REPORT
2025.06.05
今春2ndアルバム『Fluctus』をリリースした青山吉能が、2025年5月25日、毎年恒例となるバースデーライブ“青山吉能 Birthday LIVE 「i’ll DO me.」”をヒューリックホール東京で開催した。ライブは昼公演・夜公演が行われ、昼公演では青山が敬愛するシンガーソングライターであり、最新アルバムのリード曲「ルーガルー」を提供した日食なつこがバースデーケーキを手にサプライズ登場する一幕も。本稿では、そんな本ライブの夜公演の模様をお届けする。
TEXT BY 逆井マリ
PHOTOGRAPHY BY スエヨシリョウタ
元映画館ならではのクラシカルな雰囲気が漂うヒューリックホール東京。ステージには金網が張り巡らされ、退廃的な空気が漂う中に「ルーガルー」のMVで使用された旗が一際存在感を放っている。その舞台に、よぴぴん家BANDのメンバー、⽊原良輔(g)、前⽥逸平(b)、杉 直樹(key)、⼭崎 慶(ds)、⼩幡康裕(key,g)、⽯井裕太(sax)によるムーディな音色が響くと「ルーガルー」のMVの衣装をアレンジした、真っ赤なドレスを身に纏った青山が登場。大きな拍手と歓声に包まれるなか、アルバム『Fluctus』の幕開けを飾るシティポップ感溢れる「Grown Up」とロックンロールナンバー「メイド・バイ・ユー」を立て続けに披露。観客が青のペンライトや、配られた旗を振るなか、バンドメンバーと目を合わせたり、「メイド・バイ・ユー」で歌詞に合わせてハートマークを作ったりと喜びを全身で表現してみせた。
「皆さん、青山吉能 Birthday LIVE“i’ll DO me.”夜の部、ようこそお越しいただきました!ということで、私もまた1つ歳を取ったんだということを噛み締めながら、そして生まれてきたことにたくさん感謝しながら、皆さんと出会えた幸せを噛み締めながら歌いたいと思います!」と誕生日ならではの素直な喜びを伝えると、挨拶もそこそこにさっそく次の曲へ。
“聴かせる”曲たちが並び、青山の豊かな表現力が存分に発揮されたのがこの序盤のブロック。まずはシンプルな伴奏から雄大な景色へと広がっていった「Flowery」を贈ると、スポットライトの中で語りかけるように歌い始めた「終点のない列車」へ。そこから続いたのは、矢吹香那が作曲を手掛けたソロデビュー曲「Page」。元々壮大な世界観を湛えた曲だが、ライブアレンジによってケルト音楽を思わせるような音の重なりが加わり、さらにスケールの大きな1曲へと昇華。大きなシンガロングを巻き起こしてみせつつ、ライブならではのたっぷりと感情の乗った歌声で“未完成のままでいい 愛おしい日々を往け”と力強く伝えた。ここで一瞬、青山の姿が見えなくなると思うと、CV.青山吉能によるユニークな影ナレーションが降り注ぎ「最高だ、よぴちゃーーーん!またよっぴー、帰っちゃった!よっぴーってそういうところがあるからなあ。よし、俺たちのよぴぴパワーを見せつけてやろうじゃないか。いいか、お前ら!」とアジテート。彼女の愛称であるよっぴーコールが巻き起こると、青山が客席下手のドアから再登場。キュート&ポップに弾ける「結び目 I Wish」を、“赤い糸”という名の絆を結んでいくように小指を立てながら届けたのだった。
その直後「昼と違うルートを通ったら、(イヤモニの音が)見事に大反響。あれ、リズムが、リズムが……という状態に」と苦笑しながら、なだれ込んだMCでは5曲連続で披露したことについて触れ「夜公演では「Flowery」を歌ってみました。昼は「空飛ぶペンギン」だったんですけど、この2曲はアルバムの中でも早めに出ていた(アルバムリリース前に配信されていた)ので、古参面をした古参曲で」と話す様子に、会場からは温かな笑い声が上がった。そして、アルバム『Fluctus』やステージセットに込めた想いが紐解かれていく。
「自分が初めてライブをやらせてもらった時のことを考えると、まさかアルバムが2枚も出来ているなんて……と感慨深い気持ちになります。今回のリード曲であり、日食なつこさんが楽曲提供をしてくれた「ルーガルー」という曲が、このアルバムを語るうえでは外せないと思っています。MVで使っていた旗も(ステージに)持ってきちゃいました!そしてみんなの席にも旗がある!」と語尾に力を入れると、客席で一斉に旗が揺れる。その様子を見ながら「作って良かった」と笑顔を見せつつ「舞台のセットは退廃的なところから“こっから俺達は天下を取りに行くぞ!”“ここからぶち破っていくぞ”といったイメージを意識して用意していただきました」とそのコンセプトを明かした。
さらに、「バンドメンバーが増えました!」と嬉しそうに紹介。バンドメンバーに話を振ると、マルチに楽器を操る石井は「昼に続いてめっちゃ楽しいですね。リハから楽しいんですけど、本番はさらに楽しいです」と笑顔を見せる。「STEP&CLAP」や「メイド・バイ・ユー」を手がけ、今回「ギターの木原さんに呼ばれた」という経緯でバンドに参加したという小幡は「ステージに上がるまでは新参モノで不安だったんですけど、お客さんが温かく迎えてくれて、本当に素晴らしい経験になりました」と感謝を伝えた。
そして青山が「今日はこんな愉快な6人と……“1人”、いや、ここからは“1匹”として!この曲をお届けしたいと思います。皆さん、立ち上がれますか!」と呼びかけ、大切な曲「ルーガルー」へ。切々とした想いをすくい上げるような冒頭から観客たちをぐいぐいと引っ張っていく。その姿はまさに、革命の旗を掲げ、先頭を走っていくリーダーのようで頼もしい。
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