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REPORT

2025.05.22

自身の最高と最速を更新し続ける強靭な意志がそこにはあった――。KOTOKO、メジャーデビュー20周年を締め括るツアー“KOTOKO ASIA TOUR 2025”ファイナル公演をレポート!

自身の最高と最速を更新し続ける強靭な意志がそこにはあった――。KOTOKO、メジャーデビュー20周年を締め括るツアー“KOTOKO ASIA TOUR 2025”ファイナル公演をレポート!

2024年4月21日にメジャーデビュー満20周年を迎えたKOTOKOが行ってきたツアー“KOTOKO ASIA TOUR 2025”は、国内だけではなくアジア各国でも開催。そのアニバーサリーのファイナルとなる国内最終公演・2025年5月6日の東京・豊洲PIT公演をレポートする。そこには、20周年という円熟を迎えたKOTOKOのキャリアを巡る壮大なセットと共に、彼女が今なおシーンの最前線を激走し続けているというトップランナーであることを証明するには十分すぎるほどのタフなステージが繰り広げられていた。

TEXT BY 澄川龍一
PHOTOGRAPHY BY 中村ユタカ

20周年イヤーの締め括りは、序盤からフルスロットル!

約1年前、KOTOKOはメジャーデビュー20周年を記念したアニバーサリーライブとして東京・立川ステージガーデンのステージに立っていた。あの日も彼女のアニバーサリーを祝う祝福的なムードのなか、アルバム楽曲メドレーを18曲連続で聴かせるなどとてつもなくタフなセットが展開され、20周年という節目に腰を落ち着けることのない彼女らしい攻めた姿勢が見られるものだった。あれからおよそ1年経ち、変わらずエネルギッシュなライブ活動を展開していた彼女が、国内ファイナルとなるこの公演で何を見せてくれるのか。その期待感が豊洲PITのフロアを包んでいた。

定刻通りに場内が暗転すると、ジャングル調の高速ビートが鳴り響くなかバンドメンバー、少し遅れてKOTOKOがステージに登場する。そしてビートが鳴り止み、一瞬の静寂のなかでKOTOKOが「それじゃ、いきますかー!」と宣言すると、会場には「SticK Out」のラウドなギターリフが鳴らされた。真っ赤に照らされたフロアとステージのなかでKOTOKOもアグレッシブに動き回りながらパフォーマンス。そして耳に飛び込んでくる音はボーカルもバンドサウンドもとにかく分厚い。あれから1年、彼女が変わらずアグレッシブな姿勢で突き進んできたことを証明するかのようなオープニングだ。

 

そこから「ハロー東京!今日も一緒に思い切り盛り上がっていこうぜ!」とアジアツアーらしい挨拶を挟み、場内にはあのシンセメロディが鳴り響く。ここでシーン屈指のアンセム「Re-sublimity」がスタート。昨年の立川公演と同じく2曲目という位置ではあったが、それでもやはりこの曲が序盤に来ることに、フロアも熱狂とどよめきが起こる。トランシーなサウンドにここでもKOTOKOの熱量の高いボーカルが冴え渡り、観客もそれに負けじと爆音のような歓声をレスポンスする。中盤にはベース・わっちのスラップから八木一美のドラムソロ、大島信彦のギターソロとリレーしていくのも最近お馴染みの構成だ。KOTOKOも最後のフレーズでは超ロングトーンを聴かせるなど、開始2曲で早くもクライマックスが訪れたかのような盛り上がりを見せた。

 

最初のMCでは「皆さんこんにちはー!ようこそいらっしゃいました。待っててくれたかい?」ととにかく元気な第一声。「20周年イヤーを締め括るツアーの国内最終公演でございますので、皆さんの知っているあんな曲やこんな曲、てんこ盛りで準備してきましたので、最後まで思いっきり盛り上がってください!」と宣言すると、それを受けての歓声の合間から爽やかなシンセメロが流れてくる。それが「being」のイントロだといち早く察知した観客は、青のペンライトに加え、『灼眼のシャナ』を思わせる赤のペンライトを灯す。クリアな鳴りのサウンドのなかで、KOTOKOは先ほどから転じて瑞々しく、そして躍動感溢れるボーカルを伸びやかに聴かせる。いうまでもなくこれもまた彼女の代表曲だ。そんな爽やかでハッピーなムードのなかで、そのままセットは「allegretto~そらときみ~」へと続く。穏やかなオレンジと空色のライティングが美しく映え、ここでもKOTOKOの優しくもハリのある歌唱が聴かれる。そして「allegretto~そらときみ~」のアウトロに歓声と拍手が鳴るなか聴こえてたのは「Chercher~シャルシェ~」のピアノのイントロだ。悲鳴のような歓声が聴こえたのだが、まさにKOTOKOが宣言した「てんこ盛り」に偽りのない名曲のオンパレードだ。ピュアネスを凝縮したような美しいメロディをなぞるKOTOKOの歌唱も穏やかで、優しく包み込むような感動的なパフォーマンスである。そしてその感動の余韻に浸ろうかと思っていたその矢先、今度は歴史的名曲「Shooting Star」のイントロが鳴り響く。リリースから20年以上経った現在も、KOTOKOの瑞々しいボーカル、そしてこの曲が持つ美しさは色褪せない。観客もノスタルジックなサウンドに呼応しながら手を挙げお馴染みの振付を見せる。この日筆者はフロア後方でそれを眺めていたのだが、ゆらゆらと動く手とペンライトが広がるフロアで、その水面の上にKOTOKOが立っているような、神々しい光景がこの日も見ることができた。

それにしても、アウトロの余韻に浸るまもなく次の曲のイントロで熱狂するという、情緒がどうにかなってしまいそうな急展開を見せるこのブロック。この日全体にも言えることだったが、今回のセットは基本的に曲間が短く、息つく間もなくアンセムがつるべ打ちされるという構成になっていた。それによって熱狂が持続され続けるという効果があるが、一方でステージ上も客席も休む時間が減るということで、双方にタフネスを要求されるという構成になっていたのが面白い。改めて、KOTOKOの攻めの姿勢がうかがえるセットになっていた。そんなタフながら歓喜の瞬間が続く構成のなかで、多くの観客は「序盤でこんなに名曲ばかりで、このあとどうなってしまうんだ……!?」と感じていたことであろう。そう、まだこの日は始まったばかりなのだ。

次のページ:名曲と共に強度を増し続ける驚異的なステージ

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