REPORT
2025.08.08
1年ぶりに実現した夢の時間――。麻倉もものオーケストラコンサートツアー“RENAISSANCE CLASSICS『麻倉もも PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2025』”のファイナルとなる東京公演が2025年7月26日に東京文化会館大ホールにて行われた。1年前の奈良・薬師寺でのオーケストラコンサートに続き、今回はツアーが実現。自身も夢だと語っていたフルオーケストラをバックにした歌唱でファンを魅了した。
TEXT BY 金子光晴
PHOTOGRAPHY BY 江藤はんな(SHERPA+)
麻倉ももの初のオーケストラコンサートが行われたのは、約1年前の2024年6月15日。“世界遺産・薬師寺東塔落慶記念奉納「麻倉もも SYMPHONIC CONCERT in薬師寺」”と題して、世界遺産の奈良・薬師寺で開催された。元々オーケストラコンサートで歌うのが夢だと語っていた麻倉もも。世界遺産・薬師寺という特別な舞台は一夜だけの夢かと思いきや、1年後に実現したのが今回のツアー、“RENAISSANCE CLASSICS『麻倉もも PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2025』”だった。2025年4月26日に兵庫県立芸術文化センター大ホール、6月28日に埼玉・大宮ソニックシティ大ホール、そして7月26日に東京文化会館大ホールという3ヵ月かけてのツアーが開催された。今回の記事ではグランドファイナルの東京公演の模様をレポートする。
今回のツアーでは、薬師寺公演で披露された楽曲だけでなく、「Agapanthus」など新たな楽曲もオーケストラアレンジで披露された。
初演の兵庫公演では関西の名門・日本センチュリー交響楽団と共演(指揮・西谷 亮)。そして埼玉公演・東京公演では国内外の名手たちによって特別編成されたRENAISSANCE CLASSICS ORCHESTRAによる演奏で、指揮者はバルカン半島の平和と民族共栄を願ってバルカン室内管弦楽団を設立するなど国際的に活躍している柳澤寿男が務めた。
今回の公演では「さよなら観覧車」がOVERTUREとして演奏された後、麻倉ももがステージに登場。自身のカラーであるピンクの華やかなドレスに身を包み、普段のライブとは違った優雅な雰囲気で登場。
最初に歌唱した曲は「ユメシンデレラ」。夢見る乙女の気持ちを歌ったかわいらしい曲だが、サビのドラマチックな展開がオーケストラアレンジと見事にマッチしていて、いきなりファンの心をぐっとつかんでくる。続けて「彩色硝子」(ステンドグラス)では印象的なイントロが壮大になっていて、クラップで会場が一体になる場面も見られた。そして「Agapanthus」。2020年のライブ(“LAWSON presents 麻倉もも Live 2020 “Agapanthus””)ではこの曲で涙したこともあり、ファンにとっては思い出深い曲だ。感情の動きを歌とオーケストラの演奏で見事に表現していて、相性の良さを感じさせた。
こうして麻倉ももの歌とオーケストラが創り出す新たな世界に観客を誘った後、最初のMCのゾーンへ。麻倉の「こんにちはー!」という挨拶に観客が拍手でリアクションすると、「一応、声は出していいです(笑)」といつものペースに会場を巻き込んでいく。5階まで座席があることに驚いた後、「上の方、見えてますかー?私からは全然見えない(笑)」と笑いをとっていた。すでに夏休みの時期だったが、夏休みなど関係ない社会人のファンも多いことを確認すると、いっぱい稼いでライブに来てほしいという言葉にまた会場は大ウケ。普段はオペラやバレエなどの公演が行われている格調高い東京文化会館大ホールで、ファンも若干緊張気味だったようだが、対話しながらお喋りしていくというスタイルでホッと和ませる。
5曲目に披露したのは「恋のプレリュード」。“コンチェルト”“レガート”などオーケストラに関係する用語が散りばめられた今回のコンサートにぴったりの楽曲だ。好きな人には甘い女の子の気持ちを歌った「シュークリーム」、サビに向かって感情が高まっていく「さよなら観覧車」に続き、前半の最後を飾ったのが「今すぐに」。今すぐに会いたいという感情の高ぶりをオーケストラが劇的に表現する秀逸なアレンジだった。
休憩を挟んで、まずは誰もが聴き馴染みのあるチャイコフスキーの「くるみ割り人形『行進曲』」が演奏された。こうした本物の演奏でクラシックに親しむ時間を作ってもらえるのも嬉しいところだろう。そして再登場した麻倉ももがまず歌ったのが「幸せって書いて」だった。自身が主演を務めたTVドラマ「お願いメシ神さま」の主題歌で、どうやってオーケストラアレンジするのか想像しづらい軽快な楽曲だったが、小気味良いサウンドで楽しそうに歌う姿が印象的だった。そして「僕だけに見える星」は元々エモーショナルな楽曲なのだが、オーケストラの力によってさらに強い想いが伝わる歌になっていた。
「最後なので1曲1曲噛み締めようと思って歌っていた」という彼女。この歌声を聴くために海外から来たファンも多いということで、どこから来たのか呼びかけると、オーストラリア、シンガポールなど様々な場所から来たという声が返ってきた。そして話題は前回の埼玉公演で物議をかもした出来事に……。誕生日を迎えたばかりだった埼玉公演で、「○歳になのにかわいい」というその「○歳なのに」の部分はいるのか、ということを話したところ、ネットの海に流されて思っていた以上に拡散されてしまった。すると取材の場でも「○歳なのに、とは言わないですけど(笑)」と言われるなど、完全に界隈で広まってしまうという事態になってしまった。「ホントにあんたたち……口軽いのね(笑)」と妖刀が炸裂して、ファンは大喜びしていたのだった。(なお、本人は年齢を包み隠さず言っていたが、ここでは秘すこととする)
いよいよコンサートも終わりの時が近づいてきた。今回の会場でも5階席はステージからでは見えないほど遠い距離だけれど、「私はいつでも近くにいるよ」というメッセージを込めた楽曲「No Distance」。コロナ禍でライブができない時もあったが、この曲で彼女を近くに感じることができたというファンも多いだろう。そんな思い入れの強い曲を幸せそうな表情で歌い上げた。そして「Run for you」はライブ映えする曲だが、オーケストラコンサートでもクラップで会場一体となって盛り上がることができた。
最後の曲は「Good Job!」。これもライブには欠かせない定番曲で、オーケストラで聴けるとは想像できなかった曲でもある。“グッジョブ”のサムズアップも今回はみんな控えめにやっていたのが微笑ましかった。そんな幸せな空気に包まれてコンサートの本編を締め括ったのだった。
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