2025年11月1日から29日にかけて愛美のライブツアー【AIMI LIVE TOUR 2025 “NEW WORLD”】が開催された。
8月にヘビーロック、ラウドロックという自身の開いた新境地を“新世界の創造”になぞらえたハーフアルバム『A/CODE』をリリース。そんな作品を引っ提げて横浜、大阪、名古屋を回った今回のツアーは、アルバムのコンセプトを踏まえつつも自身のディスコグラフィのボリュームの厚さを見せつける展開に。本稿ではその初日、11月1日の神奈川・YOKOHAMA Bay Hall公演の模様をレポートする。
PHOTORAPHY BY Takashi Konuma
TEXT BY 成松 哲
本公演は通常エリアに加えて女性限定エリアが設けらており、その両エリアに溢れかえらんばかりの勢いで集まったオーディエンスは開演前から“できあがった”状態。開演直前には愛美のセルフタイトルナンバー的な1曲「愛世界」がSEとして流れ出すと、そのビートとメロディに乗ってオーディエンスがハンドクラップを鳴らし、シンガロングするノリの良さをみせていた。
そして定刻、「令和7年11月1日、YOKOHAMA Bay Hallにお集まりの皆様にご案内申し上げます。時は充ちました。拳を上げ、共に闘いましょう」と愛美の影ナレーションを合図に客電が落ちると、ステージにドラマー、ベーシスト、キーボーディスト、ギタリストを伴った愛美が登場。ブラックを基調にしたゴシックなドレスにフライングVという出で立ちの彼女は、最新ハーフアルバム『A/CODE』のオープニングを飾るオーセンティックなメタルコアナンバー「NEO ELDLADO」でツアー初日のステージをキックした。
この日のライブは2幕構成。愛美はその前半、『A/CODE』の楽曲を中心に据えつつ、過去の楽曲も同作のトーンとマナーにならってリアレンジすることで、最新作が提示する新世界=NEW WORLDの姿を現出させるコンセプチュアルなライブを展開する。例えば「NEO ELDLADO」に続く「Noise in me」では世界標準をにらんだエレクトリックなダンスナンバーである原曲を、ボトムヘヴィでノイジーなバンドサウンドの上を愛美のサンプリングボイスが飛び交う人力R&Bへと大胆にお色直し。ギターを降ろした彼女は、シャープでどこかセクシーなダンスを披露してオーディエンスの歓声を集めていた。
さらに愛美はMCタイムでもそのコンセプトの住人であることをまっとうする。芝居がかった節回しで「今日ここに集まった皆様は幸運です。新世界の幕開けを感じることができるのだから」とツアーの開幕を祝福しつつ「今夜私は新世界の神になる」とNEW WORLDの創造主として高らかに宣言。それを合図に『A/CODE』のリード曲にして、アニソンライクなメロディラインと正調ハードロックアレンジが光る「AthisCode」、彼女がヘヴィロックを指向する端緒になったともいえるだろう上田剛士(AA=)プロデュースの「MAGICAL DESTROYER」の2曲を畳みかけてオーディエンスのボルテージをさらなる高みへと押し上げてみせた。
なかでも白眉は「MAGICAL DESTROYER」だ。「AthisCode」でフロアの割れんばかりの「ハイ!ハイ!」コールを誘った彼女とバンドメンバーは、超高速ブラストビートと凶暴なヒップホップビートが交錯する上田の一流デジタルハードコアサウンドを、彼女たちだからこそ叩きつけられるバンドサウンドへと見事に翻案するプレイヤーとしての能力の高さを存分に発揮。そのサウンドに呼応したオーディエンスと共に“歌え”“叫べ”“破壊”のコール&レスポンスをYOKOHAMA Bay Hallいっぱいに響かせた。
新世界を創造する術を偽悪的かつ露悪的に模索するポエトリーリーディングを「すべてキャンセルして作り替えてしまおう」と締めくくると、愛美とバンドメンバーはその言葉を追いかけるように『A/CODE』の1曲「キャンセルさせて人生」をドロップ。歌謡曲を思わせるメロディ、ボーカロイドを彷彿とさせる高速リリック、スラップベースが混ざり合うこのダンスロックを響かせると、そこにコンテンポラリーな邦ロック「C’est la vie drive」を続けて、フロアを踊らせたところでライブ前半戦はクライマックスに。彼女がそのラストナンバーに選んだのはドラマチックなバラード「LIGHTS」だ。原曲どおりの流麗なピアノの音色と、NEW WORLDらしさ全開のヘビーでブーミーなリズム隊を背にこの曲を熱唱した彼女は、万雷の拍手を浴びながらいったんステージ袖へと姿を消した。
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