第5回【湯浅かえでと選ぶチャートTOP50殿堂ソング 2010-2015】

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うたパス部門で随一のアニソン知識量を誇るぴょん太と元リスアニ!編集長の西原史顕、そして『ガンスリンガーストラトス』まぐま役、『アイドルクロニクル』MIU役などで活躍中の声優にしてアニソン系クラブイベント“リスアニ!ナイト”常連、湯浅かえでの3人がアニソンを語りまくる本企画。
好評だった「ノイタミナBEST」に続き、今回は「年間チャートTOP50」入りした名曲たちを選曲対象に設定。2010年から2015年上半期のヒットソング計250曲より、“殿堂入り”にふさわしい楽曲たちを愛と勇気と独断をもってセレクトしちゃいます!

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西原史顕 第2回目のスペシャル作戦会議です。前回のノイタミナ特集が好評だったので、この調子で頑張っていきましょう。

湯浅かえで 私も登録して何度も聴いてました!

西原 前回の原稿でも少し触れましたが、ノイタミナを振り返ることが2005年以降の“近代アニソン”を考える良いきっかけになったと思うんですよね。ということで、今回は基本中の基本であるチャート特集にしてみました。

ぴょん太 楽曲は2010年から今年の上半期までのTOP50がそれぞれリストアップされていますね。

西原 そうですね。合計すると250曲! これをこの場で40曲くらいに絞っていきます。全部語っていくと日が暮れちゃいますので、年ごとに要所要所のトピックスを挙げながら選んでいきましょう。

“歌モノ”アニメが注目された2010年

西原 というわけで2010年です。

湯浅 この年だと『けいおん!!』ですよね?

西原 そうですね。ちなみに「リスアニ!」の創刊は2010年で、Vol.01の表紙が『けいおん!!』でした。

ぴょん太 Vol.02の表紙が『Angel Beats!』でしたよね? ちょうどこの頃って、2008年に『マクロスF』があって、その流れが加速していわゆる“歌モノ”のアニメが注目されていた時期でした。

湯浅 そうでしたね。『けいおん!!』なんて主題歌だけでなくキャラソンまで何曲もTOP50に入っていますもん。

西原 湯浅さん、『けいおん!!』はどうでした?

湯浅 観てましたよ。あのホワッとした感じに毎回癒されておりました。

ぴょん太 女性の方もそういう見方をするんですね。

湯浅 なんかほら、美しいじゃないですか、友情が。現実にはない感じで(笑)。あと素直に楽曲には驚かされました。超絶早口なOPテーマ「GO! GO! MANIAC」とか、豊崎(愛生)さん「すげぇ」って。よくあの頃は友達とカラオケに行って、私たちも歌えるか挑戦していたのを覚えています。

ぴょん太 僕ももちろん観てましたけど、曲の思い出といえばやっぱり「ごはんはおかず」ですね。第20話のあの学祭シーンで感動してしまったクチなので。そして学祭が終わったあとでもメンバーが来年の話をするところで泣いてしまったという(笑)。

西原 今思ったんですけど、2010年って、『けいおん!!』のあずにゃん(中野梓)込みで竹達(彩奈)無双でしたよね。ちょうどキャラソンの歌い手として台頭してきてて、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』とか『迷い猫オーバーラン!』で抜群の曲を残しています。

ぴょん太 『俺の妹』はEDテーマが毎話違っていて、竹達さんが何曲も歌っていましたよね。

西原 EDテーマをネット上で一般公募する斬新な企画をやってましたよね。ちなみにその一般公募で選ばれた作家のやしきんさんと、公募曲全体の編曲を担当していたyamazoさんは後に『けいおん!!』の音楽を作ったF.M.Fに所属。ヘンなところで話が繋がりました。

湯浅 黒崎真音さんがデビューした『HIGHSCHOOL OF THE DEAD』も毎話EDテーマが異なっていましたよね。

西原 そうそう、2010年って、ものすごい数のアニソンが生まれていた年なんですよね。深夜アニメの番組数もピークの時期で、キャラソンの生産も非常に盛んでした。

湯浅 そんな中、キラリと輝く朝アニメの「Alright!ハートキャッチプリキュア!」。

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ぴょん太 おっと、魔法少女好きの顔が出てきましたね(笑)。

湯浅 ちょうどこの『ハートキャッチプリキュア!』で、初期プリキュアみたいな2人構成に戻ったじゃないですか。あれが私的には「やったー!」って感じで。あとエンディングで3DCGのキャラが踊るようになったのも印象的で。最近の朝アニメでは当たり前の光景になりましたけど、「ハートキャッチ☆パラダイス!」は前田健さんの振り付けを私も思いっきり真似してました。

ぴょん太 そうそう、“踊るエンディング”演出は昔からありましたけど、今の女子向け朝アニメって、踊ってなんぼなところがありますよね。

西原 もっと言えば『アイドルマスター』や『ラブライブ!』といったアイドルアニメのダンス表現にも繋がるのかも。アニメ制作業界的にも2008年頃から2010年って作画と3DCGを融合させた画作りがTVシリーズでも盛んに行われるようになって、フル3DCGの技術も飛躍的に伸びた時期ですものね。

“個性派楽曲”が高ランクチャートイン!

西原 はい、次の2011年も見ていきましょうか。2011年といえば……。

湯浅 『魔法少女まどか☆マギカ』の年でした。コスプレするほど好きでした(笑)。

西原 え? 誰のコスプレですか?

湯浅 (巴)マミさんです。おもちゃ屋さんで銃を買って、スプレーで工作してました(笑)。友達と物語を考察しながら毎週毎週楽しんだアニメでしたね。

ぴょん太 やはり第10話ですよね。あそこでOPテーマの「コネクト」の受け止め方がガラリと変わった。

湯浅 (暁美)ほむら〜。

一同 (笑)。

湯浅 『まどか☆マギカ』は女の子が変身して悪と戦うんじゃなくて、(鹿目)まどかが魔法少女になるまでのストーリーを突き詰めたアニメだったじゃないですか。しかもダークな方向で。それが私の中では新鮮で。

西原 あんなの、魔法少女の設定を借りた人文学ですよ。個人主義と法治主義の矛盾を意地悪く提示するという。

ぴょん太 見た目と中身のアンバランスさが絶妙でしたよね。

湯浅 劇場版になるとそれがより一層引き立っていて、私、魔法少女モノの変身バンクが大好きなんですよ。『まどか☆マギカ』でもそれが観られたのが本当にうれしくて。

ぴょん太 2011年の当たりアニメといえば『アイドルマスター』もですよね。あと『Fate/Zero』。あ、そういえば『Fate/Zero』も虚淵玄さんでしたよね。

西原 そうですね、この年は虚淵さんの当たり年でもありましたよね。

湯浅 あとは『輪るピングドラム』も最高でした! 幾原邦彦監督の作品が元々大好きで、やくしまるえつこさんの「ノルニル」と「少年よ我に帰れ」は今でもずっと聴いています。

西原 すごいアニメでしたよね……最後、迫力に押されて泣くっていう。

湯浅 そうそう、よくわからないけどなんか泣けた(笑)。

ぴょん太 思い返せば『少女革命ウテナ』もそうでしたよね。

湯浅 これぞ幾原ワールド。

西原 この時期のスターチャイルドさんの前衛的なアプローチがすごく好きで、『電波女と青春男』のOPテーマに神聖かまってちゃんが起用されたのも個人的には最高だったんですよね。この曲にも幾原ワールドに負けない狂気が潜んでいて。

ぴょん太 『電波女』も不思議なアニメでした。

西原 原作者は入間人間さん。虚淵さんといい幾原監督といい、この年は刺激的な物語の語り手が続きましたね。だから楽曲も個性的なものが主題歌になりやすかったのかなと。「Magia」も「ノルニル」も、普通だったらシングルの表題曲にはなり得ないタイプの音楽ですから。

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薄まる“アニソン”と“J-POP”の境目

西原 さて2012年です。なんか3人が取り上げるアニメがかなり趣味に寄っている気もするのですが……。

湯浅 2012年のマイベストは「猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」」! スミマセン、また趣味です(笑)。

ぴょん太 でもももいろクローバーのアニソン代表作というと、自分も『モーレツ宇宙海賊』という印象ですよ。

湯浅 ありがとうございます。ももクロが“Z”になって変わっていった時期ですね。前年末に“ももいろクリスマス2011 〜さいたまスーパーアリーナ大会〜”に行ったんですよ。

ぴょん太 お、“ももクリ”ですね。

湯浅 そこで「猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」」を初めて聴いたんです。大合唱団(東響コーラス)を引き連れて、しかもギターはマーティ・フリードマン! とにかくそのステージが圧巻で、あのときの印象が忘れられないんです。

西原 ならば僕も個人的な意向に走って「Go to the top」を推したいと思います。『トータル・イクリプス』のOPテーマで倖田來未さんの曲ですが、これ、果たしてアニソンと言ってよいのかでちょっとした論争になったんですよね。

ぴょん太 たしかに、これまで特に選曲してきていませんでしたが、2011年のアニソンTOP4はB’z、L’Arc~en~Ciel、BUMP OF CHICKEN、安室奈美恵さんで、2012年もTOPは福山雅治さんですものね。果たしてこれを“アニソン”と呼ぶべきなのか、ただの“アニメ主題歌”とするべきなのか、線引きが難しいところです。

西原 ニュアンスの問題なので非常に難しいんです。『ONE PIECE』のような全年齢向けアニメと深夜アニメ、湯浅さんが好きな朝の女子向けアニメ……それぞれにOPテーマやEDテーマがありますが、誰が決めたのか互いのカテゴリでキャスティングを干渉させないような空気が出来上がっている。これは作り手のメーカーだけでなく報じるメディア側の問題でもあるのですが……。

湯浅 でもその線引きって、『けいおん!!』以降、だいぶなくなった印象があるんですよね。

ぴょん太 『けいおん!!』はオリコンで1位も獲りましたから。

湯浅 『けいおん!!』以降じゃないですか? いわゆる一般のアーティストの方でも「アニメが好きだ」って公言するようになったのは。

西原 たしかにそうやって2010年代になってオープンになった感覚はあるのですが、倖田さんが『トータル・イクリプス』を担当することになったときの反発は大きかったんですよ。「栗林みな実がいるのにどういうことだ!?」みたいな声が。けど「Go to the top」がめちゃくちゃカッコいい曲だったので、O.A.が進むにつれて騒ぎは収束していくという結果に。

ぴょん太 自分はそもそもそういうことを気にせずに聴いていましたけども。

西原 そう、そういうフラットな姿勢が本来正解なんですよね。だからこれを機に改めてグッドアニソンとしての「Go to the top」を聴いていただければなと。

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