1月9日Kanadevia Hallにて、“青木陽菜 1st LIVE「BLUE TRIP」”が開催。声優アーティスト・青木陽菜による初のワンマンライブとなった本公演は、ペンライトをはじめとする光り物の応援アイテムの使用をNGとした“ロックライブ”を志向したものに。そのなかで青木は、各地で開催してきたフリーライブ“BLUE TRIP”などの経験も生かしつつ、多彩な楽曲を通じて観客と共に全力で自身の音楽を楽しむ時間を形にしていった。
PHOTOGRAPHY 西槇太一
TEXT BY 須永兼次
開演時間を迎え、ステージが青の光に包まれるなかオープニングSEが流れると、HINAPIYOBANDのメンバーに続いて青木が入場。拳を突き上げ準備万端であることをうかがわせると、彼女がギターを提げたところで場内が明転。「会いたかったぜKanadevia!」と雄叫びを上げ、1st LIVEの開幕を「wantの感情」で飾る。笑顔でギターをかき鳴らしながら瑞々しく爽やかな歌声を響かせていく青木。その姿に早速高まった観客が大きなコールを起こし、サビ後半でのクラップも含めて早くも場内には一体感が。そんな楽しむ準備万全のフロアを青木はギターを掻き鳴らしながら笑顔で指差し、自らも楽しみながらさらに心を捉えていくと、「“1st LIVE『BLUE TRIP』”、最高の1日にしましょう!」と呼びかけ「Shout it out!」の初披露へ。バンドと共に作り上げる疾走感のあるロックサウンドに、引き続き瑞々しい歌声を乗せて、軽快さも感じさせるステージングと共に、ライブをさらに加速させにかかる。その狙い通り、昨年12月にリリースされたばかりの楽曲にも関わらずオーディエンスのコールがバッチリ巻き起こり、それが場内にさらなる熱気を渦巻かせていくと、今度はギターを外しての「カラフルエモーション」へ。イントロ中に「今日は色んなこと全部忘れて最高に楽しみましょう!」と呼びかけながらお立ち台に上り、ダンスロック調のナンバーに乗せてイントロからフロアを跳ばせにかかる。そうしてお立ち台の上で注目を一手に集めながら歌唱していくのは、サビに“ずっとあたしだけを見ててね”というフレーズを持つこの曲ならではの見せ方だろう。そして2コーラス目に入るとステージを移動しながら歌唱。お立ち台に足をかけて屈み、よりフロアの近くで視線を送ってハートを巻き込んでいく。大サビで“足りないわ”のフレーズをやや荒っぽく歌ったのは、“かわいいだけではない”と宣言するかのようでもあった。
3曲を歌ってのこの日最初のMCは、まずは来場への感謝の言葉からスタート。MC中、初めて青木のライブに足を運んだ観客が多いことも判明すると、「初めての人にも、いつもの皆さんにも、みんな楽しめるようなライブにしたいと思います」と意気込みを伝える。そして再びギターを持ち、「今日はアルバムの曲全曲やるので」との宣言に続いて「BLUE BUD」からライブを再開。ここでは表情はシリアスなものへと変貌し、歌声にも涼やかさが付加されていく。それでいてしっかり力強さも感じさせ、ロングトーン時には広がりゆくような歌声の特性を存分に生かしたものに。さらに楽曲中盤では手振も織り交ぜたりとギタープレイ以外でも視覚的に見せてもいき、序盤3曲までとはまた異なる空気を生み出した。それに続けた「独奏Showtime」では時折ニヤリとするような表情ものぞかせながら、弾むようなリズムに乗って跳ねつつ、勝ち気さを滲ませたボーカルとステージングでライブを牽引。オーディエンスから再びコールを沸き上がらせていく。楽曲が進むにつれてその歌声にはさらに力がこもっていき、そこから強い意志が徐々に乗っていく様も感じられる。大サビ前ではキックを繰り出し会場を沸かせると、掻き回しに続けてシームレスに「天色」へ。この曲の配信ジャケット画像を彷彿とさせる白と青のライトに照らされた場内へと透き通る歌声を爽やかに響かせていく青木。その歌声はこの日ならではの表情が乗ったリリースから約1年の成長を感じさせるものだった。前述した透明感に加え、生バンドの演奏にもマッチする芯の強さも持ち合わせるという、彼女の歌声のもつ魅力が遺憾なく発揮されるものに。2サビ明け間奏ではぴょんと跳ねてバンドメンバーのもとに移動し、背合わせでのセッションも展開した。
2回目のMCでは、観客への「今日のひなぴよは何が違うでしょうか?」とのクイズを通じて、アコギが新しくなったことを発表。愛用するギターメーカー・MORRIS GUITARSの完全協力によりカスタムがなされた“M-AH”(=「モーリス-アオキヒナ」)で、「薄いけど大きいので、前より音が重厚になった」と嬉しさを口にする。そんな新しいギターとの出会いの話題に続いては、彼女に新たな出会いを数多くもたらしたであろう「ダ・カーポ~奏で舞うメロディ~」の披露へ。この曲がオープニングテーマとなったゲーム『D.C. Re:tune~ダ・カーポ~リチューン』をイメージさせる桜や学校をテーマにした映像を背負いながら、ここではギターを持たずに軽く身振りも交えながら歌唱。微笑みをたたえながら温かみあるポップなナンバーを、作品や楽曲のテーマ性とマッチする持ち前の瑞々しい歌声で聴かせていく。そして「Colors of You」のイントロ中に再びギターを手にすると、ミドルバラードと相性良好な透き通った歌声と共に繊細に楽曲を彩っていく。曲が進むにつれて徐々にボーカルに力を込めていきながら、間奏では演奏しながら穏やかな表情でバンドメンバーと視線を交わすなどして温かな空気を生み出した。
曲明け、暗転と共に深海の奥深くにいるかのようなムードを醸し出すSEが流れたのに続いて、スタンドマイクを用いてのバラード「夢浮橋-ユメノウキハシ-」のバンドアレンジバージョンの歌唱へ。スクリーンには月が映し出され、ステージ奥に散りばめられた無数のライトが星空のように輝くのを前に、青木はサウンドと絡み合うスケール感ある歌声を披露。想いをぐっと込めて美しくも壮大な世界を作り上げ、観客を見事惹き込んでみせた。そしてもう1曲のバラード「旅路」では、引き続きスタンドマイクを使いながら歌う青木の姿をセピアに加工した映像を背負いながら歌唱し、引き続き美しい歌声を堪能させてくれる。ただここは直前と違って感情を前面に出すのではなく、歌声を美しく広げてその世界に耽溺させた印象。穏やかな表情でしっかりと会場全体にその歌声を響かせ、観客の心を震わせていった。
歌唱後にスクリーンに「ODD」のMVを用いた映像が映写機の音と共に流れると、青木はここでエレキギターに持ち替え、その「ODD」の演奏をスタート。歌唱中の自身の姿に歌詞を乗せたリリックビデオのような映像をバックに、歌声と演奏の双方からパワフルさを感じさせて場内の空気を再び熱しにかかる。その表情は楽曲のテイストに沿った凛としたものであったが、パフォーマンスの端々からはステージを楽しんでいることが滲み出る。2サビ明けの間奏ではコールを煽って、またもお立ち台に片足をかけてのギタープレイで沸かせてみせると、掻き回し中に今度はテレキャスターに持ち替えて「ロック御中」へ。冒頭部分から明確にざらつかせたボーカルを通じてこの曲に欲しいラフさを発揮。1サビのラストも軽くがなるように歌ったり、2コーラス目では軽く横蹴りも織り交ぜたりと、見せ方も含めこの曲の初披露に相応しい荒っぽさも散りばめたパフォーマンスを展開する。それがここまで比較的綺麗に歌う曲の多かったこのライブにおけるアクセントとして良好に機能し、場内にさらなる熱気と一体感を渦巻かせれば、「楽しみたい気持ち、日頃のストレス、鬱憤、全部私の音楽にぶつけてください!」「何も考えなくていい、全て忘れて全力で騒げー!」とオーディエンスを煽り、こちらも初披露となる「マズルフラッシュ!」へと突入する。疾走感を持ったこのナンバーを彩る青木の歌声は、挑発的でありながら自然と惹かれる愛嬌も持った、まさにこの曲にベストマッチなもの。サビラストのラップ調のフレーズは軽妙に、しかし2コーラス目序盤でサウンドがヘヴィに転じる部分では強く太く歌うなど変幻自在のボーカルワークで場内を埋め尽くし観客の心を燃やしていくと、落ちサビ前にはややシャウト調にオーディエンスを煽って“Fill it with rock ‘n’ roll!”との大きなコールを呼び起こす。大サビではなんとステージ奥に花火が噴き出して視覚的にも観客のテンションを上げれば、後奏ではその花火を背負いながらバンドメンバーと共にお立ち台に上ってプレイ。場内の空気を最高潮へと誘った。
その熱気に嬉しそうな表情をのぞかせ「『マズルフラッシュ!』の一体感すごいね!」と思わず言葉にした青木。改めてそれを一緒に作り上げてくれた観客へ感謝を述べつつ、次がラストナンバーだと予告。残念がる声を受けつつ、「感謝を込めて歌いたいと思います。一緒に歌ってください!」との言葉に続けて始めたのは「あとがき」。エモーショナルな空気に包まれた場内へと真っ直ぐに今の想いを込めて届け、本編を締め括りにかかる。2コーラス目に入ると感謝の想いを歌声に乗せて伝えるかのように、ゆっくり客席を見回しながら歌っていくと、その途中でマイクスタンドからマイクを外してまたもお立ち台へ。その上で「今日はお越しくださり本当にありがとうございました!皆さんの応援の声が、私の力です!その大きな声、聞かせてくれますか?」と呼びかけ、それに呼応したオーディエンスは拳を突き上げつつこの日一番の大きなコールを送り、青木はそれを“力”に変えて最後まで全力のステージを披露。後奏では再び観客へとマイクを向け、会場中の想いをしかと受け取ってステージを降りた。
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