REPORT
2026.02.05
2026年1月4日、fripSideによるツアー“fripSide concert tour 2025→2026 -Liberation Protocol-”の東京公演がTACHIKAWA STAGE GARDENにて行われた。昨年9月に新曲を含む『とある科学の超電磁砲』楽曲をコンパイルしたベストアルバム『とある科学の超音楽集 -A Certain Scientific Railgun:Music Chronicles-』をリリースしたのち、同年11月の大阪とこの日の東京公演の2公演を行ったツアー。現編成では初となるホールツアーという第3期fripSide最大規模のステージで彼らが確かめたものとはなんだったのか。『とある』の聖地である立川で見せた圧巻のパフォーマンスを振り返る。
TEXT BY 澄川龍一
これまで第3期fripSideのライブは上杉真央・阿部寿世というボーカリストの成長の場として47都道府県ツアーなどライブハウスでのステージが中心で、Zepp Haneda (TOKYO)や豊洲PITなどが最大規模であったが、昨年11月の大阪国際交流センター大ホール公演から念願のホールツアーに踏み切ることとなる。ユニットとしてはおよそ3年あまりのキャリアで確かな成長曲線を描いてきたことは間違いないが、それが形となって表れたのが本ツアーである。そして、大阪・東京両公演共にソールドアウトしたという“結果”もついてきた。そう、まさに機は熟したのだ。
3階席まで埋まった会場に足を踏み入れた瞬間、彼らへの期待感がホール全体に行き渡っているのを感じた。しかも場所は『超電磁砲』の聖地として知られる立川。この上ない条件が揃ったなか、いよいよライブが幕を開けようとしていた。
定刻を迎えて会場が暗転すると、お馴染みの入場SEが流れ、いつもより早いタイミングで八木沼悟志とバンドメンバーが登場。SEの後半をバンドが加わって演奏するというスペシャルバージョンで会場のボルテージを上げていく。そのなかで上杉・阿部のボーカリスト2人がステージに登場し、いつもの“ This desire is bound in the melody.”のサウンドロゴが流れたのちに歌われたのは、アルバム『infinite Resonance 2』のリードトラック「Invisible Wings」だ。2人の歌声と高揚感溢れるシンセメロディにバンドが加わり、まさにホールの高い天井に向けて飛翔していくようなサウンドが放たれていった。ホールという環境もあってか、八木沼のシンセも含めて音の1つ1つが実に心地良く、リッチな感触で耳に飛び込んでくる。一方でそれに対する観客の反応はこれまでのライブと変わらず、会場をペンライトでオレンジ色に染め上げ大きな歓声を返していく。そしてステージに目を向けてみると、上杉・阿部の2人はそんな空間の中でゆとりのあるパフォーマンスをこなしている印象があった。様々なフェスでアリーナクラスのステージを経験済みとはいえ初の単独ホール公演となるのだが、そんななかでも浮き足立つことなくいつもの良質な歌唱を聴かせている。この“いつもの”というのはこの日最後まで感じられたことで、現在のfripSideが3年あまりのキャリアを経て培った自信の裏返しであると受け止めた。これまでの活動を経て今のfripSideがホールにも対応できる存在感をもっている、そんな表明にも感じられたライブの幕開けだった。そしてそのまま、セットは『infinite Resonance 3』収録のリードトラック「Unbroken Resolve」へと繋がる。阿部の「いくよー!」という威勢の良い声と共に、前曲から間を置かずに第3期fripSideのチャームを存分に見せながらテンションを一段上昇させる、実にライブ感溢れるfripSideらしい構成だ。
会場がすっかり熱気に包まれるなか、最初のMCではツアーならびに新年の挨拶へ。普段からニコニコ顔の阿部はもちろん、クールな上杉や八木沼もほころんだ表情を見せる。ここでも張り詰めた緊張というよりかは、目の前の多くの観客と相対したワクワク感が先行しているようだった。そこから次の曲が披露されたのだが……鳴らされたのは、「sister’s noise -version 2022-」のシンセイントロ。突然のアンセム発射に、会場はどよめきまたしても熱量がぐんと上昇する。『超電磁砲』の衣装を着たダンサーを従えてのパフォーマンスはこれまで幾度となく見てきたが、やはりホールの広いステージにはよく映える。そしてそのままドラム・八木一美のカウントからスタートしたのは「eternal reality -version2025-」。いわば『とある科学の超電磁砲S』前後期OPテーマ繋ぎだ。今度はステージを広く活用しながら3階席に向けても手を振るなど開放感溢れるサウンドとホールの空間にフィットしたパフォーマンスを見せていく。序盤から嬉しい光景が見られたあとは、八木沼がマイクを取って「今日は立川公演、立川といえば!そうです!『とある科学の超電磁砲』の聖地です!」と発言。大きく湧き立つ観客に、「今日は特別に準備いたしました。いくぞ、『超電磁砲』メドレー!」と宣言し、東京公演だけのスペシャルメドレーが幕を開ける。まずは清涼感に満ちた「future gazer -version2024-」で幕を開ける。八木沼もテンションが一段と上がったように観客を煽りながらパフォーマンスする。ショートバージョンで駆け抜けたあとは歓声が止まぬなか「LEVEL5-judgelight- -version2022-」の雷鳴のようなシンセが鳴り響いた。煌びやかなサウンドにのせシリアスなメロディが歌われるなか、「dual existence -version2023-」へと繋がり、八木の硬質なビートに合わせてステージ両サイドのお立ち台に上がった上杉と阿部が力強いボーカルを披露。そして矢継ぎ早に八木沼によってリフが鳴らされ、「final phase -version2023-」へ。この日ならではな名曲だらけのメドレーはあっという間に幕を閉じた。
アンセムが横殴りで次々と放たれるメドレーの残響が消えないままのざわつく会場で、次に聴かれたのは「Echoes of the Stars」の旋律だ。ゲーム「ティンクルスターナイツ」の主題歌という、これもまた『超電磁砲』と並んで付き合いの長い作品の楽曲に、先ほどの熱狂とは異なる情感が響いていく。そこから八木沼がピアノのイントロを鳴らし、ミディアムナンバー「Insoluble Snow」へ。fripSideの十八番の1つである冬の切ない情景が広がる楽曲に、客席も白一色に染まりながらうっとり聴き入っている。大島信彦の泣きのギターソロを含むアウトロまで美しい1曲だ。そこからもう1つの冬の楽曲「Winterfade」をドロップ。ここでの情念すら感じられる2人のボーカルは本当に素晴らしく、感動的な大バラードと共に前半のセットを終えたのだった。

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