INTERVIEW
2013.11.26
自分の好きな曲たちが集まる、クールなゾーン
――なるほど。そこを含めてアルバムを、順を追って聴いていくとその構成の巧みさがわかるというか。序盤は冒頭の「スパークリング☆トラベラー」から始まって、実にポップな流れですよね。
田村 “ザ・ゆかりん”という感じですね。「Moonlight secret」はちょっとおとぎ話的なファンタジーで。「キャンディスターにお願い」は切ない感じの、夜空をイメージさせる曲ですね。いわゆる“乙女ゾーン”です。
――そのあとの「Funtastic future」までがいわゆる“乙女ゾーン”。この曲もライブでの熱量も含めて、改めて今年を代表する一曲になりましたよね。
田村 まあみんな大好きですよね。そんなに好きかと(笑)。こっちが思っていた以上に好きだなって思いました。あと太田(雅友。プロデューサー)さんの知り合いのミュージシャンやアレンジャーさんが言っていたみたいなんですけど、よくまあこんな呪いみたいな曲を作ったなと(笑)。フレーズが頭から離れない曲なんですよ。こんなキャッチーな曲を作って、「なんてことしてくれたんだ」って(笑)。
――確かにサビの中毒性がハンパないですよね(笑)。そこから序盤のクライマックスのようなバラード「微笑みのプルマージュ」へと続きます。
田村 落ち着いた包み込む感じがありますよね。これで一度乙女ゾーンをクールダウンさせるという意味で、ここの位置に置いたらいいのかなって。
――そこから中盤、いわゆるクールなゾーンに入ります。まず「アジュールの実」ですが、コーラスワークも非常に効果的ですね。
田村 「アジュール」に関してはアルバムのどこにでも置ける曲ですね、ぬるっと入ってくるので。ボーカルも加工もされていたりして。コーラスを入れること自体は好きな作業なんですよね。松井(五郎)さんの歌詞がまたいいんですよ。
――続いてはエスニックなフレーズが印象的なエレクトロ「LUNATICA MARE」。
田村 これはデモテープのなかから聴いてすぐに気に入って、「絶対やりたい」って思った曲ですね。ちょっと情熱的な感じもあって。
――そのあともフュージョン風味の「ナルシスが嘘をつく」のように、クールでカッコイイ楽曲が続きますね。
田村 やっぱり自分が好きだなって選びがちなのはこのゾーンなんですよね。「Passion Error」も本当にゴリゴリでゴンゴンなので(笑)。
――こうしたヘヴィなサウンドも新鮮ですよね。そこからソフト・ロックの「PINK AQUARIUM」で終盤に入っていくと。
田村 「乙女ゾーン帰ってきましたよー! 今まで火鍋食べさせたけど、甘いの来たよー!」っていう(笑)。
――火鍋ですか(笑)。確かにここからはデザート的な甘さで、アッパーな曲も続きます
田村 「純愛レッスン」もそうですが、ここは元気なものや、あま~い感じを意識していますね。
――そしてMV曲にもなった「恋と夢と空時計」へ。これがまた王道なアイドル・ポップスですよね
田村 これまでアルバムのリード曲は元気なものが続いたので、ここでゆったりした切ない曲をリードにしようかなと。
――そのままアコースティカルなバラード「Papillon」、切ない4つ打ちの「ひとりあやとり」でゆったりと、そして最後に「W:Wonder tale」でアッパーに……という流れも美しいですね。
田村 そうですね、ちょっと包み込むような感じで。「ひとりあやとり」は自分も大好きな曲で。最後に爽やかな感じで終わるという。
――改めて、各曲の密度も全体の構成も素晴らしいアルバムだと実感します。ちなみに、アルバムの初回限定盤につくBD/DVDには、ライブでおなじみのバーチャルデートが収録されていますね。今回は「スフィンクスに会いに行くのだ!編」となっていますが……。
田村 そうです、スフィンクスに会いに行きました(笑)。
――なるほど(笑)。今回の舞台はエジプト……になるんですかね。
田村 それは観てのお楽しみなんですけど、一応パスポートは持っていきました(笑)。あとサハラ砂漠に行ってきました……ていうか行ったところがサハラ砂漠だったんですよ(笑)。私が「大ボリュームにしたい!」ってわがまま言ったら、30分になりました(笑)。
来年のツアーも含む、「楽しい」2014年へ
――さて、本作をリリースしたあと、つまり2014年にはツアーも開催されますね。
田村 そうなんですよ、しかも初日がたまアリという、私のことを殺したいのかと(笑)。
――冒頭ですさまじいプレッシャーだと言ったばかりなのに(笑)。
田村 なので、みなさん助けてください!(笑)。
――わははは、懇願ですか(笑)。
田村 懇願です!(笑)。もう気が気じゃないですね。うれしいんですけど、まだ1年経ってないし。「早くね?」っていう(笑)。
――そうした大きな舞台が来年も待っているわけですが、今年もさまざまな大舞台を経験されました。今年はそうした活動を「楽しい」とおっしゃっていましたよね。
田村 そうですね。もちろん辛いこともありますけど、それも含めて今が楽しいっていう感じです。それが来年にも繋がるといいな、と。
――では、もうそろそろ年の瀬も迫ってきていますが、ここで来年の目標を語っていただきましょうか。
田村 部屋を片づける以外の目標ですか?(笑)。なんですかねえ……健康でいたいですね、心身共に。強い心を持ちたいです……あれっ、目標って精神面でもいいの?(笑)。
――多分大丈夫です(笑)。ではプレッシャーに耐える強い心を持つと。
田村 持ちたい、来年こそは(笑)。
Text by 澄川龍一
【プロフィール】
タムラユカリ/2月27日生まれの声優。『魔法少女リリカルなのは』シリーズ(高町なのは役)をはじめ、数々のアニメ作品でヒロインを演じ、絶大な支持を得る。一方で音楽活動でも数々の作品をリリース、今年は自身初のさいたまスーパーアリーナ公演2DAYSを大成功に収めた。2014年はアニメ『のうりん』にて木下林檎役で出演し、OPテーマを担当する。
【リリースインフォメーション】
10th Album 『螺旋の果実』 Now On Sale!
【初回限定盤】<CD+BD>
品番:KICS-91969
税込:¥3,990(税抜:¥3,800)
・スペシャルパッケージ仕様
・新曲「恋と夢と空時計」を含む、全4曲のMVのほか、
「田村ゆかりとバーチャルデート」&メイキングを収録
・36p写真集封入
【初回限定盤】<CD+DVD>
品番:KICS-91970
税込:¥3,990(税抜:¥3,800)
・スペシャルパッケージ仕様
・新曲「恋と夢と空時計」を含む、全4曲のMVのほか、
「田村ゆかりとバーチャルデート」&メイキングを収録
・36p写真集封入
【通常盤】<CD>
品番:KICS-1969
定価:¥3,000(税抜:¥2,857)
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