その呼びかけと共にライブは後半戦へ突入。ここではメドレー形式で「I DON’T CARE」「#kwk」「Gift of Life」の三者三様の楽曲を届け、曲の合間やサビで何度も目の前のフロアにいる1人1人と、さらには2階席にも何度も視線を向けて、客席の境界がふっと曖昧になっていく。そんななかでアニメ『ばいばい、アース』OPテーマ「FACELESS」を。「ばいばい」とでもつぶやくように指を小さく折り曲げてみせる姿がかわいらしく、曲にあわせてくるくると変わっていく表情も魅惑的だ。さらに痺れるようなロックナンバー「明日世界が終わるとしても」では何度も手をひろげ、間奏では客席の1人1人を確かめるように視線を送り、深く頷きながらステージを踏みしめる。そこから弾みをつけて、「いくぞ!」と高く拳を上げて本編ラストブロックの「凛」「CHAIN」へ突入。曲中、自らの体でタンバリンを鳴らすかのようにリズムを刻みながら歌い、音に身を委ねるたびにロングヘアがしなやかに舞う。女性エリアの盛り上がりも圧巻で、最後までそのステージ掌握力と渾身の歌声でフロアをガンガンに揺らして一体感を生み出したのだった。
アンコールのASCAコールに応え、ツアーTシャツを身に纏ったASCAが登場すると、いきなりアニメ『ソードアート・オンラインアリシゼーション』オープニングテーマ「RESISTER」を投下。フロアの温度が一気に上がり、“君がいるから歌い続けるよ”の一節が決意表明のように響く。この日は「RESISTER」に限らず、ステージを彩った曲の1つ1つが決意表明のようだった。“生き様”と言ってしまうと仰々しいかもしれないが、この日のASCAのステージからはそれが自然と伝わってくるのだ。激しさだけでも繊細さだけでもない、人としての振れ幅ごとしなやかに歌に乗せているからだろうか。
アンコールではグッズ紹介の時間も。今回のTシャツには、これまでのイベントで少しずつ増えてきたオリジナルキャラクターたちが勢ぞろい。「8周年というタイミングだからこそ、色々なものを詰め込んだ想いにしたかった」と語り、その声には長く応援してくれるファンへの感謝が滲む。その感謝を歌でといわんばかりに「今日だけの特別を持ってきました」とKeyの最新作となるゲーム『anemoi』オープニングテーマ「エタニクル」をライブ初披露。ケルト風の爽やかな旋律が駆け抜け、サビではASCAのハイトーンが軽やかに舞い上がり、緑色の照明がその世界を想像させる。新しい冒険の扉が開いていくようなサウンド感が今のASCAにもピッタリだ。この曲を歌う直前に「たくさんの方から愛されているこの作品に、8年間歌い続けてきたことでご縁をいただけたなと思っていて、本当に本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と話していたASCAが、その続きを伝えるように28歳のあるライブでの歌唱中に最中にふと「生まれて来れて良かった」と思えたと話し出す。
「時には、自分が何のために歌っているのかわからなくなることもあったし、自分が歌ってていいのかなって思う瞬間が何度かあって。でも、こんなにも音楽が好きだったんだ、歌うことが好きだったんだ。そのことに改めて気付くことができた。その気持ちを変えてくれたのは皆さんなんです」と観客1人1人を見ながら力強く伝え、「人の力ってすごい」とASCAは何度も何度も噛みしめるように語った。「あなたの“好き”というまっすぐな気持ちには、すさまじい力と輝きが灯っている。みんなのおかげで自分を愛せるようになった。私のこの人生、愛せるかも。愛すべきものなのかもって」。
そして改めてその決意を言葉で伝える。「私はこれからもステージに立ち続けたい。あなたが輝いていることを、ステージから伝え続けたい。皆さんが好き、楽しいって想いを持ち続けていけるように、9年目も頑張っていきたいと思います。応援よろしくお願いします」
ラストは28歳のASCAの素直な想いを綴った「28」。客席も含めた全体がステージだと言わんばかりに照明がふわりと明るくなる。“歌って、届いて君に出会えた生まれてこれて良かった”と、ASCAは胸に手を添え、真っ直ぐに観客へ想いを届けるように歌いきった。歌い終えた瞬間真っ先に取った行動が客席に向けた大きな拍手だったことが印象深い。その姿が9年目を迎えた29歳のASCAの今を象徴しているかのようだった。最後に「8」ポーズで記念撮影し「来年のASCAの活動も盛り沢山ですので、期待して付いて来てください! 愛してます!」とメッセージ。万雷の拍手が降り注いだ。
アグレッシブに攻め立てる猛々しい瞬間がありながらも、この日のASCAはバックパッカーのごとく風のようにしなやかで軽やかで、まさにその生き様がはっきりと現れていた。素直に生きる、軽やかに生きる、自分を心から愛する。それがどれほど難しいことか、きっとこの場にいた多くの人が身をもって知っているはず。しかし、彼女は強さも弱さも嘘なく差し出し、その難しさすら声に乗せる。それが今のASCAの魅力の1つなのだ。
そんな彼女が素直な心境を語った場面で発した「あなたが輝いていることを伝え続けていきたい」という言葉は、同時にファンが彼女に伝え続けていきたいことでもある。互いに熱い想いを交換し、眩しく照らし合う光景は、ASCAが“愛し、そして愛される人”であることをはっきりと証明していた。この輪はこれからもどんどんと広がっていくはず。29歳、9年目のASCAも明るい予感しか、ない。
“2025.11.24「ASCA ASIA TOUR 2025」ファイナル@渋谷O-WEST”
<セットリスト>
M01.エスキース
M02.Howling
M03.逆境スペクトル
M04.RUST
M05.最前線
M06.KOE
M07.Never Let It Go
M08.Unti-L
M09.MOONWORK
M10.Giver
M11.Fighter!!
M12.VIVID WORLD
M13.I DON’T CARE~#kwk~Gift of Life(メドレー)
M14.FACELESS
M15.明日世界が終わるとしても
M16.凛
M17.CHAIN
EN01.RESISTER
EN02.エタニクル
EN03.28
●「ASCA ASIA TOUR 2025 -11.24 TOKYO-」プレイリスト
https://asca.lnk.to/asiatour2025
「Giver」
TVアニメ『龍族Ⅱ -The Mourner’s Eyes-』エンディングテーマ
予約:https://asca.lnk.to/260204PKG
ASCA オフィシャルサイト
https://www.asca-official.com/
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