11月4日、声優とアイドルの活動を両立するハイブリッドユニット・i☆Risが“i☆Ris 12th Anniversary Live ‐初☆アリーナMM(マジみて)‐”を、ぴあアリーナMMにて開催。毎週券売状況を発表しながらファンと共に目指してきた、自身のデビュー12周年を記念して開催された今回のワンマンライブは、史上最多の観客動員を記録するにふさわしい、まさに今までのi☆Risの集大成を味わい尽くせるものとなった。
TEXT BY 須永兼次
PHOTOGRAPHY BY 増田 慶/上飯坂真
場内にオープニングSEが流れると、各年のAnniversary LiveのロゴがメインLEDスクリーンに順番に映し出され、最後に今回のロゴが登場。そしてステージ上のLED幕に5つのシルエットが浮かび上がり、それがゆっくり上昇してシルエットと同じポーズでスタンバイしていた5人の姿が現れ、デビュー曲「Color」からライブスタートだ。そして5色の銀テープの発射と共にi☆Risは大きな大きなステージに堂々と立ち、ぐっと観客を惹きつけていく。間奏ではリーダー・山北早紀が「今日はたくさんのColor、いっぱい見せてねー!」とこの曲になぞらえて呼びかけると、続く「ドリームパレード」では、イントロと同時にファンのボルテージは一気にアップ。ソロパートでのノビが特に素晴らしかった茜屋日海夏の歌声が象徴するかのような、この日にかける意気込みを感じさせた仕上がりきった溢れるパフォーマンスで、5人はファンを沸かせていく。さらに「DIVE TO LIVE」では、コミカルなボーカルワークや振付を通じてファンをさらにぶち上げていく。また、サビ部分の手扇子では場内に一体感が生まれ、1サビ明けの間奏では若井友希が「騒ぐぞ今日はー!」とさらに観客を先導。2サビ終盤では、久保田未夢がしゃがんで最前の観客と視線を交わしていたり、大サビのコールを芹澤優が膝立ちでコールを受け止めたりと、ファンとのコミュニケーションも大事にしていった。
最初のMCでは、今までで最も多くのファンが一同に会する光景を前に、山北が「みんなi☆Ris目当てで来たんですよね!?」と問い掛け、肯定の大歓声が起こる。メンバーの自己紹介に対しても史上最大音量のコールが返ると、ライブについて山北が「ボリューム、ヤバいから!」と予告したところで、「あっぱれ!馬鹿騒ぎ」からライブ再開。冒頭のコール部分からまたも凄まじい盛り上がりをみせる客席を前に、1-Bメロでの山北・若井のソロパートでは艶やかな歌声を響かせるなど、勢いだけに任せないパフォーマンスがさらにファンの心をとらえて場内の熱量を上げる。そしてイントロの瞬間大歓声が上がったのが、5年ぶりに披露の、つまりは5人体制での初披露となった「徒太陽」。終始エネルギッシュにダンスをみせつつDメロでは美しく重厚なハーモニーを聴かせたりと、こちらも要所を押さえたステージングでさらに心を掴み、そのまま「ミラクル☆パラダイス」へ。曲中にセンターステージへと移動して披露したことで、間奏部分での周回するフォーメーションの美しさを、スタンド席のファンによりはっきりと見せることに成功していた。また、自己紹介ソング「5STAR☆(仮)」では各々がフィーチャーされるBメロのセリフ部分をこの日ならではのものにアレンジして観客を笑わせたり沸かせたりと遊びも込めつつ、サビなどではダンスを揃えて魅せつつ指差しでのレスも含めて楽しませる。メンバーの個性に加えてグループ全体の雰囲気や魅力も詰め込んだ、まさに“自己紹介ソング”の役割を果たす1曲となっていた。
曲明けには、改めて口々に「めっちゃ(客席が)近いよ?」と言及しつつ、続いては“マジみてゾーン”と名付けられた、キュートなナンバー続きのブロックへ。まずはポップなダンスチューン「TIN TONE」に甘めに振った歌声を乗せつつ、きっちり揃えたダンスパフォーマンスでも盤石のステージを見せていくと、さらに甘々な楽曲「Special Kiss」では、芹澤がソロ歌唱直後に内股でぴょんと跳ねたりとこの曲にピッタリのパフォーマンスを展開。サビ頭の蹴り上げの大きさで視線を奪った久保田は、「好き好キスKiss」のフレーズでは巧みに視線でレスを送って奪ったその視線を離さない。そして「YuRuYuRuハッピーデイズ」のイントロ流れるなか、その久保田が「手伝ってほしいところがあるから、気抜かないでね!」と予告。何が起こるのかドキドキと共に見守ると……なんと、間奏部分での恋人同士の掛け合いセリフのうち男性側のものがLEDスクリーンに表示され、ファンがコールで担当することに!今年映画館で幾度も行なわれた“応援上映”を踏まえてか、サプライズを通じてファンと1曲を完成させる。続く「ハートビート急上昇」では、LEDスクリーンを5分割してメンバーの表情を映し出しながらの披露。その表情はもちろん、ダンスや歌声でも十二分にキュートさを表現し、ファンへ愛をプレゼントしてくれた。
ここでi☆Risは一旦降壇。劇場版アニメ『i☆Ris the Movie – Full Energy !! -』に登場したシロリス(CV:高橋李依)とクロリス(CV:斎賀みつき)が物語の舞台・リスリスランドから応援に駆けつけ、シングル曲のMVを「1st→25th→2nd→24th→……」と新旧交互に上映。“ファン”らしく、妙にメンバーの小ネタに詳しいシロリスとクロリスのコメントがニヤリとさせると、衣装チェンジを終えてセンターステージにi☆Risが登場し、「Re:Call」から中盤戦へ。冒頭のパート直後から、そのセンターステージがゆっくりと、2階席ほどの高さまでリフトアップ。直前までとはうって変わって、ハードなナンバーと共に力強くかっこ良さを前面に出す。落ちサビの芹澤のソロパートでは歌声にも身振りにもエモーショナルさが滲み、それもさらに観客の心を熱くする。さらにもう1曲、ダークさの強い「Changing point」では、歌い出しの茜屋の透き通った歌声が鮮烈に特に印象深かったポイント。引き続き5人全員が最初から最後まで、歌にダンスに眼光まで含めて鋭くかっこいい姿をみせていたが、ここではダンスでも茜屋のサビ部分のシャープさがたまらなく魅力的だった。
そしてセンターステージがゆっくり下がっていくと、若井の「i☆Risのかっこいい曲、いっぱい歌っちゃうよ!」との煽りに続いて「Queens Bluff」がスタート。1つ1つのフリにメリハリを持たせつつ、滑らかかつ美しく艶やかというここ数年のi☆Risの“魅せる”路線を確固たるものにした1曲で、この日も場内を圧倒していく……と、1サビ歌唱後に楽曲は「Let you know!」のサビへ直結。やや挑発的な歌声で心を鷲掴みにすると、再び「Queens Bluff」に戻る。と、今度はサビ明けに「One Kiss」のサビへと繋がり、「Let you know!」中盤のダンスパートからラストまでを披露。すると続いて、「One Kiss」とのマッシュアップをバックに1人ずつスポットライトに照らされソロダンスパフォーマンスを見せていくダンスタイムが繰り広げられ、最後は改めて「Queens Bluff」でエンド。前半とはまた違ったi☆Risの武器を、この大舞台で堂々と“武器”として提示してくれた。
ちなみにダンスパートがライブ中に盛り込まれたのは、5年前の全国ツアー以来のこと。その余韻残るなか、美しいバラード「Endless Notes」から“聴かせる”ゾーンへ。Bメロでの茜屋や若井の歌声にある透明感を筆頭に、歌声で楽曲世界へと没入させてくれるi☆Ris。その一方で、ダンスもサビでは一手一手ピタリと揃え、2サビ明け間奏でのスピンしながらの周回部分などでも麗しさを強く感じさせてくれる。続く「Goin’on」は、1サビで花道の途中で両サイドのファンと視線を交わしつつ近距離でパフォーマンス。2-Bメロ「憧れてた 大好きな場所に今 立ってる」のフレーズではそれを確認するか、もしくは主張するかのように何度もその場でジャンプして、ステージを踏みしめるような山北の姿も印象的だった。そして「Thank you forever!」では、1-Aメロ山北が「私が抱きしめるよ」と歌詞を変えて芹澤の肩を抱いたり、直後のソロを「抱きしめてほしいな私も!」とアレンジした久保田を茜屋が歌いながら駆け寄ってハグしたりと、メンバー間の絆を感じさせるステージに。また、DメロでこれまでのAnniversary Liveの記念写真が映し出されてここまでの歩みを感じさせると、落ちサビで芹澤が涙を溢れさせて歌えなくなってしまう場面も。そんな1曲に5人は「この先もずっとよろしくね」の想いを込めて、丁寧に大事に届けていった。
歌唱後、直前に映し出された記念写真を引き合いに「12年分生きた歴史がある」嬉しさを山北が語り、「自慢してもいいよね!?」とファンへと呼びかけ大歓声を浴びる。そして改めてステージから見える景色の綺麗さに5人が感謝の言葉を述べると、「Shining Star」から再び盛り上がる曲を通じて観客の熱を高めにかかる。その熱量が一気に上がったのは、続く「キセキ-ノ-フィラメント」だろう。イントロ中に若井が観客を煽ってコールを呼び起こしてから始まったこの曲で、5人は曲中客席から幾度も起こるコールの先頭に立つかのような力強い歌声を響かせ、観客の声と共に曲を完成させていく。また、サビ中の「Yeah!」のコールと同時にステージには炎も上がり、視覚的にも物理的にも場内の熱を上げる。そんななか、3-Bメロで歌詞に合わせて指ハートをしながらスタイリッシュな歌声でキメる山北の姿がかっこ良すぎて、これにはシビれてしまった。
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