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REVIEW&COLUMN

2015.07.27

第5回【湯浅かえでと選ぶチャートTOP50殿堂ソング 2010-2015】

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紅白歌合戦がもたらしたもの

西原 はい、そんな感じで2013年です。

湯浅 わたしサンホラーなんです。

西原 ちょっと、いきなりそんな告白されても困ります(笑)。

湯浅 陛下が紅白歌合戦に出られたのが夢のようで……。ここでも特大の合唱団を引き連れて。

ぴょん太 ちょっと、読者が置いてけぼりになってますよ〜。

西原 湯浅さんがおっしゃるとおり、この年のトピックスといえばとにかく「自由への進撃」でしたね。

湯浅 素晴らしかった〜。Sound HorizonではできなかったことをLinked Horizonでやったという感じですね。

西原 元々非常にコンセプチュアルな作品づくりをされている方が、本気でひとつの原作とコラボして楽曲を創り込んだらこうなるっていう、Revoさんの“物語音楽家”としての実力を改めて見せつけられた気分です。

湯浅 アニソンクラブでかかりまくっていましたよね。みんな“イェーガー”って叫んで。

西原 そうそう、DJもテキーラの代わりにイェーガーマイスターってお酒をショットで飲んで。

湯浅 ひ、ひどすぎる(笑)。

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ぴょん太 紅白繋がりでいくと、水樹奈々さんとT.M.Revolutionさんの「Preserved Roses」はいかがでしたか?

湯浅 紅白のときもミュージックビデオのときも、このふたりのコラボって、デュエットというより完全に“戦い”ですよね。本当に濃いと濃いの掛け合わせというか。

西原 ちなみにこの曲がきっかけで、いわゆる民放の歌番組に水樹さんが出るようになりましたよね。それから2年が経って、「ミュージックステーション」にLiSAさんと藍井エイルさんも出演されて。やはり水樹さんが近年のアニソン界のパイオニアであり続けていることを証明したコラボだったのではないかなと思います。

湯浅 たしかに、ますますアニソンとJ-POPの垣根が低くなったような気がしますね。

ぴょん太 ちなみに2013年は、『ラブライブ!』の第1期が放送された年でもあるんですよ。

湯浅 ああそうでした! TOP50のチャートには1曲しか入っていなかったので気付きませんでした。

ぴょん太 しかもそのチャートインした「Music S.T.A.R.T!!」はアニメが終わってからのシングル。

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西原 そうか、このときはまだCD売上が上位に入っていないんだ……。そう考えるとすごいコンテンツですよね。2010年の始動から耐えに耐えて、(CD売上的には)2013年末から花開くっていう。改めて面白い成長曲線を描いた作品だったんだなと思います。今や週間チャートのTOP10に3曲がランクインするお化けっぷりですからね。

一極集中型へと変貌し始めたチャート

西原 さあ、2014年です。CD売上のTOPは「ゲラゲラポーのうた」でした。

湯浅 これも紅白出場組ですね。

西原 そういえば先日、ZZROCKさんの正体がテレビで明かされていましたね。もうひとりのゲラッパーさんも時間の問題でしょうか。アニソンファンならみんな気づいていると思うんですけどね(笑)。

ぴょん太 ラッパーのあの人ですね(笑)。

湯浅 私の2014年ベストはLiSAさんの「Rising Hope」。これはもう絶対マストで。

西原 僕は『ダイヤのA』のGLAY。先ほどの“アニソン論”にも関わってきますが、僕にとってはGLAYの参戦は意外ではなく「ついに来たか」という印象だったんですよね。

ぴょん太 GLAYといえばHISASHIさんが昨年の“リスアニ!ナイト Vol.01”に遊びに来られたそうですね。

湯浅 えっ、そうなんですか!?

西原 実はそうなんですよ。突然メーカーさんから「ゲストに余裕ありますか?」と連絡があって(笑)。ちょうど声優の遠藤ゆりかさんに楽曲提供したり、「もってけ!セーラーふく」の“ver.hisashi”をネットに上げていた頃で。

湯浅 HISASHIさんって『けいおん!』も好きだってツイッターでおっしゃっていましたよね。すごいなあ。もうなんでもアリですね(笑)。

西原 作品的に2014年はいかがでしたか?

湯浅 『神撃のバハムート』。

西原 ああ! あれはすごかったですねぇ、クオリティが。Cygamesさんの一社提供作品で、劇伴の取材をしたんですが、あれ、TV放送なのにすべて5.1chで作ってあるんですよ。なのでブルーレイはもちろんオール5.1ch仕様。

湯浅 『ピンポン THE ANIMATION』も素晴らしかったですよね。爆弾ジョニーさんの「唯一人」とか。

ぴょん太 自分は2014年ならμ’sのアーティストとしての圧倒的な強さに敬意を表しつつ、アイドルアニメ好きとして『Wake Up, Girls!』を推したかったのですが……残念ながら楽曲がTOP50にチャートインしていないという。

西原 『ピンポン』にしても『Wake Up, Girls!』にしても、アニソン系クラブではアンセムになっているのに、チャートではTOP50に入れていないという現象が2014年では目立っているかもしれませんね。『SHIROBAKO』とか『ハナヤマタ』とか『月刊少女野崎くん』とか。さらに言うと2013年末に発売された『機巧少女は傷つかない』の「回レ!雪月花」も2014年のチャートに入っていておかしくないのに、TOP50に入っていないんです。

湯浅 2013年末だとTridentとミネラル☆ミラクル☆ミューズも入ってないのはおかしいかも!

ぴょん太 そこはμ’sと『妖怪ウォッチ』関連曲だけで10曲以上がTOP50にランクインしてますから、仕方のないことかもしれませんね。

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“アイドルアニメ”の完全制覇

西原 そして、2015年の上半期です。気がつけば今年も半分が過ぎたんですね。1月、4月クールのアニメはいかがでしたか?

湯浅 『艦隊これくしょん -艦これ-』、すごいですよね。

西原 『艦これ』は想像以上にヒットしたというのが正直な感想ですね。

ぴょん太 自分もゲームで大きな話題になってから期間が空いていたというのが引っ掛かっていましたけど、いざ観てみたらものすごいクオリティでびっくりさせられました。

西原 先ほど、クラブシーンでは大絶賛されていて2014年のチャートに入って然るべきだったと述べた『月刊少女野崎くん』の「ウラオモテ・フォーチューン」と「回レ!雪月花」がヒゲドライバーさんの作曲。『艦これ』の「海色」でようやく、彼の実力がCD売上にも反映されたという感じですね。

ぴょん太 あと自分的には戸松遥さんの「courage」がすごく良かったですね。彼女にとっても久しぶりの大ヒットで、2014年末発売ですけど2015年のチャートに上位ランクインしています。けど2015年の上半期は言うまでもなく『アイドルマスター シンデレラガールズ』の独壇場ですね。こうやってチャートで見てみると、ここ2年くらいの『アイマス』と『ラブライブ!』の圧倒的強さが目立ちます。

西原 ほんと、凄まじいものがありますよね。2015年は6月に『ラブライブ!』の劇場版があって、7月には『アイマス シンデレラ』の2クール目があるから……下半期のチャートもこの両者で独占されてしまいそう(笑)。

ぴょん太 2015年のアニソン界はこの2大巨頭に他作品がどう肉薄するか、という構図になると思います。現段階では『うたの☆プリンスさまっ♪』が最有力ですけど、7月クールのアニメでどんなヒットソングが生まれるか、注目したいですね。

湯浅 それにしても、男女ともいわゆるアイドルアニメの楽曲がすごい勢いですね。

ぴょん太 そうですね。この5年分をチャートで見る限りでは、“アイドルアニメ全盛の時代”という解釈が正しいのではないでしょうか。

西原 そうですね。CDの売り方や売れ方も含めて、完全にアニソン界もアイドル時代に突入していると思います。 

Photography By 山本哲也 / Text By 西原史顕

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<プロフィール>
ゆあさかえで/2014年より声優として活動を開始。TVアニメ『ガンスリンガーストラトス』まぐま役、ゲーム『アイドルクロニクル』MIU役などを務める。また、ニコニコ生放送「ニンジャスレイヤー フロムネットテレビジヨン」ではMCを担当。アクロス エンタテインメント所属。

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