夢限大みゅーたいぷとファンが「一緒に楽しい一瞬を積み上げていきましょう」との誓いを交わす！“夢限大みゅーたいぷ 3rd LIVE「ふりーてぃんぐ もーめんと」”ファイナルの様子をレポート

喧騒のライブの中で生まれる、少女性に満ちた音楽

演奏後、峰月がMCを担当しながら、ギターをカーキ色のギブソンタイプのエレクトリックアコースティックギターに持ち替える。「こんなにたくさんの人たちに見守られながらここまで来たんだと思うと、さっきトイレで泣きそうになっていたんですけど」「みんなに感謝していきたい、ありがとう！」「夢のその先に向かってたくさん走っていきたいと思うので、みんなもついてきてくれる？」との問いかけに「ウオー！」と答えるファンたち。だが、続けてメンバーに向かって「ゆめみたｽﾞもその先に向かって行こうねっ」と声をかけると「……おー」と気のない返事が……。どこか用意されたセリフのようだったため、宮永からは「心からもう1回言って」とリテイクが入る。しかし再挑戦したもののセリフっぽさは抜けず、メンバー全員に笑われてしまうが、どこか芝居がかった口調も峰月の魅力。そんな峰月は3フレット目にカポタストを付け、彼女をモチーフに制作された楽曲の第2弾「TRASH LIFE」に会場を誘う。

峰月が監督・撮影したMVの映るスクリーンを背に、青いライトが会場を照らすなか、ゆめみた史上最高にエモーショナルな楽曲が繰り出される。続いて、同じく「Hi-Vision」に収録された「テレパシー」を披露。こちらは宮永をモチーフとする楽曲の第2弾。仲町がスタートさせたボーカルに宮永は声とギターで自身をかけ合わせていく。2番で2人は背中を向け、手を挙げながら歌う。さらには宮永のソロから仲町のボーカル、そして宮永のギターソロ、仲町のCメロ、ラスサビ……。歌とギターで手をとりあって駆けていった2人はどこかコケティッシュで刺激的でもある。

ラストフレーズで見つめ合う仲町と宮永……。そこで今度は藤が鍵盤を鳴らし、仲町ともデュエットでMyGO!!!!!の「壱雫空」を送り出していく。音数の少ない静謐な空間に、仲町のロックで情熱的なシャウトが響き渡る。仲町の視線を受けながら藤はピアノの音を紡ぎ、宮永による哀愁のギターも重なると「LaLa」との歌声が染み入る。最後は千石がパッドを叩いてクラッシュシンバルを鳴らし、先程までの熱狂が嘘のような静謐な空間はフィニッシュした。

その流れで宮永がマイクを持つ。だが、「CDとの違いを伝えられるように、ライブで色んな姿を見せられるか、たくさん練習してきました」「音楽で気持ちを伝えるのって難しいけど、でもみんな……」と話したところで涙ぐんでしまう。励ましの声をかけるフロアに向け「えへへ……。でも皆の顔を見ていると伝わっているようで良かったです！」「みんなの悲しい夜にゆめみたの音楽が、ライブが、光となって届くと良いなと思います」と思いを口にする。駆け寄る峰月と、一度ステージを去っていた仲町らも宮永を慰める。ここで宮永からの振りで藤が「私もみんなのことを見ていたら……、グッズだーっ！」とグッズ紹介コーナーへ。キーボードの端でライブを見守っていたまるくん（藤と行動を共にするハンドパペット）を手にステージ前方へ躍り出て下手のお立ち台に乗ると、「購入！」「感謝！」と観客との間で気持ちを共有しながらコーナーを取り仕切る。中央のお立ち台には仲町と宮永が付き、仲町はグッズを宮永に手渡す黒子役、宮永は台に乗ってグッズをアピールする係を担当した。Tシャツを振り回したり、フォトフレームに顔を入れたり、宮永と仲町の2人が小芝居するのを藤と、上手お立ち台に陣取った峰月と千石が見守る。

一通りグッズを紹介すると藤が「グッズが欲しくなったよなー」「グッズを手に入れるには何かしなくちゃいけない……」から「労働！」「感謝！」の連呼に繋げると「臨兵闘者皆陣烈在、前（ゼーーン）!!」との言葉から「限界現実サバイブ天使」になだれ込む。フロントメンバーがセンターで縦1列に並ぶフォーメーションを見せた後、宮永と峰月が上手と下手で立ち位置を入れ替わり、またサビで1列になったり元のポジションに戻ったりと、ライブバンドらしくステージを巧みに使いこなす。後半に待つ「ラーラララー」の大合唱など、ゆめみたライブでも特に一体感を味わえる時間だ。上手で台に乗ってギターをかき鳴らす宮永を経て、最後は“臨兵闘者皆陣烈在、前（ゼーーン）!!”でファンと共にすべてを発散させた。

熱い時間を終え、千石がMCを受け持ち「盛り上がりすぎてろれつが（回らない）」と話しつつも、会場をアリーナ、スタンド、上手、中央、下手などと手際よく振り分け、声出しさせていく。そして「スタッフー！」と声をかけた時には舞台袖からしっかりと声が聞こえ、声出しの先輩であるファンはこれに笑顔で拍手を送った。そんな声出しが成果を見せたのが、仲町をモチーフとする楽曲「コハク」。黄ライトの中で“ぼくの世界”を熱唱する仲町をクラップが後押しする。歌を終え、スクリーンには微笑むツインテールの少女。そんななかで間髪入れずに「ビッグマウス」がスタート。仮想世界に対する想い、現実への抗いが乗った歌詞に続けて、千石はセンターの階段からステージ上のお立ち台に歩みを進め、“ゴミはゴミ箱へ”と感情を乗せた言葉を放つ。メインのボーカルを担う仲町も激しい感情を拡声器でアナーキーに歌い上げる。ギター2人がキーボードの前に集まり3人で演奏を合わせる様も見せつけつつ、最後は千石が自ポジションに戻り、パッドで高らかにフィニッシュ音を叩いた。

「次が最後の曲です！」「1,2,3 Fire!」という仲町の宣言から始まったのは「コミュ着火Fire!」。数々のアニメや声優に楽曲を提供してきたやしきんのドラスティックな歌詞を、センターのお立ち台の上の仲町が吠えながら届けていく。ギター2人は上手と下手のお立ち台で弦をはじき、千石もハンドマイクで“のらりくらり生きていたら響かない”と歌う。そして各メンバーの雄叫びを受け止め、仲町が拡声器による“伝われ！バカヤロー！”を放つと、最後はジャンプで楽曲を締めてみせた。

清々しく達成感のある余韻がフロアを満たしたゆめみたｽﾞの5人はステージに集まり、並んで一緒に下手へ退場していく。すぐさまステージに浴びせかけられる長く熱いアンコール。コールで鍛えられた声量は衰えず、テンポが早まってフェードアウトすることもなく、乱れずに渇望の声を鳴り響かせ続ける。ようやく千石のナレーションが流れ、ステージにはゴーグルをつけた5人の戦士が姿を現す。そう、夢幻戦隊むーたいぷの登場だ。やりたい放題で狂気を見せるムゲンブルーはサイドステージに移動。スケッチブックにやはり狂気の絵というか線を引き始める。前衛的で自由奔放な芝居、あるいは筆舌に尽くしがたいゆるゆるなコントがステージ上で展開され続け、ムゲンブルーの尋問によって「自分って何だろう」と苦悩するムゲンピンクがステージを去ると、入れ替わるように宮永が登場する。そんな彼女に仲町によく似たムゲンイエローは「良かったら私たちと歌ってくれませんか」とアプローチ。そして快諾した宮永と夢幻戦隊むーたいぷの4人による「熱風海陸ブシロード〜熱き咆哮〜」が始まる。するとムゲンブルーが今度はムゲンローズを連れてサイドステージへ。すると次は入れ替わりで宮永とムゲンイエローがサイドステージに向かう。上手側奥のファンたちは思いがけない目前でのパフォーマンスに喜びを得た。5人の歌声を結集させ、かつてはミルキィホームズも歌ったブシロードのアンセムを歌い上げ、会場全体に“ブシロード”と叫ばせると、歌唱後は夢幻戦隊むーたいぷが舞台を去り、宮永以外のメンバーがステージに戻って改めて濃密なゆめみたのアンコールに突入する。

まずは告知のMCから。2025年秋に「BanG Dream!」の各バンドが週替りでEDテーマを務めるTVアニメ『カードファイト!! ヴァンガード Divinez デラックス決勝編』にゆめみたも参戦することが発表され、そこで使用される「真夜中遊園地」が3rd Singleとしてリリースされることが発表される。また、続くナンバリングライブの“夢限大みゅーたいぷ4th LIVE「アンロック・ザ・フューチャー」”が9月7日にTACHIKAWA STAGE GARDENで開催されることも解禁された。

「やっぱり私はみんなの前でお話しする瞬間がすごく好きです」「配信するのも楽しいけど頷きながら聞いてくれたりとか、発表を喜んでくれる顔を見るのがすごく（好き）」と話す千石。藤は今回のツアーが「会場ごとに、みんなの顔とか受け取る感覚も全然違う3公演」だったことに触れると「これからも私たちの一瞬、一緒に見てくれますか」との言葉をファンに送る。峰月はスタッフやゆめみたｽﾞへの感謝を述べようとして涙を堪えられず、千石と抱き合ってフロアに背中を向けて涙を拭い、メンバーに慰められながら会場に向かって「大好きです」「見つけてくれてありがとう」と話す。宮永からは「今日ちょっと涙もろいなー、と思ってて」との言葉から「ゆめみたに時間を割いてくれる人みんながチームゆめみた」「3rd LIVEのキービジュアル、ゆめみたｽﾞみんなが走ってますけど、その後ろについてきてください」という想いを語った。最後に仲町は「大阪、愛知で改めて二度とない瞬間なんだなって感じることができて、今日は今までにない最高の一瞬にするって目標があった」と告げ、会場から目標達成を肯定してもらうと「これからも爆走していきますので一緒に楽しい一瞬を積み上げていきましょう」と誓った。

正真正銘のラストスパートは“歌っていなかったあの曲”、そう最新シングルで初タイアップ曲の「Hi-Vision」からスタート。高速で仲町のボーカルとメンバーの演奏が会場を駆け抜けると、次はクラップとコールが炸裂する「夢現妄想世界」へ。仲町と千石がステージを駆け回り、サビでは会場全体で合いの手をしながらの力強いジャンプを見せた。大阪や愛知公演ではここで終了となったが、「東京公演では新曲を！」という仲町の声に会場が感情を爆発させる。メンバーみんなに見つめられながら仲町は、「みんなで笑い合ったり、音楽を楽しんだり、美味しいものを食べたり、仲良しな人と過ごしたり。そんな小さな幸せをもっと僕にも大切にさせてほしい」と話す。そして、そんな想いで作詞作曲を手がけたと告げると、会場から拍手が生まれる中、ファンたちへのエール曲「グラディエント」を歌い始める。スクリーンに映像はなく、メンバーの清冽なコーラス、ギターのリフ、ピアノが奏でるメロディ、そして仲町のファルセットが響く。シンプルなライブが進み行くなか、千石をはじめステージ上の顔はどれも感傷的な表情を見せていた。初の東名阪公演をやり遂げ、その先を目指し続けるゆめみたｽﾞにふさわしいラスト。最後にファンと写真を撮り、餞別とばかりにピックを次々と投げ入れるゆめみたｽﾞ。その後、5人は上手、下手、中央の観客に挨拶を済ませ、ステージセンターで手を繋ぐと仲町の生声による「ありがとうございました！」で頭を下げた。

今回のライブでは、ある種のガーリーさを表現していた「エイリアンエイリアン」に加え、少女的なセンチメンタルを見せつけた「TRASH LIFE」「テレパシー」という名曲を手に入れたことで、ガールズバンドとしての深みを増したところを見せつけたゆめみた。フロアの熱いコール、自己紹介に口上といったアイドル文化の導入はライブの盛り上げに一役買っていたが、さらにステージを登り、未完成な女の子たちが成長していく様を見つめるという「BanG Dream!」プロジェクトの本質をさらに強く追求する存在となりつつある。二次元と現実を行き来しつつ、徐々にゆめみたは現実世界に生まれ出ようとしており、より生々しくもあった。しかも現在は、圧倒的なボーカル力でバンドメンバーの想いをアウトプットする仲町がバンドを牽引している構図だが、他メンバーがコーラスや演奏はもちろん、様々な場所で個性と表現力を発揮、さらには5人のキズナを感じさせる箇所がそこかしこにあり、未来のゆめみたに対する期待と希望を感じさせるライブでもあった。まずはそんな彼女たちの“夢限大みゅーたいぷ4th LIVE「アンロック・ザ・フューチャー」”を楽しみにしたい。

＜セットリスト＞
01. 新人類は仮想世界の夢を見るか？
02. ✞animaるパーティ✞開催中✞
03. ときめきエクスペリエンス！
04. えがおのオーケストラっ！
05. エイリアンエイリアン
06. エンプティパペット
07. TRASH LIFE
08. テレパシー
09. 壱雫空
10. 限界現実サバイブ天使
11. コハク
12. ビッグマウス
13. コミュ着火Fire!
EN1. Hi-Vision
EN2. 夢現妄想世界
EN3. グラディエント

●リリース情報
夢限大みゅーたいぷ 3rd Single「真夜中遊園地」

2025年秋リリース予定

●イベント情報
夢限大みゅーたいぷ 4th LIVE 「アンロック・ザ・フューチャー」

2025年9月7日(日)
開場17:00／開演18:00（予定）
会場：TACHIKAWA STAGE GARDEN