戸松 遥「モノクロ/Two of us」レビュー

2016.10.26

大人のアッパーなロック「モノクロ」と優しい雰囲気のバラード「Two of us」を収めた戸松 遥の両A面シングル。

戸松 遥の17枚目のシングルとなる『モノクロ/Two of us』。今までのアーティスト活動を総括した2枚のベストアルバムのリリースとそのリリースツアーを経て発表されたこのシングルには、『戸松遥 BEST SELECTION』の『-sunshine-』サイドを象徴するようなアッパーな「モノクロ」と、『-starlight-』に収録されている楽曲のように優しい雰囲気を感じさせるバラード「Two of us」が収められている。戸松 遥のキャラクターをそれぞれ並べた両A面シングルとなる今作では、今までとは違った新たな一面も披露しており、挑戦的な試みが行なわれている。

「モノクロ」

作詞は古屋 真、作曲は黒光雄輝と、戸松 遥では12枚目のシングルとなる「ヒカリギフト」を手がけたコンビがこの曲を担当している。しかしながら、ゆったりとしたテンポのウインターソング「ヒカリギフト」とは異なり「モノクロ」は、「courage」などの方向性をさらに押し進めた疾走感のあるロックによって構成されている。

そして、この曲で特徴的なのは思いの外ビターな雰囲気が漂っていること。今まで戸松 遥のロックと言えば、希望を照らし出す明るい歌声が響いてる、そのようなイメージを感じさせるもの。だがこの曲ではまだ先に光は見えず、痛みを背負いながらせき立てられるように前へと進む姿が描かれている。“色彩の無い未来を 追いかける” “冷たい太陽 抱いてゆこう”の言葉とともに、諦めることさえも諦めて立ち向かう強い意志を表わしたこの曲をシングルの1曲目に持ってきた戸松 遥の、アーティストとしての自信のあらわれとヴォーカリストとしての成長を感じずにはいられない。

戸松 遥の新境地とも言うべきこの曲のハイレゾは、空間に充満する熱量の高さが感じられる。CDでは高域の鋭さがソリッドなサウンドを際立たせていたが、歌詞からもひしひしと伝わってくる苦みばしったヘヴィネスなイメージによるリアルな大人のロックを展開させているのは、やはりハイレゾの方。激しくもなめらかに奏でられるギターの音色が中心で弾け、ベースラインがぐっと持ち上がりグルーヴが引き立つさまに、世界を冷徹に見通す眼差しの奥に潜むマグマのように沸き立つエネルギー、あるいは鮮やかに放たれるパッションといった内面までをも描写する、ロックのダイナミズムが感じられる。

迫力を増したのはスリリングなサウンドのみならず、ヴォーカルにも確かな手応えが感じられる。戸松 遥そのものを表わしたようなくっきりとした輪郭による颯爽とした歌声は惚れ惚れとするような漲る力強さが宿り、躍動を続けるサウンドとともに、心に降り積もる想いをひとつずつ己に問いかけながら確かめては“走る”姿を映し出す。焦りや苛立ちも乗り越えて突き進む中、やがては通じる光の道へとつながる予感にそっと触れた、確信に満ちた表情が印象的だ。

「Two of us」

PlayStation®4/PlayStation®Vita用ソフトウェア『ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-』のEDテーマとなるこの曲の作曲者は、昭和歌謡の息吹を楽曲に持ち込んだ水樹奈々の「哀愁トワイライト」(アルバム『SUPERNAL LIBERTY』収録)でもおなじみの宇佐美 宏。岡宮道夫や大越香里とともにブラウザゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』の音楽を手がけたことでも知られている。そして「ユメセカイ」「ヒカリギフト」など数多くのアレンジや作曲などで戸松 遥のアルバムには欠かせない存在となっている古川貴浩の編曲との組み合わせとなっている。

情熱的なロックナンバー「モノクロ」とは対照的にゆったりとしたサウンドに安らぎが広がるバラード「Two of us」。「ユメセカイ」「courage」「セパレイト・ウェイズ」に続き『ソードアート・オンライン』の世界を彩るこの曲もまた、戸松 遥が演じるアスナの気持ちが投影されたものとなっている。

ハイレゾではダイナミクスレンジの広がりが、透明な音色を誘い出すピアノやうっすらと奏でられるストリングスの繊細な響きに影響を与えており、イントロでは白く柔らかな光が次第に差し込むような、安らかな空気が静かに伝わってくる。明確な分離感が緊迫感を醸し出していた「モノクロ」とは異なり、こちらでは穏やかな木管の音色やストリングスのピチカート、緩やかなベースやさりげなく鳴らされるギターなど、楽器同士の音のなじみが非常に心地好く、帰る場所が見つかったような何処か暖かな雰囲気を感じさせる。

“嘘でもいいよ 永遠じゃなくてもいいから”と冒頭には刹那の言葉を並べつつも、浮かび上がってくるのは全てを受け入れることができたからこそ信じられる、今この瞬間に心からあふれ出る君への想い。澄み切った歌声としなやかな抑揚に優しさを漂わせ、“いつも心に 君がいるから さぁ 新しい扉を開こう”と、また次の物語へと誘なうようにエンディングを華麗に包みこむ。

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モノクロ/Two of us

Music Ray’n Inc.
2016.10.26

FLAC 96kHz/24bit

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e-onkyo music
mora

 収録曲

 1.モノクロ
   作詞:古屋 真 作曲:黒光雄輝 編曲:DROP K

 2.Two of us
   作詞・作曲:宇佐美 宏 編曲:古川貴浩

 3.モノクロ(Instrumental)

 4.Two of us(Instrumental)

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