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2025.05.10

“憑依系シンガー”佐々木李子が自らの軌跡を胸に新たな“物語の続き”へと進む――約2年ぶりとなるワンマンライブ“I’m RICO.”を振り返る

“憑依系シンガー”佐々木李子が自らの軌跡を胸に新たな“物語の続き”へと進む――約2年ぶりとなるワンマンライブ“I’m RICO.”を振り返る

歌手・声優として多方面で活躍する佐々木李子が、個人名義では約2年ぶりとなるワンマンライブ“I’m RICO.”を、5月3日に代官山UNITで開催した。この2年の間で新たにランティスからデビューした他、「BanG Dream!」発のリアルバンド・Ave Mujicaの三角初華/ドロリス役としても注目を集め、“トリコ(=佐々木李子のファンネーム)”の輪を大きく広げてきた彼女。まだ高校生だった2014年に歌手デビューして以来、ひたむきに歌い続けてきた10年以上のキャリアが大きな実を結びつつある今、それらの軌跡を辿りつつ未来に繋ぐステージとなった。

TEXT BY 北野 創
PHOTOGRAPHY BY 石原汰一

多彩な歌と表現で“憑依系シンガー”としての本領を発揮!

会場の代官山UNITはオールスタンディングのライブハウスで、チケットはソールドアウトしたため満員御礼。フロアは立錐の余地もないほどの賑わいぶりだ。彼女の楽曲のインスト音源が開演前から会場の熱を上げるなか、まずは本公演のバッキングを務めた香取真人(g)、マツモトタクロウ(b)、濱野喬亮(ds)、山田裕一(key)の4人がスタンバイ。そして本日の主役・佐々木李子が「“I’m RICO.”にようこそ!一緒に楽しもう!」と元気いっぱいに登場すると、ランティスのデビューを飾ったシングル曲「Windshifter」(TVアニメ『リンカイ!』OP主題歌)でライブをスタートさせる。この日の佐々木はショートパンツにオーバーサイズのシャツを合わせた装いで、黒系でまとめたコーディネートと最近のトレードマークになっている金髪も相まってロックでかっこいい出で立ちだ。1曲目では自らもギターを手にして弾きながら、吹き抜ける風のように爽快な歌声を会場いっぱいに響き渡らせる。

かと思えば次の「Good Night」(TVアニメ『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』挿入歌)では、ラテン~ブラジル音楽風の洒落たアンサンブルに乗せて英語詞を優雅に歌い紡いでいく。繊細さと軽快さの合間を行き交う絶妙なアプローチが心地良い。続くMCで改めて挨拶しつつ「初っ端からテンション爆上がり」と喜びを伝えた彼女は、久々のワンマンライブで新しくファンになった人も多いだろうこともあり、「自己紹介するような気持ちでたくさん楽曲をお届けしたいと思います」と告げると、自身が作詞した「5:55」を儚くも力強いファルセットを交えながら歌い上げ、ドラマチックな夜明けの景色を浮かび上がらせる。さらに「酩酊 Special Ver.」ではジャジーなサウンドをバックにグッと大人っぽく表現。マイクスタンドにしなだれかかるような仕草や、どこか気だるげで色香の漂う歌い口が観客を虜にする。

その後のMCで、改めて去年にランティスからデビューしたことを報告した彼女は、最初の頃こそ新しい環境ということもあって緊張していたものの、今では周りのスタッフもすっかり自分の性格を理解してくれており、伸び伸びとアーティスト活動できていると語る。髪を金髪に染めたのもランティスからのデビューがきっかけで、心機一転してからは良い風が吹いていることを感じており、性格も明るくなったうえに、ライブ当日は好天に恵まれたことに触れて“晴れ女”にもなったとアピールする。そして、いつも活動を支えてくれるスタッフ、それぞれのタイミングでトリコになったファン、色んな人たちとの出会いを大切にしていきたいと改めて感謝の気持ちを伝えた彼女は、「一期一会を改めて噛み締めながらお届けしたいと思います」と前置きして最新シングルの表題曲「Palette Days」(TVアニメ『日本へようこそエルフさん。』OP主題歌)を歌唱。ミディアムテンポのゆったりとした演奏、佐々木の包容力を感じさせるボーカルが会場を温かな空気で満たしていく。サビでマイクを持っていない方の手を大きく広げる姿は、これからより広大な世界に羽ばたいていく鳥のようでもあり、トリコたちの愛を一身に受け止める女神のようでもある。圧倒的なスケールを誇る歌声、進化した今の彼女を感じさせるパフォーマンスだった。

そしてここからはランティスデビュー後に発表した楽曲を2曲続けて披露。佐々木本人が作詞・作曲(作曲は佐藤厚仁との共作)した「君と僕の星」では、「Palette Days」での慈愛に満ちた表情から一転、シリアスでどこか寂し気な顔つきになり、時折うなだれながらも、サビでは上空を見上げて“必ず星になるよ 君に会いに行くよ”と力強く約束する。焦燥感溢れるアップテンポな曲調を含め、想いの強さがひしひしと伝わってくる名演だ。そこから“どんなセカイでもフタリなら大丈夫”と希望を歌うバラード「フタリノセカイ」に繋げ、2番ではお立ち台に座ってしっとりと歌い上げていく。さらにプリキュアシンガーでもある彼女の代表曲「ココロデリシャス」(TVアニメ『デリシャスパーティ♡プリキュア』後期ED主題歌)をピアノアレンジバージョンで披露。元気いっぱいな原曲よりも柔らかで上品、ピアノの伴奏と息を合わせながらも牽引していくような生命力に満ちた歌声が、聴衆の心をデリシャスに塗り替えていく。声楽科仕込みの安定感ある歌唱と、役者の顔も持つ彼女ならではの豊かな表現力。楽曲に没入してその世界を創り上げていく“憑依系シンガー”としての力が発揮されたパートだった。

次のページ:フィナーレのその先へ!どこまでも高みを目指す“物語の続き”

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