INTERVIEW
2026.06.19
ツインボーカルの圧倒的な歌唱力と、ブラスセクションが生み出す鮮烈なサウンド。その唯一無二の編成で、アイドルという枠を軽やかに飛び越えながら、オンリーワンの音楽を届けるCiONが、TVアニメ『転生したらスライムだった件 第4期』ED主題歌「渇望」で、初のアニメ主題歌に挑んだ。作品世界の深い闇と激情に真正面から向き合い、CiONらしい気迫と表現力を焼き付けたこの1曲は、彼女たちの新たな可能性を鮮烈に証明する。そんなニューシングル「渇望」収録曲と、CiONというグループについて、たっぷりと語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香
――CiONといえば、パワフルなツインボーカルと迫力あるブラスセクションが一体となったクオリティの高い音楽性とスタイリッシュなダンスパフォーマンスが融合。アイドルの枠を超えた、個性的でスケールの大きな音楽が魅力です。
栞音 個性はすごいと思います。メンバーの個性も豊かで、性格も全然違うんですよ。
――だからこそ、グループとしてのバランスが取れているのかもしれないですね。そんな栞音さんは、2016年からの結成メンバー。CiONリーダーとしてグループをまとめる立場ですね。
栞音 ……というか、みんなに支えてもらっています(笑)。
――ボーカリストとしての歌唱力の高さも折り紙つきですが、クラシックバレエ経験者でもあるとか。
栞音 はい、あとはバトントワリングも。なので、CiONでやっているポップス風なダンスは、実はちょっと苦手かも(苦笑)。
愛佳 え?今さら言っちゃう?
一同 (笑)。
――その栞音さんと一緒にパワフルなボーカルを聴かせてくれるのが、愛佳さん。愛佳さんも初期からのメンバーで、グループ最年少。CiONとしての活動を、なんと10歳から始めていたそうですね。
愛佳 はい、今年3月でようやく20歳になりまして。私は元々、地元の広島で小さい頃から色んな歌の大会に出ていて、CiONに入って……10年経ちました!
――サックス担当の佳子さんは、2018年に参加。サックスはいつから演奏しているんですか?
佳子 ずっと吹奏楽部で学んでいたんですが、顧問の先生が音楽大学のサックス科を卒業された方だったので、1対1でソロのプレイも教えてもらうようになり、私も音大に行きました。CiONではダンスもしなきゃいけないので、アルトサックスとテナーサックスをやっているんですが基本的には動きやすいアルトを吹いてます。
――ユーフォニアムとバストランペット担当の聖奈さんも音楽大学出身で、佳子さんと同じく2018年にCiONに加入されました。
聖奈 私も吹奏楽出身で、高校から音楽科に入ってソロに転向、そこから音楽大学に進みました。バストランペットはCiONに入ってから独学で、今はライブで両方演奏しています。
――リスアニ!は、アニメ音楽メディアですが、アニメファンにはユーフォニアム、すごく有名な楽器なんですよ。
聖奈 『響け!ユーフォニアム』ですよね! 楽器を弾くアイドルさんも最近多いですけど、ユーフォニアムって他のバンドにはなかなかない楽器なので、個性的で良いなって思います。
――そして杏実さんがCiONに加入したのは2021年。ピアノ歴20年で、音楽科を主席で卒業したとプロフィールにあります。ずっとクラシックピアノを?
杏実 はい。でもプロのピアニストとして食べていくのはやっぱり厳しいことなので、学生のうちに手に職をつけようと思って小中高と幼稚園の音楽の教育免許も取りました。その大学生の頃にCiONを始めました。
――メジャーデビューこそ2025年になってからですが、ミュージシャンとしての実力は超本格派の皆さん。さっき栞音さんから、メンバーの個性がかなり違うという話がありましたけど?
栞音 好きな音楽もバラバラです(笑)。
愛佳 毎週、メンバー全員で会議をするんですけど……。
聖奈 色んな角度からアイデアが出ますね。私はK-POPの演出などを観るのが好きだから、ライブでJ-POPのアーティストさんとは違う部分を提案するし、色んなアーティストを聴いてる楽器担当のメンバーからは、この楽曲にはこういうアプローチがいいんじゃないか?というアイデアも出ます。
佳子 やっぱり、せっかく珍しい編成でやっているから、それぞれの楽器が活きるような楽曲にしたいんです。ボーカルはもちろん、サックスが活きる曲、ユーフォニアムが活きる曲、ピアノが活きる曲……と、楽器の特徴を意識して曲を作ったり、演奏するようにしています。CiONにはトランペットがいないので、ブラスの上のパートはサックスが担当しなきゃいけないので、そういうバランス感も大事にします。
杏実 演奏のことでいうと、ピアノってメロディにもなれるし伴奏楽器にもなれるんですね。レコーディングは、聖奈ちゃんと佳子ちゃんの管楽器が先にレコーディングして、私が最後になることが多いから、ピアノは2人のフレーズの邪魔にならないように、バランスを取りながら演奏するようにしています。
――そんな楽器セクションの演奏へのこだわりがあり、栞音さん、愛佳さんのボーカルとハーモニーがより活きてくるんですね。
栞音 そう思います。そういうCiONらしさは、ずっと大事にしてきました。
――せっかくリスアニ!初登場なので、音楽メディア、アイドルメディアからはあまり聞かれない話もしていただこうかと。皆さん、アニメはお好きですか?
杏実 観ます! コロナ禍でおうち時間が流行りだした時に、アニメにすごくハマって、有名な作品から観始めました。最初は『進撃の巨人』で、『ONE PIECE』『僕のヒーローアカデミア』など少年ジャンプ系も大好きになりました。
佳子 私も杏実ちゃんと同じで、『進撃の巨人』はハマりました。あと吹奏楽でアニメソングは結構演奏することもあったので、「ウィーアー!」がきっかけで『ONE PIECE』も!
栞音 私も『進撃の巨人』はよく観てました。
聖奈 私は『東京リベンジャーズ』を漫画で読んでいてすごく好きで、アニメも母と一緒にハマって見ていました。
――皆さん、男の子っぽい作品が好きなんですね。意外!
栞音 あ、私は『NANA』も好きです。映画版も好きで、主題歌の「GLAMOROUS SKY」をライブで歌ったりもしました。
愛佳 私は、この間『桜蘭高校ホスト部』を観ました!
一同 おぉ~!(笑)。
愛佳 あと、元々小学生の頃はずっと『アナと雪の女王』が好きだったので、オラフのグッズをたくさん集めていましたし、ディズニーソングも色々歌っていました。
聖奈 そして私はやっぱり、『響け!ユーフォニアム』ですね。10年くらい前からやっているアニメだから、ユーフォニアムを演奏していて海外公演に行くと、私が主人公の名前で呼ばれたりして、すごく影響力があるなと感じます。TRUEさんが歌われている主題歌を演奏すると、SNSでもものすごく反響をいただきますし。『響け!ユーフォニアム』でユーフォニアムという楽器にも興味を持ってもらえるのは、演奏者として嬉しいです。
――そんなアニメも好きだというCiONが、今回『転生したらスライムだった件 第4期』(以下、『転スラ』)のエンディング主題歌「渇望」で初のアニメ主題歌を担当されました。作品のことはご存知でした?
愛佳 もちろんです、『転スラ』はすごく有名なのでみんな知っていました。私は、あまり有名なアニメには手を伸ばさない性格なんですけど(苦笑)、いざ観たらすごく面白くて。ファンタジーの世界なのに、どこかすごい親しみを感じる部分もあって、出てくる言葉にも何度も背中を押されたし、すごく深みのあるアニメだなって、観進めるたびに思うようになりました。
佳子 最初は人間だったのにスライムに転生するって、すごく不思議な物語ですけど、観ていくうちにどんどん世界観に引き込まれていって、毎回楽しみになりました。
聖奈 私も名前だけはよく知っていました。リムルがかわいい見た目だったから、最初はポケモンみたいにほんわかしたお話かな?と思ってたんですけど、実際は結構激しくてびっくり!(笑)。出てくる種族も多くて、村が進化したり、国ごとのルールや世界観がどんどん広がっていくのが本当に面白いですよね。同じような戦いが繰り返されるんじゃなく、第4期まで観てもいつも新しい展開があって新鮮です。伏線回収もあって、すごく面白いです。
栞音 私も観る前はすごく平和な物語のイメージがあったんです。でも、急に主人公が亡くなって異世界のぷよぷよのスライムになっちゃうとか、最初は「えっ?どういうこと?」って(笑)。でも、そこからは、リムルが強くなっていくだけじゃなく、仲間の話を聞いて、街作りを大事にしていく感じに、リーダーとして学ぶべきところがたくさんあるなと思いました。
杏実 うちは、お母さんが元々『転スラ』の大ファンなんです。第1期の時から、「面白いアニメが始まったから杏実ちゃんも観て!」って言われていたんですけど、なかなかきっかけがなくて。でも、今回タイアップが決まってお母さんのお薦めを思い出して観たら、本当に面白くて!バトルもあるし、自分の好きなところに刺さるアニメだったので、こんな素敵な作品に関われて嬉しい!と思いました。
――主題歌アーティストに決まった時は、どうでした?
栞音 他にも候補があった中からCiONの「渇望」を選んでいただいたんですけど、主題歌アーティストにエントリーするとプロデューサーから電話をもらった時、私、たまたまアウトレットにいて。そしたら偶然、目の前に大きなスライムのオブジェがあって!「え? これ、もしかしたら……あるかも!?」と思っていたら決まって、本当にびっくりしました(笑)。
杏実 うちは『転スラ』大好きなお母さんが、超喜んでくれました!でも正式に発表されるまで誰にも絶対言っちゃだめと言われていたので、お母さんにも「そのうち、良いお知らせがあるよ」って、匂わせだけしておいたんです。
栞音 そう、CiONにはメンバーのお父さんお母さん同士のグループLINEがあるから、誰か1人でも情報を漏らしたら、絶対、おしゃべりなお母さんたちに広められちゃう(笑)。だからメンバー全員、家族にも誰にも絶対言わないように、ずっと我慢していました。
――発表後、ファンの皆さんからはどんな反響が?
栞音 まず作品のタイアップ自体が初めてで、しかもこんな有名なアニメで!というので、「CiON、売れた!」と言ってくださる方がたくさんいて。
愛佳 「私もめちゃくちゃ『転スラ』ファンでした」という人も結構いて、「“推し”が“推し”とコラボしてくれて嬉しい」という声もたくさんもらいました。そこでまた、『転スラ』ってすごいアニメなんだなと実感したし、海外からのコメントも増えたし、全然いつもと違う内容のメッセージをたくさんもらいました。
佳子 リリース前からリリイベをたくさんやらせてもらったんですけど、『転スラ』ファンの方が来てくださったり、ブラジルの有名なアニメ系YouTuberの方からコメントをもらったり。『転スラ』のおかげで世界中でCiONを知ってくれた方が増えたのも嬉しかった。「海外進出めちゃくちゃしていきたい!」と思っています。
栞音 海外では、日本のアニメもアイドルもすごく人気なので、夢も膨らみますね。CiONファンもすごく喜んでくれて、とにかく嬉しさが大きかったです。
――ではここからは「渇望」のお話を。ダークな雰囲気で、とてもドラマチックな楽曲になりました。『転スラ』主題歌としてもCiONの楽曲としても、とても新鮮です。
愛佳 何曲か候補を出した中には明るめの曲もあったんですけど、「渇望」は本当に『転スラ』第4期のために作られた、CiONの今までの曲の中でも一番ダーク。「どんなエンディングにこの曲が寄り添うんだろう?」って思ったくらいです。
――アニメをご覧になっている方はよくご存知ですが、第4期はリムルたちの前に立ちふさがるマリアベルとの激しい対立が描かれています。ED映像も、ダークな雰囲気のマリアベルの姿が印象的ですよね。
栞音 はい、「渇望」の歌詞もマリアベルをイメージして書かれています。曲を受け取った時も、すごく強めの歌詞だったので、相当すごいマリアベルのお話が始まるんだろうな!と。自分たちも歌詞を作品に寄せて噛み砕きながら、レコーディングしていきました。
愛佳 この曲を作っていた時は、第3期までのお話ししかわからなかったから、まだマリアベルはちょっと不思議でミステリアスな感じの少女として登場していたんです。だからなおさら、「渇望」を受け取って「マリアベルってこういう人なんだ!」という驚きがありました。
杏実 私は、マリアベルってどういう人なんだろう?って、レコーディングのために調べました。そこで“強欲”というキーワードや、彼女の強い気持ちの中にも切なさや葛藤、孤独があったりすることを知ったので、ピアノにも、切ないフレーズ、葛藤して感情がぐるぐるになっているようなフレーズを、マリアベルを表現するために落とし込みました。
佳子 サックスの音も、フレーズ自体は“裏の闇の支配者”という感じで、結構、力強く演奏しています。喉を枯らすくらいの感じで吹き上げていて、マリアベルが自分に乗り移ったかのように。そもそもサックスって、ボーカルの声と一番似ている楽器と言われるんですね。だからボーカルに負けない勢いで、ライブでもやらせていただいています。
聖奈 この曲でユーフォニアムは、結構ベースラインを担当しているので、ダークさをより表現したくて、普段の最低音より、もう一段下の音を出すペダルトーンという奏法を使いました。ちょっとギジギジした低音を出すイメージですね。ライブではかなり激しく吹いてますが、「渇望」のMVでは冷静に演奏してるところを使われていて。そのほうがマリアベルっぽいというか、狂気の “黒幕担当”みたいに見えるかな?と思っています(笑)。
――CiONの強みであるツインボーカルの魅力も、迫力満点に伝わってくる曲ですよね。どこにこだわって歌いました?
栞音 最初は冷静に淡々と、でもサビではものすごく激化する。その対比を大事に歌いました。
愛佳 歌は難しかったです。CiONでは栞音ちゃんが低音で、私が高音を担当することが多いので、今回もサビはメロディの締めを担当してるんですけど、本当にキーが高くて。プリプロの時は、「どうしよう!」と思いました(苦笑)。特にラスサビの直前に高音が上がるロングトーンは、途中でその難しいパートが多く追加されたんです。一息で歌いきらなきゃいけないし、静から動へと一気に変わるクライマックスだから、たくさん練習しました。
栞音 私は曲の歌い出しのソロパートが難しかったです。重厚感を最初からちゃんと出さなきゃいけないので。サビの愛佳とのハモリも、ハモリに回るというより、2人で戦いのように歌うことを心がけました。愛佳の叫びがあって、私がメロディに入ってツインボーカルになるところで、CiONにしかできない2層の感じがガッと出るのもすごく好きで。グッと引き込むように歌いたいなと思いました。
――栞音さんと愛佳さんのツインボーカルが絡み合う。MVでも激しくパフォーマンスされていました。
栞音 MVも表情はすごく頑張りました。ライブでも愛佳と最後は向き合って……(鋭い目付きで睨みつけて)こんな顔で歌ってます(笑)。
愛佳 ファンの人からも「栞音ちゃんがリムルで、愛佳がマリアベルで、2人が戦っているみたいだ」という感想もらいましたね。私たちも「そうかも!」って思ったよね?(笑)
栞音 そう!この曲を歌う時は、毎回、愛佳は目が血走っています(笑)。
栞音 だからMVの撮影も、今までより演技力が必要でした。高笑いするシーンとかは、撮影でもずっと声を出して笑わなくちゃいけなかったから……恥ずかしかった(苦笑)。
聖奈 楽器もすごく難しかったですね。私は、オクターブをずっと跳躍するパートがあるんですけど、口の形だけ、吹き方だけで音程を変えるので、練習していても「もう跳べない! 間に合わない!」ってなるんです。レコーディング本番、めちゃくちゃ頑張りました。
佳子 私が難しかったのは、下から音をすくい上げるフレーズを細かく2回も続けてやるパートですね。そんなに続けて「くどくない?」と思ったりもしたんですけど(笑)、やっぱりサックスを聴かせるうえではすごく重要なパートなので、何回もテイクを重ねて頑張りました。
杏実 ピアノは、2番のサビ前に全部の楽器が消えて、ピアノだけになるパートが大変でした。音源で聴くとわかりやすいフレーズなんですけど、1オクターブ跳躍するから難しくて。簡単そうに聴こえちゃうフレーズなのに難しいのが、すごく悔しかったです(苦笑)。
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