リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2025.12.19

送り合う温かな想いが、こぼさせた幸せな涙――“Inori Minase 10th ANNIVERSARY LIVE TOUR Travel Record”ファイナル公演レポート

送り合う温かな想いが、こぼさせた幸せな涙――“Inori Minase 10th ANNIVERSARY LIVE TOUR Travel Record”ファイナル公演レポート

11月29日・30日に、横浜アリーナにて、“Inori Minase 10th ANNIVERSARY LIVE TOUR Travel Record”の神奈川公演が開催。声優・歌手の水瀬いのりのアーティストデビュー10周年を記念したライブツアーのファイナルを飾ったこの公演は、これまで辿ってきた足跡を振り返りつつ、メドレーの披露や紗幕を用いた演出なども取り入れた、この先への期待も感じさせるものに。それを喜びの笑顔や幸せの涙など、様々な表情を見せながら表現し、立見観覧が出るほどの超満員のファンと一緒に心に残るライブを作り上げていった。本稿ではそのうち、2日目である11月30日の公演の模様をお届けする。

PHOTOGRAPHY BY 加藤アラタ(Kato Arata)/三浦⼀喜(Miura Kazuki)
TEXT BY 須永兼次

ときにパワフルに、ときに温かに 変幻自在の瑞々しい歌声

開演時間を迎えると、まずはOP映像が上映される。真っ白な空間に佇む水瀬が、ピンクのフラッグを立ててこちらを振り返ると、青空と草原が広がり1本の長い道が登場して10年間の歩みを想起させる。浮かび上がったライブロゴに続いて「夢のつぼみ」のイントロが流れるなか、2階ステージには水瀬のシルエットが。“Inori Minase 1st LIVE Ready Steady Go!”をオマージュした演出を経て姿を現した水瀬は、一面スカイブルーに染まった会場に向けて、瑞々しい歌声を爽やかに吹き抜けさせていく。デビュー曲を通じてアニバーサリー感に加え「ここからまた駆け出していく」という意思も同時に提示する幕開けだ。2サビ明けの間奏で拳を振り上げて盛り上がりを先導する姿も含めて、力強く頼もしいステージングを展開する。

それに続く「まっすぐに、トウメイに。」では、疾走感あるロックなナンバーに乗せて、引き続き力強さと爽やかさを併せ持つ歌声を弾ける笑顔とともに響かせていく。ここでは両サイドのアリーナやスタンド席の観客ともコミュニケーションを取りつつ、大サビ前には高くジャンプしてさらなる盛り上がりをもたらすと、その勢いは「Ready Steady Go!」でさらに加速。水瀬の合図に合わせて客席では無数のタオルが回される。水瀬自身もタオルを手にして観客を煽りながらセンターステージへと向かうと、サビでは観客から幾度も大きなコールが。引き続き回り続けるタオルも含め、これには水瀬も「バッチリ!」と満足気だ。そのままセンターステージをぐるりと回って、今度はセンター席のファンと視線を交わしつつパワフルに歌唱。場内のボルテージはますます上がる。Dメロでは左右に大きく腕振りを先導して一体感を醸成し、3曲目にして凄まじい熱気で横浜アリーナを包むと、ラストはタオルを放り投げ、エネルギッシュに疾走した1曲を締め括った。

この日最初のMCでは、まず会場へ足を運んでくれたファンへ感謝を伝えると、「好きだという気持ちでついてきてくれたみんながいるからこそ、今日この場所に来れています」「今日がゴールではなく、ここから始まる新しい私たちにもついてきてくれたら嬉しいです」と意気込みも語ったところで、続いてのブロックは「Catch the Rainbow!」からスタート。

虹色のグラデーションを形成するライトの演出を背負ってのこの曲でもまた、スタンド近くでファンと手を振り合ったり、ときに指ハートやエアハイタッチも交わしながら歌唱。自らが歌詞を紡いだこの曲を通じて、心の繋がりとそこから生まれる幸せをいっぱいに感じているかのような、幸せそうな笑顔を咲かせながらのステージングを展開。この瞬間を心底楽しんでいるのが伝わってくる。アウトロも跳ねながら笑顔で煽っていくと、水瀬の持ち味のひとつである歌声の瑞々しさを活かしながら、そこに温かみを乗せて彩るミドルナンバー「春空」が続く。単に温かいだけでなく、サビなどの高音部分は空間へと突き抜けていく力強さももったボーカル。それがこの曲の魅力を最大限引き出し、観客の心に染み渡った。

微笑みと共に曲を締めた水瀬は一旦降壇。水瀬の楽曲「Happy Birthday」のインストアレンジから始まった演奏をバンドメンバーが奏でると、それをバックに影ナレでのメンバー紹介へ。“いのりバンド”の面々が各々のイメージカラーに加え、ツアーにちなんで「行ってみたい旅行先」と共に紹介されると、最後に衣装チェンジの完了した水瀬が登場。「アイマイモコ」からライブは次のフェーズへ。透明感ある歌声に温かさを込め、楽曲の持つメッセージを発信していく。引き続き観客と視線を交わしたり、客席へ手を伸ばしたりしながら、曲に乗せた想いをその先のファンに丁寧に手渡していく。そのままスポットライトに照らされて歌い始めた「まだ、言わないで。」も芯を持ちながらも澄み切ったボーカルで、ファンへの想いを乗せて歌唱。テンポの速い曲でありながらも大切なメッセージをしっかり込め、“聴かせる”ナンバーとして表現してくれた。

そんな2曲の歌唱後のMCではバンドメンバー紹介の話題からバンマス・みっちーこと島本道太郎(b)の回答を深堀り。行ってみたい旅行先にモルディブを挙げた理由に対して「新婚旅行で行ったからです!」との回答を引き出し、満員の観客と共に和やかに盛り上がる。そして今回のツアーの楽曲はベストアルバム『Travel Record』とハーフアルバム『Turquoise』の中から選曲したことに言及すると、ツアーを通して『Turquoise』の楽曲の成長を実感したという話題を導入に、同作収録の「アニバーサリー」がスタート。デビュー10周年の節目のツアーでこそ聴きたいこのナンバーは、歌唱直前に「もっと皆さんの近くに行きたいな」と口にしたとおりに、花道を歩きながら客席近くに行き、手を振りながら披露していく。そんなこの曲でも温かくもぶわっと場内へと広がりゆく、まるで春風のような歌声を響かせていく水瀬。センターステージに到着してからの1サビでは客電が灯り、よりはっきり見える人たちに向けて感謝の想いを届けていった。

続く「My Orchestra」では煌めく映像を背負いながら、優しくもサウンドにマッチしたスケールの大きさを感じさせる歌声を大会場へと響かせ、美しくも壮大な雰囲気を作り上げていく。大サビでは曲の盛り上がりに沿って歌声にもう一段力を込め、内に湧き上がる感情を発露して観客の心を惹き付けたところで水瀬は降壇。ブリッジムービーとしてここまでの歴史を振り返るかのような映像が上映される。

涙をこらえながら、歌声で伝えた大切な想い

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP