リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2015.12.01

三ツ星が舞う夜、12時過ぎの絆の魔法。「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 3rdLIVE シンデレラの舞踏会 – Power of Smile -」2日目公演レポート!

1

『アイドルマスター シンデレラガールズ』の3rdライブイベント「シンデレラの舞踏会 Power of smile」が11月28日・29日、幕張メッセホール9〜11を利用した特設ステージで行なわれた。今回は29日に開催された2日日公演をレポートする。

2

TVアニメ『シンデレラガールズ』では、シンデレラプロジェクトの14人の仲間がプロデューサーや、346プロのアイドルたちと絆を深めていく姿が丹念に描かれた。そして『2nd Season』において、彼女たちが自分たちの目指す理想とアイドルとしての輝きを示す場として目指したステージが「シンデレラの舞踏会 Power of smile」だった。その名を冠した今回のライブは、TVアニメ『シンデレラガールズ』と、そこでアイドルを演じてきた出演者たちにとってひとつの集大成となるものになった。

2日目には大橋彩香(島村卯月役)、福原綾香(渋谷凛役)、原紗友里(本田未央役)、青木瑠璃子(多田李衣菜役)、五十嵐裕美(双葉杏役)、大空直美(緒方智絵里役)、大坪由佳(三村かな子役)、黒沢ともよ(赤城みりあ役)、洲崎綾(新田美波役)、高森奈津美(前川みく役)、松嵜麗(諸星きらり役)、山本希望(城ヶ崎莉嘉役)、佳村はるか(城ヶ崎美嘉役)、飯田友子(速水奏役)、佐藤亜美菜(橘ありす役)、髙野麻美(宮本フレデリカ役)、照井春佳(櫻井桃華役)、東山奈央(川島瑞樹役)、松井恵理子(神谷奈緒役)、安野希世乃(木村夏樹役)、ルゥ ティン(塩見周子役)が登場した。2日目に参戦のキャスト陣を見ればわかる通り、アニメ2nd Season、そしてプロジェクトクローネによりフォーカスしたセットリストになった。

34

もう一人の出演者について語るために、まずは15曲目「Wonder goes on!!」の話から始めよう。この日、ライブ前説を担当したのはスクリーンの「安部菜々」と、“突撃まりえっPの突撃隣のプロデューサー!”と題したフロアレポートを担当した三宅麻理恵だった。私服の三宅は自身もアイマスを愛するプロデューサーならではのテンションで会場のプロデューサーと会話して周り、会場とライブビューイングの観客を楽しませた。

「Wonder goes on!!」は、アニメ第19話のEDだ。猫耳、ウサミミというよく似たアイテムを身につけたプロ同士の、前川みくから安部菜々への尊敬の気持ち。そして、みくとの*(Asterisk)という大切なユニットと、木村夏樹が見せた本物のロックの間で揺れた多田李衣菜の想い。それらを全部受けて高森、青木、安野、三宅の4人が歌った楽曲だ。前日の高森と三宅の「ミミミン」コールの共演、そしてこの日「Rockin’ Emotion」を歌い終えた安野とこれから「Twilight Sky」を歌う青木の信頼のハイタッチを受けての披露は、まさにアニメの物語とリンクしたライブならではの高揚がある。だがそれだけに、高森、青木、安野、松嵜の4人がセンターの円形ステージに登場したとき、ここに三宅もいたら最高なのにな、会場にはいるんだし…と誰もが夢想したはずだ。その想いがまさに去来するタイミングで、センターステージの中央、4人が並ぶ円の中央から、右腕とうさみみを高々と掲げた三宅が登場したときの歓声の大きさは忘れられない。観客が何を思い、何を願うのかを理解したうえで、完璧な回答を用意するプロの仕事だ。高森と三宅、そして松嵜のキュートな歌声と、青木と安野のロックな歌唱。個人的にはロック一年生の李衣菜よりも今の青木の方がステージではかっこいいのではないかと思うのと、「木村夏樹」と安野の歌声の個性はこの楽曲の中では鮮烈すぎるので、キュートサイドに松嵜が加わったこの5人はとてもバランス良く感じた。最高にハッピーなエアギターの五重奏で最高潮を迎えた楽曲が終わると、三宅は「楽しかったねー!!」と笑顔で叫んでいた。この曲に関して、松嵜は自分が「Wonder goes on!!」に入っていいのかな、と悩んだという。その松嵜が思わず涙をこぼしたのが、青木の「今日はうさみんときらりとみくと、何よりなつきちと無事ステージに立てて、すごく楽しい舞踏会でした!」との言葉だった。4人の中に入っていいのかな、と自分より周りを気遣う姿と、青木が意識せずに自然に彼女を仲間として声をかける姿に、Asteriskとナツナナの中にきらりが入ったらきっとこんな感じなんだろうな、と思った。

56

2日目はプロジェクトクローネから飯田友子(速水奏役)、佐藤亜美菜(橘ありす役)、髙野麻美(宮本フレデリカ役)、照井春佳(櫻井桃華役)、ルゥティン(塩見周子役)の初ライブ組と福原、松井が参加した。東山との「Nocturne」で、高垣楓のパートで独自の存在感を見せた飯田のポテンシャルは、冴え渡るような存在感と挑みかかるようなダンサーたちのコントラストで魅せた「Hotel Moonside」でさらに開放される。最初はダンサーたちの圧倒的なムーブやソリッドな映像表現が織りなす世界観に驚嘆したが、きらびやかなEDMサウンドを弦のピンと張った弓を限界まで引き絞ったような飯田のロングトーンが射抜いていくと、彼女の存在に意識が引き寄せられていく。ラストの「One,two,kiss kiss」で口唇に手をやった飯田の蠱惑的な表情は奏そのものだった。

78

メイドたちと共に桃華ならではの世界を見せた照井、扇を振るいながら浮世離れした空気感と和の世界を見せたルゥ。パリの街並みを背景に、街のパン屋やウェイトレスたちを巻き込んだフラッシュモブのような髙野の「き・ま・ぐ・れ Cafe au lait!」には大橋や高森も参加。さりげなくパン屋からパンを買った大坪が本当にそのパンを食べてしまい共演者を和ませる一幕は、クローネも346プロの仲間として舞踏会に出ていることを感じさせてなんだかうれしい。CANDY ISLANDに佐藤が加わっての「Heart Voice」は新鮮な驚きだった。佐藤、ルゥ、飯田の初参加組の「メッセージ」の途中で、両サイドからシンデレラプロジェクトのメンバーが歩いて入ってきたのは、『シンデレラガールズ』の世界へようこそ、のメッセージを伝えているようだった。

9

プロジェクトクローネで美城常務が目指した、クールで気高く少し遠い、憧れの存在としてのアイドルの象徴のような存在であるユニット・トライアドプリムス。今回は福原と松井がライブに参加し、残念ながら北条加蓮役の渕上は参加が叶わなかった。今回のライブのコンセプトを考えれば、新鮮なメンバーを加えての3人で歌う選択肢もあったはずだし、3人のバランスが良いボーカルの三重奏が魅力の「Trancing Pulse」で、高音担当の渕上がいないのはいかにも痛い。だがあえて、頂点がひとつ欠けた三角形で歌う姿からは、トライアドは、そして「Trancing Pulse」のライブ初披露はあの3人以外では考えられないという強い意志が感じられた。渕上の不在をカバーするように、ここにはいない渕上に届けとばかりにいつも以上の気迫と音圧で歌った双翼の「Trancing Pulse」は、美城常務が目指した「完璧さ」ではなかったが、とても人間的で心に残る歌唱だった。

1010.5

松井のソロの「2nd Side」は、気合が乗りきった「行くぞー!!」の叫びや、会場全体を巻き込んでの「ほ・し・い・の!」の大コールなど、松井と会場のパワーが相乗効果で高まっていくようだ。歌詞中の「虹色橋」のフレーズで過去最大の虹の橋が会場中にかかったときには、松井が一瞬息を飲んだような気配が伝わってきた。「みんな大好きだー、虹色橋、ありがとー!」のどこまでもまっすぐな感謝の声が気持ちいい。

そしてクローネコーナーで圧巻の印象を残したのが、佐藤亜美菜の「in fact」だった。センターステージがゆっくりとせり上がり、登場した佐藤がとつとつとささやくように、語るような歌声。アニメの集大成のライブという意味では、今回パートナーの鷺沢文香が不在のありすは、大きな物語を背負っているわけではない。だがその佇まいと空気感に、1万7000人が引きこまれた。彼女がゆっくりとメインステージを向き、こちらに背を向けると、小さく見える背中と結わえた大きなリボンのバランスが儚く、「ありす」の後ろ姿を感じさせる。そして、もう一度こちらを振り向いたとき、彼女の胸に去来したものはなんだったのか。潤んだ瞳と真一文字に結んだ口元からは、溢れる想いと、絶対にありすとして歌い切るプロとしての覚悟のせめぎ合いが伝わってきた。ありすの背中と、佐藤亜美菜が背負う想いの物語に、ふるえが走ったステージだった。

1112

初日がアニメ「1st Season」の「ユニット」という枠を軸にした物語だとすれば、2日目はシンデレラプロジェクトの、そしてその枠を越えた個人と個人の結びつきの絆を強く感じさせたように思う。「GOIN’!!!」の圧倒的な盛り上がりは初日も負けてはいない。だが、そこに今日はリーダーの新田美波が、洲崎綾がいると思うだけで見る側の気持ちや見え方さえ変わるのは不思議だ。2日目LOVE LAIKAの「Memories」は洲崎と、福原・佳村が担当した。向かい合わせの2人の舞うようなシンメトリーが魅力の曲だが、今回三角形の頂点に立った3人はそれぞれに違う客席を向き、ポジションを入れ替えながらも隣り合うことはなかった。指先までピンと神経の通った洲崎の姿は強く新田美波を感じさせたが、今回はいわば「1+1+1」の「Memories」。歌い終えた洲崎が「シンメトリーの振付ではすみぺと一緒にいるイメージだった」と語って、すごく腑に落ちた気がした。

1314

「DOKIDOKIリズム」を姉・美嘉役の佳村と一緒に歌った山本。松嵜の「ましゅまろ☆キッス」にあんきらとして参加した五十嵐。つながりや絆を感じさせる曲はたくさんあったが、一番キャラクターとキャラクター、演者と演者の絆を感じたのは、「つぼみ」だった。センターステージが2段のウェディングケーキのようにせり上がり、真ん中の高台に立った原紗友里は瞳をキラキラと輝かせ、入り込んだ表情は神々しい美しさすらたたえる。2段目では、高森と青木が、五十嵐と松嵜が、山本と黒沢が並んでステージに腰掛けた。高森と青木のお互いの信頼を感じさせる表情と空気感。山本にこてん、と頭を預けて甘える黒沢とそれに応える山本。きらりと杏の目線が同じ高さになる座り方で、ぎゅっと手をつないだ松嵜と五十嵐。そこにはキャラクターだけじゃない、今まで一緒に頑張ってきたキャストたちの関係性もはっきりと見えた気がした。そうなると妹とも離れ、一人で座っている佳村は少し寂しくも感じるが、おだやかな表情で音に乗っている佳村の姿からは、シンデレラプロジェクトの一歩外側ではあるけれど、一番近くに一緒にいる美嘉の距離感を感じた。

「つぼみ」の高舞台に立ち、一人で進む冒険で新しい輝きを見つけた未央と原。そこに背中合わせで寄り添ったのは、福原だった。「心もよう」。どこまでも透明な福原の歌声と、儚さと芯の強さを共にたたえた原の歌声。2人で歌うと、この曲は卯月と彼女の笑顔が戻ってくることを信じる歌として響く。歌が終わると共に沸き起こった、歓声ではなくさざめくような拍手に応えるようにシンデレラの時計が針を進めると、2人の間に帰ってきたのはもちろん、島村卯月役の大橋彩香だ。ここで歌われた「流れ星キセキ」は「心もよう」への、そして「ミツボシ☆☆★」へのアンサー。ひとつ星たちが集まって、みっつ揃って流星になる物語を、会場と劇場に集ったプロデューサーたちは忘れないだろう。

1517

「流れ星キセキ」を歌っているとき、ファーストライブでも、セカンドライブでも、周りがどんなに涙に包まれても、泣きたいときほどセンターとして、最後の要を担う存在として笑顔でステージを支えてきた大橋の瞳が赤く潤んだ。正直、今は泣いてもいいんじゃないかな、と思った。このステージでは、同じ場所で支えてくれるかけがえのない仲間がいるのだから。だが次の曲、ほとんど間を開けずに「S(mile)ING」のイントロが流れた瞬間、少し鳥肌がたった。笑顔の大橋からは、瞳の赤みも、涙の気配さえも消えていた。混じりけなしの、100%純粋な笑顔。涙をこらえるのではなく、その歌の意味を、卯月の想いを伝える一心で消し去る。それは本当に魔法のようだった。

「S(mile)ING」では、第24話の卯月の涙のステージを再現するのかなと思っていた。しかし、ステージに戻ってきて、一緒にキラキラと輝いてくれる仲間がいて、それを見守ってくれる人たちを感じるこの場所は、アニメで震えながら一人立ったステージとはまた違うはずだ。今この場所で、卯月ならどう歌うか。それは今まで見たことがない新しい「S(mile)ING」。笑顔なんて誰にだって、できるのだろうか? この笑顔は、島村卯月と大橋彩香だけにしかできないものだった。

1819

魔法の時間はいつか終わる。これまでの4年間と、1年間のアニメの想いを全て詰めこんだ集大成のライブ。だが、いつか加蓮と共にトライアドプリムス3人揃ってと叫んだ松井の願いや、洲崎と上坂の共演、まだまだ果たされていない物語はたくさんある。何より、この日CDデビューが発表された五十嵐響子、中野有香、二宮飛鳥、相葉夕美、大槻唯の物語の時計は、これから動き出す。

シンデレラの魔法は、確かにそこにあった。
そして、これからも12時過ぎの魔法は、続いていく。

Text by 中里キリ

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 3rdLIVE シンデレラの舞踏会 – Power of Smile –
1129 幕張イベントホール 2日目セットリスト

M01:お願い! シンデレラ(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
M02:Star!!(大橋、原、福原、高森、青木、五十嵐、大空、大坪、山本、黒沢、松嵜、洲崎、佳村)
M03:ススメ☆オトメ 〜jewel parade〜(安野、東山、松井、佐藤、飯田、ルゥ)
M04:できたてEvo! Revo! Generation!(new generations/原、大橋、福原)
M05:Heart Voice(CANDY ISLAND/五十嵐、大坪、大空 + 佐藤)
M06:ラヴィアンローズ(照井)
M07:青の一番星(ルゥ)
M08:き・ま・ぐ・れ Cafe au lait! withうづみく(髙野、大橋、高森)
M09:私色ギフト(凸レーション/松嵜、山本、黒沢 + 佳村)
-瑞樹と美嘉のマッスルキャッスル・トーク-
M10:Rockin’ Emotion(安野)
M11:Twilight Sky(青木)
M12:Nocturne(東山、飯田)
M13 Memories(洲崎、福原、佳村)
M14:2nd SIDE(松井)
M15:Wonder goes on!!(*/高森、青木 + 木村、松嵜、三宅(secret))
-MC-
【スペシャルロングメドレー】
M16:Shine!!(大橋、原、福原、高森、青木、五十嵐、大空、大坪、山本、黒沢、松嵜、洲崎、佳村)
M17:Orange Sapphire(三宅、照井、安野、髙野)
M18:DOKIDOKIリズム(山本、佳村)
M19:Angel Breeze(東山、黒沢、原)
M20:ましゅまろ☆キッス(松嵜、五十嵐)
M21:アタシポンコツアンドロイド(大橋彩香、高森奈津美、大空直美、大坪由佳、三宅麻理恵)
-蘭子とアナスタシアのウェーブでPOWERを送りましょう-
M22:We are the friends!(東山、洲崎、松井)
M23:-LEGNE- 仇なす剣 光の旋律(福原、青木)
M24:Nebula Sky(凸レーション/松嵜、山本、黒沢)
M25:メッセージ(佐藤、ルゥ、飯田)
M26:GOIN’!!!(大橋、原、福原、高森、青木、五十嵐、大空、大坪、山本、黒沢、松嵜、洲崎、佳村)
-ちひろの休憩前MC-
M27:Absolute Nine(福原、ルゥ、高野、松井、照井、佳村、佐藤、飯田)
M28:Hotel Moonside(飯田)
M29:in fact(佐藤)
M30:Trancing Pulse(福原、松井)
M31:この空の下(大空、大坪、洲崎)
M32:つぼみ(原、山本、黒沢、佳村、高森、青木、松嵜、五十嵐)
M33:心もよう(福原、原)
M34:流れ星キセキ(new generations/大橋、原、福原)
M35:S(mile)ING(大橋)
M36:夢色ハーモニー(大橋、原、福原、高森、青木、五十嵐、洲崎、大空、大坪、山本、黒沢、松嵜、佳村)
M37:M@GIC☆(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
M38:夕映えプレゼント(大橋、原、福原、高森、青木、五十嵐、洲崎、大空、大坪、山本、黒沢、松嵜、佳村)
EC01:とどけ! アイドル(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
EC02:お願い! シンデレラ(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)

© BNEI/PROJECT CINDERELLA

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP