REPORT
2025.08.20
「デカルチャー歌合戦メドレー」を終えた2人がいったんステージから下がると、地球付近を飛行するアルトの可変戦闘機 YF-29が“S.M.S地球極東アジア方面ヨコハマ・ベース”と交信する模様が超大型のモニターに映し出される。指示に従い、ヨコハマ・ベース・Kアリーナ横浜エリアNo.9滑走路への着陸を目指すアルト。大気圏突入時や着陸時にはステージ上のYF-29の降下と共に轟音と振動が座席に響き渡り、まるで4DXの映画かアトラクションを見ているような感覚をもたらした。
そして、YF-29が着陸シークエンスに入るところで映像は幕となり、『劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~』のエンディングテーマ「そうだよ。」のイントロが流れ出す。ここからいよいよライブもラストスパート。シェリルの「永遠」「ユニバーサル・バニー」、ランカの「虹いろ・クマクマ」とそれぞれの楽曲を交互に歌い、「オベリスク」の前奏ではなんとMay’nが全力疾走でステージへと駆け込んできて、そのままアリーナの客席をぐるっと走り回ったかと思えば、すぐにステージに戻ってきて歌に入る。これは『イツワリノウタヒメ』の作中でシェリルが「オベリスク」のイントロと共に駆け出したシーンの再現だが、あれだけ走り回ったのに息一つ切らさずに歌い切ってしまうMay’nの体力が何よりも驚異的だった。
続くランカの「放課後オーバーフロウ」では『劇場版マクロスF~サヨナラノツバサ~』の戦闘シーンの映像が流され、曲の終わりに後ろを振り返りアルトたちの戦況を見つめる中島の姿も印象的。ここまで2人のソロ曲を中心に披露されてきたライブだが、続く「サヨナラノツバサ ~the end of triangle」で2人のデュエットを聴くと、やはりこの2人の掛け合いには2人にしか出せない魅力があるのだと実感させられる。このまま幸せな音楽空間に浸っていたいが、ライブには必ず終わりが来るもの。本編ラストはシェリル、ランカの2人が歌う超人気曲であり、TVシリーズ後期オープニングテーマでもあった「ライオン」により、最高のテンションを迎えたところでフィナーレを迎えた。
会場中から「シェリル!」「ランカ!」と交互に繰り返し呼びかけるアンコールを受けて、暗闇の中から白い光に包まれリフターでステージに上がってきたのはバンドメンバー……ではなく、1台のグランドピアノとその前に座る女性だった。その顔ははっきりとは映し出されていなかったが、ファンはすぐに気づいて大歓声を上げる。そう、『マクロスF』の音楽の生みの親であり、May’nと中島の2人にとっては育ての親ともいうべき、菅野よう子がシークレットゲストとしてこのライブに参戦したのだ。初期の『マクロスF』のライブでは2人と共に音楽を作り上げていた菅野だが、こうして2人とステージと共演するのは2010年開催の“マクロスF 超時空スーパーライブ ~Merry Christmas without You~”以来、なんと15年ぶり! 菅野のピアノ伴奏で「ダイアモンド クレバス」を歌うMay’nは涙ぐみながら感極まった表情を浮かべていたし、NHK「うたコン」での菅野との共演も記憶に新しい中島は水を得た魚のように生き生きと「Songbird」を歌う。さらに、「Songbird」のアウトロからはそのまま「愛・おぼえていますか」のメロディーが始まり、中島とMay’nの2人が“I love you, so”と美しい歌声を響かせていた。
2曲を歌い終えたところで、アリーナ中から響き渡る盛大な拍手に応える3人。「今日の私たちはどうでしたか?」と感想を求められた菅野は「いい歌でした」と一言。短い言葉だったが、それが2人にとっては何よりの賛辞だったに違いない。MCも最高潮に盛り上がったところで、再びバンドメンバーとストリングス隊がステージに帰ってくる。感動の2日間を締めくくるのは「娘々サービスメドレー」で、菅野もショルダーキーボードで演奏に参加しライブのエンディングを笑顔で盛り上げた。
すべての楽曲が終わり、一緒にライブを盛り上げたメンバーとゲストを見送り、ステージに2人だけとなったところでMay’nが思いの丈を語り出す。
「『マクロスF』に出会えたのは2008年、準備のことも思うと2007年です。私はその2年前の2005年、15歳でデビューをしました。3歳からコンテストに出たりして、歌を歌っていました。とにかく歌うことが大好きで、毎日歌をうたえる歌手という職業になりたいなと思って、9歳で歌手になることを決め、15歳でデビューすることができました。一番の趣味だった歌うこと、それが15歳のときに職業になりました。そのときに強く誓った言葉が“生きるために歌わない”ということです。生きるために歌わなきゃいけない人生が来たら、私はそのとき、歌うことを辞めようと思って、デビューを決めました。そして、おばあちゃんになっても、死ぬまでステージで歌い続けるぞ。そう思って、私の歌の人生が始まりました。
そこからシェリル・ノームに出会って、新しい、確固たる言葉をシェリルは教えてくれました。“歌で生きる”ということです。私はこれからも、どんなことがあっても、歌のために生きていきたいなと思っています。シェリルの歌を歌うときに、ステージで歌を歌わせてもらっているときに、最高の声援を、最高の景色を皆さんが見せてくれるたびに、“ああ、ここで死んでもいいな”と思えるくらいの気持ちでいつも歌を歌っています。だけど、同時に“こんなに最高の景色が見られるなんて、だからこそ死ねないな”とも思います。ステージに立つたびに、死ねない理由もどんどん増えていきます。私はこれからも、自分の音楽人生をかけて、シェリル・ノームを、シェリルの歌を生かしながら、生きていくことを誓います。今日はありがとうございました!」
その言葉を受けて、中島の目には光るものが……。「この気持ちを話すMCの部分は事前に話し合ったりして内容を決めているわけじゃなくて、お互いにこの場に立ってみて思ったことを話しています。なので、私も泣かないようにしようと思っていたけど、May’nちゃんの言葉を聞いて自然と涙が出ました。May’nちゃんの言葉を受けて、話してみたいと思います――。私はMay’nちゃんと歌声も性格もきっと真逆だと思うし、それがとてもいいと思ってもらえて、引き寄せられて今ここにいると思っています。私は子供の頃から自分のためだけに歌ってきました。自分を癒すため、自分を励ますために、歌ってきました。何かを否定したいとか、逆のことを言いたいとか、そういう気持ちはまったくなくて、本当に自然と、ただ私は生きるために歌っていたんだと思います。
この世界に入ったときも、自分のために歌ってきた歌をもっと磨きたいという思いで、13歳のときにこの世界に飛び込みました。初めに入った事務所の方に、君は絶対にグループには入れない、あなたは絶対ソロ、ということを、何も言っていないのに断言されまして(笑)、そうなんだ、わかる気がする、と思いながら、いつかデビューできるのかな? でも、職業にしたいというよりも歌を続けていける人生だったらいいなという気持ちで、ずっと歌ったり、演技のレッスンを受けて、みんなと励まし合ったりしてきました。そんななか『マクロスF』に18歳のときに出会って、私はMay’nちゃんという1人のソロアーティスト、すごく特別な存在に出会うことになります。そこで初めて、歌は1人で歌ってもいいんだけど、誰かと一緒に歌えたらもっと楽しい、ということを知りました。『マクロスF』に出会ったことも私の大きな人生の分岐点だったと思うけど、何よりも一番の宝物、私にとってのギフトはMay’nちゃんに会えたことだと思います。いつも自分は1人だなと思っていた私を、1人じゃないって思わせてくれる『マクロスF』のみんなと、そしてMay’nちゃん。そして『マクロスF』、「マクロス」シリーズを愛し続けている皆さん! そのおかげで私は今日ここにいます。本当に、本当にありがとうございました!」
涙、涙のフィナーレとなったが、最後は笑顔で未来を目指す。
「ちょっと長くなってしまいましたが、今回はあくまで“ギャラクシーライブ”のファイナルということで、私たちは(『マクロスF』の設定年代である)2059年を目指して歌うって、最初にMay’nちゃんが言い出しました(笑)」(中島)
「でも本当に、ファイナルという気持ちでいつも私たちは歌っているので、そういった意味では悔いがなく今日を終えることができているのですが、でも、2059年まで私たちは共に歌うことを決めております。愛ちゃん、これからもよろしく!!」(May’n)
そしてガッチリと固い握手と抱擁を交わした2人は、声を合わせて「これからも、私たちの歌を聴けー!!」と、熱いメッセージを残してステージを去っていった。
2059年と聞くと、気の遠くなるような未来に感じるかもしれない。だが、その時は確実にやってくる。そして、その日もきっと2人は全力で歌を歌っている。この日の“ファイナル”は、来たるべきその日へのプロローグでもあるのだろう。
SANKYO presents マクロスF ギャラクシーライブ☆ファイナル 2025
2025年7月26日(土)、27(日) Kアリーナ横浜
<セットリスト>
DAY1:7月26日(土)
M01. サクリファイス
M02. 時の迷宮
M03. トライアングラー(fight on stage)
M04. Welcome To My Fanclub’s Night!
M05. What ‘bout my star?
M06. インフィニティ
M07. 射手座☆午後九時Don’t be late
M08. アイモ~鳥のひと
M09. 私の彼はパイロット
M10. アナタノオト
M11. 星間飛行
M12. What ‘bout my star?@Formo
M13. デカルチャー歌合戦メドレー
M14. 蒼のエーテル
M15. 妖精
M16. ユニバーサル・バニー
M17. 虹いろ・クマクマ
M18. オベリスク
M19. 放課後オーバーフロウ
M20. サヨナラノツバサ ~the end of triangle
M21. ライオン
<アンコール>
M22. ダイアモンド クレバス
M23. ホシキラ
M24. dシュディスタb
M25. Get it on ~光速クライmax
DAY2:7月27日(日)
M01. サクリファイス
M02. 時の迷宮
M03. トライアングラー(fight on stage)
M04. Welcome To My Fanclub’s Night!
M05. What ‘bout my star?
M06. ノーザンクロス
M07. 射手座☆午後九時Don’t be late
M08. アイモ~鳥のひと
M09. ねこ日記
M10. アナタノオト
M11. 星間飛行
M12. What ‘bout my star?@Formo
M13. デカルチャー歌合戦メドレー
M14. そうだよ。
M15. 永遠
M16. ユニバーサル・バニー
M17. 虹いろ・クマクマ
M18. オベリスク
M19. 放課後オーバーフロウ
M20. サヨナラノツバサ ~the end of triangle
M21. ライオン
<アンコール>
M22. ダイアモンド クレバス(Piano ver.) with 菅野よう子
M23. Songbird(Piano ver.) with 菅野よう子
M24. 娘々サービスメドレー with 菅野よう子
2日間のセットリストを網羅した公式プレイリストが公開中!
DAY1:7月26日(土)https://jvcmusic.lnk.to/macrossF_galaxylivefinal_day1
DAY2:7月27日(日)https://jvcmusic.lnk.to/macrossF_galaxylivefinal_day2
「マクロス」シリーズ 公式サイト
https://macross.jp/
「マクロス」シリーズ公式X
https://twitter.com/macrossD
「マクロス」シリーズ 公式YouTubeチャンネル マクロスch
https://www.youtube.com/channel/UCKeM8HXpwR0qc0RtH0GKyMg
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