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INTERVIEW

2025.08.08

『ギヴン』と共にあった日々を経て、新たなアルバムで届けたい愛と温もり。センチミリメンタル『カフネ』インタビュー

『ギヴン』と共にあった日々を経て、新たなアルバムで届けたい愛と温もり。センチミリメンタル『カフネ』インタビュー

温詞によるソロプロジェクトであるセンチミリメンタルが、実に3年8ヵ月ぶりのオリジナルアルバムを完成させた。アニメ『ギヴン』の主題歌、そして劇中に登場するバンド・ギヴンの作詞、作曲、プロデュースを務めたことでその名を広く知られることとなったセンチミリメンタル。『ギヴン』と共に歩んできた時間を経て、その音楽にたくさんの“愛”を宿した彼の今を感じさせる『カフネ』について聞く。

INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち

僕にとっても『ギヴン』は「人生」だと思います

――前作『やさしい刃物』から3年8ヵ月ぶりのフルアルバムです。

温詞 もうそんなに経っていたんですね。僕としてはそこまでの時間だと感じていなかったのですが。

――この3年8ヵ月の音楽活動も振り返るような収録内容となっていますが、様々な作品に関わってこられたことで、ご自身の音楽観や表現、制作環境に変化はありましたか?

温詞 制作環境が大きく変わってはいないのですが、配信シングルとして制作した「ツキアカリ」で、初めて他の方にアレンジをお願いするという経験をしました。今まではずっとセルフプロデュースでサウンドまで1人で作っていたのを、シライシ紗トリさんにサウンドを構築してもらったんです。これは新しいことに踏み出す、そんな一歩でした。

――自分の手癖からは離れた楽曲が生まれますね。いかがでしたか?

温詞 面白い部分というか、刺激的な部分は大きくて。自分でやっていたらたどり着けない歌になったと思いましたし、それがすごく楽しかったです。しかも自分が考えていないフレーズが入ってくるので、ライブで弾くのが難しそうだなと思いましたし、プレイヤーとしても試されている感覚がありました。

――今回、シライシさんとご一緒されたことで、ほかのアレンジャーさんともやってみたいというような興味は出ましたか?

温詞 やってみたいなと思いました。共同プロデュースなども面白そうです。楽曲提供という形ではほかの方と一緒にやることもありますが、センチミリメンタルとしてもほかの人との制作をやってみてもいいのかもしれないと、前向きになりました。

――3年8ヵ月を経て、柔軟になった感はありますか?

温詞 それはありますね。特に前作の『やさしい刃物』はインディーズ時代の空気感もまとっていたと思うんです。そもそもインディーズ時代の仲間と一緒に音源を作っているということもあり、そうした空気感や孤独だった時代の音、苦しかった時代も引き連れたアルバムだったんです。そこから時間が経って、他者と足並みを揃えて、歩幅を合わせて進むことの楽しさを知りました。そうしたことである種、尖りの取れた、丸くなった部分もあるのかもしれないと思います。新しい表現のために何かを手放すことにも挑戦できるようになりました。

――この活動がより温詞さんに近づいたのか、それともセンチミリメンタルという個の確立になったのか……。

温詞 どっちだろう……。でも、センチミリメンタルを俯瞰で見られるようにはなりましたね。ある意味、自分の手から離れたというか、自分以外の人が介在しても自分の表現すべきことや伝えたいことはもうブレないというか。アーティストとしてだけではなく、1人の人間としても自信のようなものがついたのかもしれないと思います。

――前作からの時間は、特に『ギヴン』シリーズとの関係性が非常に深い日々でした。この作品との出会いはご自身にどのような影響がありましたか?

温詞 相当強い影響があります。それこそ『ギヴン』シリーズを最初から最後まで任せてもらいましたから。中でも『映画 ギヴン 海へ』主題歌の「結言」は、デビュー前の、インディーズ時代の曲なのですが──それをそのまま作品に使っていただけていることが、自分自身を個人として認めてもらえたような、ありのままでいても許してもらえるんだという気持ちにはすごく繋がっていると思います。自分のこれまでをまるごと受け止めてもらったという感覚があって。もしかしたらそれも、他の人ともっと手を組んでみようというチャレンジに対して前向きにさせてくれた要因かもしれないと思います。

――『ギヴン』はバンドとしての日々がリアルに見えてくる作品です。ご自身の初期衝動や初心に触れる機会でもあったのではないでしょうか。

温詞 それはあります。自分もバンドマンでしたから、その時代を追体験させてもらっているような感覚もありましたし。人間としても、ミュージシャンというキャリアにおいても成長を描いた物語なので、それと一緒に成長していくような感覚もあって、過去を振り返りつつも今の自分の状況と照らし合わせることができました。一緒に足並みを揃えて進んでいった感覚があって、僕にとっても『ギヴン』は「人生」だと思います。

――そんななかでアルバムを作るにあたって、どのようなことを考えましたか?

温詞 リリースペースに焦っていなかったので、アルバムを作らなきゃ!みたいな焦りはなかったのですが、曲が増えてきて、シングルとしてもたくさん出しましたし、「結言」を出して『ギヴン』もシリーズとして完結したので、このタイミングで一区切りという意味でオリジナルアルバムを作りたいという気持ちになりました。タイミング的な要因が大きかったと思います。

――アルバムタイトルを『カフネ』とした理由を教えてください。

温詞 「結言」しかり「スーパーウルトラI LOVE YOU」しかり、そのほかにもネガティブもポジティブも含めて愛について歌うことが多いなと思っていたんです。その結果、距離感の近さというか、体温を感じられる肌感覚のようなものが表現された楽曲が多いアルバムだなと感じていて。愛の温度感みたいなものを、アルバムを通して感じてもらえたらいいなと思ったことで付けたタイトルです。『カフネ』とは、大事な人の髪に指を通す仕草のことで、それにより相手を落ち着かせたり、眠りにつかせてあげるということを意味する言葉なんです。すごく狭くて、閉じられているけれど、充実した空気感を表現するような言葉として。聴いてくれた皆さんにとっても、過去の嬉しかったことや悲しかったことも含めて、カフネの距離感で穏やかに包んであげられる作品になってほしいという願いを込めました。

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