REPORT
2025.07.28
7月20日、声優とアイドルの活動を両立するハイブリッドユニット・i☆Risが“i☆Ris 10th Live Tour 2025 ~ViVa i☆Ris~”の東京公演を開催。記念すべき10回目となる全国ツアーのファイナルでi☆Risは、キュートさからかっこ良さ、エネルギッシュさまで様々な魅力を存分に発揮。各地でソールドアウトが続出するなど今まで以上の盛り上がりをみせたツアーを、最高のパフォーマンスと高いファンの熱量で彩ってみせた。本稿では、2回行なわれた公演のうち夜公演の模様をお届けする。
TEXT BY 須永兼次
PHOTOGRAPHY BY Kugino Takahiro
オープニングSE流れるなかステージからの逆光が客席を照らすと、そのライトが虹色のようなグラデーションに色を変え、リズムと共に点滅。「ViVa i☆Ris」のセリフに続いて5人がステージに登場し、「ビバ☆アイドル!」からライブがスタートする。セリフ調の部分も含めて表情豊かなボーカルワークをみせれば、持ち前の高いダンスのクオリティも生かしつつ、ヘッドセットを使用した自由度高いパフォーマンスを披露。キュートさいっぱいに、しかし魅せどころではフォーメーションもバッチリにダンスも揃えたりと魅せていき、客席からコールやジャンプを巻き起こしていきなりすさまじい盛り上がりをみせる。また、大サビの終盤に高く跳ねた山北早紀の姿や久保田未夢によるラストのセリフの語調などから、メンバーからもファイナルならではの高まりを感じさせられた。それに続く「Ready Smile!!」では、若井友希が2-Aメロでスタンドに向けてハートを作ったり、茜屋日海夏が2-Bメロでひときわ前へと乗り出してファンを指差したりと、パフォーマンスに加えレスでもファンを巻き込む。2サビ明けの間奏でも、コールを浴びながら安定のパフォーマンスを軽々とみせていくと、自己紹介ソング「5STAR☆(仮)」へ。曲中のセリフはこの日ならではのものにアレンジされ、なかでも芹澤 優の「まだまだi☆Risやります!」の言葉が、喜びでファンを沸かせる。また1サビの「JUMP!」でとりわけ高々と跳ねるなど、このステージを楽しんでいることをうかがわせるパフォーマンスをみせていった。ちなみにここでは、5人は自身のイメージカラーの灯ったペンライトを両手に持ちながらパフォーマンスを展開。ラストにはその10本のペンライトで、「☆」を形作って締め括った。
最初のMCでは、個々の自己紹介前に「ファイナルだから、一番元気な声聞かせてくれます?」と山北が要求。それに応えるファンからの大きな声が次々に響き渡り場内がアツさを増すと、芹澤の「ここからは、かわいいi☆Risちゃんが」との予告から、「Heart Poppin’」の披露へ。軽快なダンスポップを、細かい振付をキビキビとみせながら、キュートさにじむダンスと甘めに振った歌声とで魅せ聴かせていく。非常に細かいフォーメーションも駆使しつつ、ペアダンスなどでも良好なコンビネーションをみせ、チームとしてのまとまりやキュートさで魅了していった。続くさらに甘々なナンバー「ハートビート急上昇」でも、引き続きファンを魅了しながらのパフォーマンスを披露。落ちサビでは山北の後ろから芹澤が顔をのぞかせたりと、楽しく“遊び”も交えつつ魅せていく。そして「i☆Doloid」では、歌詞に合わせたポージングで一体感も生みながら、サビをはじめ隙あらばレスを飛ばしていく。そのなかで改めて感じたのが、茜屋のダンスの質の高さ。しかもこの日はメリハリを持ちながら1つ1つの動作も大きく感じられ、普段以上に乗りに乗っている印象が。
こうしてキュートさで魅了したところでステージは暗転。SE流れるなか茜屋・若井・久保田の幕が照らされると、3人による「White Lyrical Kingdom」がスタート。酷暑の立川に、涼しさを届けにウィンターラブソングを披露する。3人バージョンならではの、普段と異なるパート割りがまた違ったイメージを与えていたのも印象的。1-Aメロでは久保田が甘めな歌声で聴かせることで、美しさの中によりかわいげもにじむ。そして今度は残る2人、山北と芹澤による「Summer Dude」の披露で、季節は再び冬から夏へ。この曲では、とにかく山北のステージングが目を奪う。序盤は本来ソロを歌う茜屋や久保田の歌唱をやや誇張気味にマネしてニヤリとさせれば、1-Bメロでは歌詞に合わせて芹澤の隣にピタリと寄り添う。一方でサビでは美しく下ハモを彩るなど、しっかり締めるところは締める。そのパフォーマンス力あればこその“遊び”が、心をとらえてくれた。そこに3人が合流すると、「あっぱれ!馬鹿騒ぎ」で場内は“夏祭り”の様相を呈す。冒頭からコールも上がりに上がるこの激アツナンバーで、ステージ上の5人もギアを切り替えて一気に場内を熱してくれた。
その余韻残るなか、直近6曲の流れやねらいを振り返ると、山北が「うちらはかわいいだけじゃないから」と発言。それに続いた茜屋の「それでは、かっこ良くスポットライトくださいな!」の言葉を導入に「スポットライトステージ!」でライブ再開。ここでは楽曲の持つグルーヴ感を生かしたパフォーマンスを展開し、自らもリズムに乗りつつファンも踊らせていく。また2-Bメロでは円形のフォーメーションを形成して1人ずつソロでセンターを取り、フィーチャーされたパートでは各々がいっぱいに魅力を放つ。そんなダンサブルなナンバーから、更にスタイリッシュさをプラスしたステージを繰り広げたのが「Let you know!」。次々と複雑なフォーメーションを変えながら、“魅せる”に全振りした圧巻のクールなパフォーマンスをみせていくと、よりハードなナンバー「Platonic」へ。サウンドや楽曲の持つメッセージにも合わせて、5人のパフォーマンスはさらに力強く圧あるものに。2-Aメロのラップは、茜屋のスタイリッシュさと久保田の甘さがコントラストとなり、音源のみならず生披露でも良好なアクセントに。加えてサビ前の若井のソロのがなりも含んだ荒々しい歌声もまた楽曲にマッチして、魅力的に響き渡る。そんなハードな空気の中に、ダークさを加えたのが「Re:Call」。猛々しいイントロのダンスがまたも心を掴むと、その後は複雑なフォーメーションにも関わらず、息を合わせてすれ違ったりとチームワークも抜群。また、落ちサビでの芹澤ソロの歌声は清涼感を持ちながらも一本芯の通ったもので、一筋の光のように心に刺さるものだった。そして続く「キセキ-ノ-フィラメント」のイントロ中には、メンバーがかわるがわる観客を煽り、コールを大きく響かせてからのスタート。その力強い歌声とステージングが立川に集ったファンの心を力強く牽引していくと、その熱とハードさを、意志の強さとオーバーラップさせて届けた「希望の花を」へ。まだまだ全力で進み続ける宣言をするかのように、力強い歌声とパフォーマンスをもって披露するi☆Risだからこそ、2サビで円を作り向き合って歌う場面は観る者の胸を熱くさせるのだろう。
まさにこの6曲で、“かわいいだけじゃない”i☆Risの多面的な魅力を提示することに成功したところで、ライブはラストスパートへ。改めて観客を煽ってから、ラストブロックの幕開けを飾ったのは「ありえんほどフィーバー」。フロアの熱狂を呼び込み、ファンのボルテージを更に上げにかかるi☆Ris。大サビの中盤では5人が一斉に跳ねて、ステージ上で視覚面からも更なる高まりをもたらしてみせると、ここで“ラスボス”曲「Realize!」を投入。17曲目にも関わらず、そのパフォーマンスは非常にエネルギッシュ。特にサビのダンスは締め括りのジャンプまでダイナミックで舌を巻くし、しかもそこにクオリティまで担保されているのも、本来なら驚くべきことのはずだ。ただ、これだけでもとてつもないのに、そこにライブ定番のアグレッシブなナンバー「アルティメット☆MAGIC」を続けたのには重ねて驚かされた。笑顔でエネルギッシュに躍動しながら、2番に入ってからAメロやサビで隙を見てレスを送る久保田を筆頭に、ファンサも織り交ぜ心を惹き付けるいく。こうしてライブが加速したなか、ラストナンバーとして披露されたのが「ツリアイ」。1-Aメロの若井を筆頭に、歌詞になぞらえてファンに歌いかけたりとコミュニケーションを取りつつパフォーマンスを行なっていく。爽やかでキラキラなナンバーなのにも関わらず、サビのステップは意外にもダイナミックで手数も多いものだが、その難度を感じさせないきらめくパフォーマンスを展開。最後まで場内の熱を最高潮に保って、本編を締め括ってみせた。
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