドノア・ゼロ』EDテーマ「GENESIS」などのヒットナンバーを収録。さらに力強さを増したヴォーカルの熱量に圧倒される。

「IGNITE」

TVアニメ『ソードアート・オンラインII』《ファントム・バレット編》のOPテーマとなったナンバー。『ソードアート・オンライン』第1期《フェアリィ・ダンス編》のOPテーマとなった「INNOCENCE」に引き続き、藍井エイルが『SAO』の世界を熱唱している。作曲は、佐香智久や春奈るな作品でもおなじみの小川智之。編曲は春奈るな「Overfly」(《フェアリィ・ダンス編》のEDテーマ)、「Startear」(《ファントム・バレット編》のEDテーマ)の作曲、編曲を手がけているSaku

“迷わずに今 矛盾だらけの世界を その手で撃ち放て”

高らかに歌い上げるヴォーカルから始まるこのナンバーでは、ハイレゾのもたらすリアルさが藍井エイルの歌声のインパクトを強める。迷い惑う心情を抑えたトーンで映し出し、その不安、恐れを打ち破る勇気を点火する(=IGNITE)サビの地声とファルセットの使い分けも精緻に描写。全体的にキーが高いこの楽曲において、抑揚を繊細に巧みにコントロールしていることがよく伝わってくる。

この曲のポイントとなるのは疾走感。刀剣からシューティングへと舞台を移した《ファントム・バレット編》にて、その世界観をいかにして音楽で表現するか。壮大さを描くことに長けているストリングスだがこの曲では空間よりも動的なイメージを表わすことに寄与しており、またサビ部分のギターとのアンサンブルはヴォーカルと共に直線的に迫ってくる感覚だ。ハイレゾでは音の方向性が明確なため、疾走感がさらに高まり、楽曲の昂揚感を促している。ラストのサビ前のガラスの砕ける音も印象的だ。

「ラピスラズリ」

月下の荒野に希望の明日を求めて歩みを進める旅人の情景が浮かんでくる、TVアニメ『アルスラーン戦記』のEDテーマ。深みのある藍色をまとった聖なる石の名であるタイトル「ラピスラズリ」と“くもりの無い 碧い瞳”の歌詞に、主人公アルスラーンの瞳の色と藍井エイルのイメージカラーである青色が重なる。作曲、編曲は、嵐、Hey! Say! JUMPなどのジャニーズ作品から水樹奈々まで幅広く手がける加藤裕介

別世界へとイメージを誘うのはエキゾチックな旋律だけでなく、音空間の作り方にも表われており、「IGNITE」との違いが感じられ興味深いところ。サイドのギターは中空に舞い踊り、ストリングスは広漠たる世界を雄大に描き出す。また迫り来る音像が、胸の奥で燃え上がる想いを示しているかのよう。

藍井エイルのヴォーカルは、キーが低くいつもとは違った表情を感じられる。時には歌謡風な節回しもある中でニュアンスを絶妙に付けていく豊かな歌唱力。空高く突き抜けるような伸びやかな歌声やブレスから芯の強さが伝わってくる。

「GENESIS」

TVアニメ『アルドノア・ゼロ』EDテーマとなる9枚目のシングル。作詞は、“TRUE”名義でアーティスト活動を行なっている作詞家の唐沢美帆。作曲は、ClariSの作品に作詞、作曲、編曲と数多く参加している丸山真由子。編曲は、丸山真由子と同じくクリエイターユニット、HΛLのメンバーだった佐藤あつしと清水武仁(清水武仁は、petit miladyの「100%サイダーガール」のアレンジも手がけている)。

ここでも空間作りが重要な要素となっており、上部に位置するシンセのサウンドと躍動する重低音をうまく対比させている。荘厳なコーラスのリヴァーブは壮大な空間を表現しており、宙(そら)と地上をつないでいるかのようだ。全体的にクライマックス感が持続しているような楽曲だが、1番と2番、そしてラストのサビではそれぞれヴォーカルの抑揚を変化させながら、ダイナミックさを高めていることがよくわかる。メロディや音色だけではない、世界観とリンクする音作りの要素が理解できる楽曲だ。

タイトなロックナンバー「Quit」、ミディアムなポップス「ずっとそばで」、爽快な「ツナガルオモイ」、美しいバラード「青の世界」、藍井エイルが敬愛する相川七瀬のヒット曲「BREAKOUT!」のカヴァーなど、シングルとはまた違った彼女のヴォーカルも魅力的に響く。適度な音圧を保っているため、メリハリのあるサウンドが展開される今作のハイレゾ版。クリアな質感で音も非常に整理されているため、まとまりよくバランスの取れた音像に仕上がっており、また高い声質の藍井エイルのヴォーカルも硬質にならず、しなやかな質感で表現されている。ハイレゾとの相性が良さが感じられる作品だ。

藍井エイル
D’AZUR

Sony Music Labels Inc.
2015.06.24

FLAC 96kHz/24bit

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e-onkyo music
mora

 収録曲

 1.awakening
   作曲・編曲:篤志

 2.IGNITE
   作詞:Eir 小川智之 作曲:小川智之 編曲:Saku

 3.ラピスラズリ
   作詞:Eir 加藤裕介 作曲・編曲:加藤裕介

 4.ゆらり
   作詞・作曲・編曲:安田貴広

 5.シンシアの光
   作詞・作曲・編曲:新井弘毅

 6.Quit
   作詞・作曲・編曲:篤志

 7.BrightFuture
   作詞:Eir 作曲・編曲:黒須克彦

 8.JUMP!!!
   作詞:Eir 作曲・編曲:増谷 賢

 9.幻影
   作詞:Eir 大塚利恵 作曲・編曲:津波幸平

10.ずっとそばで
   作詞:Eir Saku 作曲・編曲:Saku

11.GENESIS
   作詞:唐沢美帆 作曲:丸山真由子 編曲:佐藤あつし 清水武仁

12.ツナガルオモイ
   作詞・作曲:Eir 編曲:水木峻 石塚英一朗

13.青の世界
   作詞:Eir 作曲・編曲:重永亮介

14.BREAK OUT!(ボーナストラック)
   作詞・作曲:織田哲郎 編曲:篤志

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