田村ゆかり ニュー・アルバム『螺旋の果実』発売記念 スペシャル・インタビュー!

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11月20日に通算10枚目となるアルバム『螺旋の果実』をリリースした田村ゆかり。2013年のハイライトとなった6月のさいたまスーパーアリーナ公演、そして9月の横浜アリーナ公演というふたつのライブ、そして待望のニュー・アルバム。そのふたつをテーマに、2013年の彼女が描いた美しい螺旋、その秘密に迫る。

――まずちょっと前のお話になりますが、6月のさいたまスーパーアリーナでのワンマン開催についてお伺いしたいと思います。改めて、あのステージに立った感想はいかがでしたか?

田村 あの……生きた心地がしなかったですね(笑)。

――MCでも「手が震える」と言っていましたが、相当の緊張がありましたか。

田村 本当に手が震えて震えて、「いかん!」と思いまして(笑)。「今まで私はどうやって息をしていたのだろう?」と思うぐらい緊張していましたね。

――もちろん過去に“Animelo Summer Live”で立っていたステージではありましたが、ワンマンとなるとまた違う緊張があったわけですね。

田村 “アニサマ”は出演者がたくさんいるというのもありますし。ひとりで立ってひとりでお客さまと向き合うのはプレッシャーで。

――確かにあのときの緊張感というのはある種独特で、客席にいるファンも同じような緊張感があったと思うんですよ。だから個人的には、初日の1曲目の「Fantastic future」が流れた瞬間に安堵感にも似た、とてつもない感動があって。

田村 安堵感ありました?私、「あわわわ」ってなっちゃって(笑)。歌っていて自分の声が震えたりしているのがわかるぐらいめっちゃ緊張していましたもん。「これはもうあかんやつや」と思っていました(笑)。

――ああいう雰囲気はなかなか味わえないと思うんですが、ちなみに最初の武道館のときと比べていかがですか?

田村 緊張しないライブはないし、武道館もやっぱり緊張したと思うんですけど、たださいたまのほどではなかったかなって。やっぱりさいたまは特別な感じですね。そんなにたくさんのアーティストさんがやれる場所ではないと思っていますし。

――それを通過したのもあって、9月に開催された横浜アリーナ公演はどこか、そこから解放された雰囲気があったステージだと思ったんですよ。

田村 そうなんですよね(笑)。生意気だと思うんですけど、“横浜アリーナの安心感”というのがあって。

――確かに、昨年は2回ワンマンを開催した場所でもありますし、それもあって「帰ってきた」感があったのかなと。

田村 もちろん横浜は1日だけなのでほぼぶっつけ本番という緊張感もあったんですけど、横浜アリーナのほうが帰ってきたホームみたいな感じがあって。横浜アリーナがホームだなんて生意気すぎるだろうって思うんですけど、イベントでも何回も立っていますし神奈川でやることも多いので、横浜っていう時点でほっとする(笑)。ただやっぱり緊張していましたよね。私もそうですけど、スタッフさんもぶっつけじゃないですか。変わった構成にしちゃったし。

――あとさいたまで印象に残ったのが映像ですね。過去にも映像面も強化していきたいということはおっしゃっていましたが、そのひとつの回答がさいたまでのコンセプチュアルな映像の使い方なのかなと。

田村 そうなんですよね。まず自分が映像に興味を持ったというのが大きいんですけど、今まではとりあえず着替えを繋ぐための場当たり的な映像で、それをずっと個人的に変えたいと思っていたんですよね。それで信頼できる監督さんと出会えたことで、ライブの構成も含めたまとまった映像をお願いできて、ああいった一本の物語的な映像になったんですね。

――さいたまで映像の進化があって、それは横浜アリーナでもピンポイントではありましたが踏襲された印象がありましたね。

田村 そうですね。今はいろいろ制限があるなかで「面白いことをやりましょう」と言ってくださる映像スタッフさんたちがいるので。ただ、それがツアーとなると同じお客さんが来てくださることもあるので映像の使い方も変わって、また遊びのある映像も入るかもしれないですね。

 

「やりたいことをやりたい」と言えるから、今が楽しい

 

――その9月の横浜アリーナ公演ですが、1日公演でさまざまな仕掛けがある内容ということでまた別の緊張感があったわけですよね。

田村 そうなんですよ。一回こっきりの緊張感はあったんですけど、一回しかないから要所要所で驚く仕掛けがいいかなと思って。だから最初は絶対神楽坂(ゆか)さんがいいと思ったし、神楽坂さんが映像から出てきた感じのステージがいいよねって以前から話していて。もう当日リハーサルする時間がないっていうのに、あの小芝居のところばっかり段取りを確認していて(笑)。

――また冒頭の映像がまた結構たっぷりなボリュームで。

田村 あれは撮ってもらっていて私も楽しくなっちゃって、最初はコンパクトな内容にしようという話だったんですけど、私が「長くしたい!」と言って(笑)。こういう表現もしたいんだよねっていうところが出ましたね。

――しかし横浜のライブでは、田村さん演じる神楽坂ゆかさんのステージからスタートするのには度肝抜かれましたね。観客もビックリした反応で。

田村 「何が起こったんだろう!?」っていう反応で(笑)。

――みんなゆかりんファンだけに、ゆかたんも推していいか一瞬迷ったと思うんですよ(笑)。その空気感が面白くて。

田村 そうなんですよね(笑)。ゆかたんもゆかりんなんだけど、ゆかたんを応援しちゃうと、ゆかりんは「ゆかりんのこと飽きちゃったの?」って言うめんどくさい人だから(笑)、「どっちを応援していいんだろう?」っていう。

――ゆかたんの初々しいところもまた魅力的なんですけどね。そのあと休憩を挟んで田村さんのステージが始まりましたが、その前に4曲もやっているから開幕からすごい盛り上がりで。

田村 そうですね。私も最初からなぜか疲労感が(笑)。あと、自分的には最大の仕掛けが神楽坂さんの前座だったからちょっと達成感もあって。「あれ? まだ始まってないの?」っていう気分になっちゃって(笑)。

――もちろんそこからのステージも非常にゴージャスな素晴らしい内容で。さまざまなコーナーも含めて改めて田村さんが楽しんでパフォーマンスしているなって見えました。

田村 そうですね。さいたまあたりから、「やりたいことをやりたい」って言ってみようって思って。やれないことの方が多いですけど(笑)、でも、だから今が楽しくやれているのかなって思いますね。

 

「W:Wonder tale」からリピートして、冒頭にそのまま繋がってほしい

 

――そして、9月の横浜アリーナ公演でも披露された新曲を含む10thアルバム『螺旋の果実』ですが、ライブやゆかたんの楽曲レコーディングなどあるなか制作されていたんですよね。

田村 そうですね。ライブがあるときは制作が止まっていましたけど、横浜アリーナのライブが終わった頃から制作が追い込みに入った感じですね。

――今回聴かせていただいて、いわゆる田村さんらしいポップなものから、ハードなものまでバラエティに富んだ内容ですが、全体的な構成も含めて非常に素晴らしいアルバムだなと思います。

田村 本当ですか? 私、そこがまだわからないんですよ、自分の作品というものもあるので。ただ今回に関してはわりとずっと聴いています。今までの作品も自分が歌いたいものや伝えたい気持ちということを歌詞に書いてもらって歌っていたんですけど、今回はより自分の気持ちに寄ったアルバムだと思うので、それもあってよく聴いていますね。

――今回は特にアルバム一枚の流れが素晴らしいなと思いましたが、曲順決めも結構悩みましたか?

田村 悩みましたね。スケジュール的にアレンジが最後まで固まらないまま決めなきゃいけないこともあって、悩んだ部分も多かったんですよね。いろいろ考えて、最初は「LUNATICA MARE」から始めようかなって曲を並べたりもして。あと「PINK AQUARIUM」を1曲目にしてやってみたり。でも前のアルバムから1年以上空いているので、ある意味期待は裏切らないようにしたいなというのもあって。

――オープニングは「スパークリング☆トラベラー」という、いわゆる王道的な田村ゆかりサウンドで行こうと。

田村 そうなんですよ。これで「はじめまして」っていう人もいるので、いきなり変化球投げるよりかは、“ザ・ゆかりん”からスタートしたほうがいいかなって思って。

――この構成はいわゆる田村さんのライブの構成に近い印象を受けたんですよね。

田村 ちょっと近いかもしれない。それでいうと1曲目は初出しの曲にしたいと思っていたんですよね。私の好きなアーティストさんの作品でも、再生したときのゾワっとした感じがすごく好きなんですよね。「スパークリング☆トラベラー」は横浜アリーナのライブで映像を作ったりしてすでに披露している曲じゃないですか。だからここで初めて聴いたものにはならないかなと思ったんですけど、でもやっぱり開幕はこの曲しかないという。

――一方、アルバムのエンディングは「W:Wonder tale」です。シングル曲で終わるというのも珍しいですよね。

田村 これも本当を言うと既存曲では終わりたくなくて。でも今回は、ループで延々と聴いてもらいたいという意図があったんですね。「W:Wonder tale」からリピートして、「スパークリング☆トラベラー」にそのまま繋がってほしいなというのと、「W:Wonder tale」の爽やかな終わりにしたくて。そこからいつの間にか1曲目に戻っていたという作りにしたいなと。

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