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INTERVIEW

2026.03.17

聴く人の日常に、その時々の心に寄り添う、色とりどりの小さなきらめき――岡咲美保『MY GLEAM』リリースインタビュー

聴く人の日常に、その時々の心に寄り添う、色とりどりの小さなきらめき――岡咲美保『MY GLEAM』リリースインタビュー

これは、“岡咲美保”というシンガーが放つ、多面的な煌めきが存分に詰め込まれた1枚だ――そう感じさせてくれたのは、声優・アーティストの岡咲美保が2月27日にリリースした2ndミニアルバム『MY GLEAM』。田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)が作詞・作曲を手掛けたリード曲「HAPPY LUCKY JET!!」や、キュートさ溢れる「きゅんきゅるかわいい」といったいずれの収録曲にもたまらないキャッチーさがある一方で、その根底には日々の心の揺らぎへの寄り添いとそこから生じる煌めきの流れる、聴き応えある1枚に仕上がった。そんな濃密な作品を岡咲はどう形作っていったのか。コンセプト決めから各楽曲の制作に至るまで存分に語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次

憧れの存在・田淵智也と、“自分らしさ”を擦り合わせて完成させたリード曲

――『MY GLEAM』リリースの1ヵ月ほど前には、対バンライブ“DIALOGUE+WITH vol.7 -岡咲美保-”に出演されました。そこでは本作のリード曲「HAPPY LUCKY JET!!」も初披露されましたね。

岡咲美保 そもそも対バンライブへの出演自体も、あの時が初めてだったんですよ。“対バン”って字面的に結構強く見える言葉ですよね?なので、「自分の色をしっかり見せなきゃな」という意気込みがありまして。しかもご一緒したDIALOGUE+さんは声優ユニットなので、メンバーの多さも含めた華やかさやパフォーマンスの威力もありますし、それにオールスタンディング自体の経験もあまりなかったんです。だから、そういう意味でも「頑張らないと!」という気持ちを持ちながら臨みました。

――実際ステージに立って、どんなことを感じられましたか?

岡咲 あの規模感のライブハウスって熱がすごく伝わりやすくて、おかげで終始楽しく終えられました!それにDIALOGUE+さんも温かく迎えてくださって、コラボ曲もあったので、お互いの色も見せながら融合できた部分もありました。ファンの方同士の交流もあったのかなと考えると、すごく素敵な時間を過ごさせてもらえたなぁと思っています。

――そしてこのたび、『MY GLEAM』がリリースとなりました。今回は前作『SHAKING』とは違ってすべて新録曲での構成となっているので、全体の楽曲に関わってくるコンセプト付けや構成のトータルバランスなどは、より考えやすかったのでは?

岡咲 そうですね。2ndミニアルバムを出せるとなって、まずチームみほで会議をしまして。そのなかでこの『MY GLEAM』というタイトルが決まったんですけど……今まで私がリリースしてきたアルバム系のタイトルが全部“ING系”だったので、タイトルの持つ意味合いが結構わかりやすくて、しかもそこには自分の快活な部分が割と出ていたように思うんです。それを通じて私自身も「自分のパブリックイメージってそういうところなのかな?」と感じてもいて。でも、今回テーマにしたのはそういうものとはちょっと違っているんです。

――テーマ性が違うからこその、タイトル含めた変化というか。

岡咲 そうなんです。今回はそういう、ステージ上みたいに光が当たっている自分とはまた違う、表現者として葛藤したりしながら日々1人の人間として暮らしていくなかでの、名前のつかないような気持ちの揺らぎがテーマというか……この制作の時期が、ちょうど「そういうふうに日常のなかで揺らめいている自分も、『光っているな』と思えるかも?」という気持ちになっていたタイミングだったんです。でも、それは決して大きな光ではないので、“ING系”としてパッと浮かんだ「SHAKING」みたいな言葉だとイメージに合わなくて。

――ちょっと強い光を想像する言葉ですよね。

岡咲 そう ですよね。なので色々探していたところで、「小さな煌めき」という意味を持つ「GLEAM」というワードを見つけたんです。とても詩的でおしとやかな言葉だなという印象を受けましたし、「自分の心の中に宿しておきたいものだな」とも思うような芯もある言葉でもあったので、このタイトルとコンセプトを最初に決めました。それに、「煌めき」って電気みたいにずーっと光っているのではなくて。角度によって変わったり、揺らめくからこそ発生するものなのかなと捉えているので、そういう葛藤を「大丈夫だよ」と肯定してあげたい……みたいな自分の気持ちもありました。

――それを軸にして、各楽曲の制作が始まったんですね。

岡咲 はい。しかも今回はそうやって決まったコンセプトをもとに作っていきたかったので、コンペで曲を選ばせていただくことが多かった今までとは違って、初めて全曲作家さんを指名させていただく形で依頼をさせていただきました。

――では、ここからはそんな『MY GLEAM』の収録曲についてお聞きしていきます。まずリード曲「HAPPY LUCKY JET!!」ですが、こちらは田淵智也さんが作詞・作曲を手掛けられています。

岡咲 念願でした……。私、学生時代からUNISON SQUARE GARDENさんの曲も田淵さんが提供されているアニメソングもすごく好きだったので、「いつか……!」と思っていて。それに、以前ラジオ番組「ANISON INSTITUTE 神ラボ!」にゲストでご出演いただいた時に、私の楽曲を聴いてくださっているというお話いただけたこともすごく嬉しかったです。

――お好きな曲はたくさんあるとは思うのですが、特に影響を受けたのはどんな曲でしたか?

岡咲 1曲挙げるなら、先日“Anison Days Festival 2026”でもカバーさせていただいた「Q&Aリサイタル!」ですね。中学生の時、深夜アニメや声優アーティストさんにすごく興味を持ち始めた時に知った曲で、当時リアルタイムで聴いてワクワクして。MVも観たりしていましたし、カラオケでもたくさん歌ってきました。

――それは今回のオファーの内容にも、影響したりもしたのでしょうか。

岡咲 いえ、そこはあまり深堀りしなかったと思います。今回は田淵さんが作詞もしてくださるのもあって、別曲のレコーディング前にお打合せのお時間をいただいて、1時間くらいお話をさせていただいたのですが、そのなかでは好きな曲をお伝えしつつ、「J-POPで好きな曲」とか「こういうフレーズを聴いた時にどう思うか?」とか……あとは趣味みたいな日常的なことについてお話もしまして。しかもこの曲はミニアルバムの中で方向性が決まるのが最後だったので、他の4曲の雰囲気をお伝えしたうえで、『MY GLEAM』という世界観に対してどんな曲を作っていただくかお任せしました。

――なるほど。そのヒアリングを反映しての楽曲制作だったんですね。

岡咲 はい。実はこの曲、最初は今以上に元気な曲で。サビの“ハッピラッキ GOGOGO”のところが“ワチャガチャ ドゥドゥドゥ”みたいな言葉だったんです。でも私、そういうガヤガヤしている感じと自分とはちょっと違うように思って、改めて「私の元気さ」について考えてみました。そこで思ったのが、私って自分の中の理想に向かっているというか……ちょっと概念的なお話になるのですが、ステージに立つ時も自分の一歩前に「こうなりたい自分」がいて、そこをなぞっているような感覚がある、みたいな感じです。

――自分自身を、俯瞰して見ている部分があるというか。

岡咲 そうかもしれません。だから、ちょっと運命的というか運任せみたいな言葉がすごく似合うように思って、「ここは“ハッピラッキ”でもいいですか?」と相談したら快諾してくださって。それ以外も、全体的にもうちょっと「私についてこい!」という感じだったところを、実際はみんなの足並みを見て「一緒にいるから頑張れる」というタイプで私に合わせて修正してくださったりもして。おかげで、歌いながらみんなと手を繋げるような歌詞になりました。

次ページ:メロディでもラップでも、「Tictac」において聴く側のために大事にしたこととは

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