アニメ音楽に特化した媒体「リスアニ!」と大阪のラジオ局・FM802のラジオ番組「802 Palette(ハチパレ)」がタッグを組んだ新たな音楽メディア「リスパレ!」。アニメ、ゲームカルチャー、ネットミュージック、そしてそれらの枠を超えた様々なアーティストの魅力を伝える本プロジェクトでは、「リスパレ!チョイス」として、今聴いてほしいアーティストを独自の視点で選出。積極的に紹介していく。
今回は「ハチパレ」との連動企画として、TikTokやYouTubeなどのSNSを中心に注目を集めるシンガーソングライター、なるみやと番組DJの豊田穂乃花による対談インタビューをお届け!「ハチパレ」ゲスト出演のラジオ収録を終えた直後の2人に直撃し、最新曲「I+イデア」の深掘りトークをはじめ、ラジオでは聞けなかった話題をじっくりと語り合ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
――お二人は今回が初対面とのことですが、ラジオ収録で会話してみて、お互いどんな印象を持ちましたか?
豊田穂乃花 楽曲の印象からイメージが先に膨らんでいたので、もっと寡黙な方なのかなと思っていたのですが、実際はたくさんお話をしてくださる方でした。会話をする上で、1投げたら1返ってくるタイプなのかなと思っていたんですよ。でも、こちらから投げたものに対してそれ以上に返してくださったので、すごく嬉しかったです。
なるみや 私はたいして面白くないことを長々と話してしまうタイプなので(笑)。豊田さんはお話がしやすくて喋り声がとても綺麗で、その声がヘッドホンからダイレクトに聞こえてくるので、めちゃくちゃ聞き心地が良くてありがたかったです。
豊田 リスナーからしたら、なるみやさんの声をヘッドホンで直接聞いている私のことも羨ましいと思いますけどね(笑)。
「802 Palette」でオンエアした、なるみやインタビューの模様は、
radiko タイムフリーで聴くことができます。
(※radikoタイムフリー30プランなら、過去30日前までの番組を楽しめます)
――今回、なるみやさんを「リスパレ!チョイス」のレコメンドアーティストに選出した理由について、改めて豊田さんからご説明いただけますでしょうか。
豊田 ラジオ収録でもお話ししたのですが、やっぱり歌声の魅力が大きいです。私がなるみやさんのことを知ったのはTikTokで、スクロールしていく中で「この声よく聴くな」と思って調べて、出会ったのがなるみやさんだったんです。今の時代、TikTokは音楽との出会い方としてものすごく影響力を持っていると感じていて。もともとハチパレはそういったネットアーティストにも特化していることを掲げているなかで、リスアニ!とハチパレが共鳴してレコメンドアーティストを提案するとなった時に、ハチパレ側からは今ネットで活躍されていて今後絶対にブレイクするであろう人をピックアップしたい。それで真っ先に候補として挙がったのがなるみやさんでした。
なるみや ありがとうございます!
豊田 それにこういう企画があれば「ラジオに出演しませんか?」とお声がけをしやすくなりますし。なるみやさんはすでにブレイクしている最中ではありますが、TikTokという誰でも発信できて触れられるところから、ラジオのようなメディアに出ていただくことによって、より広いフィールドに音楽が届くだろうなという思いもあって、このタイミングでご一緒させていただきました。
なるみや ラジオにはまだ数回しか出たことはないのですが、私はもともと自分のことを知っていて、好きでいてくれる人に向けてじゃないと発信しづらい気持ちがあったんです。自分の声が公共の電波に乗って流れた時に「なんだこいつ」って思う人がいるのが怖くて(苦笑)。実はSNSの発信も最小限にしたいタイプなんです。でも、ファンの方が喜んでくれるというのもありますし、ラジオをきっかけに新しく知ってくださる方がいる。いろんな入り口があるなと今は思うので、こういう機会をいただけるのは嬉しいです。あとは番組DJの方とお話ししながら、自分でも「あ、私はこう思っていたんだな」と言語化されるところがあるので、それもラジオに出る魅力だと思います。
――今回も豊田さんと会話している中で、何か引き出された感覚はありましたか?
なるみや 特に一貫して何かを話そうと思っていたわけではなかったんですけど、パラパラと喋っている中で、幼少期のお話とかを引き出してくださって。その中で「褒められることが好きなんですか?」と聞いてくださったのですが、確かにそこが自分の最初の原動力でもあったな、ということには気づけました。
豊田 そう言ってもらえると嬉しいです。
――リスパレ!としてではなく、豊田さん個人として、特に共感できるなるみやさんの楽曲はありますか?
豊田 好きな曲はたくさんありますが、共感となると「醜形恐怖症」ですね。あまり具体的に話しすぎると話が重たくなりそうなんですけど(笑)。私はもともと顔を出したくなくて、ラジオのお仕事を選んでいるんですよ。始めてみたら表に出ることが多くてびっくりしたのですが、これまで実際に心ない言葉を言われた経験もあって、「声のメディアなのになんで顔のことを言われないといけないんだろう」と思うこともありましたし、それに対して「そんなこと気にしなくていいよ」と言ってくれる人に「あなたはネットの海に自分の顔を晒されてないですよね」と思うこともありました。なのであの楽曲のフレーズは一つ一つ刺さりましたね。世の中的にも、顔のコンプレックスを抱えている人は増えているとも思うんです。美の基準が明確化されてきて、そこになれなくて肩身の狭い思いをしてしまう子たちにとって、あそこまでハッキリと言葉にしてくれたのは救いでした。
――「醜形恐怖症」はYouTubeでも再生回数が多い、なるみやさんの代表曲ですが、どんな思いでこの曲を作ったのでしょうか。
なるみや この曲を作ったのは高校生の頃だったのですが、私が高校に入学した時はちょうどコロナ禍で、全員マスクをしていて、それを外すのが禁止だったうえに、学校に行ける機会も全然ない時期があったんです。だからこそ、ご飯中にマスクを外した時にお互い「そんな顔してたんだ」となることが、仲の良い子同士でも全然あって。みんながマスクを外すことへの不安を抱えやすい時期だったと思うんです。当時、私は高校生だったので、表現していいこととダメなことの基準もよくわかっていなくて、何をテーマにして曲を書くかは本当に自由だったので、遠慮なく「醜形恐怖症」という題材を選べたのかなと思います。
豊田 リスナーに皆さんからのこの楽曲の反響はどう受け止めていますか?
なるみや 実は今まで発表した曲の中で、批判的な意見が一番多いのがこの曲なんです。「なんでこんなことを題材にしたんだ」という人もいますし、「聴いてると苦しくなるからやめてくれ」という人もいます。でも、それと同じくらい「救われた」というメッセージも本当に多くて。完全な善ではないけれど、否定が混じりながらも肯定が強い曲だと思っているので、今は勇気を持って公開して良かったなと思っています。
――なるみやさんは以前のインタビューで「普段は表に出さない感情を楽曲にして発散する」とお話ししていましたが、この曲にもご自身の経験が投影されているんですか?
なるみや どの曲にも必ず「自分はこうだ」と思うことが入っています。「醜形恐怖症」もそうですし、去年にリリースしたEP『まどろみの記憶』に収録している「だって、優等生」は特にそういう楽曲だと思います。
――「だって、優等生」を制作した当時は、どういう気持ちを抱いていたのでしょうか。
なるみや この曲のフレーズを作り始めたのは高校生の頃で、それから3~4年経ってから世に出したんです。なので根本の部分は学生時代の経験や実際に感じていたことです。私はもともと勉強することは好きで、それによって褒められたり結果が出ることが好きだったのですが、頑張っても結果が出ないパターンというのもあって。高校はすごく無理して自分なりに挑戦して、進学校にギリギリ入ったんですけど、一生懸命勉強しているのに周りに追いつけないとか、あの子より勉強してるのに私のほうが低い点数だった、とかはずっと気にしていましたね。
――音楽のほうにハマっていったのも、その反動があったんですか?
なるみや そうですね。「じゃあもう勉強いいや」「退学してやる」くらいの気持ちでのめり込んでいきました。本当に「0か100か」みたいな感じで、すごく極端な性格なんです。さっきのラジオ収録でも豊田さんとその話で盛り上がったんですけど(笑)
豊田 そうなんです。番組のコーナーで「ご自身の性格を一言で表すと?」という質問に、なるみやさんが「極端なところ」とおっしゃっていたんですけど、私もまさにそうなんです。私も努力や頑張ることが大好きだけど、頑張っていない人を見るとモヤモヤしたり、上手くいかなくなったら全部が嫌になるタイプで。
なるみや わかります……!
豊田 部屋の片づけを始めたら、全部ひっくり返して一から全部掃除したい、みたいな(笑)。そういうところが一緒だったので、なるみやさんの楽曲もすごく刺さるものがあったのかなと思いました。
――お二人はいい友達になれそうですね(笑)。ちなみに、なるみやさんは自分のお部屋の家具を真っ白に統一しているらしいですが、それも「極端」な性格の表れなのでしょうか。
なるみや それも性格が出ている部分だと思います。一度家具の色を決めたら、全部これじゃないとダメ、みたいな感じになるんです。今は部屋が白すぎて、友達に「天国」って言われるんですけど(笑)、それでやっと「あ、これ白すぎるんだ」って気付くくらいで。
豊田 えー!でも、もしピンク色のめちゃめちゃかわいい家具を見つけた時はどうするんですか?
なるみや ピンク色の家具は最初から目に入らないんです。最初の条件が「白」で、ネットで探す時も全部「白」で検索して、そこからかわいいものを探していく感じです。髪の色も、もともとは黒染めしていたんですけど、今は「髪も白くしなきゃ」となって5~6回ブリーチしました。まだ理想の白にはなってないんですけど。
豊田 徹底していますね(笑)。
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