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2025.12.17

デビュー8周年!『ASCA ASIA TOUR 2025』ファイナル公演レポート

デビュー8周年!『ASCA ASIA TOUR 2025』ファイナル公演レポート

ASCA初のアジアツアー“ASCA ASIA TOUR 2025”のファイナル公演が11月24日に渋谷O-WESTで行われた。ソウルを皮切りに、上海、北京、台北、香港と各地を駆け抜けたアジアツアー。海外公演はすべてオケセットだったが、この日の東京公演は本ツアー“最初で最後”のフルバンド編成だ。本公演の2日前、11月22日にデビュー8周年という節目も迎えたASCAにとって、この夜はアニバーサリーライブの意味合いもある。アルバム『28』を掲げた春のツアー、リリースイベント、そしてアジア各地で積み重ねてきた確かな手応えを携え、ASCAは9年目の新たな扉を力強く開こうとしていた。

PHOTOGRAPHY BY 草刈雅之
TEXT BY 逆井マリ

現時点の集大成的なセットリストで攻める

早くもライブハウスならではの熱気に満ち溢れるなか、背中が大きく開いた変形ロングジャケットに青の衣装を仕込んでステージに飛び込んだASCA。バンドマスター&キーボードの半田彬倫をはじめ、ドラムの田中航、ベースの富岡陽向、ギターの杉村謙心、マニピュレーターの小林タイチという精鋭たちを従え、『28』のオープニングナンバー「エスキース」へ。腕を大きく広げ“ちょっと自画自賛? いまを愛せてる”とハイトーンで届けていく。その姿には8年間歌い続け、さらにはアジアツアーを大成功に収めた自信とみんなと会えたことに対する喜びが滲んでいた。続けて「一緒に叫んでいきましょう!“叫び続けろ”」と『魔法科高校の劣等生来訪者編』のオープニングテーマ「Howling」へ雪崩込んでいき、さらには「逆境スペクトル」とくるのだから、フロアが盛り上がらないわけがない。タオルを振り回し、さらには頭も振り回したりと、序盤からハイライトのようなセットリストでフロアを焚き付けてみせたのだった。

息を整えつつ最初のMC。「初めてのアジアツアーを海外5都市まわってきました。今日がそのファイナルです」と語尾に力を込めれば、客席から大きな拍手が。「今日ここに集まってくれたことに、本当に感謝してもしきれません。それぞれのパーソナルスペースを守りつつ、怪我のないように自由に楽しんでくださいね」と呼びかけた。

「それでは、ASCA “ゼロ地点”の歌を聴いてください」と、『リスアニ!』Vol.30の付録CDに収録されたプレデビュー曲「RUST」へ。イントロが鳴った瞬間フロアからは怒号のような歓声が上がり、クラップ、ジャンプ、ヘドバンと、目まぐるしいほどに反応が連鎖して、ライブハウスならではの揺れを起こしていく。曲を締めくくる直前、ASCAは頼もしさを湛えた背中をフロアに向けると、次の瞬間ギターの速弾きと共にくるりと前を向いて「最前線」へと突っ走る。フロア全体を力強くリードしながら、過去と未来と現在の境界線を切り開くかのようなロックチューンを叩き込み、この流れがデビュー8周年を迎えたことを語るMCへと繋がっていく。そもそも“ゼロ地点”という言葉は、2019年に行われた“ASCA LIVE 2019 -絶対零度-”の由来ともなったもの。ちなみにその時のライブは、この日の会場の真横にある渋谷・duo MUSIC EXCHANGEで行われていた。

「渋谷は私がデビューしてから初めてワンマンライブをやった場所で思い出深いんです。8年経った今も、思い出の地で皆さんに向けて歌を届けられていることを本当に嬉しく思っています。この声に出会ってくれてありがとう」

そして、ゼロ地点から一歩ずつ積み上げてきた歩みを示すようなブロックへ。デビュー曲「KOE」、アルバム『28』にも収録されている「Never Let It Go」、さらASCAがゲストボーカルとして参加したSawanoHiroyuki[nZk]の「Unti-L」と、新旧織り交ぜたミディアムナンバーを、今のASCAならではの豊かな表現力で届けていく。ASCAの伸びやかな歌声、そしてバンドメンバーのダイナミックなアンサンブル、さらに照明の演出も手伝って、さながら巨大なホールにいるかのようなスケール感が立ち上がっていた。

「最高の景色が広がってます!」とASCA。観客に改めて感謝を伝えつつ「1人1人のところを回ってハグしたいぐらいの気持ちなんです。だからね、気持ちだけでもエアーハグを送らせてください」と両腕を広げると、フロアの空気がふっとやわらいだ。一方、11月はデビューの月であり、1stアルバム『百歌繚乱』のリリースなど自分にとって特別な出会いのあった時期であることと、この8年間には同じ数だけの別れもあったことを語る。しかしそれがどんな別れでも「出会えたことに感謝したいと思えるようになった」と穏やかな表情を見せ、誰の中にもある“別れ”の記憶に寄り添いながら、これから別れがあった時にも前を向けるようにとの願いを込めて次の曲「MOONWORK」へ。

「MOONWORK」は2025年の春アニメ『ばいばい、アース』第2シーズンEDテーマを飾ったミディアムナンバー。マイクとの距離をゆっくり離したり近づけたりしながら、声の強弱を緻密に操っていく姿も印象的。バンドと息を合わせ、繊細なボリュームコントロールをしながらも全身で感情を放つような歌唱に、ASCAが抱えてきた“愛”の温度がそのまま乗る。ときに泣き出しそうなほど切実な表情を見せる瞬間もあり、その一挙一動が曲の世界観をさらに深めていった。

誰もが息を飲むようにじっと聴き入っていた光景をガラりと変えたのはアニメ『龍族Ⅱ -The Mourner’s Eyes-』エンディングテーマ「Giver」。ASCAは曲に合わせるようにロングジャケットを脱ぎ、青いサテン調のパンツスタイルに。動くたびにフリンジが揺れ、どこか異国の舞踏を思わせるかのようで、曲の持つオリエンタルな雰囲気が一層際立つ。そこからステージはアグレッシブに変化していく。

長い髪を払いながら「東京、声出せるか!?」と挑発するようにASCAが問いかければ、フロアからは熱いシンガロングが跳ね返ってくる。魂のぶつかり合いのような光景を見せたのが次の「Teamfight Tactics: K.O. Coliseum」のテーマソング「Fighter!!」。このブロックではバンドメンバーのエネルギッシュさも印象的で、続く「VIVID WORLD」ではASCAがギター杉村と背中合わせになる一幕も。ステージ上手から下手へと縦横無尽に駆けながら歌うASCA。ステージ上の全員が互いに刺激し合いながら熱を高めていく。そのエネルギーがそのままフロアに伝わり、“戦い”と一言でいうより、お互いがどこまで楽しみ尽くせるのかが勝負のコロシアムのよう。ASCAも「もうみんな最高すぎるから!」「すごい幸せです」と満面の笑みだ。

MCでは本公演を支えるバンドメンバーを紹介。キーボード&バンドマスターの半田を紹介する際、ASCAはふと思い出したように「ずっと謝りたかったことがあるんです」と切り出した。というのも、今回のライブのリハーサル中にスタッフ2人の誕生日祝いをした際に、半田の誕生日がその翌日だったことを知らずにスルーしてしまったんだとか。しかも半田自身に「ハッピーバースデー」を弾かせてしまったという(笑)。念の為事前にメンバーの誕生日をネットで調べていたそうだが半田だけはプロフィールになかったそうで、ここで改めてASCAと観客で「お誕生日おめでとう!」と祝福。これには思わず半田も照れ笑い。この日喉を壊していた半田が「健康ってすごく大事で……」とガラガラとした声で新しい歳の目標を語ると、ASCAが即座に「おすすめの病院紹介します!」と伝え会場には温かい笑いが広がった。ひとしきり笑いが収まると、ASCAはバンドメンバーをぐるりと見渡しながら「大好きなメンバーです。ここからも一緒に音楽を作っていきます。まだまだ楽しんでいきましょう!」と手を広げる。

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