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REPORT

2025.12.18

五者五様の魅力があふれた“芹澤優ちゃん総選挙”、見事当選を果たしたのは……?「Yu Serizawa 31st Birthday Live ~Choose Me!~」レポート

五者五様の魅力があふれた“芹澤優ちゃん総選挙”、見事当選を果たしたのは……?「Yu Serizawa 31st Birthday Live ~Choose Me!~」レポート

2025年12月7日にZepp DiverCity(TOKYO)にて“Yu Serizawa 31st Birthday Live ~Choose Me!~”が開催。タイトルどおり、芹澤優が自身のバースデーに合わせて開催した今回のワンマンライブは、これまで彼女が見せてきた多彩な表情を生かして“5人の芹澤優”が登場するものに。しかもそのなかから観客が1人を選び1票を投じる“選挙戦”というユニークな要素も絡めて構築。デビューから13年間で培ってきたスキルを遺憾無く発揮することでそれぞれを表現し分け、“今だからこそできる”バースデーライブを作り上げてみせた。本稿では、2回行われた公演のうち、2部の模様をお届けする。

PHOTOGRAPHY BY YOSHIHIRO SASAKI
TEXT BY 須永兼次

様々な表情をみせながらも、そのクオリティはいずれも一級品

まずはバンドメンバーの演奏に乗せて、LEDにて順々に“5人の芹澤優”が紹介される。続けて「FIVE VERSION, ONE SOUL」という、まさにこのライブに臨む芹澤そのものを象徴するフレーズが映されると、ピンクのラブリーな衣装に身を包んで“ソロアイドル・芹澤優”が登場。1曲目に披露したのは、なんとキラーチューン「最悪な日でもあなたが好き。」。これまでクライマックスに歌われることの多かった曲での幕開けという意外性のある構成で一気に場内のボルテージを上げることに成功。2コーラス目でも、いつものようにリズムに合わせて「セ・リ・コ!」のコールが轟き、後ろを向いた芹澤を“振り向かせてよ大声で”との歌詞どおりに振り向かせる。そんなこの曲は、恋の歌らしくかわいらしくも瑞々しい歌声で聴く者をキュンとさせるアプローチ。サビでは歌詞に合わせて客席中の“あなた”を指差し、2サビ後の間奏ではイヤモニの片方を外して“ガチ恋口上”を笑顔で受け止めていた。それに続けたのは、さらにキュートでポップなラブソング「まさか恋してる?」。引き続き大きなコールを浴びながら、歌詞に合わせて少しだけファニーな表情も織り交ぜ歌唱。ステップは軽快でありながら実にハツラツとしたもので、愛らしさの中にテクニックも感じさせる。そのうえで間奏中にステージを駆け回って指ハートを振りまいたり、落ちサビ直前のセリフでいじらしさを滲ませたりして心を掴むと、さらに“悪魔級にキュート!”な姿をみせる「デビきゅー」へ。ボーカルの語尾を跳ねさせるなどして、より明確な意図を持ってハートを射抜きにかかる。サビではキャッチーな振付をもってオーディエンスと踊って楽しいステージを構築すれば、華麗なスピンを織り交ぜたり大サビ前のダンスタイムでキメたりと、パフォーマンスでも魅了。まさに“アイドル・芹澤優”のステージとして、この上ない仕上がりをみせていたように思う。

曲明け、まずは会場中からの「かわいいー!」の大歓声を受け「やはり?」と返す芹澤。改めてこのライブに“芹澤優ちゃん総選挙”というコンセプトがあることを説明し、「色んな芹澤優ちゃんを皆さんに楽しんでもらいたいなと思います!」と意気込みを伝えると、振付講座に続いて「YOU YOUYOU」がスタート。ポップかつダンサブルなナンバーに乗せて軽快なステップでみせていくと、サビでは振付を通じて観客にペンライトを大きく振らせ、直後のフレーズでも大きなコールを呼び起こす。また後奏ではコールに加えて人文字を一緒に行うことでさらに一体感を呼び込むと、頭サビ明けに「“ソロアイドル・芹澤優ちゃん”の始まりの曲といえばこの曲ですよね!」と呼びかけから「Voice for YOU!」へ。ここでも客席からの大きなコールを従えながら、表情豊かな歌声と躍動感溢れるパフォーマンスで魅せ聴かせる。もちろんバンドの演奏やファンの声援もライブにとって大切な要素ではあるが、あくまでもこのライブの主役は“芹澤優”なのだな……そう思わせる魅力的過ぎるステージを展開していった。

こうして“アイドル・芹澤優”の出番は終了。掻き回し中にステージを降り、バンドタイムに続いて“声優・芹澤優”が登場。「TRIal HEART ~恋の違反チケット~」から、キャラソンブロックの幕開けだ。冒頭をはじめとするセリフ部分はもちろんのこと、歌唱においてもその歌声を通じて“演じ分け”をしていく芹澤。そのうえで、培ってきたスキルを活かしたダンスパフォーマンスも含めた、アイドルとはまた違うアングルから心を捉えていく。そのまま続いた「COMETIC SILHOUETTE」では開始と同時に客席の上でミラーボールが芹澤演じる『キラッとプリ☆チャン』の赤城あんなに合わせて赤の輝きに染まり、曲に合わせてクラップなどで盛り上がると、場内は歌詞どおり“ダンスホール”と化す。そこから引き続きコミュニケーションも交えながら、要所にきちっとダンスを入れ込み見せていった。続いた爽やかでロッキンなナンバー「ラブミーサイエンス」では、ここまでの2曲以上に歌声に感情を明確に乗せていく。落ちサビでは思い切り甘めに振った歌声がいじらしささえ感じさせ、ファンをさらに虜にしていった。

こうして様々な声の表現を通じてファンを虜にした芹澤は、またも掻き回し中に降壇。すると場内には「ぷりっとぱ~ふぇくと」のインストをBGMにしたラジオ『セリラジ』が流れ始め、声優業にまつわるファンからの質問メールに答えていく。そのなかでは「『あの時の演技はもうできない!』みたいなエピソードはありますか?」という質問に「『プリティーリズム・レインボーライブ』の福原あんちゃん。あの時の『何もできないけど、とにかく頑張る!』みたいな声とお芝居は、再現しようと思ってもかなり難しいです」と答えるなど様々な疑問に回答。さらに“アイドル・芹澤優”からの「声優の芹澤優ちゃんがアイドルの芹澤優ちゃんと違うなと思うところは?」との質問も紹介し、声優としての立場から「アイドルちゃんは滑舌良くないところがむしろかわいいようなところがあるからTikTokとかではふにゃふにゃ喋ることが多いけど、声優としての時はテキパキ元気いっぱい喋っている」とその違いを言語化していた。

最後に、次は“アーティスト・芹澤優”の出番であることを予告し、新曲披露も匂わせたところで『セリラジ』は終了。その前フリを受ける形で“アーティスト”として再登場し、早速その新曲「TIMELESS POWER feat. MOTSU」を新曲衣装に身を包んで披露。ここまでとはまた違った凛とした表情で、シャープで力強い歌声を響かせていく芹澤。サビラストのロングトーンでの尻下がりの歌い上げから感じる艶っぽさという、「JUNGLE FIRE feat. MOTSU」以降よく見られる魅力的な表現をこの曲でも発揮。この曲ならではのパラパラ風のサビの振付もユーロビートによくマッチしていた。ラストまでパワフルな歌声を貫き通しアーティストとしての1曲目を鮮烈に飾ると、そのまま「JUNGLE FIRE feat. MOTSU」へ。曲に合わせて真紅に染まった客席へ向かってイントロ中に荒っぽく煽ると、サビではすっかり浸透しきった手振りを用いてオーディエンスを踊らせる。ラップ明けには「Zeppー!」とシャウトしヘドバンとコールを呼び込めば、ファンへ向けて鋭い視線と共にさらに力強さが増した歌声を響かせ、まさに強者として圧倒するかのような姿をみせる。そしてそこに畳み掛けたのは、ハードで踊れるロックナンバー「YY ViVace」。イントロ中に「まだまだいくよ?」とファンを踊らせにかかると、自身も1-Bメロで膝立ちになったりと昂りを表現。さらに楽曲中盤ではバンドメンバーと絡んだりと、ステージ上も含めて会場全員の心を巻き込んでいく。その力強さと歌詞を通じたメッセージとで先導し続ける意思も提示してみせた。

そんな熱さ渦巻く空気のなかに静かなピアノの調べが響き始めると、続いては「今夜も月がきれい」を披露。1人ライトに照らされながらぽつりぽつりと歌って胸の内を徐々に膨らませていき、それをサビで思い切り吐き出していく。このバラードに込められた哀しさをファルセットなども効果的に用いて十二分に表現し、盛り上げるだけではなくボーカルで聴かせて惹き込む姿はまさに“アーティスト”だ。

そして後奏中に降壇し、続くバンドタイムをしばし挟むと、突如客席通路に“i☆Ris・芹澤優”が登場!「§Rainbow」のイントロに乗せてi☆Risライブでの自己紹介口上を行うと、通路を練り歩きファンと握手を交わしながら歌唱スタート。まさにライブのコンセプトを体現する“選挙活動”のような演出が繰り広げられる。しかもそれでいて歌声には安定感があり、この曲に欲しい瑞々しさと煌びやかさも伴わせたぬかりのないものに。さらにBメロでは通路のお立ち台に上がって、この曲ならではの「せーりーざーわー、ゆーちゃん!」のコールを全方位から浴びながら歌唱して“街頭演説”のような光景を作り出すと、その後もメインステージに向かいながら“有権者”にアピール。そのメインステージでもお立ち台上から「私が誰よりも芸歴の長い、14年目のi☆Risです!」とのシャウトで“実績”も主張。それに続く確かなパフォーマンスがそこに説得力を与えていた。

歌唱後、「§Rainbow」選曲の理由を「今年ツアーでも周年ライブでも歌わなかったので、大歓声でこの曲のコールを聴かないと今年終われないなと思った」と明かすと、かわいくクセをつけたタイトルコールから「ハートビート急上昇」の披露へ。この曲では普段担当しない歌やセリフのパートを、本来の担当メンバーに若干寄せて歌う場面も。それぞれの特徴をほのかに感じられる歌い方や言い方は、よくメンバーを見ているからこそできるものだろう。それに加え、イントロでステージ上方のライトの色が“いつもの並び”のi☆Risメンバーカラー5色だったという演出も含めて、遊び心と共にi☆Ris愛を強く感じることができた。もちろんそういった要素のみならず、この曲に欲しい甘さを芹澤はいっぱいに詰め込んでくる。落ちサビ中にはハートマークを指で描いてふっと吹いたり、指差しのレスを散りばめたりと様々な形でラブを振りまいて、ステージを降りた。

大事な時に大事な人たちに向けて歌った、大事な1曲

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