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INTERVIEW

2024.12.05

珠玉のラブソングを詰め込んだsajiの3rdミニアルバム『ユーフォルビア』、その収録楽曲に込められた想いを紐解くヨシダタクミインタビュー

珠玉のラブソングを詰め込んだsajiの3rdミニアルバム『ユーフォルビア』、その収録楽曲に込められた想いを紐解くヨシダタクミインタビュー

3ピースロックバンド・sajiが、3rdミニアルバム『ユーフォルビア』をリリース。“白雪姫”という花をイメージして制作したという本作には、この時期にぴったりな珠玉のラブソングが詰め込まれている。その中には、彼らの前身であるphatmans after school時代に発表された幻の名曲「さよならも言わずに」も。過去と現在、その時々の恋愛観が表現された楽曲たちについて、ソングライターであるヨシダタクミ(vo、g)に話を聞いた。

INTERVIEW BY 北野 創
TEXT BY 松井恵梨菜

色々な“愛の形”をドラマチックに描いたアルバム

――3rdミニアルバム『ユーフォルビア』はどんな青写真を描いて制作したのでしょうか?

ヨシダタクミ リリース時期が冬に近い11月末になると決まった時、冬にちなんだアルバムにしようと考えたんです。sajiはお花にちなんだタイトルの曲が多いので、冬の時期のお花を調べていた時に、ユーフォルビア属というお花の種類を見つけまして。その一種で11月頃から冬にかけて咲く“白雪姫”と呼ばれるかわいいお花があることを知ったんですよ。花言葉も“大切な人との再会”や“君にまた会いたい”という、恋愛になぞられて書けそうなもので。それに合わせてラブソングや、誰かに対して歌う気持ちをコンセプトにしようと思いました。

――“ラブソング”や“冬”というキーワードが出てきましたが、どちらもsajiと相性が良いイメージがあります。

ヨシダ 恋愛をモチーフにしている曲はたしかに多いですからね。恋愛って、人類の普遍的なテーマの1つだと思うんです。そのうえで、sajiの描くラブソングは、成就しなかったり、終わってしまったあとの恋を描くことが多いんです。終わってしまった恋って、あとになって考えてみたら、「あれはあれで良い思い出になったな」という時期がくると思うので。

――冬との相性の良さはご自身でも感じていますか?

ヨシダ 感じますね。北海道出身だから、というのも大きいと思いますが、北海道は1年の半分以上が冬のようなものなので、どうしても冬の思い出が多くなりますから。

――1曲目の「Euphorbia」では、まさに“君にまた会いたい”という想いが描かれていますね。

ヨシダ まず“君にまた会いたい”ということは、すでに一度巡り会ってから再会を願っているので、もう終わってしまった恋なんだろうなと考えたんです。その言葉の裏にはきっといろいろな感情があって、この曲では「君にこういうことを言われていたけど、君のサインに気づけなかった僕は愚かだな」という気持ちを書きました。君に何かをさらけ出して嫌われてしまうのが怖いから取り繕ってたんだって。ただこれは優しい嘘のつもりだったんだけど、君にはむしろ僕との心が離れていくように感じてしまったんだねって。こういう男性特有の女々しさを汚い言葉で書くこともできるんですけど、sajiとしては生々しくそのままぶつけるような作品は出したくないなと思い、ドラマチックなストーリーにしました。

――ヨシダさん自身は、女々しく思い返してしまうこともあるんですか?

ヨシダ ありますね。もう一度やり直せたらとかは考えないですけど、思い出って美化されがちだなと思っていて。嫌だったこともたくさんあるけど、それ以上に楽しかった日々の方が思い出に残りやすいのかなと。だから自分で書きながら言うのもあれですけど、この主人公の感覚はわからなくもないなと思いました。

――女々しい感情を描きつつ、サウンド面は透明感のある、きれいな感じがあります。

ヨシダ 全体のサウンドとしては凛とした寒さと一緒に、雪や冬の雰囲気を感じられるよう意識して作りました。

――続く「スピカ」も未練というか、すれ違いのあった過去の恋に対する曲との印象を受けました。

ヨシダ 実はこの曲を書いたのは学生の時なんですよ。歌詞もまったくリライトしていなくて。自分は結構ひねくれた部分があるんですけど、この曲では「本当は仲良くしたい、誰かと気持ちを共有したいと思うけど素直になれない。そんななかで、君だけは僕のことをわかってくれている気がする」という気持ちを書きました。サビでは、主人公が持っているヒロイックな部分を描いています。「自分がもし星になってしまったとしたら、あなたは悲しむでしょう。でも、僕はずっと君の人生の道を照らす光でありたい」「他の人を好きになったとしても、僕のことを忘れてもいいから、どうか幸せになってほしい」。これが、男の目指す究極の愛なんじゃないか……ということを、若造が(笑)言っています。

――曲調としてはワルツ調で、ロマンチックな雰囲気に仕上がっていますね。

ヨシダ 曲と歌詞のどちらが先に生まれたのかはっきりとは覚えていないのですが、昔は詞先で書く曲が多かったんです。だからこの曲も、まず歌詞を書いて、それをメロディに乗せたいなと思ったんじゃないかと。その時に、自然とキラキラした方向に導かれたのかもしれないです。

――ラストのコーラスもすごくいいですよね。

ヨシダ 元々、キラキラしたロマンチックなサウンドがすごく好きなんです。3拍子だったり、コーラスワークでドラマチックな感じを演出したり。例えばディズニーの音楽とかも、聴いているだけでキラキラした感情になれるので好きですね。自分のバックボーンにあるのは、そういう音楽なんだと思います。

>次のページ:中原中也にインスパイアされたある楽曲について

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